遠花火 2     217句

別のこと考へてゐる遠花火   黛まどか   B面の夏

作品
作者
掲載誌
掲載年月
遠花火ばかばかしくも楽しくも 玉川梨恵 200410
身の丈の一枚ガラス遠花火 深澤鱶 火星 200410
遠花火紺うつくしき京扇子 金澤明子 火星 200410
子のこころ読めぬとまどひ遠花火 白井剛夫 200410
庭下駄のみな海へ向き遠花火 工藤進 200410
華やぎにいつしか疎し遠花火 辻尚子 200410
遠花火なほ遠くまた遠花火 西山美枝子 酸漿 200410
金色のベッドカバーや遠花火 角田信子 六花 200410
歳月は美しきもの遠花火 永田歌子 遠嶺 200411
思はざる方に揚がりし遠花火 今成公江 200412
しばらくは物を書きつつ遠花火 糸井芳子 200412
捉へどころなき忙しさや遠花火 山元志津香 八千草 200501
一秒の命を尽くす遠花火 蒔元一草 河鹿 200502
行き違う話の行方遠花火 松山律子 六花 200507
遠花火音は余韻となりて着く 稲畑廣太郎 ホトトギス 200508
遠花火昔ながらの火の見あり 瀧春一 菜園 200509
来し方は一色ならず遠花火 湯浅夏以 遠嶺 200510
あきらめのまだ身につかず遠花火 指尾直子 雨月 200510
遠花火ふいと人来る気配かな 田代ヨシ 河鹿 200510
潮騒を枕にしたり遠花火 石堂絹子 河鹿 200510
遠花火かすんでゐても背延びして 稲木款冬子 築港 200510
遠花火蜑の酔歌は艪漕唄 新田巣鳩 馬酔木 200511
遠花火やらねばならぬことばかり 倉持梨恵 200511
厨房のものみな研げり遠花火 木田秀子 200511
遠近の花火に屋上ひだり右 遠藤とも子 ぐろっけ 200511
漁火の漂ふ闇や遠花火 山村修 酸漿 200511
鉄橋の列車ゆつくり遠花火 橋本幸子 百鳥 200511
すれ違ふよもやの人や遠花火 梶浦玲良子 六花 200511
病むひとの遠まなざしに花火果つ 出口賀律子 雨月 200511
仮の世のはかなきものに遠花火 細川コマヱ 雨月 200511
遠花火見知らぬ街に歩を止めて 塚本富士子 栴檀 200601
遠花火無心のときを満たされて 岡田和子 馬醉木 200609
遠花火筆舐めて筆をさめけり 山尾玉藻 火星 200609
遠花火心の底に音はじけ 高橋美智子 200609
遠花火よりも遠くを想ひをり 高橋ちよ 200610
これからの生き方問はれ遠花火 稲嶺法子 遠嶺 200610
娘の頃の銘仙解くに遠花火 長尾和子 200610
握る手を握り返せず遠花火 永田勇 六花 200610
濡縁に座すや隅田の遠花火 石原光徳 酸漿 200610
遠花火音の遅れは物理学 達山丁字 200611
晩年は鍵一つ持ち遠花火 佐々木紗知 京鹿子 200611
空想に色つけてみる遠花火 三沢蘭 遠嶺 200611
天界の父も見入るや遠花火 矢吹あさゑ 200612
子の重み肩に受け止め遠花火 小田切明義 春燈 200612
二た三言音遅れゐし遠花火 稲岡長 ホトトギス 200701
遠花火なりに特等席のあり 浅利恵子 ホトトギス 200701
両手の指胸に広げて遠花火 藤田宣子 ぐろっけ 200702
遠花火聞えて年の明けにけり 坂本知子 酸漿 200704
待つことは許すこととも遠花火 木下忠雄 酸漿 200707
遠花火大きな闇を近くせり 加藤克 200709
清十郎お夏碑の古る遠花火 次井義泰 200709
しほと謂ふ切なる時間遠花火 鈴鹿仁 京鹿子 200709
寝たきりの友よ見給へ遠花火 河合しよう 春燈 200710
遠花火木の股といふ座を得たり 千田百里 200710
遠花火ひらきて遠き恋ありぬ 柳生千枝子 火星 200710
遠花火老の標的外れ易し 柴田朱美 京鹿子 200710
暗闇が貼りついてゐる遠花火 柴田朱美 京鹿子 200710
異次元にたましひ遊ぶ遠花火 柴田朱美 京鹿子 200710
イラン人と悩み分け合ふ遠花火 伊吹之博 京鹿子 200710
こけさうに月残る空遠花火 泉田秋硯 200711
止めば又闇に聞耳遠花火 磯崎清 200711
音ばかり燥ぎし闇の遠花火 高塚千代子 200711
遠花火二階に孫を住まはしむ 大西八洲雄 万象 200711
この先は鈍行にせむ遠花火 平野みち代 200711
むづかりし赤子寝入るや遠花火 市村義夫 風土 200711
遠花火見ゆる門先賑はへり 岡田章子 ぐろっけ 200711
曖昧な記憶と散りぬ遠花火 片野光子 ぐろっけ 200711
耳遠くなりたる吾に遠花火 細川コマヱ 雨月 200711
向ひ合ふ夫との夕餉遠花火 緑川啓子 馬醉木 200711
先に出づや聞こゆる遠花火 久永つう 六花 200711
ふるさとに戻れば星と遠花火 福地初江 200711
病室の父への思ひ遠花火 栗林眞知子 ホトトギス 200712
遠花火家族でありし頃の夢 鳥居恭宏 遠嶺 200712
夕風に吹かれ歩きや遠花火 山本康 200712
遠花火近づく道の閉ざさるる 山田六甲 六花 200808
遠花火はず一命をとりとめし 伊藤白潮 200809
夜の雲に光写せり遠花火 薗田英治 遠嶺 200810
悪なきひと日授かり遠花火 松野睦子 遠嶺 200810
やうやくに子を寝かし見る遠花火 太田佳代子 春燈 200810
遠花火今宵は逝きし人のこと 中嶋昌子 春燈 200810
ベランダヘ椅子持ち寄りて遠花火 五十嵐章子 200810
山の端にほつかりあがり遠花火 清水淑子 炎環 200810
悔いなしと言へぬ半生遠花火 久保田雪枝 雨月 200810
遅ればせの礼状となる遠花火 高橋道子 200810
国威とは厄介なもの遠花火 赤座典子 あを 200810
旅の宿夜の静寂に遠花火 伊藤靖彦 200811
古稀仲間集ひし銀座遠花火 池田加寿子 200811
逢へばすぐ時取戻す遠花火 飯田角子 酸漿 200811
遠花火門外漢として聞きぬ 伊藤早苗 200811
わが肩を抱いたり揉んだり遠花火 陽山道子 船団 200901
遠花火うつくしき言吾に告ぐ 瀧春一 深林 200901
昔の友のこころ稚し遠花火 瀧春一 深林 200901
遠花火雲の白さに気付きたる 広渡敬雄 200908
落城のかくもありなむ遠花火 山田六甲 六花 201008
吟醸を切子に注がば遠花火 ことり 六花 201008
遠花火嘘のきらいな怒り肩 桑名さつき ろんど 201009
腰下ろす草なほ蒸るる遠花火 谷合青洋 酸奬 201010
音ばかり聞くも最後か遠花火 菊地英雄 酸奬 201010
パソコンを打つ手を休め遠花火 平照子 酸奬 201010
腑へ響くベランダ越しの遠花火 山本孝夫 201011
大原に響くや湖の遠花火 安本恵子 201011
遠花火今宵唐橋あたりなる 竹内悦子 201011
遠花火来し方なべてよしとせり 望月晴美 201011
今生の忘れものめく遠花火 栗城光雄 201011
向う岸に三人並ぶ遠花火 渡辺数子 火星 201011
上空は風のあるらし遠花火 きくちきみえ やぶれ傘 201011
母逝きし日の静かなる遠花火 松田明子 201011
臨終に音ひとつ無し遠花火 鳳蛮華 201011
ひと言の多きを悔いて遠花火 高野春子 京鹿子 201011
足の指洗うてをりぬ遠花火 堀江惠子 201012
遠花火由なきことは忘じけり 鈴木榮子 繭玉 201105
再会を約す駅頭遠花火 藤見佳楠子 201109
老いふたり寄り添うて見る遠花火 岡佳代子 201110
車窓にわが横顔泛ぶ遠花火 岡田貞峰 馬醉木 201110
古民家の二階の座敷遠花火 須賀敏子 あを 201110
山峡に時折赤く遠花火 森理和 あを 201110
遠花火風雨を越えて切目なく 伊吹之博 京鹿子 201110
追憶の刻流れけり遠花火 中西理一郎 201111
みちのくのみづくかばねや遠花火 有本南陵 ろんど 201111
遠花火追慕のやうな二三音 中島讃良 ろんど 201111
人避けて最上階に遠花火 年森恭子 ぐろっけ 201111
夫の忌を修せし安堵遠花火 堀田こう 雨月 201111
いちにちの煮焚のをはり遠花火 竹内弘子 あを 201110
部屋の灯を消して見てゐる遠花火 高倉恵美子 201112
音のみが響く都会の遠花火 清水量子 201112
痩せ犬と目の合ひにけり遠花火 湯村真翠 201112
打ち止めの音どかどかと遠花火 橋本美代 やぶれ傘 201112
遠花火終りはことに華やかに 加藤千津 ろんど 201112
遠花火一人の闇に音響く 石川純 万象 201112
遠花火娘が恋を明かしけり 岩永はるみ 白雨 201203
父恋ふる子の手を引きて遠花火 須賀充子 パミール越え 201206
音へ向く方を外して遠花火 細野恵久 ぐろっけ 201208
訣れ来て衣たたみをり遠花火 北崎展江 くりから 201209
膝がしら並べて縁に遠花火 北崎展江 くりから 201209
子には子の帰る家あり遠花火 野坂民子 馬醉木 201210
夕餉終へかすかに聞ゆ遠花火 青木英林 かさね 201210
時惜しみ生き急ぐごと遠花火 福田かよ子 ぐろっけ 201210
子供等の帰省少なく遠花火 佐藤喜仙 かさね 201210
晩年を押し分けてくる遠花火 鴨下昭 201210
遠花火遊子の友と時惜しみ 宮地静雄 末黒野 201210
遠花火母のてのひら熱きまま 雨宮桂子 風土 201210
遠花火女三代庭に出づ 吉田希望 201210
遠花火山黒々とのこりけり 豊田都峰 京鹿子 201210
遠花火音なく消えてよりのこと 豊田都峰 京鹿子 201210
暗闇から母を引っ張る遠花火 篠田純子 あを 201210
丘一つ越えたる彼方遠花火 坂口郁子 末黒野 201211
人生の余白に入りし遠花火 中島讃良 ろんど 201211
遠花火遅き夕餉となりにけり 西岡啓子 春燈 201211
旅終へし長子の熟寝遠花火 上月智子 末黒野 201211
揚げ船の影に恋あり遠花火 三枝邦光 ぐろっけ 201211
夕日落ちうすき白帆や遠花火 川井素山 かさね 201211
夜通しで語る日のこと遠花火 伊吹之博 京鹿子 201211
主婦と書く職業欄や遠花火 河村啓花 ろんど 201211
遠花火電車大きく揺れにけり 久世孝雄 やぶれ傘 201211
遠花火淡海の闇は奥深き 古賀しぐれ ホトトギス 201212
陸橋に人だかりして遠花火 秋岡美津子 京鹿子 201301
遠花火恙ばかりの祖母のこと 山田佳乃 ホトトギス 201301
近い近い二つの心臓遠花火ノ 網野月を 201304
消ゆるたび音の聞こゆる遠花火 上野進 春燈 201310
星条旗独立記念日遠花火 水谷直子 京鹿子 201310
汽水湖の音は近しと遠花火 有本惠美子 ろんど 201310
死ぬる日は生る日に勝る遠花火 石田静 201310
懐かしい子の写真見る遠花火 伊吹之博 京鹿子 201310
母の忌や音の届かぬ遠花火 森清信子 末黒野 201310
音速に優る光速遠花火 松岡和子 201310
畦道に人ならび立つ遠花火 大崎紀夫 やぶれ傘 201311
胸に棲むその名の疼く遠花火 中野さき江 春燈 201311
遠花火ビルの向かうはかつて海 きくちきみえ やぶれ傘 201311
お河童でありしマドンナ遠花火 瀬島洒望 やぶれ傘 201311
聞き話す電話の向こう遠花火 池田久恵 ぐろっけ 201311
遠花火打揚げ終り闇深し 伊藤マサ子 ぐろっけ 201311
遠花火円錐形に投網打つ 佐藤満智子 ろんど 201311
ふる里は今ゐる所遠花火 石井秀一 風土 201311
向い合う話のとぎれ遠花火 松川悠乃 ろんど 201311
庭へ出て音に向へり遠花火 加藤静江 末黒野 201312
林火忌や枕に届く遠花火 鶴巻誉白 ろんど 201312
悲なく一ト日の暮れぬ遠花火 柚木澄 末黒野 201312
遠花火人が集まる坂の下 つじあきこ 船団 201401
手を握るだけの幸せ遠花火 久保久子 湖心 201402
遠花火ほんにいい顔して寝てる 火箱ひろ 201409
遠花火黙って消えし我が母校 まつのたく ろんど 201409
遠花火五欲ゆつくり薄れゆき 白井友梨 馬醉木 201409
雨空に儚く垂るる遠花火 四條進 201409
蛸の足きざむ男に遠花火 湯谷良 火星 201410
観覧車天辺よりの遠花火 須賀敏子 あを 201410
次の音待つて箸措く遠花火 荒井吉一 末黒野 201410
遠花火異国の戦禍哀しかり 大松一枝 201410
田の上にいくたびひらく遠花火 石橋邦子 春燈 201410
他人事のやうに音聞く遠花火 高橋将夫 201410
遠花火湯じめりの髪束ねけり 浅木ノヱ 春燈 201411
戦友に関はりもなし遠花火 鴨下昭 201411
東京の挿頭とひらく遠花火 熊谷ふみを ろんど 201411
地響きのあとの夜空や遠花火 森礼子 雨月 201411
始まりと終りは見えし遠花火 奥田茶々 風土 201411
老人と言はれたくなし遠花火 今井春生 201412
遠花火音の歪んでをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
遠花火音の歪んでをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201508
黄昏を背負ひ過ぎゐし遠花火 鴨下昭 201508
うら悲し物音もせぬ遠花火 王岩 あを 201508
行交ひの奇声だみ声遠花火 長崎桂子 あを 201509
二階窓綺羅綺羅の降る遠花火 長崎桂子 あを 201509
はらからに思ひはせをり遠花火 渡部良子 馬醉木 201510
間を置きて音の炸裂遠花火 玉置かよ子 雨月 201510
演奏を終へたる吾子や遠花火 笹村政子 六花 201510
犬の子の甘噛み痛し遠花火 原田達夫 箱火鉢 201511
遠花火帰したくない人ひとり 三宅文子 春燈 201511
遠花火靄の辺りは浅草か 布川孝子 京鹿子 201511
病む人の筆跡さだか遠花火 橋添やよひ 風土 201511
句作とは生きてゐること遠花火 橋添やよひ 風土 201511
尊厳死うべなふ書類遠花火 高橋道子 201511
尊厳死うべなふ書類遠花火 高橋道子 201511
遠花火記憶の端をつなぎけり 佐久間由子 201511
遠花火丘の向うの色めける 志方章子 六花 201512
待つことのまだ二つ三つ遠花火 片山煕子 京鹿子 201601
思ひ出の交差してゐる遠花火 佐藤みち子 京鹿子 201601
もしキミがカピバラならば遠花火 芳野ヒロユキ 船団 201602
用あって来たる二階や遠花火 池田澄子 船団 201602
遠花火→33      

 

2021年8月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。