葛 切     56句

葛切の朱塗大椀銀座雨    田中藤穂

  葛切  葛餅  葛饅頭  葛湯  葛の花

作品
作者
掲載誌
掲載年月
葛切りのほとほと揺るる漆鉢 水野あき子 遠嶺 199810
葛切に京極の夜を思ひ出づ 能村登四郎 199907
葛切りにきな粉まぶして頂きぬ 保坂加津夫 いろり 200006
葛切は京のくらさをひきうけぬ 鉄山幸子 銀化 200010
葛切や亡き義母のこと母のこと 高垣和恵 雨月 200108
葛切や鞍馬路にきく杉の声 藤井みち子 200110
葛切や袖の触れ合ふ旅半ば 橋添やよひ 風土 200111
葛切の夕闇いろに高台寺 北川孝子 京鹿子 200111
葛切を並んですする叡山に 大島翠木 200208
葛切や新宿界隈日の暮るる 志村秀子 風土 200209
葛切や未必の跳ねを意の中に 中原道夫 銀化 200209
葛切に突き棒入りの贈り物 田口俊子 200308
葛切や風よく透ける吉野建よしのだて 阿波谷和子 雲の峰 200309
葛切と鎧庇に品書き吊る 松崎鉄之介 200309
葛切りのきららを掬ひ人恋ふる 田代ヨシ 河鹿 200508
葛切や格子戸抜けて京言葉 石本百合子 馬醉木 200508
葛切を食べずじまひに四條かな 鈴木榮子 春燈 200508
葛切りや心の浦を語り出す 石山惠子 遠嶺 200509
葛切や小康の喉滑り落つ 長谷川史郊 馬醉木 200609
葛切や些事ばかりなるひと日とて 豊田都峰 京鹿子 200609
葛切や祇園の人の黒ドレス 小澤菜美 200908
葛切の店消えてより郷里いとし 池田光子 200909
葛切やつるんと冷ゆる喉仏 大木清美子 200909
葛切をさし入れられし写経かな 谷村幸子 200910
葛切や病の話もうよそう 足立良雄 200911
葛切や夕べ漫ろに祇園みち 小澤菜美 201010
葛切や人情継ぎて四代目 割田容子 春燈 201109
葛切や少し淋しい猫とゐる 佐々木紗知 京鹿子 201111
葛切やもう逢へぬ人逢はぬ人 井上信子 201205
葛切を手土産として姉きたる 伊勢きみこ 火星 201209
葛切や嫌ひな人と向き合ひて 榎本文代 万象 201210
幕間に繭玉の許葛切りを 酒井秀郎 返り花 201211
葛切りや四条大橋雨の中 安居正浩 201409
葛切や赴任する子に父の黙 塩見英子 雨月 201410
葛切やうしろの席のこほり鳴る 小林成子 火星 201410
葛切の黒塗の椀無一物 中田禎子 201410
葛切は鉈の目のこる塗り椀に 根橋宏次 やぶれ傘 201509
葛切やふくらんでゐる旅鞄 落合絹代 風土 201510
葛切や茶房を統ぶる金屏風 井田幸子 雨月 201510
下京やゆるりと歩き葛切へ 岩井京子 201607
葛切や山の水引く吉野建 林八重子 馬醉木 201610
葛切を食べ悪病の機嫌とる 安居正浩 201709
葛切の老舗に偲ぶ吉野山 石田康明 春燈 201710
葛切や話のつぎほ探しをり 岡田史方 末黒野 201710
葛切や天井も戸も網代張り 秋千晴 201801
葛切や風の入りくる京の店 小池一司 やぶれ傘 201808
喫茶去や京の名だたる葛切を 丸尾和子 雨月 201810
葛切りや鈴の音する銀の箸 西村亜紀子 船団 201811
葛切を物知り顔に講釈し 山口登 末黒野 201909
葛切はきな粉まぶして旨かっし 細川コマヱ 雨月 201909
葛切や玻璃のゆがんでゐる老舗 笹村政子 六花 201910
葛切りの端っこはどこ夕暮れて 佐々木麻里 202011
葛切や老舗の庭を見通して 尾崎千代一 末黒野 202108
葛切りに添へて出されし杉の箸 亀岡睦子 やぶれ傘 202110
葛切に黒蜜かける午後ひとり 小巻若菜 やぶれ傘 202110
金沢より葛切届く午後三時 小巻若菜 やぶれ傘 202210

 

2023年6月27日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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