冴返る 4       145句

少年僧廊ゆく素足冴返る    藤田宏

料峭 春寒 凍返る・凍戻る 寒戻る 冴返る 余寒

作品
作者
掲載誌
掲載年月
御本尊と結ぶ手綱や冴返る 神蔵器 風土 200703
向き合へる妻の一ト言冴返る 滝沢伊代次 万象句集 200703
飛ぶ鳥の一拍休止冴え返る 坂上香菜 時流 200703
杉丸太林立の香の冴返る 水原春郎 馬醉木 200704
つねにたれかを射る龍の眼や冴返る 橋本榮治 馬醉木 200704
冴返る星がひとつや酒肆の前 宮津昭彦 200704
冴返る星のひかりの影生むまで 宮津昭彦 200704
人住めぬ星であること冴返る 宮津昭彦 200704
盃を置く音それも冴返る 宮津昭彦 200704
竹塗の節の錆色冴返る 阿部月山子 万象 200704
染め糸のしたたるみどり冴返る 横田初美 春燈 200704
気骨ある風もありしと冴返る 菅原健一 200704
冴え返る虫歯治療の鑢音 仁平則子 200704
冴返る高架の下の日本橋 木村茂登子 あを 200704
巌頭に鷺の白光冴返る 益本三知子 馬醉木 200705
冴返る雲一つなき夜空かな 加藤みき 200705
風よりも軽き言の葉冴返る 中野京子 200705
葉脈を伝ふ水滴冴返る 田村園子 200705
冴返る意に添はぬ皿真つぷたつ 中野さき江 春燈 200705
冴返り音の尖れる早瀬かな 上野進 春燈 200705
アガサ・クリスティの最終章や冴返る 河本由紀子 春燈 200705
少子化に廃校またも冴返る 小城綾子 200705
吹き晴れて母の忌の星冴返る 佐久間俊子 200705
数々あるルクソール遺跡冴返る 宇田紀代 200705
県庁より上毛三山冴返る 鈴木石花 風土 200705
たまきはる蛇笏墨書や冴返る 奥山絢子 風土 200705
地長押の卍くづしや冴返る 菅原末野 風土 200705
冴返る一番星の彼方より 林いづみ 風土 200705
汗を取る平太の面冴返る 近藤幸三郎 風土 200705
冴返る納骨の道ただ黙し 大橋晄 雨月 200705
お水取終へたる奈良の冴返る 大橋晄 雨月 200705
空白の儘過ぐ日記冴返る 久保晴子 雨月 200705
縁切寺の千の去り状冴返る 落合絹代 雨月 200705
余白なき書棚の撓み冴返る 落合絹代 雨月 200705
洗い立てのジーンズごわごわ冴返る 貝森光洋 六花 200705
護摩の灰かぶりてのちの冴返る 丸山照子 火星 200705
『大辞林』余震の卓に冴えかへる 定梶じょう あを 200705
鍵付きのケースに白刃冴返る 福場朋子 200706
義貞の首塚ここに冴返る 山下佳子 200706
八方の霊に拍手冴返る 加藤みき 200706

 悼龍太先生

冴返り冴返りして金色に

加藤みき 200706
真夜中を喋る人形冴返る 高橋道子 200706
冴返る渡り始めて長き橋 野口光江 遠嶺 200706
農小屋の裸電球冴返る 荒木治代 ぐろっけ 200706
冴返るホームを急行電車過ぎ 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200706
冴返る後には引けぬ事のあり 唐鎌光太郎 ぐろっけ 200706
冴返る延命処置といふ言葉 樺山翠 雨月 200706
野仏の赤き唇冴返る 隅田恵子 雨月 200706
前勘定のビジネスホテル冴返る 高野万里 200706
推敲の一字一音冴返る 坪井洋子 200706
朝倉文夫の猫に人間ひとの目冴え返る 山元志津香 八千草 200707
ベルリンの壁の遺物や冴返る 福田雅子 万象 200707
冴返る硝子の鉢の水の翳 安原ときこ 遠嶺 200707
鐙屋の土間の湿りや冴返る 川口襄 遠嶺 200707
冴返る母より享けし目にメスを 大橋晄 雨月 200707
長びくは承知の病冴返る 堀前小木菟 ホトトギス 200708
冴返る風に鳶の輪描けざる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
冴返る朝の光の溢れけり 稲畑汀子 ホトトギス 200802
浮世絵の女の素足冴え返る 加藤富美子 200802
舌頭に敲きて切字冴え返り 渡辺昭 200802
折鶴の嘴の鋭角冴返る 中村悦子 200804
出逢ひよりはじまる弔辞冴返る 物江康平 春燈 200804
香煙をまとひし導師冴返る 石脇みはる 200804
通夜経の白木の位牌冴返る 古田考鵬 雨月 200804
冴返り満天の星きらめける 綿谷美那 雨月 200804
九階で海の話に冴え返る 丸山佳子 京鹿子 200804
突然にボス猿叫び冴返る 篠田純子 あを 200803
冴返る風呂に入りてのひとり言 宮津昭彦 200804
満月のまま朝月の冴え返る 村越化石 200804
碑の師の文宇力冴返る 数長藤代 200805
三畳の茶席に座すも冴え返る 斉藤小夜 風土 200805
冴返る人には人の暮しの灯 天野みゆき 風土 200805
首仏を祀る一寺の冴返る 天野みゆき 風土 200805
コード這ふ床剥き出しに冴返る 中根美保 風土 200805
ペン音の冴返りたる夜更けかな 峰幸子 200805
陸橋の車輌の多し冴返る 長瀬恒子 遠嶺 200805
冴え返る月光にある温度かな 天野きく江 200805
鳥百羽浮きたるままに冴え返る 藤井美晴 やぶれ傘 200805
冴返る花屋の床の葉屑かな 大山文子 火星 200805
水底に波の影あり冴返る 高松由利子 火星 200805
身ほとりに血圧日誌冴返る 岩井ひろこ 火星 200805
亡くなりしと重き一言冴返る 水谷芳子 雨月 200805
水垢離を身に課す湯殿冴返る 落合由季女 雨月 200805
句にならぬ路地にちょ佇み冴返る 廣瀬義一 雨月 200805
冴返る交差斜めの港町 溝内健乃 雨月 200805
冴返る魚梛の音東司まで 勝野薫 ぐろっけ 200805
冴返る耀り場に響く大き声 北川とも子 ぐろっけ 200805
若き僧白き着物の冴返る 市橋香 ぐろっけ 200805
折紙の小さき真四角冴返る 緑川啓子 馬醉木 200806
沓脱の裏にもクルス冴返る 泉田秋硯 200806
デザートは薬のゼリー冴返る 岡谷栄子 200806
師の熱く詠みし星宿冴返る 小山徳夫 遠嶺 200806
冴返る芙美子自画像の紅き唇 内田郁代 万象 200806
母の忌の大鐘を打ち冴え返る 岡村尚子 ぐろっけ 200806
冴返る大黒柱くろぐろと 宇和川喬子 200806
冴返る水の惑星とはなりぬ 竹下陶子 ホトトギス 200807
回廊を駆くる禅僧冴返る 邑橋節夫 遠嶺 200807
丹波路の主を失ひ冴返る 高木智 京鹿子 200807
冴返る紅茶に三滴ブランデー 勝原文夫 ペン皿 200811
冴返るとは大都市を白銀に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
雀等の声高々と冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200902
快晴といふ冴返る明るさよ 稲畑汀子 ホトトギス 200902
大河てふ冴返る色ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200903
閉店のジャスコの灯り冴返る 鈴木照子 200904
人に伍さん心も失せて冴返る 斎藤道子 馬醉木 200904
薄切大根のやうな昼月冴返る 藤原たかを 馬醉木 200904
オリオンの空夕闇に冴返る 四條進 200904
インターネットの絡まる地球冴返る 千田百里 200904
来し方の足(だくあし)に似て冴返る 千田百里 200904
冴返る夜間飛行の小さき灯 柿本麗子 200904
荒星の貼りつく玻璃戸冴返る 吉田晴子 200905
冴返る外ヘワルツに慣れし耳 蒔田しをん 200905
笑みもちてひげはそるべし冴え返る 太田一貴 炎環 200905
マネキンのずんべらばうや冴返る 村上絢子 馬酔木 200905
独り居の窓夕星の冴返る 松吉惠子 遠嶺 200905
冴返る心の奥の修羅の景 西村純太 200905
天命を待つ姉の呼気冴え返る 中山皓雪 200905
川岸の流木アートや冴返る 安永圭子 風土 200905
嵐峡の大橋小橋冴返る 竹内喜代子 雨月 200905
老友のまた一人逝き冴返る 稲次登美子 雨月 200905
化野の千の石仏冴返る 稲次登美子 雨月 200905
冴返る自刃と朱書ある系譜 柴出良二 雨月 200905
天井に届く蔵書や冴返る 蘭定かず子 火星 200905
母の碾く石臼の棒冴え返る 木原今女 ぐろっけ 200905
はやり歌の一本調子冴返る 木村美猫 ぐろっけ 200905
喪ごころの帽子まぶかや冴返る 大嶋洋子 春燈 200905
文を裂く高音の走り冴返る 中野英伴 春燈 200905
夢千代館に被爆石あり冴返る 鈴木照子 200906
冴返る箱階段を突かせけり 森ひろ 馬醉木 200906
納棺のその眼開かば冴返る 泉田秋硯 200906
冴返る能登金剛の波しぶき 林和子 200906
冴返る夕映に入るヘリコプター 大坪景章 万象 200906
急磴の辺に冴返る瀧の音 小山徳夫 遠嶺 200906
冴返る京の二乗の星の数 小山徳夫 遠嶺 200906
伝来の小槌の木目冴返る 山崎靖子 200906
送信は同感とのみ冴返る 田村園子 200906
冴返る山従へて富士現るる 鈴木石花 風土 200906
傘寿なる身の冴返る山河かな 川崎光一郎 京鹿子 200906
鳥の巣をあらはに欅冴返る 夏目満子 酸漿 200906
那須の野に翁の足跡冴返る 酒井湧甫 200907
あかときや星一粒の冴返る 鳥取博子 200907
百年の土間の減りぐせ冴返る 林いづみ 風土 201001
月光や百戸の谿の冴返る 伊藤敬子 201001
雲が出て風が出て川冴返る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201002
木刀の黒光りして冴返る ことり 六花 201002
冴返る→ 5      

 

2021年3月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。