三 月 1   168句

三月や人のきれいな膝小僧    坪内稔典

如月  きさらぎ  二月  三月  二月尽  三月十日  二ン月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
三月や老人となる申告書
杉本忠男
青湖
199805
分厚きが出て三月の時刻表
高橋さえ子
199807
三月の気紛れ彼女の心とも
稲畑廣太郎
ホトトギス
199903
三月の旅程少しは遠出して
稲畑廣太郎
ホトトギス
199903
三月の風に昔の恋をふと
稲畑廣太郎
ホトトギス
199903
三月や酒進むこと進むこと
稲畑廣太郎
ホトトギス
199903
三月の雲は気まぐれ池濁す
丸山佳子
京鹿子
199905
三月や花片のやうに淡水魚
太田寛郎
199906
三月や寒さやうやく地をはなれ
鈴木立魚
199906
三月の駅長が窓拭いてをり
宮澤さくら
遠嶺
199906
色艶のよき三月の真鯛かな
山田禮子
遠嶺
199906
三月の光の中の盲導犬
花島陽子
遠嶺
199906
三月の滝いきいきと岩を打つ
木下節子
俳句通信
199906
おばさんは花でも鳥でもある三月
入江一月
船団
199909
三月の雨バス停の赤い傘
松木知子
ヒッポ千番地
199910
三月の空き缶一個芽吹いてる
小枝恵美子
ポケット
199911
三月のキムタク黒目のよく濡れて
津田このみ
月ひとしずく
199912
三月の玻璃戸の汚れ胃を病めば
田中藤穂
水瓶座
200002
三月の花ひとひらの夢見かな
わたなべじゅんこ
鳥になる
200003
楢櫟柞三月来たりけり
宮津昭彦
200003
三月に入りし夕日の大きさよ
阿部ひろし
酸漿
200004

 悼坂井まさき様

三月は十七日の夜雨かな

山田六甲
六花
200004
三月や紙の切り絵に竜生まれ
神蔵器
風土
200005
三月の握手の数の別れかな
大関靖博
200005
三月の飛雪を逝かれ給ひけり
大橋敦子
雨月
200005
風三月首をつぼめて買物に
熊谷みどり
いろり
200005
三月の日ざしを玻璃に温泉に浸る
久保田美代子
酸漿
200006
三月の山を見てゐる男かな
直井たつろ
風土
200006
三月の道頓堀に笑ひに来
杉浦典子
火星
200006
三月やエックスジャンクション雪景色
河野友子
六花
200006
三月のサドル叩いて乗りにけり
夏秋明子
ヒッポ千番地
200010
三月二十日茶の間の家族はおぼろなり
三宅やよい
船団
200011
三月やともかく越えて来たる日々
稲畑汀子
ホトトギス
200103
三月や机にランドセル揃へ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200103
三月の田ごとの畦のうすみどり
小澤克己
遠嶺
200103
三月の脚立に植木鉢乗れる
杉浦典子
火星
200105
寺苑より三月の海明る過ぎ
塩田博久
風土
200105
三月の空に鉄棒匂ひけり
篠原俊博
銀化
200105
三月を締括らむと吹雪きけり
阿部ひろし
酸漿
200105
降り積る三月の雪奥高野
小林たけし
200106
三月の山に化佛のごとくをり
岡井省二
200106
三月の風吹き止まず面接日
浮田胤子
ぐろっけ
200106
三月のくらげとなるか髪座
森猿彦
200107
牛飼ひを廃業(やめる)三月納税期
保坂加津夫
いろり
200107
三月はスイングしなけりゃ歩けない
川島ひとみ
船団
200107
三月や仕切り直しのリュツク負う
浜麻依子
六花
200107
見つからぬ時計三月つきごもり
田中俊弥
船団
200110
三月やラジオから大好きな曲
山仲英子
200203
三月やはらから探し修羅の跡
芝宮須磨子
あを
200204
三月や焼跡の修羅父と行き
芝宮須磨子
あを
200204
三月の土管抜けたる如くあり
代田青鳥
風土
200205
ひたひたと田面濡れゆき三月尽
土肥屯蕪里
雲の峰
200205
春雷やいのち三月と追而書
西村純一
雲の峰
200205
三月や扉開く音閉づる音
結木桃子
銀化
200205
三月の追って追はれるスケジュール
鎮田紅絲
200206
三月や空にみなぎる海の色
政木紫野
馬醉木
200206
三月や昼の鯰の向き変はる
石脇みはる
200206
昼の野に遊ぶや雲も三月に
池部久子
酸漿
200206
うかと出て三月寒き異人墓地
鹿野佳子
200206
三月の神の鈴振る少女かな
川端実
遠嶺
200207
三月は黄の花ばかりねさようなら
藏本博美
ぐろっけ
200207
川筋の右に片寄り三月来る
宮原みさを
花月亭
200208
三月の鳥影いよよ濃かりけり
宮原みさを
花月亭
200208
三月やテーマパークに迷ひ込み
高田令子
200301
三月ほど育てし大根引きにけり
三浦カヨ子
酸漿
200302
三月の雪三月の勢ひもて溶ける
後藤志づ
あを
200304
三月や兄となる子の不安顔
井関祥子
酸漿
200305
三月の野のものを掌に乗せもらふ
村越化石
200305
三月の窓際で踏むミシンかな
鈴木政子
雲の峰
200305
舟小屋に三月の風吹き抜けて
福嶋千代子
200305
三月の川波まぶし肩車
石川笙児
200305
三月くる曲れば逢へることとして
豊田都峰
京鹿子
200305
三月や洗ひあげたる小鳥籠
柴田佐知子
200305
シャガールの空三月の余白かな
岩月優美子
200306
ひらひらとして三月のカレンダー
木下野生
200306
三月や銀座に被写体三世代
遊橋恵美子
風土
200306
三月のビルの間埋むる雨の棒
高橋道子
200306
ちよつと寄りけり三月の流れ橋
吉田島江
火星
200306
三月や繋留ヨット塗替へて
伊東省子
百鳥
200306
三月の商店街のピエロかな
長谷川守可
百鳥
200306
三月も吾を残して駈けてゆく
石岡祐子
200307
三月の別れ嫁がせることも
平居濡子
六花
200307
春三月竹筒めぐらせ花壇盛り
丸山冬鳳
京鹿子
200307
三月は雑木色なり烟るなり
木内憲子
200307
三月や小松菜洗ふ金盥
関口八郎
200308
三月の水なき橋を渡りたる
中村房枝
六花
200403
三月や赤児は足の指反らす
細野恵久
ぐろっけ
200403
われに大志あり三月の大欅
神蔵器
風土
200404
二の杉を越えて三月の夕日あり
阿部ひろし
酸漿
200404
三月や指から眠る抱寝の子
西山美枝子
酸漿
200405
三月やいよよしりぞく日の来る
辻濟行
草の花
200405
滴瀝を受け三月の石となる
佐藤喜孝
あを
200405
前山のほのと明るみ三月風
鎌倉喜久恵
あを
200405
三月の道路工事で賑はへり
芝尚子
あを
200405
三月や天に欅の力瘤
神蔵器
風土
200405
三月の花屋にひかり溢れけり
石井悦子
風土
200405
三月や書き込み増えし予定表
高橋瑛子
河鹿
200406
三月の星を太らせ阿蘇五岳
西岡正子
対岸
200406
三月のひかりとなりし霊芝かな
水野恒彦
200406
三月の足元よろけ平泉
石脇みはる
200406
三月や骨壺に入る喉佛
竹内悦子
200406
三月や広き窓ある手漉小屋
浅野恵美子
酸漿
200406
三月やみやこたなごの腹光り
柴田孤岩
草の花
200406
エレベータに三月の海広がりぬ
林之子
草の花
200406
三月やずんずん山の遠くなる
早崎泰江
あを
200406
三月やお別れ会のあれやこれ
川崎光一郎
京鹿子
200406
三月の羽のかたちの霧氷なり
石脇みはる
200407
三月を路地の奥より繙きし
八田木枯
夜さり
200409
照明弾を吊り三月の町燃ゆる
堀内一郎
あを
200503
空襲三月妻をのこして帰らぬ人
堀内一郎
あを
200503
水上小学校へ転校の子に三月来
鈴木榮子
春燈
200503
鳴呼三月東京、大阪大空襲
松山律子
六花
200504
均されし三月の畑うつくしき
伊藤白潮
200504
三月の大雪ひとの慌し
入澤正
春燈
200505
三月の新聞小説新しく
仙田孝子
風土
200505
爪のよく伸びる三月雨もまた
丸山佳子
京鹿子
200505
季節かはる三月の月まだ寒し
白石秀雄
酸漿
200505
三月や桜の幹の太りしか
川原典子
酸漿
200505
一枚を脱ぎ三月の陽を纏ふ
森下康子
200506
石蹴つて三月の空明るくす
星井千恵子
遠嶺
200506
三月の面てマンモスのまつげかな
本田俊子
200506
三月の眩しきものに人のこゑ
雨村敏子
200506
三月の水張つてある田なりけり
黒田咲子
200506
三月や耳付けて聞く味噌の息
今瀬剛一
対岸
200506
風に繰らるる三月の時刻表
服部早苗
200506
三月の触れて冷たき木馬かな
吉村一郎
百鳥
200506
村は市に川三月の水青き
丸山佳子
京鹿子
200506
三月の明るき雨や交差点
堀川喜代子
200506
三月や芭蕉の像の前に立つ
斉藤道正
遠嶺
200507
三月を疎らに捌き葭保全
松本鷹根
京鹿子
200507

 福岡西方沖地震

三月の沖の暗さや余震なほ

青山悠
200507
還暦の三月十日大空襲
中村星児
八千草
200509
三月の羽うら見せあふつがひ鴨
竹貫示虹
京鹿子
200603
わが庭にこの三月の日の光
阿部ひろし
酸漿
200604
三月の海を見てゐる誕生日
外川玲子
風土
200604
三月や野球部員の兎跳
竹内弘子
あを
200604
三月や炎上のこと産みしこと
辻直美
200605
銀紙のふるへるやうに三月来
山田三江子
200605
三月の句座に子連れの若き母
村越化石
200605
三月十日立ち止り見る遠き空
芝宮須磨子
あを
200605
三月来る茹で菜に箸のうすみどり
吉田叔子
対岸
200605
三月のペダル踏み込む力かな
篠藤千佳子
200606
三月や指ぬらし見る風の道
菊地光子
200606
三月のきつねささげの日和山
黒田咲子
200606
陵へ三月の水飲んでをり
植松美根子
200606
三月のかき玉汁のうす濁り
高田令子
200606
三月の落書きの如飛行雲
松谷知子
対岸
200606
病窓に三月の雲育ちたる
中村江利子
京鹿子
200607
足し砂をして三月の砂場かな
坂本緑
200611
三月や汽笛がさそふ海の旅
鷹羽狩行
200703
日ごといや増す三月の川の音
小林呼渓
200703
三月の教室の壁鋲光る
大内佐奈枝
万象
200704
こそばゆく受く三月の黄のブーケ
伊藤白潮
200705
三月や恋路が浜のうつせ貝
成田なな女
春燈
200705
三月や姑の遺愛のお針箱
米山喜久子
200705
三月や艇庫開きを待つ川面
秋葉雅治
200705
三月や鳶も海より陸を恋ふ
神蔵器
風土
200705
三月の光椿の葉を磨く
早崎泰江
あを
200705
三月やどこも整ふ田の準備
布川直幸
200706
三月の風車は雲をわしづかみ
加藤峰子
200706
三月やつくづく眺む手と足を
竹下昌子
200706
三月の郵便受に旅の本
田原陽子
200706
三月の目玉診らるる日なりけり
竹下昌子
200706
父の忌は三月吾は一年生
浮田胤予
ぐろっけ
200706
三月の学帽振りし別れかな
川崎光一郎
京鹿子
200706
ごしごしと三月十日の顔洗ふ
小林幹彦
200706
径途切れ三月寒き雑木山
坪井洋子
200706
三月や手漕ぎボートを鴨が追ひ
野路斉子
200706
耳聡くをり三月の森の中
竹内悦子
200707
三月のホームの端に山仰ぐ
林いづみ
風土
200707
三月 →2      

 

2021年3月3日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。