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泳ぎの葛隠るまで羞ぢらひぬ   芝不器男

  葛切  葛餅  葛饅頭  葛湯  葛の花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
紀ノ川へなだれ込むかに真葛原 上田明子 雨月 200912
梵妻を見舞ふ高野の葛の雨 細川コマヱ 雨月 200912
風の意にしろがね色をなせる葛 小原登志春 雨月 200912
薬師寺の塔を遠くに葛の風 小原登志春 雨月 200912
葛あらし活断層のうへ歩く 浅田光代 風土 200912
猪囲ひ真葛が原の畑守る 海上俊臣 酸漿 200912
音たてて山雨来たりし真葛原 田口紅子 201001
鉛筆を落し音なき真葛原 水野恒彦 201001
胸中に迷ひの深し葛嵐 舩越美喜 京鹿子 201001
法螺貝や山ふくらます葛嵐 坂口夫佐子 火星 201001
寝落つまで夜雨の葛をかむらんか 井上信子 201001
葛原に始まる風の鬼ごつこ 笠井敦子 201001
まつしぐら葛は枯るるや捨て鏡 八田木枯 晩紅 201002
指で梳く蓬髪葛の原に佇ち 清海信子 末黒野 201002
けふ明日のことでなけれど葛嵐 高橋道子 201002
潮鳴りや葛うらがへる火焔塚 柴田志津子 201002
葛の風嬥歌の山の紫影濃き 神田恵琳 春燈 201010
山尋ね山瞼しみて葛の蔓 福田雅子 万象 201010
三伏の葛叢そよぎをりにけり 戸栗末廣 火星 201010
山の辺の葛覆ひけり廃寺跡 笠井清佑 201011
逃走より闘争思ふ風の葛 甲州千草 201011
大ざつぱな行く手ありけり真葛原 山尾玉藻 火星 201011
白々と葛のただよふ夜更かな ことり 六花 201011
葛裏葉島の哀史を聞きをれば 荒井千佐代 201012
いささかも日差しゆるまず真葛原 稲垣佳子 末黒野 201012
葛の葉を風のめくりぬ日の匂ひ 稲垣佳子 末黒野 201012
まといつく葛に街灯仄暗く 先山実子 ぐろっけ 201012
真葛いちいち触れてみたくなる 近藤喜子 201101
吊橋は遠見するもの葛の風 井上信子 201101
葛がくれゆく透明な雨合羽 井上信子 201101
寄りどころ無きまま葛の絡みかな 竹田ひろ子 ろんど 201101
天平の伽藍の跡や葛の原 秋山信行 やぶれ傘 201101
真葛原恋の方程式解けず 川崎光一郎 京鹿子 201102
真葛原心も白くしてをりぬ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201109
葛茂る宿や数学老教師 太田昌子 馬醉木 201109
また訪うて縁切寺の葛あらし コ田千鶴子 馬醉木 201110
裏返ることも命や葛の原 星野早苗 船団 201110
ごつそりと真葛ヶ原のくつがへる ことり 六花 201110
折れ垂れて葛黒々と散らずあり ことり 六花 201110
葛引くや手応へうすき子のこころ コ田千鶴子 花の翼 201111
山の音確かに聞こゆ葛かずら 遠山みち子 201111
あらかじめ真葛ヶ原の雪崩るる日 井上信子 201112
低く来て高く去る鷺真葛原 生田作 風土 201112
心電図の波長の狂ひ真葛原 水野恒彦 201112
いにしへの風音を聞く真葛原 岩月優美子 201112
釣人の道を拓きし葛河原 平居澪子 六花 201112
地のゆがみ覆ひ尽せり真葛原 森清堯 末黒野 201201
歩道にも這ひ上がる葛田へそつと 大西ユリ子 ぐろっけ 201201
真葛野や雲の下ゆく雲迅し 園部早智子 ろんど 201201
葛の葉にトラックの土埃かな 大崎紀夫 やぶれ傘 201201
葛原の風裏表うらおもて 松本恒子 ぐろっけ 201202
踏み入りて起伏の多き真葛原 松下八重美 夢見の鐘 201203
真葛原風の存問受けてより 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209
葛の葉を風が彩る静寂かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201209
トンネルを出るに生駒の真葛原 北崎展江 くりから 201209
寺領なる色里廃れ真葛原 松井洋子 ぐろっけ 201210
けもの道いな猫の道葛嵐 布川直幸 201210
なにもかも覆ひ尽くして葛の風 松本周二 かさね 201211
施餓鬼果て葛葉南瓜葉うらがへり 池田光子 風土 201211
葛の上葛這ひ流離始めかな 湯橋喜美 201211
天碧き葛折ゆく大花野 伊藤平八 末黒野 201211
葛の葉に稲荷祠の闇増せり 宮崎きみ枝 201212
絡みあひどれがどれやら真葛原 大石よし子 雨月 201212
歌垣の山真つ向に真葛原 中村恭子 201301
愛ほどに実を整へて真葛 斎藤栖峰 馬醉木 201301
お披露目の紅に間のある実葛 田中貞雄 ろんど 201301
煽らるる葉裏の白や葛の雨 横路尚子 末黒野 201301
地に這うて行く手を阻む葛かづら 尾崎みつ子 雨月 201301
踏み出さば谷かもしれず真葛原 青木朋子 201301
葛の葉の生命力を恐れけり 安藤虎酔 かさね 201302
歳晩の雨やさしかり吉野葛 高橋道子 201302
吹き白め吹き白めつつ葛嵐 中杉隆世 ホトトギス 201303
真昼間の耶蘇墓しんと葛の風 柿本麗子 千の祈り 201307
世を捨てし如く病みをり葛嵐 宮井知英 201404
真葛原雲は低きを流れをり 本多俊子 光のうつは 201404
世を捨てし如く病みをり葛嵐 宮井知英 201404
長尺の龍を綯はむや葛ヶ原 瀬川公馨 201409
田端駅刈られし葛の山積みに 田中藤穂 あを 201409
葛の葉のおほひて低き山ばかり 松本美簾 馬醉木 201410
過疎の里攻め入るごとく葛伸びる 青野安佐子 201411
葛の葉や渓より巌そびえ立つ 田中文治 火星 201411
葛覆ふ荒地の起伏あるばかり 井浦美佐子 201411
射撃場の跡真葛原昼の闇 加藤みき 201411
海見えて波の音なし葛の丘 松本三千夫 末黒野 201412
葛に雨きてより旦暮しのぎよし 黒滝志麻子 末黒野 201412
雨音の定まり葛の匂ふかな 松尾芳子 万象 201412
空地はや葛の天下となつてをり 谷岡尚美 201412
業平の通ひ路真葛覆ひたる 杉山瑞恵 雨月 201412
渓風に湧き立つ白さ真葛原 森脇貞子 雨月 201412
葛が香の蹴上や古き水流れ 堀志皋 火星 201412
萱原に埋れ一途の葛根掘 不破幸夫 馬醉木 201501
神鏡の裏は荒ぶる真葛原 柴田佐知子 201501
電線の混み合ふところ葛の雨 大山文子 火星 201501
銀輪の過ぐる度の葛の揺れ 村上留美子 火星 201501
葛の香や伝説残し村消ゆる 柴田佐知子 201503
木の高さ葛のたかさのねむりかな 津波古江津 船団 201505
葛の葉の奔放自在をうらやまし 故角南昧波 201504
夜通しの風を余らす葛の蔓 甲州千草 201509
葛あらし砂丘の先に海の色 大崎紀夫 やぶれ傘 201509
ホームだけの駅をまた過ぎ葛嵐 青谷小枝 やぶれ傘 201509
葛の葉にトラックの土埃かな 大崎紀夫 虻の昼 201510
人間は転ぶものなり葛嵐 甲州千草 201510
相愛の時は流れて真葛原 柴田佐知子 201511
葛の香や牛馬沈めし阿蘇の闇 柴田佐知子 201511
葛の風路地のどこかに波郷の眼 岸上道也 京鹿子 201512
ふるさとを後にするとき葛嵐 佐藤千重子 201512
高圧の鉄塔並ぶ真葛原 堀井英子 雨月 201512
風の秋葛の葉見せる二おもて 池永加代 京鹿子 201601
あとさきになりてみちくさ葛の風 元橋孝之 京鹿子 201601
切岸を吹き溜りたる葛嵐 荒木甫 201601
純白の蝶を匿ふ真葛原 水野恒彦 201601
一と谷の葛の傍若無人かな 若土白羊 ホトトギス 201603
風の波玉巻く葛を吹きつぶし 池田友之 夏雲 201603
この辺でたたら踏まねば真葛原 直江裕子 京鹿子 201604
真葛原地球の裏を見するかに 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
葛の葉に色失ひし風となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 201609
登校の頭のみ見ゆ真葛原 湯橋喜美 201609
足首を掴まれさうな葛の蔓 池田光子 風土 201610
葛や葛絡まることに倦みてをり 森岡正作 201611
葛あらし風に背後のありにけり 辻美奈子 201611
古傷は染むるものなり葛嵐 コ田千鶴子 馬酔木 201611
葛の塵這ひ寄る墓を洗ひけり 南うみを 風土 201611
葛の香や径のひらけて日本海 宇都宮敦子 201611
血縁のどろどろとあり風の葛 荒井千佐代 201611
山際の没日燃え立つ真葛原 松井志津子 201612
旧道の葛に消え行く木曽路かな 佐藤貞子 雨月 201612
神鏡の裏は荒ぶる真葛原 水野恒彦 201612
天上の青吹かれゐる真葛原 寺田すず江 201612
葛かずらの大崩過ぐ海岸線 高橋まき子 風土 201612
放埒な葛ふところに花を抱く 中嶋昌子 春燈 201612
ねまり居る牛反芻す真葛原 小松敏郎 万象 201612
葛の葉のうねりに遅れ渓の風 森清堯 末黒野 201612
石見路のつづく隧道葛の谷 宮原悦子 雨月 201701
大木の天辺搦め葛の関 藤本啓子 京鹿子 201701
をそろしき潮位なりけり風の葛 荒井千佐代 201701
段葛の新装なじみ薄紅葉 森清堯 末黒野 201702
鎌倉の梅雨もまたよし段葛 小沼ゑみ子 末黒野 201704
豊かなる宇陀の地下水葛晒す 城戸ひろみ 雨月 201704
段葛抜け寿福寺の接待へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
猫の目や奥底暗き真葛原 中貞子 201710
由布岳は牛の骨格葛嵐 大沢美智子 201711
葛かづら生まれながらの追っ手なり 瀬川公馨 201711
真葛原ぐらりと風の吹き変る 吉田順子 201711
ひとりには多すぎる風真葛原 有松洋子 201711
葛の葉を牛の冬餌に軒吊りす 小松敏郎 万象 201712
葛の葉を裏返しゆき風白し 森清堯 末黒野 201712
草競馬ありし原なり葛嵐 斉藤マキ子 末黒野 201712
葛かづら生まれながらの追つ手なり 瀬川公馨 201712
手鏡にわたしを消せば真葛原 井上菜摘子 京鹿子 201801
結び目をほどけば傾る葛の秋 井尻妙子 京鹿子 201801
葛を掘る鉄砲鍛冶が遠つ租(おや) 石田野武男 万象 201801
被災地を太古に還し真葛原 千原叡子 ホトトギス 201802
瀧不動へ爪先上り葛匂ふ 岸洋子 201803
葛の花亀のひょっこり現れる 東英幸 船団 201806
葛の蔓三つ巴なる梅雨入りかな 南うみを 風土 201808
葛→4      

 

2022年8月2日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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