神無月1   230句

風寒し破れ障子の神無月    宗鑑

十一月  神の留守  神の旅  神無月  神有月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
雨も又待たれゐしもの神無月 稲畑汀子 ホトトギス 199811
稿債も旅も家居も神無月 稲畑汀子 ホトトギス 199811
神無月船に乘りたる夕べかな 竹内悦子 199902
庭神の榊をかへる神無月 町野昭人 遠嶺 199902
何んやかや云うてるうちに神無月 平井奇散人 船団 199902
九回裏二死満塁の神無月 塩見恵介 船団 199903
はかりごとよりはじまりぬ神無月 稲畑汀子 ホトトギス 199911
神無月支度はじめる児と鴉 保坂加津夫 いろり 199911
耳たぶに石けんの泡神無月 小枝恵美子 ポケット 199911
神無月水筒に白湯注ぎをり 竹内悦子 199912
一泊の鞄にくすり神無月 辻田明 200002
蒟蒻のぷるんとうなずく神無月 北川孝子 京鹿子 200002
裏返す魚の目つぶら神無月 北川孝子 京鹿子 200002
ゆるやかに回転扉神無月 田中藤穂 水瓶座 200002
夕影の影に捕らわる神無月 尾上有紀子 わがまま 200002
神無月絵馬の嘶きつぎからつぎ 宇都宮滴水 京鹿子 200011
神無月来て神の子の嘘ばれて 保坂加津夫 いろり 200012
神無月単身赴任の娘を送る 熊谷みどり いろり 200012
うっかりと命日忘れ神無月 福田みさを いろり 200012
ヴィオロンの形なりけり神無月 岡井省二 200101
スナメリの汀に来てや神無月 岡井省二 200101
風音の棚の大樹や神無月 井出智恵子 春耕 200101
林中に風のとどまる神無月 生田作 風土 200102
神無月電波のこない海老の髭 笠間圭子 京鹿子 200102
境内を鶏走り神無月 師岡洋子 ぐろっけ 200103
神無月人の数だけポリバケツ 小倉喜郎 船団 200105
はやも灯を納めし船や神無月 山仲英子 200110
手順あり齟齬ありしこと神無月 稲畑汀子 ホトトギス 200111
連休の列車混み合ふ神無月 稲畑汀子 ホトトギス 200111
死ぬときは馬鹿でもいいよ神無月 松山律子 六花 200111
人もまた旅に連れだつ神無月 白岩三郎 馬醉木 200112
独り居のどっぷりつかる神無月 大平保子 いろり 200112
神無月誤爆もありて闇に消ゆ 柴田美佐子 いろり 200112
看取ごと放り出したい神無月 正木光子 いろり 200112
神無月こつそり眼鏡買ひにゆく 井尻妙子 京鹿子 200201
露天湯に薔薇を浮べて神無月 富田志げ子 酸漿 200201
神無月漆の椀を拭いてをり 竹内悦子 200201
神無月石を渡つてをりにけり 雨村敏子 200202
神無月留守居するごと鳩のいて 高樋洋子 いろり 200202
神無月ひよっとこ踊りの老いかろし 林田加杜子 いろり 200202
神無月満願納め来りけり 河野友子 六花 200202
神無月の杜に大きく鈴鳴らす 神山喜美代 遠嶺 200203
寺を訪ひ教会を訪ひ神無月 加藤暢一 200203
反芻のしづかなるかな神無月 矢島久栄 200203
友逝くと妻の放心神無月 林翔 200212
夫逝きて残りし薬神無月 田中藤穂 あを 200212
雲割つて風吹き出づる神無月 宮津昭彦 200301
走雲に神乗り給ふ神無月 横山佳世子 築港 200301
音もなくやつてくるなり神無月 田村はじめ 銀化 200301
鈍色に大阪暮るる神無月 阪谷村比呂未 銀化 200301
障子流ひ網戸洗ひて神無月 石川元子 酸漿 200301
やはらかな和紙に指切る神無月 関口ゆき あを 200301
成仏の魚瞑らず神無月 太田昌子 馬醉木 200302
ネプチューンいくら呼びても神無月 泉田秋硯 200302
潮入れて動かぬ運河神無月 柿沼盟子 風土 200302
この宮もすでにお発ちか神無月 稲岡長 ホトトギス 200304
み仏は結跏解かれず神無月 丁野弘 200311
張りつめし大気まとひぬ神無月 稲畑汀子 ホトトギス 200311
神無月病むはらからに名を問はれ 斎藤節子 馬醉木 200312
記念日のスペシヤルランチ神無月 小池津や子 帆船 200312
青きまま菜屑ちらばる神無月 朝妻力 雲の峰 200312
箆つけし着物を縫うて神無月 中島陽華 200401
神無月狂女かざしを手にしたる 中島陽華 200401
ギヤラリーに丹塗りの小鉢神無月 藤本純子 京鹿子 200401
ひよつとこの面と出くはす神無月 杉浦典子 火星 200402
寂寞と鴉を殖やす神無月 渡部義雄 200402
歯を削る音がうがうと神無月 沖増修治 百鳥 200402
国宝の門に屋根あり神無月 鹿間樟 百鳥 200402
神無月ふつと重たい腕時計 栗原道子 京鹿子 200402
寂寛と鴉を殖やす神無月 渡部義雄 200402
神無月さつま切子を家苞に 沼口蓬風 河鹿 200403
神無月水琴窟に耳立てて 清水千代子 草の花 200403
神無月巫女の黒髪のびそろふ 細川知子 ぐろっけ 200403
降り出して雨に鎮もる神無月 稲畑汀子 ホトトギス 200411
祀られし城主偲びぬ神無月 稲畑汀子 ホトトギス 200411
旅終へて心切り替へ神無月 稲畑汀子 ホトトギス 200411
神無月とて賑はへる一日あり 稲畑汀子 ホトトギス 200411
吹きすさぶ六甲の風神無月 稲畑汀子 ホトトギス 200411
かみわざや物失せ忘る神無月 安部里子 あを 200411
鬼灯の網ふえにけり神無月 石川一郎 対岸 200412
ブラックバスばかりの魚影神無月 高千夏子 200412
今一つ物に手つかぬ神無月 鈴木政子 雲の峰 200501
泉源の湯煙匂ふ神無月 森木久美 雲の峰 200501
自転車の補助輪外す神無月 坂口美代子 河鹿 200501
馬運ぶトラックに窓神無月 冨村みと 対岸 200501
神無月西なる雲の金のふち 豊田都峰 京鹿子 200501
風神の荒ぶる海や神無月 山本喜朗 雨月 200502
神無月ジャズと洋酒に夜を重ね 高島久 百鳥 200502
神無月一木一草活けにけり 桜井葉子 遠嶺 200503
西晴れの湖に下りたる神無月 井上信子 200503
神無月人黙々と働けり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200511
白そこひのオペとはなんぬ神無月 大橋敦子 雨月 200512
髭を見て席ゆづらるる神無月 大澤邦雄 四葩 200601
山国の大き雨粒神無月 宮川みね子 風土 200601
眠る赤手に母の面影神無月 太田佳代子 春潮 200602
神無月預けしままの御朱印帳 大村真佐子 遠嶺 200602
神無月古都の仏に人集ひ 西村しげ子 雨月 200602
神無月昼餉に借りし神の庭 村田さだ子 酸漿 200602
名儀書替へおほかた終る神無月 相沢有理子 風土 200602
竹細工の蟹の手招き神無月 筒井八重子 六花 200602
盛り塩の煤に汚れし神無月 高倉和子 200603
大層な病名貰ひ神無月 苑実耶 200610
とんとんとすれば眠る子神無月 辻美奈子 200611
怠け顔鏡に見られ神無月 能村研三 200612
こころの祭とふ幟立つ神無月 岸本林立 雨月 200612
神無月神いまさねど手を合はす 木村茂登子 あを 200612
大杉の影太りゐる神無月 高倉和子 200612
神無月杯も逃してしまひけり 鷹羽狩行 200701
還暦のお礼参りや神無月 大塚民枝 酸漿 200701
錠剤の粒の原色神無月 新井佐知子 遠嶺 200702
がらんどうの舟屋を覗く神無月 今井妙子 雨月 200702
寝て起きて食べて今日より神無月 青山丈 200702
サイレンの眠りを裂けり神無月 永田勇 六花 200702
病院に五体預ける神無月 森津三郎 京鹿子 200703
神鼓打つ音はホ短調神無月 稲畑廣太郎 ホトトギス 200711
しろがねの魚に刃を当つ神無月 蘭定かず子 火星 200712
神無月貼紙にある迷ひ犬 遠藤実 あを 200712
神無月亡き友の椅子座りみる 四條進 200801
日に祈り月に願ふや神無月 服部菰舟 雨月 200801
いま置きし物につまづく神無月 丸山佳子 京鹿子 200801
躓きて眉間を割れり神無月 松崎鉄之介 200801
神無月弥山を仰ぐ竜の松 大井邦子 ぐろっけ 200801
噺家の陽気な離婚神無月 鈴木撫足 春燈 200802
神無月石の巾着縄の紐 中野京子 200802
生きてゐるものに忌日や神無月 今橋眞理子 ホトトギス 200803
神無月記紀にもありぬ口語訳 森竹昭夫 遠嶺 200803
夫ひとりおいて出る旅神無月 鶴岡加苗 200811
神無月神の集る方へ旅 稲畑汀子 ホトトギス 200811
これよりの旅路を思ふ神無月 稲畑汀子 ホトトギス 200811
神無月縁起絵巻のふくら顔 加藤みき 200812
神無月と言へど那智滝神在す 小林成子 200901
神無月鍋をこがしてをりしかな 鈴木しのぶ 200901
悪阻と云ふ細きうなじや神無月 清水淑子 炎環 200901
臍の緒の名残身にあり神無月 藤井みち子 200901
起きぬけの喉のささくれ神無月 松田千枝 春燈 200901
深呼吸は一日一善神無月 丸山佳子 京鹿子 200901
カルボナーラやさしくからむ神無月 殖栗歩 炎環 200902
奥の院に水の溢るる神無月 岩井ひろこ 火星 200902
神無月虚子への心失せぬ館 稲畑廣太郎 ホトトギス 200911
神無月いかなお気持宮司さま 丸山佳子 京鹿子 200912
もう遭へぬ人一人増え神無月 田中藤穂 あを 200912
神無月相談室のシャガール絵 安部里子 あを 201001
だまし絵を斜めから見る神無月 佐方敏明 ぐろっけ 201001
神無月誰にも命一つづつ 岩本セツ女 ろんど 201002
糠床に足す糠の量神無月 中谷葉留 風土 201002
神無月科学に触れて宇宙そらの旅 岡野ひろ子 201002
仏壇を洗ひに出すや神無月 卯辰美苗 万象 201002
幣振れば白き風立つ神無月 藤岡紫水 京鹿子 201002
吠ゆる犬吠えかへす犬神無月 大東由美子 火星 201002
神無月骨折の手をかばひをり 内藤順子 酸奬 201002
鉄瓶の湯の滾りたる神無月 衣斐ちづ子 201007
神無月地球ゆるりと廻り欲し 丸山佳子 京鹿子 201011
神無月なれど伊吹に神通力 丸山佳子 京鹿子 201011
神無月しづしづとくる八十才 安部里子 あを 201012
神無月熊野の杜に濡れし燈 笠井清佑 201101
神無月夫の知らない小田原丼 小野口正江 末黒野 201101
神頼みせずの決心神無月 泉田秋硯 201102
風少し日差の少し神無月 井上信子 201102
町深く海鳥の飛ぶ神無月 戸栗末廣 火星 201102
箒目は今朝も揃ひし神無月 宮﨑正 ホトトギス 201103
一夜にて白銀なせり神無月 加藤千津 ろんど 201103
月山の闇たつぷりと神無月 コ田千鶴子 花の翼 201111
懐かしきあの饒舌よ神無月 仁平則子 201112
今さらと思ふ約束神無月 丸山佳子 京鹿子 201112
身ほとりに佛はゐます神無月 木村茂登子 あを 201112
御手洗の細ぼそとして神無月 長崎桂子 あを 201112
軒先の煤け杉玉神無月 笠井清佑 201201
巫のひよんの笛吹く神無月 西村純太 201201
神無月訛りゆらして福祉バス 岡野ひろ子 201201
海に出て鳥の光れる神無月 蘭定かず子 火星 201201
自動車が自動車運ぶ神無月 荒木甫 201202
神無月お百度踏みし老婆かな 坂上じゅん かさね 201202
神無月まあまあですねと心電図 松嶋一洋 201202
はるかなる虚空は美しや神無月 池田光子 201202
ひいきめにみても病む顔神無月 黒澤登美枝 201202
神無月声を掛け合ひ足場組む 小野寺節斤 風土 201202
卓に散る京の干菓子や神無月 塩田博久 風土 201202
石仏も間延び顔なり神無月 中田寿子 ぐろっけ 201202
瀧音に山の深さや神無月 城孝子 火星 201202
舞妓かんざし揺らずに歩む神無月 伊藤希眸 京鹿子 201203
蘭の葉の埃を拭ふ神無月 田中貞雄 ろんど 201211
クリスタルスワンの向かう神無月 熊川暁子 201211
腰据へて休む薬師寺神無月 中島玉五郎 201212
重詰の展示始まる神無月 小林久子 201301
父しのぶ軍艦めぐり神無月 神田恵琳 春燈 201301
神無月家に籠つて一人酒 菊地崇之 かさね 201301
神無月求む香炉の清水焼 南奉栄蓮 風土 201302
産土に良き名残れり神無月 吉田葎 201301
打切棒に並ぶ立ち木や神無月 園部早智子 ろんど 201302
砂風呂に頭並べて神無月 松本恒子 ぐろっけ 201302
手と足が囃子に乘りぬ神無月 中島陽華 201302
みちのくの民話に触れし神無月 岩月優美子 201302
神無月カーテンコールの死人役 平野みち代 201302
ごほごほと咳の始まる神無月 松村光典 やぶれ傘 201302
神無月講師は禰宜といふ講座 野村鞆枝 京鹿子 201303
縁組みのうはさも少し神無月 野村鞆枝 京鹿子 201303
神無月禰宜の説話は切れ目なく 野村鞆枝 京鹿子 201303
神無月名の木手入れの大足場 今泉あさ子 末黒野 201303
あらくれの土を返しぬ神無月 戸栗末廣 201303
神無月もうあなたとは会へないの 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
神無月今日もビル街天目差す 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
狛犬の阿吽虚ろに神無月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
山鳩のひとしきり啼く神無月 鈴鹿仁 京鹿子 201311
神無月ただ太りゆくわが椿 井上信子 201312
真新し杉玉軒に神無月 笠井清佑 201401
神移り無事に終へたり神無月 鈴木初音 201401
伝言板にきのふの文字や神無月 柴田志津子 201401
神無月大き切手に舌を二度 甕秀麿 201402
めまぐるし天変地異や神無月 小野寺節子 風土 201402
まじなひの木の瘤撫づる神無月 原田しずえ 万象 201402
コンビニヘ使ひの巫女や神無月 大島寛治 雨月 201402
譲られし木椅子のぬくみ神無月 北川孝子 京鹿子 201402
読めぬ字の並ぶカルテや神無月 高村令子 風土 201403
神無月舟屋に舟の艫が見え 大崎紀夫 やぶれ傘 201403
傷の子に母のまじなひ神無月 黒住康晴 璦別冊 201408
責任をひしひし感じ神無月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
聞いてゐし甲斐の大地よ神無月 稲畑汀子 ホトトギス 201411
西晴れの湖に下りたる神無月 井上信子 201412
無言館に句帖忘れし神無月 小林共代 風土 201412
喪の便り早ばや届き神無月 橋本靖子 201501
外つ国の大道芸人神無月 四條進 201501
なみなみと蕎麦湯を注ぐ神無月 岩木茂 風土 201501
筬打てば塵のかがよふ神無月 蘭定かず子 火星 201501
神無月神木槇に目礼す 下山田美江 風土 201501
拭いてやる馬のまなじり神無月 城孝子 火星 201502
踏切に独りたたずむ神無月 丸井巴水 京鹿子 201502
ものの影長き日暮や神無月 水野恒彦 201502
境内に骨董市や神無月 川上恵子 雨月 201502
残されし石の安らぐ神無月 田中一美 ろんど 201502
鍵二つかけて旅立つ神無月 田中一美 ろんど 201503
鳥声や八橋乾く神無月 加藤静江 末黒野 201503
神無月堰に細れる水の音 田岡千章 201504
神無月→ 2      

 

2021年11月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。