遠花火 3     84句

遠花火寂寥水のごとくなり    富安風生

作品
作者
掲載誌
掲載年月
遠花火ベンチに母を座らせて 栗原京子 201609
遠花火もうひと花もふた花も 高橋将夫 201609
夕爾忌や町空に立つ遠花火 安立公彦 春燈 201610
遠花火最晩年の安らぎよ 井上正子 春燈 201610
遠花火その後消息絶ゆるひと 鈴木としお 春燈 201610
遠花火特許事務所は十七階 有賀昌子 やぶれ傘 201610
遠花火形見の猪ロを使ひけり 足立良雄 201610
橋十余先の港の遠花火 浅井青二 雨月 201611
風上の憾み音無き遠花火 浅井青二 雨月 201611
遠花火小さき嘆声時をりに 浅井青二 雨月 201611
精霊といふものありぬ遠花火 本多俊子 201611
遠花火湯上りといふ果報かな 田原陽子 201611
昨日西今日は東の遠花火 笠井敦子 201611
乱れ打つ音のみ居間に遠花火 松原智津子 万象 201611
縁台の昔に浸り遠花火 戸田澄子 末黒野 201611
約束の針千本や遠花火 植田秀子 京鹿子 201612
遠花火川原の道の闇ふかく 増田みな子 やぶれ傘 201612
静かなる雨に烟るや遠花火 上月智子 末黒野 201612
山上は満天の星遠花火 安原葉 ホトトギス 201701
人生にそんな夜もあり遠花火 今井千鶴子 ホトトギス 201701
指差せば指に乗りたる遠花火 木暮陶句郎 ホトトギス 201702
言ひたきは言ひ難きこと遠花火 角野良生 201702
遠花火明日はひとりになる二人 加茂達彌 201707
遠花火ひき波さらふ忘れ貝 鷺山珀眉 京鹿子 201709
言ひつのりとり残されし遠花火 あさなが捷 201709
遠花火つなぎくる子の手の湿り 楠原幹子 201710
無音てふ音符の如き遠花火 七種年男 201710
遠花火捨てたる夢のそつと爆ず 森村江風 201710
遠花火戸を開け猫の出て行きぬ 大日向幸江 あを 201709
塔に消ゆる光のかけら遠花火 長谷川はまゆう 末黒野 201710
始まりも終はる恋にも遠花火 三木亨 201711
安心の終の住処や遠花火 加藤峰子 201711
遠花火去年の音も交じりをり 伊吹之博 京鹿子 201711
遠花火僅かに月に届かざる 谷口一献 六花 201711
そのことの一瞬止まる遠花火 住田千代子 六花 201711
母とゐて語るでもなし遠花火 岡田正義 雨月 201801
清閑とふ余生のありて遠花火 磯貝尚孝 清閑 201804
今日やけに妻が優しい遠花火 津田このみ 船団 201805
遠花火手足縮めて母眠る 小林朱夏 201807
旧友の尽きぬ話や遠花火 横山さくら 春燈 201810
点滴を掲げて歩く遠花火 宮崎紗伎 春燈 201810
文机に煩杖ついて遠花火 西村亜紀子 船団 201812
記憶みな風となるまで遠花火 直江裕子 京鹿子 201812
窓越しの音のみ流る遠花火 河野昭彦 ホトトギス 201901
音で観る終了となる遠花火 重原爽美 201902
遠花火耳に掛かりし君の息 稲畑廣太郎 ホトトギス 201908
遠花火案の定音後から来 谷口一献 六花 201909
里帰り風呂で聴いてる遠花火 赤松赤彦 六花 201910
早寝して鼓膜に伝はる遠花火 赤松赤彦 六花 201910
遠花火両手広げて受け止めし 大日向幸江 あを 201910
遅れ馳せの音の余情や遠花火 滝澤圭子 雨月 201911
またひとつ夜に沈みゆく遠花火 寺川すず江 201911
雨意きざす雲の切れ間や遠花火 菅野日出子 末黒野 201911
還暦の初恋に似て遠花火 善野行 六花 201911
遠花火潮の香りを運びけり 谷口一献 六花 201911
寝袋に起す半身遠花火 平居澪子 六花 201911
遠花火けふは東の方に音 きくちきみえ やぶれ傘 201911
遠花火眼と眼で交はす記憶あり 久保夢女 201912
夢に逢ふ夫は語らず遠花火 中島和子 やぶれ傘 201912
二十二階より四か所の遠花火 松本善一 やぶれ傘 201912
遠花火肩が小さくなったよなぁ 陽山道子 船団 201912
一言を胸に留め置き遠花火 近藤真啓 春燈 202001
遠花火君の唇熱過ぎる 稲畑廣太郎 ホトトギス 202008
門限を過ぎし言ひ訳遠花火 山浦紀子 春燈 202009
ジヤズ眩し波のあなたを遠花火 楠本和弘 202011
遠花火聞いてをりたる夢うつつ 志方章子 六花 202012
遠花火君に見られし涙跡 稲畑廣太郎 ホトトギス 202108
遠花火酌みて眺めし友和む 松本鷹根 京鹿子 202109
十八区開港祝ふ遠花火 津野桂子 末黒野 202109
片紐の美しき背や遠花火 武田未有 202109
遠花火窓辺に寄れば風動く 今井肖子 ホトトギス 202109
聞きたきは聞き難きこと遠花火 川高郷之助 202110
遠花火かすかな音の方へ向く 大山夏子 202112
遠花火天にちちはは地に流離 安田優歌 京鹿子 202112
川の字と敷布の匂い遠花火 伊吹之博 京鹿子 202112
遠距離の恋はスマホに遠花火 鈴鹿呂仁 京鹿子 202208
再会の沈黙に咲く遠花火 藤井杏愛 京鹿子 202209
寝付かれぬ旅の枕や遠花火 太田良一 末黒野 202210
遠花火甍の間に浮かびけり 土江比露 春燈 202211
真つ直ぐ生く男の刹那遠花火 上野紫泉 京鹿子 202211
心底の懺悔ためらふ遠花火 林徹也 202212
従兄弟再従兄弟混沌として遠花火 日置瀞魚 202212
あの日からどこかが冷めて遠花火 直江裕子 京鹿子 202212
遠花火想ひ描くは過去ばかり 小林清彦 末黒野 202304
遠花火→ 1

 

2023年8月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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