木 苺      89句

木苺の海胆の如くに熟れにけり   斎藤亮二   獐

作品
作者
掲載誌
掲載年月
楽焼に木苺の花峠茶屋 皆川盤水 春耕 199906
島の子の採らぬ木苺学校裏 松崎鉄之介 199908
木苺の花の径とし覚えあり 縁富 ホトトギス 200005
木苺を含みて来し方遠くせり 鈴木ゆき子 風土 200008
霧つつみ来る木苺の泪粒 岡本まち子 馬醉木 200010
木苺を口に摘みつつ麓へと 渕江千代 酸漿 200011
木苺の葉ずれや人は遠き波 吉川真実 海程 200101
木苺や公園にあるけものみち 関根洋子 風土 200101
径迷ひ木苺熟れし尾根に出る 須賀敏子 あを 200108
木苺に弾けて雨のはじまりぬ 市川英一 遠嶺 200109
木苺の辺に日曜の父がゐる 杉浦典子 火星 200109
木苺に声あげひとり摘みにけり 東芳子 酸漿 200109
木苺の黄金色淡甘きかな 金子皆子 海程 200110
木苺の摘めばいつしか手に余る 関口房江 酸漿 200111
木苺の茂み抜けると明治池 塩谷則子 船団 200112
木苺の遠い空より手紙くる 薮ノ内君代 船団 200112
手のひらに溜めし木苺拾ひ食ぶ 小森行々子 ホトトギス 200201
人気なき山路木苺実と花と 関口ゆき あを 200205
木苺を摘める少年膝に傷 丸尾和子 雨月 200208
木いちごの花流水に日届かず 山田美保 200208
木苺やかくれんぼの鬼拗ねてゐて 近藤きくえ 200209
木苺や昼啼く鶏の睡り時 後藤志づ あを 200309
木苺やこれより先はけもの径 川部知子 帆船 200311
木苺の花や村の名消えさうな 原紀 対岸 200406
木苺の熟れゐし幼き日の喧嘩 田中藤穂 あを 200407
木苺の花階に潮の香 内藤紀子 遠嶺 200407
木苺の花にも触れて万歩計 松山正江 河鹿 200407
木苺を摘んでひとりになつてゐし コ田千鶴子 馬醉木 200408
雀どち熟れし木苺食みこぼす 志水千代子 京鹿子 200409
山晴れてきて木苺のびつしりと 角田悦子 草の花 200409
木苺やもう道草を覚えし子 関章子 百鳥 200508
木苺の花の白さに山の風 長沼紫紅 200508
木苺を城山に摘む誕生日 遠藤三鈴 栴檀 200509
木苺に一瞥残し子ら去りぬ 松田有伽 河鹿 200510
傘の上に木苺落ちて雨もよし 青砥真貴子 200510
木苺の花のとげとげ甘んずる 山崎靖子 200607
木苺や傷だらけなる少年期 増田久美子 200708
木苺へ鳥除け風車まはりすぎ 椿和枝 200708
木苺をつまみて巡る城下町 前川明子 200708
木苺の熟れるを見れば足止まり 須賀敏子 あを 200708
見え隠れして木苺の熟れにけり 岐部陽子 八千草 200712
木苺の花や峠も半ば過ぎ 滝沢伊代次 万象 200804
木苺や娘の成長に追ひつけず 伊吹之博 京鹿子 200807
木苺の白一面や母のこと 中野八重子 火星 200808
散策の木苺の花楽しみに 松尾緑富 ホトトギス 200809
木苺の届かぬ所熟れゐたる 星アヤ 酸漿 200809
木苺や夫逝くも尚農婦なる 高村令子 風土 200811
木苺の崖へもたせてある梯子 河崎尚子 火星 200908
木苺のマカロン買ひ食ひ異国にて 後藤とみ子 ぐろっけ 200908
木苺の花や幼き孝子像 鈴木圭子 200908
木苺の葉隠れに実を点じけり 坂根宏子 200909
回想のはじめ木苺明かりかな 中島あきら 200909
木苺は昔のままの甘さなり 廣畑忠明 火星 200909
どのみちも浦へ木苺花白し 小林共代 風土 200911
木苺の花まつ先に翳りけり 中根美保 風土 201006
木苺の花やすすまぬ三輪車 小山紫乃布 末黒野 201007
木苺やじゃんけんぽんのかくれんぼ 松田洋子 201008
木苺の花はらはらと訣れかな 小山紫乃布 末黒野 201008
手繰りたる枝に木苺よく熟るる 伊藤いな栄 酸漿 201009
木苺のジャムありますの札下がる 松村光典 やぶれ傘 201010
木苺の咲きて木階きりもなし 海上俊臣 酸漿 201107
木苺の黄が池の面に映りたる 藤井美晴 やぶれ傘 201108
木苺の露ごと供ふ馬頭尊 武井美代子 万象 201109
摘まむとて触れし木苺こぼれけり 小川玉泉 末黒野 201109
木苺を摘みて遅るる岨の径 亀卦川菊枝 末黒野 201109
木苺を頬張る弟兄の危倶 吉田克美 ろんど 201110
木苺を摘んでひとりとなつてゐし コ田千鶴子 花の翼 201111
木苺の垂るる切岸一揆の地 海野勲 万象 201112
木苺を摘まざるは惜し摘めば淋し 野沢しの武 風土 201207
白き花咲きし木苺茶花とす 千葉恵美子 末黒野 201208
木苺を教ヘリュックに肥後の守 村田とくみ ぐろっけ 201401
ビオトープ木苺の花そこここに 石垣幸子 雨月 201407
木苺をつまみまはりを見廻しぬ 大坪景章 万象 201408
葡萄垣へ伸びて木苺色づきぬ 小林愛子 万象 201410
沖に雲島に木苺咲きにけり 大崎紀夫 虻の昼 201510
黒きまで木苺熟れて雨ながし 小林愛子 万象 201510
木苺の花の真白にひと日終ふ 泉本浩子 馬醉木 201607
庭に摘む木苺甘し母の家 松原三枝子 万象 201609
乾坤の光木苺熟れにけり 山田夏子 雨月 201609
箒の手休め木苺ふふみたる 小林愛子 万象 201611
木苺の黒きは甘み重かりし 小林愛子 万象 201709
山姥となりきつてをり木苺食む 鎌田光恵 201709
木苺を含みて里を近うせり 前原マチ 末黒野 201711
木苺の花につられて行止り 黒澤次郎 やぶれ傘 201808
風戯へせる木苺の花白し 岡田史女 末黒野 201908
木苺の横へ伸びゆくラテイス垣 磯野青之里 六花 201911
木苺や誰にも言はず言へぬこと 三上程子 春燈 202008
この家の木苺熟れてゐたりけり 吉田幸恵 やぶれ傘 202009
木苺の熟れて貝塚てふ窪地 青谷小枝 やぶれ傘 202109
木苺を植うる朝や震度三 大曲ゆき枝 末黒野 202208

 

2023年6月4日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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