2    199句

蝉鳴くや我が家も石になるやうに   一茶

  蝉の殻  落蝉  空蝉  蝉時雨  蝉の穴

作品
作者
掲載誌
掲載年月
退院す蝉鳴く家へ足早に 岡野峯代 ぐろっけ 200111
蝉の羽化刻々開く脱皮線 佐々木スガ子 ぐろっけ 200111
蝉の昼触れれば笑ふ二重顎 小林玲子 ぐろっけ 200111
眩むやせいのやいのと蝉おらび 杉山瑞恵 雨月 200112
眼光を強む唖蝉抓まれて 杉山瑞恵 雨月 200112
耳鳴りか蝉かをみなの力瘤 田村みどり 京鹿子 200112
蝉声に押されて上る寺の磴 大森ムツ子 ぐろっけ 200112
蝉を採る木戸侵入も早業で 岡野峯代 ぐろっけ 200112
眠るにも要る体力や暁の蝉 坂本京子 200201
掃き寄する蝉のじじっと鳴きにけり 江木紀子 雨月 200201
蝉鳴いて樹上の鳥に食われけり 辻村拓夫 船団 200201
夜の蝉天麩羅うどん食っている 小倉喜郎 船団 200201
蝉の森八丁目まである番地 桐木榮子 船団 200201
蝉の声何を告げたや啼きやまず 大森ムツ子 ぐろっけ 200201
華蔵界蝉のむくろに陽は真上 中尾杏子 船団 200202
蝉の木に囲まれている白い椅子 成定紋子 船団 200202
初蝉や筆筒ペン皿使ひ分け 鷹羽狩行 200207
大鼓の一打に蝉の落ちにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200207
朝の蝉命の声を張りにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200207
蝉の木を植ゑてやらねばならぬかな 梅田津 銀化 200207
初蝉や明石海峡靄青き 野口伊久子 馬醉木 200208
初蝉の一穂の涼透りけり 神蔵器 風土 200208
初蝉や一握ほどの命なり 川端実 遠嶺 200208
初蝉や一返信にためらへば 岡本眸 200208
初蝉や乾きて白き屋根瓦 岡本眸 200208
初蝉の一ト声に庭澄みにけり 宮原みさを 花月亭 200208
千曲川痩せて蝉声渡り来る 宮原みさを 花月亭 200208
太陽が近づいて来る蝉の声 中尾公彦 200209
初蝉の声に迷ひのなかりけり 林裕子 風土 200209
油切れして蝉声の落つる音 白岩三郎 馬醉木 200209
鳴いてゐる蝉に故郷から電話 丸山佳子 京鹿子 200209
念仏の山より和音蝉むくろ 宇都宮滴水 京鹿子 200209
初蝉は要の松の木からして 一ノ瀬千恵 築港 200209
太陽の似合ふ子今日も蝉捕りに 中源信子 築港 200209
初蝉のまだぎこちなき声を聞く 辻井桂子 雲の峰 200209
初蝉の翅の透きしを手に囲ふ 渡辺周子 雲の峰 200209
蝉声のどつと湧きたつ小次郎碑 三好幸子 雲の峰 200209
蝉多発喚きたてゐる一樹なり 大橋敦子 雨月 200209
鳴かで果つ蝉の一と世を思ひやる 大橋敦子 雨月 200209
年端ゆかねど蝉聲を聴き分くる 中原道夫 銀化 200209
蝉と蝉ぶつかる空の狭き日よ まついひろこ 銀化 200209
石踏んで石踏んで着く蝉の山 山田六甲 六花 200209
胸に来て止る蝉あり朝づくり 長田秋男 酸漿 200209
初蝉を聞きつリフトにゆられけり 東芳子 酸漿 200209
竹帚十町さきの蝉のこゑ 佐藤喜孝 あを 200209
しつこくて嫌々起きた蝉の声 篠田大佳 あを 200209
蝉声や連れ立つ像の芭焦曾良 黒坂紫陽子 馬醉木 200210
宿坊の蝉も加はる灯取虫 黒坂紫陽子 馬醉木 200210
蝉声と競ふ応援太鼓かな 石本百合子 馬醉木 200210
蝉手捕る得意の業も衰へぬ 小林清之介 風土 200210
うはぐすりかけずたくまぬ蝉工房 林日圓 京鹿子 200210
陶の技は無形文化財蝉涼し 林日圓 京鹿子 200210
昼酒に痴れて初蝉聞き洩らす 藤岡紫水 京鹿子 200210
夜蝉鳴き月の在り処を尋ねけり 宮津昭彦 200210
田楽舞の笛と競へり深山蝉 横林誠二 200210
蝉取るに骨折せし猫入院せり 高橋洋子 200210
鳴きうつりまた鳴く蝉や微笑仏 阿部ひろし 酸漿 200210
雨上り蝉一斉に声を張る 池部久子 酸漿 200210
日中なる蝉のはかなさ聞きゐたる 小松鈴子 酸漿 200210
初蝉を耳に残して戻りけり 大野ツネ子 酸漿 200210
十匹の蝉の居並ぶ幹太き 橋本光子 酸漿 200210
耳しひに蝉声遠くなりにけり 伊沢山ウ瓏 酸漿 200210
大樹あり今百の蝉鳴きはじむ 菊地惠子 酸漿 200210
初蝉や石段のまだ濡れてをり 藤井淑子 百鳥 200210
朝の蝉バス停までを走り抜く 徳永真弓 百鳥 200210
街路樹の等間隔に蝉の声 佐野布娑 雨月 200210
一万坪の邸の蝉声噴き上ぐる 阪上多恵子 雨月 200210
初蝉やリフト横目の男坂 鳴海清美 六花 200210
最初はぐうつぎつぎ蝉をこぼしつつ 梶浦玲良子 六花 200210
蝉生る山に狼煙の立ちにけり 松原仲子 200210
身のうちのねむり薬や夜の蝉 松原仲子 200210
蝉声の沁みしシーツの横たはる 藤井晴子 200210
夜の蝉鳴きいそいでは死に急ぐ 松井のぶ 200210
あふむけに蝉のなきがら日照雨来る 長山野菊 雲の峰 200210
蝉生る当尾の風になじみつつ 谷野由紀子 雲の峰 200210
鵺塚を覆ひつくしぬ蝉の声 飯塚ゑ子 火星 200210
蝉がらの一つは雨に汚れけり 伊藤多恵子 火星 200210
いつよりの唖蝉一つ戸袋に 桑田眞佐子 火星 200210
蝉声の扉に力ありにけり 嵯峨根鈴子 火星 200210
蝉声にトマトソースのよくからむ 山崎未可 銀化 200210
竹林のぶ厚きに沁む蝉のこゑ 加瀬美代子 200210
直立の幹より昏るる蝉の森 松岡隆子 200210
登りきて奈落の蝉の沸騰す 刈米美代子 200210
一蝉にして鳴き澄める朝浄ら 有働亨 馬醉木 200211
昼蝉の声みなぎりて地の乾き 有働亨 馬醉木 200211
一ト呼吸おき夕蝉の鳴き出づる 有働亨 馬醉木 200211
夕蝉の失意の声を聴かんとす 有働亨 馬醉木 200211
もうおやすみ鳴き渋りゐる夜の蝉 有働亨 馬醉木 200211
蝉晴朗拝眉かたがた勧修寺 丸山佳子 京鹿子 200211
蔵之助の一服岩も蝉涼し 丸山佳子 京鹿子 200211
蝉涼し京の一日無為にせず 佐藤香女 京鹿子 200211
推敲の目つむりをれば夜鳴蝉 有山八洲彦 200211
遠蝉となりて誰かを恋うてをり 島崎晃 遠嶺 200211
蝉鳴くやふんはり朝のオムレット 祐森彌香 遠嶺 200211
蝉の声読経の声に合せけり 唐戸正子 帆船 200211
裏参道安住の声蝉の声 中島一管 築港 200211
蝉声をひつ攫ひしは何ならむ 出原博明 円虹 200211
風じめりせし夕ぐれの蝉拾ふ 城孝子 火星 200211
蝉山河西風ばかり吹いてゐる 水野恒彦 200211
とび出して蝉の骸の眼かな 竹内悦子 200211
今死にし蝉赤かりし百度石 黒田咲子 200211
蝉の骸返して水辺去りがたし 鈴木恭子 200211
朝蝉の声つきぬけて雨戸かな 鳴海清美 六花 200211
初蝉や肩に電気の治療院 松本文一郎 六花 200211
蝉の声今日の予定を復唱す 岩松八重 六花 200211
ソロで鳴く蝉に聞きほれいたる午後 岩松八重 六花 200211
眼張り鳴く蝉の声聞きとむる 江木紀子 雨月 200211
遠雷や掌の中の蝉蹴りつづく 渡邉友七 あを 200211
蝉鳴いて独りを噛みしめゐたりけり 櫻井多恵 200211
人に囲まれ唖蝉に徹しをり 木内憲子 200211
夜の蝉の衰へ知らぬ文書けり 濱地恵理子 200211
蝉を持つ曽孫の眼かがやける 熊口三兄子 ぐろっけ 200211
落葉松の風にまじりて蝉の声 蔵本博美 ぐろっけ 200211
母の忌やいつしか蝉の声聞かず 蔵本博美 ぐろっけ 200211
飛ぶ蝉を鳥銜へ去る蟹の路地 木船史舟 200212
被爆地の地より湧き出づ蝉のこゑ 瀬戸悠 風土 200212
蝉声をはじき盥漱盤の水 武友朋子 200212
四十年ぶりに石見の夜蝉聴く 佐藤美恵子 ホトトギス 200212
母と子の見てゐて蝉の生まれけり 加藤あけみ 円虹 200212
唖蝉の肉もて鳴くや五指の中 寺田千代子 京鹿子 200212
けふからは嬰も氏子よ蝉涼し 佐藤香女 京鹿子 200212
社古り百済王恋ふ蝉つのり 池田倶子 雨月 200212
掌に一声鳴きて蝉果てし 藏本博美 ぐろっけ 200212
岩風呂の男女を隔つ岩に蝉 松木清川 ぐろっけ 200212
宿題の子に蝉が鳴き虫が鳴き 嶋崎茂子 百鳥 200212
暮れ六つの鐘蝉声に紛れけり 飛高隆夫 万象 200212
よさこいの熱気負けじと残る蝉 青木久子 遠嶺 200212
梅雨明やはや蝉の鳴く有為の山 福盛悦子 雨月 200301
しんしんと離島の蝉は草に鳴く 山田弘子 草の蝉 200305
一緒には死んでやれない夜の蝉 松山律子 六花 200307
朝の間に脱皮をいそぐ蝉みどり 関口ゆき あを 200307
使ひ捨て傘でつつけり蝉のあな 山田六甲 六花 200307
夕蝉のこゑ身ほとりに二階かな 鷹羽狩行 200308
母恋しの弔上げ句碑に蝉鳴けり 松崎鉄之介 200308
正宗廟蝉が甲冑脱いで生る 河村岳葉 築港 200308
蝉ちちと鳴きてはるけし吉野朝 朝妻力 雲の峯 200308
梅雨蝉や斑鳩寺の松の空 山田六甲 六花 200308
初蝉のいま朗々と名乗りいづ 斎藤道子 馬醉木 200309
蝉の声弓作るてふ木を見上ぐ 梅谷昌弘 雲の峰 200309
陵をゆるがせに蝉鳴きつづく 浅川正 雲の峰 200309
朝より蝉鳴き一日始まりぬ 中井久子 雨月 200309
蝉鳴くや目覚し時計などいらぬ 中井久子 雨月 200309
蝉の羽化何を狂ひし白昼に 東野鈴子 雨月 200309
息ひそめ見守る子等に蝉の羽化 熊岡俊子 雨月 200309
ひろひ読む一書に窓の蝉涼し 熊岡俊子 雨月 200309
蝉の子やうつせみいろに暁の空 丸山分水 200309
蝉飛ぶきはに尿かけられし腕かな 石脇みはる 200309
蝉鳴ける我が人生に狂ひなし 塩川雄三 築港 200309
関所跡にて蝉の声聞きゐたり 伊藤政子 築港 200309
霧雨に初蝉鳴けり登山口 大内恵 酸漿 200310
初蝉はかなかななりし街に聞く 大内恵 酸漿 200310
鳴く蝉に耳貸す人の絶えてなし 村田さだ子 酸漿 200310
初蝉の殊更の声罷り候 泉田秋硯 200310
旅立ちか死か蝉声の突如止む 泉田秋硯 200310
今鳴かねばいま鳴かねばの蝉の声 大橋敦子 雨月 200310
このひたすらなるもの蝉の他を知らず 大橋敦子 雨月 200310
大寺は宗祖の生家蝉涼し 磯野しをり 雨月 200310
水の神祀る小祠蝉涼し 葛馬房夫 雨月 200310
野外能の陰囃子とも夜の蝉 出口賀律子 雨月 200310
無防備の極まる蝉の羽化なれや 密門令子 雨月 200310
一切を無視して蝉の羽化進む 密門令子 雨月 200310
その刻を月に放心羽化の蝉 密門令子 雨月 200310
月光に生れたる蝉の濡れてゐる 密門令子 雨月 200310
我が庭の蝉の誕生祝がむかな 密門令子 雨月 200310
蝉絶唱我も心経ひた唱へ 島本よし絵 雨月 200310
はや蝉やチッチチッチとせきたてる 平松かをる 六花 200310
朝粥のお代り蝉の囃しけり 大串章 百鳥 200310
一幹にびつしり蝉の列なせる 英龍子 百鳥 200310
蝉生れて大合唱に加はりぬ 薬師神和美 百鳥 200310
初蝉や制限時間せまりくる 江坂衣代 百鳥 200310
猫がとりし蝉をとりあげ放しけり 安部里子 あを 200310
八月の初蝉なりし遙かなり 伊藤白潮 200310
体当りせり命終の近き蝉 伊藤白潮 200310
蝉生る精神医学研究所 戸田和子 200310
初蝉や筆の先より句の生れ 斉藤小夜 風土 200310
初蝉や筆たをやかに晶子の書 宮川みね子 風土 200310
どの蝉も一流気分御所九門 丸山佳子 京鹿子 200310
蝉の羽化みるみる眼鏡曇りけり 小橋末吉 対岸 200310
松百幹蝉の止る木止らぬ木 泉京子 帆船 200310
初蝉や夫婦の会話また始む 秋田谷明美 帆船 200310
蝉鳴かず声を聞かせよこの寒さ 福島とみ 帆船 200310
蝉鳴けりわづかな日差し捉へては 大石登志美 築港 200310
初蝉のか細き声や父の忌に 大森玲子 築港 200310
朝蝉の羽震はして鳴き通す 岡村容子 築港 200310
限りある命寄り添ふ恋の蝉 岡村容子 築港 200310
蝉の声ケーブル下で止まれる 井上輝男 築港 200310
腕白のポケツトに鳴く蝉の声 宮村操 築港 200310
晩年や蝉声に背を押され歩し 加瀬美代子 200310
はたと蝉落ちて山門ゆるぎなし 青野れい子 200310
山路来て火の声水の声の蝉 西宮舞 200311
流れ来て海へ拡がる蝉の声 桑島啓司 200311
千年を在す仏に蝉鳴けり 小林優子 酸漿 200311
蝉声の日射せば力みなぎれる 井口初江 酸漿 200311
灯を恋うて網戸を打てる蝉のあり 石川元子 酸漿 200311
宵闇の大昌寺坂に蝉の声 中村輝子 酸漿 200311
大寺に来て蝉声の無礼講 塩川雄三 築港 200311
夕晴れて一日分の蝉の声 小谷五百子 築港 200311
りんりんと鳴き響みるは山蝉か 市場基巳 200311
蝉声の中の別れや一輛車 木下ふみ子 馬醉木 200311
蝉の木の下で蝉より泣いてゐし 辻直美 200311
蝉 →3      

 

2021年8月10日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。