7     200句

蝉輪唱連合艦隊司令部跡    藤田 宏

  蝉の殻  落蝉  空蝉  蝉時雨  蝉の穴

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雨止んでリズムも高き蝉の聲 高野幸次 200910
蝉の木の下にもの書く男かな 大山文子 火星 200910
嘴に捕はれし蝉鳴きにけり 大山文子 火星 200910
転がりて蝉のひと声掃かれけり 笠置早苗 火星 200910
大志抱く蝉の一生わが一生 神蔵器 風土 200910
名園の蝉つややかに名告り出づ 篠原幸子 春燈 200910
蝉の聲水の流れの速まりぬ 冨松寛子 200910
初蝉の短く鳴けり昼下り 藤江朋子 万象 200910
夕映の空のいづこぞ初の蝉 飛高隆夫 万象 200910
蝉よ汝は聴覚とふを持たざるか 大橋晄 雨月 200910
初蝉を聞きて音なき家に病む 柴田良二 雨月 200910
晩蝉の透きとほりゆく忌を迎ふ 井上信子 200910
初蝉に息整ふる上り坂 浅野恵美子 酸漿 200910
首塚に蝉の声なき真昼かな 三村八郎 炎環 200910
雨上がるとたんに蝉のしぐれかな 小関栄子 200910
生涯を教師や蝉は穴のこす 小関栄子 200910
蝉よりも詩の貧しき老詩人 竹下陶子 ホトトギス 200911
蝉の音の終ひは独り言のごと 北島正太郎 炎環 200911
引揚げの湾に蝉声しみとほる 田中佐知子 風土 200911
創立の日の蝉の声耳に在り 名取袿子 200911
初蝉ややり残したること急がねば 野中啓子 200911
蝉声を日がな一日句を閲す 小川玉泉 末黒野 200911
夕蝉やこころに懸かかること忘れ 小川玉泉 末黒野 200911
初蝉の雨間を鳴き声一つ 山崎稔子 末黒野 200911
水底や一切の蝉黙しをる 近藤紀子 200911
草堂の蝉の羽月の句会かな 小山徳夫 遠嶺 200911
降り出しし雨を貫く蝉の声 羽賀恭子 200911
出棺の蝉鳴きかはる一里塚 大西八洲雄 万象 200911
初蝉のおそるおそるの鳴きはじめ 東郷すみ江 万象 200911
大橋を渡り切りたり初の蝉 加藤和子 万象 200911
唖蝉よ汝も鳴け過去が風化する 田辺博充 200911
字余りのごと鳴き了る夜の蝉 中村恭子 200911
初蝉の足音に逃げそれっ切り 神田一瓢 雨月 200911
蝉鳴くや友の名撫づる追悼碑 水田壽子 雨月 200911
結願の杖を納めて蝉涼し 柴田良二 雨月 200911
夕蝉や不動明王炎を鎮め 細川コマヱ 雨月 200911
蜘蛛の囲の蝉を放ちて宮津まで 高橋芳子 火星 200911
背なの傷ためらひもなく蝉生まる 五ケ瀬川流一 六花 200911
山門に天寿全う蝉骸 山本誠子 200911
驟雨去り蝉一際に声高し 小野澤ゆたか 200911
庭に来し蝉の声にて目を覚す 坂口三保子 ぐろっけ 200911
蝉持ってにこにこ歩く女の子 島本知子 ぐろっけ 200911
蟻払ひ末期の蝉に水をやる 城下明美 ぐろっけ 200911
蝉声やあらぬ所にあらぬ墓 中島静子 酸漿 200911
飛ぶ蝉にたまたま電信柱かな きくちきみえ やぶれ傘 200911
道すがら蝉の鳴く木に寄りにけり 大島英昭 やぶれ傘 200911
日蝕の後を高まる蝉の声 藤井美晴 やぶれ傘 200911
夜の蝉テレビに震度三の文字 丑久保勲 やぶれ傘 200911
規則正しく蝉鳴いてをりビルはざま 鈴木多枝子 あを 200911
まだ陰の音色でありし蝉の声 湯川雅 ホトトギス 200912
こつねんと消滅したる蝉のこゑ 瀬川公馨 200912
ビル街に蝉の一声雨上がる 矢口笑子 春燈 200912
夏惜しと鳴く蝉われは夫惜しと 田原陽子 200912
音大のカリヨン待てば蝉鳴けり 網野茂子 酸漿 200912
蝉あまた聯隊跡に生まれけり 大地真理 201001
夕暮れて啼きたつ蝉の多いこと 浅井陽子 ホトトギス 201001
蝉の羽化見てよりいのち惜みけり 川崎良平 雨月 201001
校庭に蝉の声ふる校訓碑 青木陽子 酸漿 201003
寒蝉や故人の言に鍛へられ 伊丹さち子 馬醉木 201004
朝蝉や膳に添へある力餅 山田春生 万象 201006
どの幹にふれても蝉を待つてゐる 丸山佳子 京鹿子 201007
甘露忌の蝉と怠けて山の中 鷹羽狩行 201008
翅音を壁にぶつける夜蝉かな ことり 六花 201008
蝉鳴きて古刹の杜の黙深む 塩路五郎 201009
蝉鳴けり俘虜の遺せしドイツ橋 坂上香菜 201009
うつしみの色さしきたり羽化の蝉 本多俊子 201009
少年となりけり蝉の森ふかく 近藤喜子 201009
群星のゆりかごに蝉生まれけり 松原仲子 201009
前世でお会ひしたかも蝉生まる 近藤公子 201009
初蝉の一声大樹喜ばす 坂本哲弘 山ざくら 201009
余命など知るよしもなく朝の蝉 池田崇 201009
初蝉のやうやくによき声の張り 大畑善昭 201009
蝉声の一つ鳴き足す夕餉時 高木智 京鹿子 201009
ひとこゑの夜蝉でありし太かりし 井上信子 201009
夜の蝉子の倒立の壁の傷 井上信子 201009
初蝉に礼を言ひたき朝迎ふ 中田みなみ 201009
早暁の音無く蝉の生まれけり あさなが捷 201009
ひとしきり夜明けの蝉の鳴きにけり 筒井八重子 六花 201009
昨日の蝉今朝無く早も死せしかや 大橋敦子 雨月 201009
今生れし蝉透明の身を曝す 岸本林立 雨月 201009
初蝉や夕ベ窓辺に一人聞く 岩上定子 酸漿 201009
初蝉ややっと湿度は七十に 長崎桂子 あを 201009
朝蝉やむかし軍都に平和の灯 鈴木照子 201010
蝉の声鬼哭秘めたる城の濠 中本吉信 201010
不眠症明るい都会で夜蝉鳴く 高野綸 201010
羽音や羽化せし蝉の飛び立たむ 山崎里美 201010
蝉の下核廃絶の署名せる 鈴木照子 201010
朝庭をほしいままなる蝉の声 大松一枝 201010
寝過ごせし蝉や昼から稼ぎます 泉田秋硯 201010
蝉の森睥睨したる噴火口 泉田秋硯 201010
蝉声に心洗はれたる坐禅 泉田秋硯 201010
少年の眼輝く蝉の羽化 池本暑久恵 201010
稿継ぐや夜風にまじる蝉の声 小川玉泉 末黒野 201010
蝉声や雲にやはらぐ夕日影 小川玉泉 末黒野 201010
蝉の来て公園の木々啼き出しぬ 竹内悦子 201010
限りある命悟りし蝉骸 鈴木阿久 201010
蝉の声ひたと止む間を風の音 荻龍雲 201010
人待つや蝉一斉に鳴き始む 小田明美 春燈 201010
米磨ぐ手とめ初蝉をききゐたり 大西八洲雄 万象 201010
はじめての蝉にちょっかい放ち犬 竹下昭子 ぐろっけ 201010
昼寝覚蝉の木の影ふるへをる 城孝子 火星 201010
初蝉のすぐに止みたる銀閣寺 堀志皋 火星 201010
もう鳴けぬ蝉を生命線の上 水谷芳子 雨月 201010
蝉鳴くや火の付きさうな勢もて 井田実代子 雨月 201010
鳴かぬ蝉その場を発ちぬ羽音のみ 井田実代子 雨月 201010
耳鳴りにあらず確に蝉の声 守屋井蛙 酸漿 201010
八月や蝉ショワショワと昭和昭和と 篠田純子 あを 201010
命終の蝉ベランダにありにけり 須賀敏子 あを 201010
今朝もまた蝉の片羽ちるやうに 森理和 あを 201010
浪曲師ごとくに捻り終の蝉 山崎里美 201011
大樹より剥落したる蝉骸 伊藤憲子 201011
赤紙一片いのち奪ひぬ蝉の昼 南光翠峰 馬醉木 201011
消えさうで消えぬ街灯明けの蝉 黒滝志麻子 末黒野 201011
日当りて蝉の木となる大樹かな 黒滝志麻子 末黒野 201011
初蝉に無聊の小窓開けにけり 西川みほ 末黒野 201011
予定無き日の朝蝉の声涼し 山崎稔子 末黒野 201011
早立ちや蝉のつぶてに打たれたり 饗庭悳子 末黒野 201011
独唱に輪唱合唱蝉の庭 古川敦子 末黒野 201011
樹より落ち仰天の蝉断末魔 泉田秋硯 201011
敗戦忌蝉の合唱妙に静か 泉田秋硯 201011
さながらに蝉どしゃ降りの御所の庭 堀百合子 201011
子に蝉を持たせてわっと泣かれけり 井上美智子 201011
蝉の香に触れ合ふ昭和貧しくて 鴨下昭 201011
今世を精魂のこゑ終の蝉 近藤きくえ 201011
寒蝉の命かがやく赤き声 近藤喜子 201011
蝉墜ちてをり天これをうべなへり 大畑善昭 201011
蝉声の群のリズムの眩しさよ 柳生千枝子 火星 201011
蝉声の止んでまたすぐ昼の月 浜口高子 火星 201011
父祖の墓いつしか蝉の声となり 秋葉貞子 やぶれ傘 201011
初蝉のただ一声で終りけり 降幡加代子 万象 201011
唖蝉の低くゆきかふ樹間かな 柿沼盟子 風土 201011
蝉果つるしかと手足を抱きしめて 矢野百合子 201011
生き死には知らず鳴ききる蝉の声 菊谷潔 六花 201011
百万遍岩にしみ入る蝉の声 菊谷潔 六花 201011
晩蝉やはらからと杯重ねたる 井上信子 201011
朝な夕なはお隣りの残る蝉 井上信子 201011
早々と店にあかしや蝉の声 渋谷ひろ子 酸漿 201011
驚きて蝉飛び立ちし行方かな 東芳子 酸漿 201011
飛来り網戸に蝉の当る音 池田いつ子 酸漿 201011
蝉の声遠くに去りて静かなり 池田いつ子 酸漿 201011
返し読む原爆句抄蝉の声 石原光徳 酸漿 201011
寒蝉の朝の一声とくと聞き 井田実代子 雨月 201011
蝉律儀しゃんしゃんしゃんと鳴き通し 井田実代子 雨月 201011
庭隅の蝉の一団鳴きに鳴く 井田実代子 雨月 201011
大きい蝉小さい蝉も落ちてゐる 篠田純子 あを 201011
初蝉を風が運んで厨口 浅井青陽子 ホトトギス 201012
寒蝉や地球はいつも熱うして 松原仲子 201012
合掌の手足なりけり蝉むくろ 中田禎子 201012
夜蝉なく梢にかかる星ひとつ 黒滝志麻子 末黒野 201012
風止みて渓の底より蝉の声 吉田きみえ 末黒野 201012
残る蝉どこかに雨のあとなりけり 村上すみ子 201012
寒蝉の日を同じうし鳴く神秘 植村よし子 雨月 201012
見るほどに空ろの蝉のうつろ振り 井田実代子 雨月 201104
二階より下りて来ぬ夫蝉の昼 笹村政子 初鼓 201105
蝉鳴いて鬨の声めく城址かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
蝉鳴いて季節移りしこと確か 稲畑汀子 ホトトギス 201107
菜づくしの蝉声染むる坊の膳 布川直幸 201107
勤行の声の途切れに深山蝉 布川直幸 201107
蝉声もきこえぬ耳に電話また 品川鈴子 ぐろっけ 201107
蝉の羽化もうあともどりは出來ぬ 竹貫示虹 京鹿子 201107
梅雨明けを知るや知らずや蝉の鳴く 中島節子 ぐろっけ 201108
初蝉のもう出る頃か登四郎忌 河口仁志 201108
蝉の羽化メロディー流れ出だしたり 近藤公子 201108
初蝉の九十デシベル応援歌 吉波喜久恵 201109
今年また初蝉を聞き恙なし 伊藤純子 201109
蝉声も地に誘はるる宮の杜 本間羊山 風土 201109
蝉声の慣ひの順序を違へをり 能村研三 201109
蝉の声聞きつつ昼の夢の中 村上はな 六花 201109
蝉の声負けじと子犬吠えにけり 村上はな 六花 201109
初蝉や洗濯干せば翻る 長崎桂子 あを 201109
今まさに生れたる蝉の薄みどり 桂敦子 201110
鳴かぬ蝉飛ぶ夕侘しひとりの餉 大松一枝 201110
地下出でて蝉の合唱痩身に 田下宮子 201110
夫の忌やドアにはりつく蝉ひとつ 辻知代子 201110
暁け初めて蝉鳴き始め街動く 村田望 201110
蝉の羽化照らし歩道のパトロール 岡佳代子 201110
蝉鳴くや朝の二度寝の子守歌 伊藤憲子 201110
四方より放つ蝉声写経堂 松岡和子 201110
鳴かぬ蝉飛ぶ夕侘びしひとりの餉 大松一枝 201110
夕蝉の坂や靴紐結ひ直す 西村雪園 風土 201110
蝉鳴けり頑張らなくていい木魚 鴨下昭 201110
こゑひそめけり二〇一一年の蝉 辻美奈子 201110
夜蝉鳴く庭に天突く一樹あり 大畑善昭 201110
翅乾くまでの静寂蝉生るる 宮井知英 201110
午前三時蝉生れたらしチチと鳴く 中尾廣美 ぐろっけ 201110
捕虫網振ればまぐれに蝉の入る 中島節子 ぐろっけ 201110
昼の虫蝉の骸のすぐ横で 中島節子 ぐろっけ 201110
蝉とりにすぐに倦きては氷菓欲る 中島節子 ぐろっけ 201110
怖々と蝉を抓みて放ちたり 中島節子 ぐろっけ 201110
初蝉や仮設の中に喫茶室 市橋香 ぐろっけ 201110
鳴く蝉と人間だけが生きてゐる 中野京子 201110
水一滴口にふくみし蝉の鳴く 有松洋子 201110
張り替へし網戸に蝉の腹動く 岩下芳子 201110
起きぬけの父が蝉の木ゆらしけり 城孝子 火星 201110
水打つて蝉声かはる西の京 城孝子 火星 201110
蝉鳴いて野菜ジュースの深みどり 藤田素子 火星 201110
蝉鳴いてわが夏ここに始まれり 本多遊方 春燈 201110
地震の地に友たづぬるも蝉浄土 武田巨子 春燈 201110
せせらぎの音に重なる蝉の声 藤原若菜 春燈 201110
夕立あと濡れてる幹を蝉歩く 鎌倉喜久恵 あを 201110
蝉 →8      

 

2021年7月17日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。