12     200句

蝉鳴くや我が家も石になるやうに    一茶

  蝉の殻  落蝉  空蝉  蝉時雨  蝉の穴

作品
作者
掲載誌
掲載年月
身をかたく歯医者の椅子に蝉の声 國保八江 やぶれ傘 201512
仰向きに落ちてひと声蝉むくろ 佐々木興作 京鹿子 201512
飯を炊く蝉は七日の露を吸ひ 伊藤希眸 京鹿子 201512
飛んできし蝉の仰向け直しやる 谷岡尚美 201512
蝉落ちてたちまち蜂に食はれけり 福島せいぎ 万象 201512
全山の残り蝉鳴く阿弥陀堂 山田春生 万象 201512
長雨のあとの日和や法師蝉 阿部澄 万象 201512
会話ふと途切れしあとの法師蝉 佐藤幸示 万象 201512
初蝉の声夕空をわたりけり 松本幸男 万象 201512
熊蝉やむかし出女入り鉄砲 松尾龍之介 201512
鳴きはじむどの木も蝉の木となりて 石川叔子 201512
つぎつぎに蝉を詰めこむ一軒家 佐藤喜孝 あを 201512
碁敵はきのふに変.はり法師蝉 笹村礼子 六花 201512
地を這うて死に蹴みたる油蝉 志方章子 六花 201512
死す蝉を腕白順に拝みけり 住田千代子 六花 201512
飯を炊く蝉は七日の露を吸ひ 伊藤希眸 京鹿子 201601
ひとり居の五階に嬉し迷ひ蝉 布川孝子 京鹿子 201601
父と見し蝉の脱皮を子と見をり 甕秀麿 201602
蝉声に覚め蝉声と眠りけり 五島富佐子 雨月 201602
蝉のこえ法師ほうしと入り乱れ 吉原彩 船団 201602
蝉鳴いて風の温度差伝はりぬ 池田友之 夏雲 201603
羽化出来ぬままの蝉いて夕暮れる 江口九星 201603
蝉鳴けば年の後半はじまりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 201607
好古園競ふ熊蝉油蝉 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
熊蝉に持ち上げられてゆく天守 稲畑廣太郎 ホトトギス 201607
唖蝉の方尺闇がにじり寄る 伊藤白潮 201608
初蝉やいま来し背山ふりかへり 綿谷ただ志 馬醉木 201608
梅雨明けを特たずに蝉の落ちてゐし 山田六甲 六花 201608
蝉の世に吸ひ込まれゆく嵯峨あるき 鈴鹿仁 京鹿子 201608
逝く猫と聞く風の音蝉の声 松井季湖 201609
初蝉や奄美の空はひろびろと たかはしすなお 201609
初蝉や黄泉の誰彼うかぶ杜 鈴木石花 風土 201609
鎮魂かにいにい蝉の長鳴きも 大畑善昭 201609
斯くばかり長き戦後や蝉の昼 岸洋子 201609
初蝉のあとしばらくは雨の日々 田代民子 201609
蝉の木となる菩提寺の大銀杏 田代民子 201609
一村を包みて余る蝉しぐれ 松田明子 201609
夜蝉舌打ち香を手向けてもどりけり 山田六甲 六花 201609
月光の蒼きを纏ひ蝉生る 平田はつみ 馬醉木 201610
朝すでに火のこゑあげて油蝉 馬屋野純子 馬醉木 201610
朝すでに火のこゑあげて油蝉 馬屋原純子 馬醉木 201610
初蝉の薄暮をしきり谷戸の奥 小倉純 末黒野 201610
初蝉や一節の声定まらず 山口登 末黒野 201610
初蝉の一声のみの余韻かな 伊藤由良 末黒野 201610
寺ぢゆうの柱に蝉の鳴くやうな 戸栗末廣 201610
蝉の殻鉋屑ごと掃かれたる 秋千晴 201610
寺ぢゆうの柱に蝉の鳴くやうな 戸栗末廣 201610
初蝉や夢の真中へ選挙カー 柳川晋 201610
熊蝉も加勢ぞ辻の鉾回し 南うみを 風土 201610
夕蝉のこゑを聴きつつバスを待つ 松村光典 やぶれ傘 201610
気だるさうに聞こえ来るかな朝の蝉 本郷美代子 やぶれ傘 201610
結界の蝉とりの子を赦しおく 和田照海 京鹿子 201610
寺に生れ寺で往生法師蝉 藤岡紫水 京鹿子 201610
蝉声に膨れむばかり神の樟 森脇貞子 雨月 201610
ひたと来て鳴き出し庭の蝉となる 阪上多恵子 雨月 201610
蝉しぐれ隣家を遠くしたりけり 阪上多恵子 雨月 201610
広島の深き慟哭蝉しぐれ 尾崎みつ子 雨月 201610
抜け殻となれざる蝉のいのちはも 西千代恵 雨月 201610
神の杜みんみん蝉の鳴き始む 降幡加代子 万象 201610
唖蝉のただじつとして雨に堪ふ 原田達夫 201610
唖蝉の長き一日の暮れにけり 笠井敦子 201610
初蝉をいまだ聞かずや地震しきり 佐々木秀子 201610
初蝉やミルクを満たすマグカップ 成田美代 201610
油蝉今更何を急かすかな 菅谷たけし 201611
はたと蝉の時間に谷のあるごとく 中島あきら 201611
ゆっくりと経は誦すべし法師蝉 宮原悦子 雨月 201611
人逝きて昭和遠のく法師蝉 川上恵子 雨月 201611
蝉鳴くや何はともあれ生くること 川上恵子 雨月 201611
刎頸の友身罷れり法師蝉 小木曽文明 雨月 201611
蝉落ちて登校の列乱しけり 手島靖一 馬酔木 201611
朝蝉や写経初日の膝正し 田中珠生 馬酔木 201611
医王山蝉は法師に鳴き替はり 田中佐知子 風土 201611
ちちははの墓の小さし法師蝉 赤石梨花 風土 201611
雨止むとみ音とじ音の蝉の声 杉本薬王子 風土 201611
法師蝉浄土の庭を住処とす 森高武 風土 201611
蝉鳴いてひろしまの朝はじまりぬ 和田照海 京鹿子 201611
揃ふまで鳴くひろしまの油蝉 和田照海 京鹿子 201611
被爆樹のうやむや鳴きに蝉二つ 和田照海 京鹿子 201611
ドームより勤行鳴きの油蝉 和田照海 京鹿子 201611
蝉の木になりきつている梧桐 和田照海 京鹿子 201611
一の矢も二の矢も蝉の天王山 高木晶子 京鹿子 201611
走り根の上に走り根法師蝉 成田美代 201611
朝のコーヒー声まだ濡るる油蝉 田原陽子 201611
台風過わつと湧きけり朝の蝉 数長藤代 201611
仏壇の奥に勲章蝉しぐれ 柴田佐知子 201611
転がれる蝉掃けばぢと鳴きにけり 柴田佐知子 201611
幼な子の声に囲まれ蝉生る 戸栗末匿 201611
湿りたる夜気のうごきて蝉の羽化 小林愛子 万象 201611
拾ひたる蝉に命のありにけり 亀田やす子 万象 201611
初蝉や峠吹き上ぐ沼の風 島田和枝 万象 201611
黙祷の一際高き法師蝉 室井津与主 春燈 201611
地の蝉の掃かれて風の軽さかな きくちきみえ やぶれ傘 201611
リサイクルショップにいにい蝉のこゑ 大島英昭 やぶれ傘 201611
居酒屋の入り口蝉が死んでゐる 藤井美晴 やぶれ傘 201611
蝉の昼第二楽章待つ静寂 松浦哲夫 末黒野 201611
初蝉や神苑の樹々湧き立てり 野村重子 末黒野 201611
締切の稿急かさるる法師蝉 久保田雪枝 雨月 201612
行く道の先に後にと法師蝉 桜井知恵子 雨月 201612
法師蝉遠き木に鳴きはたと消ゆ 柴田靖子 201612
沈黙の蝉蔵壁の崩れそむ 伊藤希眸 京鹿子 201612
まだ青き蝉解けゆく無音界 直江裕子 京鹿子 201612
匂袋嗅げば消えたる蝉の声 廣畑育子 六花 201612
蝉の声ぱつと開ける岩くぐり 廣畑育子 六花 201612
法師蝉鳴きやみ天の揺れてをり 田尻勝子 六花 201612
大雨のあと渾身の蝉の声 水野加代 万象 201612
気の遠くなるほど鳴きて蝉落つる 見目トキ子 万象 201612
空過る蝉を捉へし大鴉 松本幸男 万象 201612
落ち蝉を拾ひ集める親子かな 松村光典 やぶれ傘 201612
蝉声に目覚めぬ明けの月の暈 吉田きみえ 末黒野 201612
やや遠い木に移りたり法師蝉 田中藤穂 あを 201610
ジジジパタパタ蝉跪く道テロ悼む 長崎桂子 あを 201610
リオ五輪熱気のあとの法師蝉 七郎衛門吉保 あを 201610
移ろひは違ふことなく法師蝉 湖東紀子 ホトトギス 201701
天界の子よ初蝉の鳴き始む 井上正子 童女 201701
蝉声に搦めとられし楠大樹 森川絢子 京鹿子 201701
蝉しぐれ浴びて大地の呼吸とも 藤代康明 201701
油蝉ばっか弟三回忌 坪内稔典 船団 201702
蝉生れて必死の構へ梅の木に 塚越弥栄子 末黒野 201704
初蝉や一節の声定まらず 山口登 末黒野 201704
琵琶の音の心耳に聞こゆ蝉丸忌 稲畑廣太郎 ホトトギス 201705
蝉曰く閑谷知らぬは吟を得ず 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707
蝉ぴたと止みて柏手響きけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
小筆もつ静かな力蝉生まる 今瀬一博 201708
たこ糸に縛る肉塊蝉涼し 野中亮介 馬醉木 201708
燻ゆるごと雲湧き継ぎて松の蝉 伊丹さち子 馬醉木 201708
泣くことが命のはじめ蝉もまた 平子公一 馬醉木 201708
蝉涼し杜の小川の風あそび 鈴鹿呂仁 京鹿子 201709
初蝉や美人百笑かがみ絵馬 鈴鹿仁 京鹿子 201709
夜蝉鳴く白雲谷の湯明りに 山田六甲 六花 201709
初蝉の鳴き澄む那須野開墾碑 内海良太 万象 201709
帆の形に曳かれて行ける蝉の翅 藤井美晴 やぶれ傘 201708
幾万の蝉を聴きゐる磨崖仏 森岡正作 201709
蝉とんできて一時は落ち着かず 中江月鈴子 201709
初蝉や同人会の朝晴るる 磯野しをり 雨月 201709
蝉鳴きて河内の晴れのつづく日々 磯野しをり 雨月 201709
兄の忌の蝉鳴きますと経上ぐる 磯野しをり 雨月 201709
蝉銜へ飛べずに落とす雀かな 小林朱夏 201709
眩暈の彼方でにいにい蝉が鳴く 辻美奈手 201710
ミンミンが一番蝉の異変かな 七郎衛門吉保 あを 201709
夜の蝉のまことしやかに鳴きにけり 安住敦 春燈 201709
赤松や焦げくさきまで油蝉 高橋道子 201710
初蝉や父の手製の将棋盤 平野みち代 201710
初蝉や真つ暗闇の木々の中 原田達夫 201710
きのふより更に高きに蝉の声 原田達夫 201710
一週間ながらへるべく蝉生まる 齋藤厚子 201710
朝蝉や供華のうつむく小督塚 佐藤保子 馬醉木 201710
初蝉のはじめのこゑのつまづきぬ 池田光子 風土 201710
初蝉の太虚にむけて鳴きたてる 水野恒彦 201710
梅雨明けか釈迦釈迦釈迦と蝉のこゑ 竹内悦子 201710
未来へと過去ぬぎ捨てし蝉の羽化 近藤喜子 201710
朝蝉やエプロン固く締め直す 中島昌子 201710
念仏は独りにさせぬ夜の蝉 平野多聞 201710
蝉鳴いて三世の空を繋ぎけり 本多遊方 春燈 201710
熊蝉の鳴いて炎暑を煽りけり 大森道生 春燈 201710
蝉の朝地方紙ひらく山の宿 村田あを衣 京鹿子 201710
蝉鳴くや矢立初の碑の上に 上岡佳子 万象 201710
曲がるたび胸突八丁法師蝉 山田六甲 六花 201710
池の面の水は平らに蝉涼し 藤生不二男 六花 201710
唖蝉を仏の庭に放ちやる 金森教子 雨月 201710
初蝉や弁財天の丹の祠 服部珠子 雨月 201710
初蝉や太極拳の日々十年 高木典子 雨月 201710
蝉生れて七日ほどなる大宇宙 祐宗千代子 雨月 201710
蝉骸歓喜の日々のありしやも 菅谷たけし 201711
何もかも未完に終の法師蝉 上谷昌憲 201711
再発も転移もなかり朝の蝉 齊藤陽子 201711
その杉は父の手植ゑよ法師蝉 木村美翠 201711
夜の蝉末期の水は星しづく 熊川暁子 201711
生きること精いつぱいや法師蝉 寺田すず江 201711
真夜に鳴く蝉の身の上案じたり 近藤紀子 201711
西へゆく日を追うて啼く法師蝉 有松洋子 201711
神木に鳴いてをるなり法師蝉 吉田順子 201711
熊ン蝉しゆあしゆあしゆあとしやつと尿 原田達夫 201711
渓流の連れ弾きとなり法師蝉 山口ひろよ 201711
初蝉や濠に潮さす昼下がり 岡野里子 末黒野 201711
初蝉や古墳の森の静けさを 加藤静江 末黒野 201711
蝉生まる天使のやうな翅つけて 小山直子 末黒野 201711
初蝉の声いづこなる雨の後 太田利明 末黒野 201711
雨あとの日を惜しむかに油蝉 小川玉泉 末黒野 201711
軽く聞きだんだん重し法師蝉 太田昌子 馬醉木 201711
蝉の声湖にこぼるる竹生島 福山幸雄 馬醉木 201711
魂抜けて蝉の軽さよ腹の白 寺岡直美 京鹿子 201711
初蝉の忽ち群となる勢ひ 大橋晄 雨月 201711
まどろみて寝返りうてば法師蝉 笹倉さえみ 雨月 201711
夕日影濃き廃校の法師蝉 塩見治郎 雨月 201711
大空へ蝉を放ちて児の帰る 佐藤貞子 雨月 201711
熊蝉の声吟行の第一歩 谷口一献 六花 201711
蝉声の杜に真昼の暗さあり 早川俊久 馬醉木 201712
叫びたき午後のありけり残る蝉 布施由岐子 末黒野 201712
先鋒は熊蝉けふも手強いぞ 正谷民夫 末黒野 201712
法師蝉暮れても声を絞りをり 小川玉泉 末黒野 201712
留守電の言ひ分け長々法師蝉 呉文宗 春燈 201712
教科書は線で真赤や法師蝉 近藤真啓 春燈 201712
縄文の火起こし法師蝉しきり 藤原照子 201712
ほうしほうし木木も老いたり法師蝉 片山煕子 京鹿子 201712
熊蝉のこの世喧しく謳ふ 亀井福恵 京鹿子 201712
法師蝉一人旅だと友訃報 竹村淳 201801
蝉よりもはげしく泣ける稚生まる 中谷富子 201801
塀越しに見る起重機や油蝉 渡邉孝彦 やぶれ傘 201710
仰向けに蝉の骸はころがつて 伊藤更正 やぶれ傘 201710
早朝のブロック塀で蝉の羽化 枝みや子 やぶれ傘 201710
蝉 →13      

 

2021年7月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。