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左手は蝉を補ふに不向きなる   亀田虎童子   雷魚

  蝉の殻  落蝉  空蝉  蝉時雨  蝉の穴

作品
作者
掲載誌
掲載年月
とがめるは他人にあらず法師蝉 丸田信宏 京鹿子 201211
蝉追うて見つむる瞳今の子も 戸辺信重 春燈 201211
蝉鳴くや子還り姉托しきて 布川孝子 京鹿子 201211
今朝の蝉東南の森震はせて 杉本綾 201211
湯殿への石段暗し法師蝉 米田文彦 かさね 201211
行合の蝉の競ひや森の道 嵐弥生 末黒野 201211
ケロイドの花嫁その後知らぬ蝉 和田照海 京鹿子 201211
ひと声を網戸に落し夜の蝉 大川暉美 末黒野 201211
蝉のこゑ降る鈴懸の並木かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201212
胸像の心耳に聞こゆ法師蝉 東良子 201212
鎌倉に開山忌あり法師蝉 落合絹代 雨月 201212
拾はれてまた鳴く蝉の哀れなり 松本文一郎 六花 201212
鳴く蝉の数より多き蝉の穴 島野ひさ 万象 201212
鳴き連れて揃ふことなし法師蝉 宮木加津代 万象 201212
法師蝉終着駅のまだ見えず 高田好子 京鹿子 201212
蝉哭きて十八年戦争終る 河内桜人 京鹿子 201212
雲巌寺の中なり蝉の絶唱す 古川忠利 ろんど 201212
ワッシワシ青天貧る蝉の声 田尻勝子 六花 201212
唖蝉の命の重さ計りかね 村田岳洋 ろんど 201212
一木の芯に声あり法師蝉 篠原幸子 春燈 201212
己が刻足らじと夜を法師蝉 荒井千瑳子 201212
熊蝉の相手の蝉を蹴落す 志方章子 六花 201301
命惜しつくづくをしと法師蝉 吉田葎 201301
夕蝉の鳴き静まりし爆心地 竹下陶子 ホトトギス 201301
忙しげな蝉や土曜の中之島 小原登志春 雨月 201301
法師蝉息つく間なく鳴き尽す 下平しづ子 雨月 201301
法師蝉前線わづか南下中 石井一石 京鹿子 201301
逃げ惑ふ油蝉追ふ雀かな 高柳正幸 やぶれ傘 201301
雨のなか落ち蝉拾ふ二つ三つ 松村光典 やぶれ傘 201301
弁慶の仁王立ちなり法師蝉 大森尚子 風土 201302
腹みせてころがる蝉の如何な生 松本アイ ぐろっけ 201302
松蝉に山気濃くなる夕間暮れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
朝光に松蝉黙を解き初む 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
松蝉の少し遠きに鳴きにけり 柳田晧一 かさね 201306
蝉鳴いてないて余生を減らしゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
松蝉の声途切れたり山の畑 江見悦子 朴の青空 201307
落蝉の背に青銅の色きざす 江見悦子 朴の青空 201307
木の瘤に引つ付き初蝉鳴きはじむ 布川直幸 201307
蝉生まれけり金丸座の幟 飯塚ゑ子 火星 201309
朝蝉の高速飛翔青空へ 八幡操 ぐろっけ 201310
古寺の縁の木目に蝉骸 柴田朱美 京鹿子 201310
村中の蝉が我が家で鳴いてをり 小林朱夏 201310
選挙カーに負けじと蝉の競ひ鳴き 荒木稔 ぐろっけ 201310
洗濯機止まり高まる蝉の声 小川玉泉 末黒野 201310
熊蝉やむかし相撲の歓声も 有本惠美子 ろんど 201310
蝉の幼虫登る力の高さかな 柳田晧一 かさね 201310
蝉の穴時間が砂に消えてゆく 寺田すず江 201310
蝉の羽化声を殺して兄おとと 楠原幹子 201310
蝉が飛ぶ昼間のやうな盆踊 篠田純子 あを 201310
近づくと唸ってをりし油蝉 佐藤喜孝 あを 201310
仰向けに道にあはれや落蝉が 細川コマヱ 雨月 201310
水打つて蝉の木覚ます夕べかな 城孝子 火星 201310
豆を煮て母を思へり法師蝉 秋千晴 201310
塵とりの蝉鳴きにけり東大寺 城孝子 火星 201310
松蝉や熊笹原に風生るる 江見悦子 万象 201310
少年の背伸びしてをり油蝉 岩永はるみ 春燈 201310
初蝉や霊処浄域にて聞けり 田中貞雄 ろんど 201310
初蝉の数日置きて一斉に 溝内健乃 雨月 201310
里山のひぐれ高きに残る蝉 豊田都峰 京鹿子 201310
裏道はふんはり曲る蝉の声 佐々木紗知 京鹿子 201310
暮れ切つてなほも競へり油蝉 小川玉泉 末黒野 201310
いつせいに熊蝉鳴けり家族葬 福島せいぎ 万象 201310
夕蝉や散歩の我に鳴きやまず 細川コマヱ 雨月 201310
幽遽の聖地の室生蝉涼し 室伏みどり 雨月 201310
終焉の刻を惜しみて法師蝉 柴田朱美 京鹿子 201310
涼風やあはれ落蝉道の端 田島昭久 かさね 201310
明け近き雨にもめげず油蝉 小川玉泉 末黒野 201310
初蝉と暦に記し厨事 粟倉昌子 201310
初蝉の地霊一声聞こえけり 中野京子 201310
松蝉の声ほとばしる登山道 沼崎千枝 末黒野 201310
夏蝉の鳴き尽くしたる忌明かな 秦和子 201310
敷石に落ち蝉一つ動かざる 松村光典 やぶれ傘 201310
散策の先を急かすや蝉の声 平井紀夫 201310
伐られんとする老木に蝉湧けり 大坪景章 万象 201310
八日目の蝉の亡骸歩道橋 森下康子 201310
覗いても子供になれぬ蝉の穴 笠井敦子 201310
空を掻く落蝉の足止まりたる 水野範子 ぐろっけ 201310
蝉の穴太陽に向く出口あり 近藤喜子 201310
蝉一声八月一日待つてたか 原田たづゑ 春燈 201310
おのづと歩の軽しや苑の初蝉に 浅井青二 雨月 201310
蝉声の真下にかがむアミニズム 本多俊子 201310
熊蝉の一樹をゆらす真昼かな 山根征子 201310
早暁に覗く子多し蝉の穴 後藤克彦 かさね 201310
早朝の夕爾忌未だ蝉喘かず 平絵美子 春燈 201310
大の字になれば急かせる法師蝉 宮崎左智子 201310
徹夜して再試レポート朝の蝉 宮田香 201310
ふるさとや蝉の好むと好まぬ木 神蔵器 風土 201310
地団駄を踏むかのやうに油蝉 柴田朱美 京鹿子 201310
わが脛に止まる初蝉あはれなり 福島せいぎ 万象 201310
朝六時はや輪唱の蝉の声 橋本靖子 201310
潮騒の迫つて来たり蝉の穴 田中佐知子 風土 201311
朝蝉やとろとろ目覚め旅戻り 足立典子 雨月 201311
ひとことの反芻増やすすがれ蝉 北川孝子 京鹿子 201311
遣跡野いま蝉万声に包まれて 大島みよし 201311
うまい覚め故郷にゐたり法師蝉 安田一郎 京鹿子 201311
太子堂裏より法師蝉の声 石垣幸子 雨月 201311
太き幹たて一列に蝉並ぶ 後藤克彦 かさね 201311
早退けをせしこと法師蝉聞けば 定梶じょう あを 201311
熊蝉の目覚めうながす湯宿かな 小倉純 末黒野 201311
蝉鳴くや命を削る一途さに 横山昭子 雨月 201311
蝉鳴いて去りし真昼の静寂かな 近藤紀子 201311
蝉生るる命の重み振はせて 村上悦子 雨月 201311
蝉の昼影なき夫に話しかく 野上杳 201311
九品仏伽藍に響く法師蝉 田中清秀 かさね 201311
仰向けの蝉の命に手を貸しぬ 相良牧人 201311
清貧の松に蝉泣く敗戦忌 小野寺節子 風土 201311
どうしても裏がへりたる蝉一尾 竹内悦子 201311
今生を道行として蝉番ふ 荒木甫 201311
真昼なほ暗き蝉穴古墳跡 落合晃 201311
少年の覗きてをりし蝉の穴 池内結 ろんど 201311
白昼に生まれ鈴振るやうな蝉 田原陽子 201311
百日紅散り敷くなかに落蝉も 久保晴子 雨月 201311
四阿の遠くに聞ゆ法師蝉 早崎泰江 あを 201311
珈琲にさとうたつぷり蝉の朝 岡田史女 末黒野 201311
子供らに追はれし蝉のなきじやくる だいじみどり 201311
落蝉にいちはやく猫飛び付けり 原田しずえ 万象 201311
落ち蝉を手にしてこの世の事思ふ 犬塚芳子 201311
夜の蝉永久に瞑るを恐れしか 峰崎成規 201311
鳴き声の辺り空ある法師蝉 きくちきみえ やぶれ傘 201311
鳴かぬ蝉注連張られたる樟に 瀬島洒望 やぶれ傘 201311
初蝉や遅延バス待つ停留所 岡野里子 末黒野 201311
僕の手は大き目もみぢ蝉を持つ 安田一郎 京鹿子 201311
法師蝉芭蕉親しき姥餅 有本惠美子 ろんど 201311
暮れぎはの一刻忙し法師蝉 新海英二 春燈 201311
風吹いてまだぬれいろの蝉の翅 水谷芳子 雨月 201311
子の唄に伴奏つけし法師蝉 安田優歌 京鹿子 201311
人を呼ぶさまに高原法師蝉 竹内悦子 201311
飛び出でて崩れは見せぬ蝉の穴 河口仁志 201311
蝉の句の多き句会に和みけり 滝沢いみ子 末黒野 201311
蝉声の跳ね返りくる石畳 宮平静子 雨月 201311
今朝も掃く蝉の骸や庭晩夏 石垣幸子 雨月 201311
電柱に蝉のこゑする真昼かな 佐藤喜仙 かさね 201311
月齢のまたひとり逝き名残蝉 北川孝子 京鹿子 201311
一人旅の子の背眩しや法師蝉 安田一郎 京鹿子 201311
フライパン蝉もジージー灼けてゐる 岩佐英子 京鹿子 201311
みまかりし妻へ届けと法師蝉 小川玉泉 末黒野 201311
遺跡野いま蝉万声に包まれて 大島みよし 201311
一際に熊蝉のこゑ漣す 北村淳子 ろんど 201311
口語より文語体調法師蝉 村田岳洋 ろんど 201312
ひと言の反芻ふやすすがれ蝉 北川孝子 京鹿子 201312
地下鉄の通路に蝉のむくろかな 松村光典 やぶれ傘 201312
結界をはみ出してゐる唖の蝉 和田照海 京鹿子 201312
去り際はいつも不器用油蝉 久米なるを 201312
帰路の坂はげまし鳴きの法師蝉 丸井巴水 京鹿子 201312
森深く声おもむろに残る蝉 伊東和子 201312
縮まらぬ夫との齢法師蝉 田中佐知子 風土 201312
落ち蝉のけふの数かな散歩道 松村光典 やぶれ傘 201312
門くぐり玄関までの蝉の声 池田久恵 ぐろっけ 201312
鳴き止みし蝉の音空へ吸ひ込まる 藤波松山 京鹿子 201312
法師蝉東京五輪に生れ来よ 明石文子 ぐろっけ 201312
腹みせて蝉のころがる昼下がり 松村光典 やぶれ傘 201312
死にまねの蝉に逃げらる過去未来 伊藤マサ子 ぐろっけ 201312
図書室の黙破られぬ法師蝉 土田亮 末黒野 201312
迫り鳴くや世を惜しむかに法師蝉 森田尚宏 201312
蝉は羽化人は少年一記録 伊吹之博 京鹿子 201312
湯にあれば蝙蝠が飛ぶ蝉が飛ぶ 松村光典 やぶれ傘 201312
月光のじつとしてゐる蝉の羽化 原友子 201312
唖蝉の闇をこぼるる羽音かな 加藤静江 末黒野 201312
ロケットは飛ばず辺りに蝉の声 三橋早苗 ぐろっけ 201312
蝉の夜水うらなひの水こんこん 辻水音 船団 201401
蝉の穴しづかに埋まる国境 宮路久子 201401
まだ覚めぬ思考の朝を法帥蝉 福田葉子 201401
天地を集めて初蝉校舎たつ 兵泉美 京鹿子 201401
序曲よりすぐ終曲へ法師蝉 湯川雅 ホトトギス 201401
寺目覚むさうらふ文のやうな蝉 北川孝子 京鹿子 201401
落蝉の夜明けまぎれもなき故郷 鴨下昭 201401
木に蝉を日付なき日は終るなり 高橋龍 201401
地に捧ぐもの落蝉と落鮎と 西川織子 馬醉木 201401
蝉生れし穴に小枝を挿しにけり 山本耀子 絵襖 201404
蝉の声途絶えし午後のゴルフ場 難波篤直 201404
ためいきのやうにみんみん蝉終はる 今井肖子 ホトトギス 201404
法師蝉ひとつしづかな墓所 今井肖子 ホトトギス 201404
蝉の穴ちよつと嗅ぎゆくビーグル犬 山本耀子 絵襖 201404
初蝉のひと鳴きあとは風の森 布川直幸 201407
初蝉の烈女を偲ぶ音色かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
山陰に来て初蝉といふ出会ひ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
蝉涼し平城京の風に触れ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
松蝉や命マックスなる波動 近藤喜子 201408
松蝉や開山墓所へ日の差し来 宮平静子 雨月 201408
松蝉のもう鳴く頃ぞ登四郎忌 河口仁志 201408
松蝉が爆発的に鳴き始め 須賀敏子 あを 201408
靺鞠まつかつへ飛ぶ気の蝉や多賀城碑 鳥居美智子 ろんど 201408
目覚めでは初蝉の声待ちて居り 水原春郎 馬醉木 201408
法師蝉鳴きつまづくがそれらしく 稲畑汀子 ホトトギス 201408
松蝉や礎石の残る国分尼寺 三輪温子 雨月 201408
足もとに蝉の穴ある雨宿り 廣瀬雅男 やぶれ傘 201408
遺跡野いま蝉万声に包まれて 大島みよし 璦別冊 201408
朝蝉の喧騒に夢断ち切らる 辰巳あした 雨月 201409
蝉さんさん外国人がひとり居る 梶浦玲良子 六花 201409
生きること今必死なり油蝉 早崎泰江 あを 201409
神木のか細き注連や蝉生まる 丸井巴水 京鹿子 201409
真夜に鳴く蝉あり少し淋しげに 辰巳あした 雨月 201409
幼な児の高さに蝉を放ちけり 吉田葎 201409
方丈の蝉ぐぢぐぢと鳴き損ぬ 山尾玉藻 火星 201409
自然界日毎に変化蝉の鳴く 長崎桂子 あを 201409
轟音や八月六日の蝉の声 中島玉五郎 201409
遅おその迎へ火に蝉鳴きにけり 山尾玉藻 火星 201409
みんみん蝉こゑを忍んで暴れゐる 佐藤喜孝 あを 201409
油蝉池は水輪をひろげをる 佐藤喜孝 あを 201409
登らぬと決めたるところ泥の蝉 佐藤喜孝 あを 201409
蝉 →10      

 

2021年7月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。