三 月 2       173句

三月の声のかかりし明るさよ    富安風生

如月  きさらぎ  二月  三月  二月尽  三月十日  二ン月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
三月の富士なほつゞく旅話 稲畑汀子 ホトトギス 200803
師の影を追ふ三月の雲の奥 東良子 首座星 200804
貧露地へけふ三月の大朝日 定梶じょう あを 200804
三月や京都の水をごくごくと 坪内稔典 稔典句集 200804
三月や知らない人の片えくぼ 坪内稔典 稔典句集 200804
三月や崩れて崖の匂いつつ 坪内稔典 稔典句集 200804
三月のサッカーチーム土手すべる 坪内稔典 稔典句集 200804
三月や天心にいるさよりたち 坪内稔典 稔典句集 200804
三月や人のきれいな膝小僧 坪内稔典 稔典句集 200804
三月の土を落としてこんばんは 坪内稔典 稔典句集 200804
三月の松林なりキスをせん 坪内稔典 稔典句集 200804
治水像に湖三月の波きらきら 丸山佳子 京鹿子 200805
三月の証明写真転職す 篠田純子 あを 200805
三月の山青青と父祖の功 齋藤徳男 200806
三月や県民手帳に予定書く 濱上こういち 200806
三月や櫛屋に並ぶ黄楊の櫛 國保八江 やぶれ傘 200806
揺れつつや三月三日朝ぼらけ 井上信子 200904
てのひらに三月の月したたれり 神蔵器 風土 200904
三月へ流木うごく小櫃川 外川玲子 風土 200904
三月や小石に描く花の色 樋口みのぶ 200904
三月の老人くさき揚梅よ 山尾玉藻 火星 200904
三月や電池のいらぬ時計購ふ 新井如月 炎環 200905
三月やチワワと歩く男かな 新井如月 炎環 200905
三月の瀬音岐るる中洲かな 林いづみ 風土 200905
もの和む三月に生れ争はず 浅野洋子 春燈 200905
とほく行く旅三月の雪の中 山本喜朗 雨月 200905
三月や恋の芽ばえし認知老 岡久枝 酸漿 200905
草に木に日の斑うごきぬ三月来 中野あぐり 春燈 200905
三月の雲立ち込めし隅田川 阿部泰子 春燈 200905
三月や上り下りの舟灯す 阿部泰子 春燈 200905
三月やとつぷり暮れし隅田川 阿部泰子 春燈 200905
二ん月はすぐに三月庭仕事 嶋田摩耶子 ホトトギス 200906
すきとほる墨摺る音に三月来 山崎靖子 200906
三月来張子の虎の尾の先に 高田令子 200906
三月の予定に非らず髪を切る 猪爪皆子 200906
からたちの棘三月の鋼なす 中谷葉留 風土 200906
三月の地へ下ろされし大時計 丸井巴水 京鹿子 200906
三月や菜の花色のカレンダー 石井邦子 酸漿 200906
三月や金絲の太き守り札 中田みなみ 200906
三月や鳥居の笠木雪を出る 工藤ミネ子 風土 200907
黒だかりせる三月の烏山 瀬川公馨 200907
三月やしなやかに来る蛇の目傘 青山悠 200907
三月やフランスパンにマーマレード 有賀昌子 やぶれ傘 200907
三月の風三月の岬日和 今村征一 ホトトギス 200911
二の杉は三月の日の踊るなり 阿部ひろし 酸漿 201004
三月来八十二年の誕生日 佐藤健伍 201005
三月や申告の税重たかり 佐藤健伍 201005
三月へ巻きのぼらんと蔓の先 中田みなみ 201005
三月や天金の書を失ひし 田中藤穂 あを 201005
三月の寂けさにある猫のひげ 鴨下昭 201006
三月やふと行間に眠りをり 石田きよし 201006
三月や庭にめぐらす伸子張り 苑実耶 201006
雨あはあはと三月の荒鋤田 遠藤真砂明 201006
三月尽ものをさがして又ひと日 滝沢幸助 春燈 201006
三月の水族館のイルカショー 中村洋子 風土 201006
三月の地に縄張りの陶器市 中村洋子 風土 201006
三月や透明定規二本立て 宮川みね子 風土 201006
白鷺の白の汚るる三月尽 松井千鶴子 201006
三月や鶴の刺繍の帯展げ 衣斐ちづ子 201007
三月の光と影の過ぎゆき 今橋眞理子 ホトトギス 201008
三月やけふを限りの小学校 松村光典 やぶれ傘 201008
国破れ三月城市襁褓干す 定梶じよう あを 201008
これよりの歩み確かに三月来 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
三月の旅立となる一会かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201103
三月の光りとびつく峡の空 外川玲子 風土 201104
三月を啼かぬ鴉に日の差して 井上信子 201105
三月や土曜朝刊重きこと 菊地英雄 酸漿 201105
三月のじりじりと過ぐ無力なり 赤座典子 あを 201105
三月は無かったことに四月馬鹿 篠田純子 あを 201105
三月の新聞おもく束ねをり 早崎泰江 あを 201105
春は玻璃に三月の雨静かなり 芝尚子 あを 201105
三月や視野に小さき鈴を吊る 来海雅子 201106
三月の寒さを言ひて別れけり 矢口笑子 春燈 201106
三月の影つれ歩く花御堂 雨村敏子 201106
三月の嵯峨動き出す釈迦の句碑 服部郁史 京鹿子 201106
災害ニユースに体調崩し三月果つ 山田をがたま 京鹿子 201106
忘れませんこの三月も人の輪も 清水佑実子 201106
三月の棘のある風円き風 寺岡ひろし 雨月 201106
三月を粉砕したる大津波 中村是空 ろんど 201106
背に肩に三月の雪重きかな 加藤千津 ろんど 201106
三月の満月に添ふ星多し 川原典子 酸漿 201106
三月の地震にふるへつ祈るのみ 工藤美和子 酸漿 201106
三月やこの世の地獄見てしまふ 山田暢子 風土 201106
サーファーの背に三月の浪を待つ 上村葉子 風土 201106
大地震の復興遠し三月尽 竹内悦子 201106
大地震や悼みてあまる三月尽 加藤良子 春燈 201106

 東日本大震災

込み上ぐる涙は尽きず三月尽

石田康明 春燈 201106
米寿祝鉄斎の軸三月尽 藤田京子 ぐろっけ 201106
傍観の諦観となり三月尽 山本浪子 風土 201106
三月を襲ひし地震の大津波 佐藤健伍 201107
三月の伎芸天女のうれひかな 山路紀子 風土 201107
被災記事うづたかくして三月尽 安井和恵 201107
口紅を変へ三月を突き放す 石田静 201108
三月を引き摺りながら夏来たり 須賀敏子 あを 201108
方舟に乗りたる心地三月尽 山口ひろよ 201108
三月が目の前にある初日かな 堀内一郎 あを 201112
三月が来る潮鳴りを闇に聞き 辻美奈子 201204
吐く息に三月生まる真澄かな 神蔵器 風土 201204
銀次逝く三月三日のかがやきに 神蔵器 風土 201204
三月のひと日にマルの初暦 菅野雅生 ろんど 201204
セロリトマト食べ三月を迎へたる 大日向幸江 あを 201204
三月を響かせ降りる歩道橋 吉田希望 201205
三月や大空襲に大地震に 木島茶筅子 かさね 201205
三月の雪突き刺さる摩天楼 石田阿畏子 馬醉木 201205
汝が生れし三月天地ひかり充ち 安立公彦 春燈 201205
三月やもやし炒めの歯切れ良し 川崎真樹子 春燈 201205
三月の残り日数ふ定年婦 荻龍雲 201205
みちのくががらんどうなる三月来 鈴木セツ 201205
三月の誕生日ただ過ぎ行けり 佐藤健伍 201205
三月のフクシマヘ折る千羽鶴 植木緑愁 201205
鎮魂の三月の空みづあさぎ 渕上千津 201205
握手重ねて三月の分岐点 北川英子 201205
飛白めく記憶三月十一日 千田敬 201205
三月来ドレッシングをよく振れば 林昭太郎 201205
三月の雲に誘はれ一万歩 大日向幸江 あを 201205
海嘯といふを知りたる三月来 高橋道子 201205
くちすすぐ三月の水重かりし 田村園子 201205
三月や布団干す窓いたるとこ 佐々木薫 かさね 201206
三月十一日復興切に願ふかな 大嶋洋子 春燈 201206
三月の水辺を覗くトムソーヤ 瀬川公馨 201206
三月の琵琶湖を開く黄金の鍵 岩下芳子 201206
三月の記憶歪みぬ津波から 永塚尚代 ぐろっけ 201206
三月の風緊張を末だ解かず 水野範子 ぐろっけ 201206
三月の碧き海底水族館 代田青鳥 風土 201206
三月の坂東太郎に音生まれ 上村葉子 風土 201206
三月の雪降つてゐる川の上 直井たつろ 風土 201206
三月の海辺はなれる男下駄 鴨下昭 201206
三月の蔵に震災復興酒 三崎千恵子 ろんど 201206
絵暦の三月部屋を明るうす 中田のぶ子 ろんど 201206
三月やまかり出でたる蟇 小川玉泉 末黒野 201206
三月や花屋をはみ出す色・色・色 丹生をだまき 京鹿子 201207
吉野三月歌書も軍書も雪の降る 鳥居美智子 ろんど 201207
ものの香の顔の高さに三月来 戸栗末廣 201208
三月のすべてに感謝職を退き 山口キミコ 九十九島 201209
三月の厨に並ぶ空の瓶 國保八江 やぶれ傘 201209
三月や何を断ち切るチェーンソー 頓所友枝 冬の金魚 201209
土踏むは三月振りなり椎拾ふ 小川玉泉 末黒野 201211
三月や波浮の港の避雷針 山本鬼之助 201212
大露や生後三月の眼の配り 田中貞雄 自註句集 201301
三月十一日といふ忌心に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
三月の空は気紛れ旅続く 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
三月や茫と稜線暮れてゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
三月の一年前の会のこと 稲畑汀子 ホトトギス 201303
彼の日とは三月十一日のこと 稲畑汀子 ホトトギス 201303
三月の白き豆腐に日の匂ひ 中山純子 万象 201303
三月の石を育てる寺の雨 鳥居おさむ ろんど 201303
三月や似合う花より好きな花 網野月を 201304
三月の水のうまさや噛んで飲む 神蔵器 風土 201305
三月や吸ふときも鳴るハーモニカ 林昭太郎 201305
三月や税務課まつりのやうにあり 菅谷たけし 201305
過去形にできぬ三月十一日 頓所友枝 201305
斜張橋海光またぎ三月へ 吉田政江 201305
悲しみは消えぬ三月震災忌 岡野ひろ子 201305
三月や勇魚の母子遊ぶを見 須賀敏子 あを 201305
三月の終はる夕空橡にあり 中野あぐり 春燈 201306
泣かずとも涙の出でて三月尽 土井三乙 風土 201306
三月を色で示せば萌黄色 遠藤逍遙子 風土 201306
三月十一日ご飯硬めに炊きあがる 田村園子 201306
三月の弾む光の束なりし 高田令子 201306
三月や亀裂の走る遊歩道 荒木甫 201306
三月の風に音たつ半旗かな 西村節子 火星 201306
三月の力を溜めて除染かな 鴨下昭 201306
うなぎ喰ふ三月さくら待ちながら 熊谷ふみを ろんど 201306
三月の新車の若葉マークかな すずき巴里 ろんど 201306
三月の光まみれの花見川 すずき巴里 ろんど 201306
市役所に半旗三月十一日 大橋晄 雨月 201306
三月の声がとんがるガス検針 鴨下昭 201307
三月過ぎ馴染む新居や蚊遣香 川井素山 かさね 201310
三月や勃然と芽はえびねらん 瀧春一 花石榴 201312
三月→3      

 

2021年3月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。