6     200句

楠も動くやう也蝉の声    昌碧

  蝉の殻  落蝉  空蝉  蝉時雨  蝉の穴

作品
作者
掲載誌
掲載年月
蝉声の他は容れざる森存す 村越化石 200710
生まれたる蝉透き通る翅持ちて 齋部千里 ぐろっけ 200710
蝉鳴いて新居の関の男松 石原光徳 酸漿 200710
夜蝉鳴く昼の暑さのつづくまま 安陪青人 雨月 200710
蝉声に森ぢゅう濡れてゐたりけり 上原恒子 雨月 200710
白壁に天為の蝉の止まりたり 東亜未 あを 200710
仰向に蝉のかさこそ風の意に 東亜未 あを 200710
面壁の達磨九年蝉七年 東亜未 あを 200710
大仏の胎内蝉の声満てり 渡邉友七 あを 200710
空濠に佇てば蝉声降るごとし 加瀬美代子 200710
途切るるを以て初蝉の調べとす 蔦三郎 ホトトギス 200711
裏返す眠れぬ枕夜蝉かな 布川直幸 200711
記念樹の仔細も知らぬ蝉の声 高野幸次 200711
真昼間の初蝉の音の力かな 藤江朋子 万象 200711
初蝉のとぎれとぎれや幽霊坂 佐藤晴子 万象 200711
町並を蝉の鳴き立つ雨上り 折橋綾子 200711
やはらかく握れば動き落ちし蝉 前川明子 200711
たまねぎと女体の密度蝉うまる 金井充 百日紅 200711
あぶら蝉波長合ふこと知る異国 伊吹之博 京鹿子 200711
蝉死せり羽化の途上の姿もて 市橋章子 ぐろっけ 200711
ゴンドラの中で鳴き出す篭の蝉 齋部千里 ぐろっけ 200711
蝉死すや次々流れゆきし雲 天野きく江 200711
まつぴるま銭勘定と蝉のこゑ 瀬川公馨 200711
蝉生る羽根のびるまで私のもの 松原仲子 200711
昂りをかたみに高め合ひて蝉 杉山瑞恵 雨月 200711
子の胸に止まりし蝉の大きかり 赤松丹山 雨月 200711
蝉の声一谷より押し寄する 森脇貞子 雨月 200711
ふつきれしごとくに蝉の飛びたてり 村上絢子 馬醉木 200711
蝉の死へ蝉弔ひの声降らす 安居正浩 200711
セザンヌの庭にも数多蝉の声 小野タマ枝 酸漿 200711
茅葺きの能楽堂や蝉の声 小野タマ枝 酸漿 200711
蝉の声なき朝ありて耳すます 浅野恵美子 酸漿 200711
蝉の声一日一日を懸命に 浅野恵美子 酸漿 200711
耳鳴りか遠蝉か坂続きつつ 坪井洋子 200711
吾よりも蝉のよろこぶ雨上る 野路斉子 200711
蝉声の一樹大きく暮れかぬる 木内憲子 200711
蝉声の密集や森撓ひたり 木内憲子 200711
蝉涼し殊に木綿の肌触り 青野れい子 200711
いま生れし蝉と神社の森にゐる 竹内弘子 あを 200711
けたたまし蝉の声降る原爆忌 吉成美代子 あを 200711
平和像ライトアップに夜鳴く蝉 苑田ひろまさ 200712
蝉の声彼の世此の世の打混り 瀧青佳 ホトトギス 200712
初蝉を誘ひ出したる日輪よ 山田弘子 ホトトギス 200712
蝉の声昼より高き夜を寝ぬる 奥野初枝 万象 200712
素十忌の杖止め蝉がまだゐたか 小林清之介 風土 200712
夕蝉や足を流れに浸しゐる 山村桂子 遠嶺 200712
今朝蝉の鳴きてこの街住み古りぬ 山村桂子 遠嶺 200712
初蝉や松美しき中宮寺 玉置かよ子 雨月 200712
釜の湯の沸点蝉のじじじじと 玉置かよ子 雨月 200712
蝉声のある日ぷつんと切れしまま 堀田こう 雨月 200712
蝉声に飯桐の実のまだ青し 大内恵 酸漿 200712
残り蝉ふと鳴き止みし夕木立 篠原普美子 酸漿 200712
途切れなく蝉シヤゴシヤゴの施餓鬼寺 丸山冬鳳 京鹿子 200712
城攻めか大発生の蝉シャーシャー 今井忍 ぐろっけ 200712
蝉声の冷えて降りくる父母の墓 柳生千枝子 火星 200712
蝉の森透きて瞼ぞ裏表 渡邉友七 あを 200712
修羅像のごと肘折つて蝉佛 鳳蛮華 200712
胸中の湖を蝉鳴きわたる 岩岡中正 ホトトギス 200801
天水に蝉落ち込んでしまひけり 大山里 200801
ぜんまいのほどけきつたる蝉の声 檜山哲彦 万象 200801
きららけし地に遺さるる蝉の羽 檜山哲彦 万象 200802
落人の村蝉声の坩堝なす 東良子 首座星 200804
神々も軽装好み蝉の朝 坪内稔典 稔典句集U 200804
夕蝉や石仏もまたうすれゆく 豊田都峰 草の唄 200805
羽化の蝉反り身にいのち輝かす 柴崎英子 絹の波 200806
見しことのなき鳥蝉をくはへゐし 稲畑汀子 ホトトギス 200807
黙祷の闇をつんざく蝉のこゑ 高崎武義 200808
人歩く羊は走る蝉は鳴く 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
地球青し蝉つぎつきと生まれ出づ 近藤公子 200808
見舞客初蝉のこと語り出す 伊藤白潮 200808
鳴き通せ悔無きまでも蝉鳴けば 北澤星子 遠嶺 200809
蝉鳴かず勝鹿真間にまぢかく来 椿和枝 200809
初蝉の夕べ亡き子の夢を見し 野澤あき 火星 200809
初蝉を聞きて逝きたる母なるか 上坂渥子 雨月 200809
蝉涼し書写開山の供養塔 朝妻力 雲の峰 200809
蝉涼し三方谷の療養所 村越化石 200809
蝉こつと落ちて小さき芥かな 高倉和子 200809
夜蝉泣く防衛庁を通るとき 堀内一郎 あを 200809
雨後の風まぶし初蝉身ほとりに 渡邉友七 あを 200809
脱皮する蝉の産翅クリスタル 笠井清佑 200810
発条の仕掛けのさまに朝の蝉 久保田美智子 200810
脱皮する蝉の産翅クリスタル 笠井清佑 200810
少年に蝉の一樹のまだ暮れず 水原春郎 馬醉木 200810
ふと覚めて戸締りなせる夜の蝉 小林碧郎 馬醉木 200810
翁像四方の蝉声聞きたまふ 山本雅子 馬醉木 200810
初蝉の序奏に雨戸開け放つ 松野睦子 遠嶺 200810
小半時ほどの賑やか蝉の声 小城綾子 200810
蝉の声かぶさつてくる堂の裏 吉沢陽子 200810
初蝉に箒の音を鎮めけり 四條進 200810
雨止めばわつと湧き立つ蝉の声 大木清美子 200810
つつかえてつつかえて蝉鳴きはじむ 鈴木セツ 200810
城跡に五十年住み蝉涼し 大西八洲雄 万象 200810
台風は近づく蝉は鳴きつづく 林翔 200810
初蝉や掛けよ遊べと一岩が 丸山佳子 京鹿子 200810
初蝉やあの木この樹を熱くする 鈴鹿仁 京鹿子 200810
耳鳴の蝉声重ね丑三つ刻 高木智 京鹿子 200810
芳一の弾き語り寝ね蝉涼し 禰寝瓶史 京鹿子 200810
七盛塚蝉わしわしと謎鳴きす 禰寝瓶史 京鹿子 200810
ブランデンブルクぶつかり来る夜蝉 石寒太 炎環 200810
夜の蝉となるまで一つ鳴き通す 丹間美智子 炎環 200810
一声が川を渡りぬ夜の蝉 野崎タミ子 炎環 200810
小児科へ蝉を鳴かせて入りゆけり 戸栗末廣 火星 200810
家の中に溜まりはじめし蝉の声 堀志皋 火星 200810
蝉声のにはかに九品来迎図 丸山照子 火星 200810
蝉絡め網はぼろぼろ女郎蜘蛛 勝野薫 ぐろっけ 200810
地の中の湿り纏ひて蝉生るる 北川とも子 ぐろっけ 200810
病舎住み蝉の讃歌も聞けぬまま 大橋敦子 雨月 200810
鳴き通す蝉の腹中空なるべし 井田実代子 雨月 200810
昨日一声けふどっとわく蝉の声 武政礼子 雨月 200810
初蝉や八十路たのしき厨事 名取すみ子 酸漿 200810
初蝉と思ふ間もなく止みにけり 長澤健子 酸漿 200810
蝉生れ明方の木をのぼりをり 青木陽子 酸漿 200810
いち早く蝉の声あり上洲路 内田妙子 酸漿 200810
吾が腰に唖蝉すがる散歩道 松崎鉄之介 200810
わが胸にぶつかつて来る朝の蝉 松崎鉄之介 200810
唖蝉の肩に当たりて飛び去れり 松崎鉄之介 200810
天蓋に蝉声つよし読経終ゆ 宮津昭彦 200810
ワッシワシと青天貪る蝉の声 田尻勝子 六花 200810
木下闇蝉は梢の風めざす 菊谷潔 六花 200810
蝉の屍の傍らに蝉発ちし穴 苑実耶 200810
夕蝉のきはやかに鳴き納めけり 藤田宏 200810
寺廃れ蝉激突の音のせり 藤田宏 200810
夕蝉となりて用事のあれやこれ 加藤峰子 200810
蝉のこゑ頻り爆心地の石塔 飛鳥由紀 200810
玉虫を拾ひしはいつ蝉の鳴く 岩本紀子 200810
蝉はまだ木の肌濡れて重き雫 宇垣みきえ 200810
千切れ雲入れ替はりたる蝉の声 藤井美晴 やぶれ傘 200810
騒音に負けまいと蝉鳴きつづけ 鈴木多枝子 あき 200810
夕蝉の終りも間近きとぎれつつ 長崎桂子 あを 200810
妻責めし悔いのふくらむ夜の蝉 渡邉友七 あを 200810
ぜんまいの切れさうな蝉静まりぬ 斉藤裕子 あを 200810
鐘打つて蝉鳴く古寺に案内乞ふ 勝原文夫 ペン皿 200811
蝉鳴いて道路補修の人の影 藤代寿峯 春燈 200811
庭に鳴く亡夫の化身か蝉高音 松村富子 200811
0ポチ素早く蝉を捕へて食ひ尽す 奈佐幸子 200811
夕蝉の幹に触れれば手にきこゆ 塙告冬 ホトトギス 200811
蝉の来て庭の一樹の有頂天 松嶋一洋 200811
いばりかけ逃ぐる蝉追ふ捕虫網 松嶋一洋 200811
長き日でした蝉鳴いてをりました 高橋秋子 炎環 200811
本籍も住所もこの樹蝉畢る 片岡宏文 炎環 200811
残る蝉日毎に遠くなりゆけり 足立典子 雨月 200811
蝉声に大き網持つ男の子 渋谷ひろ子 酸漿 200811
飛び込みし蝉鳴きいだす台所 藏本博美 ぐろっけ 200811
病める蝉這ひゆく先は木の根つ子 中村紘 ぐろっけ 200811
はらからの会話短し夜の蝉 戸栗末廣 火星 200811
初蝉きく夕餉仕度の手をとめて 斉藤小夜 風土 200811
羽化したる蝉の鼓動の手に残る 近藤南麓 万象 200811
虫籠に蝉の亡骸残りけり 松下幸恵 六花 200811
蝉の木の遠い記憶に紺絣 上林孝子 200811
初蝉に耳欹てる日暮かな 中村則夫 やぶれ傘 200811
逸早く蝉鳴く一樹向ひ側 松尾緑富 ホトトギス 200812
朝蝉に起され起きて身支度す 松尾緑富 ホトトギス 200812
朝の径蝉の時雨の中へ入る 蔦三郎 ホトトギス 200812
けふか明日かひたすらに夜の蝉 瀬川公馨 200812
唖蝉逃ぐ声にならざる声洩らし 堀田清江 雨月 200812
蝉持ちて子の公園を駆け回る 永田勇 六花 200812
天に地に詩の満ちよと蝉鳴ける 竹下陶子 ホトトギス 200901
心音の正しとおもふ蝉遠し 瀧春一 深林 200901
次々に子女の出勤蝉澄めり 瀧春一 深林 200901
詩をうたひ果てたる蝉をてのひらに  竹下陶子 ホトトギス 200902
蝉どちや今争うて何になる  瀧青佳 ホトトギス 200902
夜の蝉やけふの記憶の遠ざかる 岡田満壽美 夢のごとしと 200904
シャツに顔入れ初蝉を聞きとめる 伊藤白潮 200904
あかときをもつて満願蝉の羽化 井原美鳥 200907
初蝉や誰をお待ちかパイプ椅子 丸山佳子 京鹿子 200907
槻の木に蝉のはりつき鳴きつゞく 滝沢伊代次 万象 200908
水に映る松の枝より蝉の声 広渡敬雄 200908
早蝉の声しかと聴きまほろばに 伊賀則夫 200908
雨戸繰る音に朝蝉襲ひくる 山田六甲 六花 200908
鮮やかに蝉鳴き集ひ初めにけり ことり 六花 200908
ふるさとや水の香を帶び蝉のとぶ 渡邉友七 あを 200908
鳴きづかれし蝉月光の樹に眠る 渡邉友七 あを 200908
蝉の幼虫Tシャツの胸登らせて 近藤公子 200909
初蝉や芝山巖頭六師塚 廖運藩 春燈 200909
初蝉の産声しばし聞きをりぬ 佐藤美恵子 200909
じぐざぐに木の影へ入る蝉の影 きくちきみえ やぶれ傘 200909
朝より切々蝉は蝉のさだめ 大橋敦子 雨月 200909
夜蝉鳴く遅れ聞く訃に眼を閉ぢて 園多佳女 雨月 200909
蝉の声終日耳底にすみつきぬ 鎌倉喜久恵 あを 200909
初蝉やしづかに浮かぶ飛行船 早崎泰江 あを 200909
初蝉や昼のイースト菌膨満 篠田純子 あを 200909
ただひと聲の初蝉でありしかな 芝尚子 あを 200909
台風の目に入るや蝉鳴き始む 山田六甲 六花 200909
初蝉や楯は樹齢をまた積めり 川村文英 ろんど 200909
初蝉の鳴きて仰がる木となれり 樋口英子 200909
過疎村の寂けさ煽る蝉の声 川崎光一郎 京鹿子 200909
夕蝉になにか急かるる八十路かな 川崎光一郎 京鹿子 200909
蝉の眼の瑠璃色夜の爆心地 渡邉友七 あを 200909
雨音の静まり俄蝉の声 森山のりこ あを 200909
初蝉や仮寝の耳を疑へり 稲垣佳子 末黒野 200910
吾が部屋に一夜を共に蝉の客 能勢栄子 200910
初蝉のひと声低し雨催ひ 和田森早苗 200910
初蝉のどよもす狭庭いのち満つ 田中浅子 200910
蝉声の止みし一瞬矢は的に 堤京子 馬醉木 200910
初蝉と口にし稿を急ぎけり 泉田秋硯 200910
脱皮粛々蝉少年に見守られ 泉田秋硯 200910
蝉翔てりおのれの影を突き放し 泉田秋硯 200910
日蝕や動く地球に蝉鳴きぬ 木船史舟 200910
初蝉や雨後の瑞枝のひびきあふ 木村美智穂 遠嶺 200910
白壁に夕蝉ぴたとひた鳴けり 米山喜久子 200910
蝉→ 7      

 

2021年7月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。