冬 苺   151句

冬苺廉ければ一家にて賞す   成瀬櫻桃子   風色

いちご    木苺  桑苺・桑の実  蛇苺 春苺 冬苺

作品
作者
掲載誌
掲載年月
佐用川に沿ふ城山の冬いちご 山尾玉藻 火星 199902
山路冬苺大石りくの墓 浜福恵 風土 199902
家族てふ危き数や冬苺 鈴木まゆ 馬醉木 199903
縄文の嵩山すさ蛇穴じやけつに冬苺 松崎鉄之介 199903
おばさんが冬苺売るおじさんと 荻野美佐子 船団 199903
冬苺熊野詣での女人を恋ふ 中川濱子 ぐろっけ 200001
道折れて日向に出でぬ冬苺 三村禮子 酸漿 200003
冬苺まづしい私に転りぬ 嵯峨根鈴子 火星 200004
みささぎに鳥の眼となる冬苺 神蔵器 風土 200004
姉の忌や真赤な沈黙冬苺 佐藤紀生子 海程 200004
木々の間に人の気配や冬苺 三井孝子 六花 200005
自転車に乗れない人と冬いちご 小西昭夫 船団 200010
石窟に祀る白蛇や冬いちご 朝妻力 俳句通信 200101
山祇は石の祠に冬莓 朝妻力 俳句通信 200101
万葉の山の辺道に冬苺 二村節子 200102
急坂の上に犬塚冬苺 前阪洋子 俳句通信 200102
牛追ひし日の遥かなり冬苺 邑橋淑子 遠嶺 200103
冬苺大福餅になりました 鎮田紅絲 200104
猟師らの目もくれざりし冬苺 山田由利枝 雨月 200104
ままごとの児を母役に冬苺 赤木真理 ぐろっけ 200104
ミルクこぼるる冬苺歓喜天 中島陽華 200105
冬苺カナリア諸島も青空か 坪内稔典 船団 200105
冬いちご言い訳ののちの皿に盛る 川島ひとみ 船団 200108
枯色の中の華やぎ冬苺 稲畑廣太郎 ホトトギス 200201
冬苺より彩りを置く大地 稲畑廣太郎 ホトトギス 200201
冬苺見てをる別の己かな 高橋将夫 200202
ちちははの座り直しぬ冬苺 田中英子 火星 200203
木洩陽を恋人とせり冬苺 角直指 京鹿子 200204
不機嫌な妻に買ひ来し冬苺 小西瑞穂 ぐろっけ 200204
一卓の日射しや皿の冬いちご 遠藤和彦 遠嶺 200205
雨の止む間の日差しかな冬莓 足立幸信 200205
一身をいたはる齢冬苺 江頭信子 馬醉木 200302
さみしさはことに真つ赤な冬苺 富川明子 200302
人恋ふは罪には非ず冬いちご 藤村遊子 200303
山霧のいたはる紅や冬苺 山田弘子 円虹 200303
前略のあとの五分や冬苺 佐々木悦子 帆船 200303
殺生禁断寺領の森の冬苺 生田恵美子 風土 200303
旅の夜の母につぶせる冬苺 峰幸子 200303
晩年へ一歩踏み出す冬苺 一瀬昭子 馬醉木 200303
おだやかに余生生きたし冬いちご 大井昌 京鹿子 200304
葛橋かけかへてゐる冬苺 大山文子 火星 200304
看とること終りとなりぬ冬苺 井口初江 酸漿 200304
晩年は今かも知れず冬いちご 千坂美津恵 200305
記念日のひとつふえけり冬いちご 野口光江 遠嶺 200305
冬苺夫の遺せしもの羽織る 泉京子 帆船 200310
冬苺銜むや谷戸は谷戸の風 川端実 遠嶺 200402
藪こぎの先の日の中冬苺 加藤みき 200402
乳癌の疑ひ晴るる冬苺 白崎リユ子 築港 200403
真白きの翼は湖へ冬苺 津田礼乃 遠嶺 200404
喘ぎ行く熊野路傍の冬苺 松田欽吾 雨月 200404
冬苺みんなまあるい口開けて 斉藤道子 対岸 200404
自生てふけなげなる紅冬苺 的池遙 百鳥 200405
冬苺宝石のごと詰められし 秋千晴 200405
駆け登る故郷の裏山冬苺 桑原泰子 八千草 200408
千疋屋の食べる宝石冬いちご 鈴木榮子 春燈 200503
冬苺分けあつてをり親しかり 大西八洲雄 万象 200503
日のぬくみと摘む冬苺一周忌 浜口高子 火星 200503
病むひとの胸もとうすし冬苺 土生逸磨 河鹿 200503
遠き嶺々はつきり見えて冬苺 松井治美 遠嶺 200504
冬苺プラス思考の友が好き 窪田米子 遠嶺 200504
冬苺を甘しうましと嫁姑 林和子 200505
冬苺一人の膳の華やげり 水野禎子 対岸 200505
みどりごの爪やはらかに冬苺 松井洋子 ぐろっけ 200506
餘生なほなすことあらむ冬苺 水原秋櫻子 馬醉木 200512
冬苺何も判らぬ母でよし 高千夏子 200603
冬苺つぎの言葉に行詰る 森山のりこ あを 200604
酔ひ醒めて程よき間合ひ冬苺 加賀見智子 200605
いつまでの家族二人や冬苺 鹿野佳子 200605
谷底へ小径がつづき冬いちご 高村俊子 万象 200702
冬苺斜に切つて患者食 澤田緑生 馬醉木 200702
冬苺安寿が口に含みたり 田中佐知子 風土 200702
冬苺てきぱきと朝はじまりぬ 岡本眸 200702
冬苺あつけらかんと孫の恋 北川英子 200703
冬苺ほつりと歩みたのします 永田二三子 酸漿 200703
冬苺大樹の下を飾りけり 小島三恵 酸漿 200802
和の心もて生きゆくや冬苺 山下美絵子 遠嶺 200803
冬苺やさしき色を見せにけり 長沼紫紅 200803
冬いちご妻のもちだす理外の理 神山志堂 春燈 200804
菅浦に素足詣でや冬苺 林いづみ 風土 200804
あかあかと日差しを恋ふる冬苺 島田和子 風土 200804
五百羅漢彫られし岩場冬苺 後藤晴子 万象 200804
「かぐや」より月の便りよ冬苺 森山のりこ あを 200804
杉山の裾の日溜り冬苺 岩崎眉乃 万象 200805
以上も以下もあらず老いたり冬苺 井上信子 200901
冬苺一粒ほどのことば待つ 山田弘子 ホトトギス 200907
あるときは雨蕭々と冬いちご 飯田蛇笏 ぐろっけ 200912
頬張れるほどは摘まれず冬苺 勝野薫 ぐろっけ 200912
田原坂へ続く道のべ冬苺 佐田昭子 ぐろっけ 200912
薮の中陣取り熟るる冬苺 武智恭子 ぐろっけ 200912
冬苺摘み遠き日を摘みにけり 村上幸子 京鹿子 201001
冬苺こぼれ落ちさう岨の道 村上洋子 201001
じわじわと雲湧く日なり冬苺 中野京子 201003
三輪山の裾の湿りや冬苺 高田たみ子 万象 201003
うっとりとコロラツーラと冬苺 赤座典子 あを 201003
崖の雫こほれる冬苺 田中佐知子 風土 201004
安酔のいつもの精神こころ冬苺 佐藤健伍 201004
笠かぶり肩寄合ひし冬苺 緑川禎男 遠嶺 201005
行員の寿退社冬いちご 磯田せい子 ぐろっけ 201102
山畑のぞれぞれ畔や冬苺 冨山俊雄 春燈 201102
むつかしき一返信や冬苺 井上信子 201102
冬いちご乳吸ふ稚の眸のひかり 篠田純子 あを 201103
晩年といふ素直さに冬苺 山村幸苑 馬醉木 201103
ふたおやのともにすこやか冬苺 花田心作 201103
思ひ出の数ほどはなし冬苺 コ田千鶴子 花の翼 201111
かつて願ひたんとありけり冬苺 コ田千鶴子 花の翼 201111
海鳴りのここまでとどく冬苺 細野恵久 ぐろっけ 201201
冬苺齢重ねし二人かな 山荘慶子 あを 201201
冬苺女系家族の内緒ごと 平野みち代 201202
探鳥の足もとに日矢冬いちご 田中富有能 風土 201203
その椅子に夫が揺れをり冬苺 井上信子 201203
とく癒えよ口に含ます冬苺 松橋利雄 光陰 201203
会へばすぐ許してしまふ冬苺 高倉和子 夜のプール 201203
子を生みて娘は母に冬苺 田中一美 ろんど 201204
吉報の声に色あり冬苺 頓所友枝 冬の金魚 201209
冬苺うれしきときも涙溜め 鈴木夕起子 信州からの風 201302
冬いちご第一反抗期真つ盛り 神戸京子 ろんど 201303
墓参りのみの故郷冬苺 土江比露 春燈 201303
呪ってるのと訊いてみる冬苺 中原幸子 船団 201304
控目に咲いてゐるなり冬苺 田村すゝむ 風土 201402
愛宕神社へ坂のはじめの冬いちご 石垣幸子 雨月 201404
古戦場巡る山辺や冬いちご 坂根宏子 野山の道 201404
探鳥の空見るばかり冬苺 栗原京子 201405
冬苺数年の款語つきるなし 和田和子 馬醉木 201501
子等を待つ卓の真中の冬苺 近藤鉦子 201503
振り向けば山ふりむけば冬苺 工藤はるみ 風土 201504
星いろの風呂敷包み冬苺 雨村敏子 201505
冬苺供へ遺影のほほゑめり 水原春郎 馬醉木 201602
追伸に家族増えしと冬苺 能勢俊子 馬醉木 201602
浦山の風の育てし冬苺 箕輪カオル 201603
故郷に繋がる空や冬苺 山荘慶子 あを 201604
込むバスの手提に匂ふ冬苺 田原陽子 201604
冬苺こんなところにいる自由 火箱ひろ 船団 201612
冬苺泉への道常湿り 中條睦子 万象 201702
紅ほつぺの名前ふさはし冬苺 小川玉泉 末黒野 201703
体裁はどうでもよくて冬苺 箕輪カオル 201703
クリスタルグラス煌めく冬苺 高田令子 201704
一粒の火種をここに冬苺 山田六甲 六花 201704
直会の栃木なまりや冬苺 江見悦子 万象 201705
娘の絵文字緊張の解く冬いちご 伊吹之博 京鹿子 201706
冬苺こんないい顔して遺影 柴崎英子 201802
誕辰の宵や賜る冬苺 小林文良 春燈 201803
こそばゆき子の耳うちや冬苺 那須重子 馬醉木 201805
冬苺母が甘えてくれにけり 天谷翔子 201806
艶なるものに小粒ながらの冬苺 和田絢子 春燈 201903
いちにちを一会の刻に冬苺 増成栗人 202002
言葉なき愛のふかさよ冬苺 藤井明子 馬醉木 202002
兄いまだ反面教師冬苺 足立枝里 202003
心臓は五臓のひとつ冬苺 西村白杼 京鹿子 202203
湧き出づる富士の伏流冬苺 渡辺富士子 末黒野 202204
石垣の崩れ掛かるや冬苺 秋山蔦 春燈 202303
冬苺畦に毒味をしてゐたり 志方章子 六花 202305

 

2023年12月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。