2020年11月1日

十一月 1     236句

あたゝかき十一月もすみにけり    中村草田男

十一月  神の留守  神の旅  神無月  神有月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
牡蠣すする十一月の山中に
神蔵器
風土
199901
 
日当りて十一月の登山道
神蔵器
風土
199901
 
みづからの十一月の咀嚼音
丸山海道
京鹿子
199901
 
すれちがふ髪の光も十一月
仲村青彦
199902
 
俯いてひたすら歩く十一月
田中桜子
船団
199903
 
手の甲で味見十一月の風
松永典子
船団
199903
 
添え文の文字は吐息す十一月
近藤憙治
船団
199903
 
捨船に十一月の雨溜まる
金國久子
青葉潮
199907
 
雑木みな乾き十一月となる
岬雪夫
199911
 
十月ざくら十一月の雨すこし
阿部ひろし
酸漿
199912
 
護衛艦上十一月の海の色
福間慶子
俳句通信
200001
舞鶴港
六畳に十一月の日射し伸ぶ
川合広保
俳句通信
200001
 
靴替へて十一月の旅ごころ
小澤克己
遠嶺
200001
 
みづかきの濡らす十一月の石
甲州千草
200002
 
菓子缶の蓋の金色十一月
土井三乙
風土
200002
 
浜に出て十一月の水平線
小澤克己
遠嶺
200002
 
波音に動悸かぶさる十一月
信崎和葉
六花
200002
 
今日といふ十一月の得難き日
稲畑汀子
ホトトギス
200011
 
わたつうみ十一月の潮目見ゆ
岡井省三
200012
 
くろがねの鯉に十一月の逝く
神蔵器
風土
200101
 
十一月六日の月を鶴川に
林裕子
風土
200102
 
十一月鋼の色の河曲る
生田作
風土
200102
 
雨を被て十一月の妖樹あり
小澤克己
遠嶺
200102
 
明明と十一月の花に雨
曷川克
遠嶺
200102
 
十一月はるなの土に父母迎ふ
林田加杜子
いろり
200104
 
火屋に入るおじに挨拶十一月
近藤憙治
船団
200105
 
虚子も来し十一月に我も又
稲畑廣太郎
ホトトギス
200111
 
醤油の香仄と十一月の風
稲畑廣太郎
ホトトギス
200111
 
反古焚いて十一月の香と思ふ
鷹羽狩行
200112
 
夫生れし十一月の日の寧し
川端和子
星月夜
200112
 
十一月をふはり着て出る風来坊
荒川美邦
京鹿子
200201
 
ねんごろに十一月の来てをりぬ
小林かいう
200202
 
白湯吹いて十一月のひさごかな
栗栖恵通子
200202
 
真青なる十一月へ手漕舟
代田青鳥
風土
200202
 
亀岩打つ十一月の礁波
代田青鳥
風土
200202
 
十一月六日の朝の烏瓜
平田紀美子
風土
200202
 
足跡を十一月の波が消す
野口みどり
酸漿
200202
 
十一月砂糖のやうなロダン像
大村孝
百鳥
200202
 
アルバムに友の笑顔や十一月
池崎るり子
六花
200202
 
灯を殖やす十一月の古書の町
蟇目良雨
春耕
200202
 
日をまとひ十一月の鍬仕事
小澤克己
遠嶺
200202
 
星揃ふ十一月の来りけり
大谷茂
遠嶺
200202
 
ローソンのま横十一月の闇
須山つとむ
船団
200202
 
幹に触れ十一月の樹下にゐる
濱地恵理子
200202
 
とめどなき十一月のすべり台
大空純子
ぐろっけ
200202
 
巌噛む碧空十一月の海山居
伊丹さち子
馬醉木
200203
 
信濃路に十一月の空のあり
遠藤和彦
遠嶺
200203
 
蝶翔たす十一月の青木賊
高橋さえ子
200203
 
十一月石の上に貝砕きある
山尾玉藻
火星
200212
 
蔦青き十一月の「カフェ傳」
竹内弘子
あを
200212
 
音たてず十一月を満つる川
高田令子
200301
 
ぎらぎらと十一月のコンパかな
田村はじめ
銀化
200301
 
後より十一月の靴の音
井口ふみ緒
風土
200302
 
信濃路に深く入りけり十一月
城孝子
火星
200302
 
童居て十一月の日和かな
村越化石
200302
 
小市民色十一月の空
波多洋子
銀化
200302
 
赤き頬十一月の風が好き
瀬口ゆみ子
ぐろっけ
200302
 
木々の根に十一月の苔衣
田中聡子
遠嶺
200306
 
身に溜むる十一月の海の音
伊藤白潮
200312
 
酒蔵に十一月の日射しかな
遠藤和彦
遠汽笛
200312
 
閼伽桶に十一月の天運ぶ
神蔵器
風土
200401
 
十一月銀紙むけば雨になる
奥田筆子
京鹿子
200401
 
十一月日がいつぱいに始まれり
田宮勝代
酸漿
200401
 
人間を夢見て十一月の鯉
堀内一郎
あを
200401
 
透けるよな十一月の白き薔薇
早崎泰江
あを
200401
 
日の匂ふ十一月の櫟山
吉田島江
火星
200402
 
日を吸ふて十一月の象の鼻
加古みちよ
火星
200402
 
湖に十一月の青飛沫
小澤克己
遠嶺
200402
 
雑踏の十一月にいざなはる
川端実
遠嶺
200402
 
那須の原十一月の草香る
山田怜子
遠嶺
200402
 
双龍図十一月の空澄めり
谷村幸子
200402
 
母逝きし十一月の雨降れり
小橋末吉
対岸
200402
 
墨を水に流して十一月逝けり
浜福恵
風土
200402
 
十一月は死者の月とふ空の青
伊藤白潮
200402
 
散文のやうに十一月に入る
高田令子
200402
 
髪切つて十一月の火を使ふ
田村園子
200402
 
何もせず十一月の終ひけり
福原信子
築港
200402
 
朝顔の咲くさみしさの十一月
早崎泰江
あを
200402
 
木内憲子
200402
 
惣村古文書十一月のふところに
小野寺節子
風土
200409
 
ゆり大樹十一月の幹の立つ
神蔵器
風土
200412
 
十一月紙の重さを辞書とせり
渡邉友七
あを
200412
 
覗くなり十一月の鳩居堂
伊藤白潮
200501
 
猫にきき十一月に火を入れる
安部里子
あを
200501
 
八十路入る十一月の橋渡る
柳澤草笛
帆船
200501
 
十姉妹日のうつくしき十一月
中山純子
万象
200502
 
胸ゆるく十一月の帯をまく
栗栖恵通子
200502
 
日うら日おもて十一月がすぐ消ゆる
伊藤希眸
京鹿子
200502
 
草より落つ十一月の蜥蜴かな
根岸善行
風土
200502
 
海碧く十一月の遠富岳
林友次郎
遠嶺
200502
 
まなこ据ゑ十一月の矢を放て
田村園子
200502
 
人寄せの赤飯の湯気十一月
清水ミツコ
200502
 
うしろから雨ついてくる十一月
市場基巳
200503
 
株価良し十一月も疾く過ぎつ
木内憲子
200503
あたたかき十一月や骨密度
森田きよ
200505
 
この池は日の通りみち十一月
近藤貞子
六花
200511
十一月存分話す下車までも
水野町子
四葩
200601
玉砂利の光りや十一月来たり
高倉和子
200601
盲縞袖とほすとき十一月
中山純子
万象
200601
牡蠣うまき十一月は師を泣かす
神蔵器
風土
200601
モカの香や十一月の神保町
奥田弦鬼
風土
200601
書き込み多き十一月のカレンダー
生田恵美子
風土
200601
賑賑と十一月の二河白道
中野京子
200602
うかうかと十一月となりにけり
石川英利
百鳥
200602
奮ひ起つ十一月の膝頭
吉田明子
200602
まだぬくき十一月の旅二日
小澤克己
遠嶺
200602
白々と十一月の鼻の先
橋本良子
遠嶺
200602
かろやかに十一月の水の音
穴澤光江
遠嶺
200602
煌々と十一月の加賀の月
松村越子
馬醉木
200602
ティッシュの箱無限のやうで十一月
佐藤喜孝
あを
200601
照り映ゆる十一月のにぎり飯
佐藤喜孝
あを
200601
十一月の子規の疊を立ちあるく
佐藤喜孝
あを
200601
石鹸のころんともどる十一月
吉弘恭子
あを
200601
連山や十一月の日を溜めて
加古みちよ
火星
200602
日に甘え十一月の赤とんぼ
西山美枝子
酸漿
200602
山茶花や十一月の通院日
保田英太郎
風土
200602
煙し銀とは十一月の日暮かな
辻美奈子
200611
気もちいい十一月の風がふく
山口愛里
200702
博士像濡らす十一月の雨
片山由美子
200702
十一月おくれ気味なる腕時計
竹下昌子
200702
新聞をめくる十一月の音
田村園子
200702
気がつけば十一月の空の下
瀬下るか
200702
十一月山焦げてゐるところあり
石脇みはる
200702
静かなる十一月の朝の杜
穴澤光江
遠嶺
200702
窓明るく十一月の美術館
野路斉子
200702
一杯の昆布茶十一月はじまる
伊藤白潮
200712
手賀沼の十一月の曲りかな
青山丈
200712
駅へ来るたび十一月でありぬ
青山丈
200712
川光る十一月の葡萄棚
中田みなみ
200712
十一月六日の雨の瑞光寺
田中佐知子
風土
200801
寄り道てふ十一月の過し方
千田百里
200801
事多く十一月も疲れけり
中山純子
万象
200801
十一月上野の森に小豆煮て
野路斉子
200801
草ゆれて十一月のばつたかな
内山けい子
200801
河童の一物ふぐり十一月の妙見湯
竹内悦子
200802
隙間生る十一月の掲示板
柿沼盟子
風土
200802
十一月果つる夕べの時鐘かな
水田壽子
雨月
200803
颯爽と十一月の天守閣
林友次郎
天帝
200806
透明に十一月の谺かな
中田禎子
200808
青空を溜めて十一月の海
宮崎すみ
神々の交信
200808
横文字のカードが届く十一月
竹内弘子
あを
200112
身辺りを白布白紙に十一月
堀内一郎
あを
200811
この坂の十一月の曼陀羅華
竹内悦子
200901
年輪に十一月の蝶開く
山田 庫夫
炎環
200901
北野坂十一月の日傘かな
萩尾亜矢子
炎環
200901
十一月の峰誌携へ旅に出る
佐藤健伍
200901
労務士の四十年なり十一月
佐藤健伍
200901
忌や一つ十一月のうすみどり
神蔵器
風土
200901
参道の十一月の写真館
小山徳夫
遠嶺
200902
僧と遇ふ十一月の古書の町
橋本良子
遠嶺
200902
変革の十一月の星条旗
大西洵子
遠嶺
200902
ゆつくりと拳を開く十一月
浅田光代
風土
200902
江の島の猫居るギャラリー十一月
吉田悦花
炎環
200902
十一月の古書市百万冊の声
落合絹代
雨月
200902
船で来し十一月の柩かな
曽根新五郎
炎環
200903
訃報多し十一月のファクシミリ
遠藤逍遙子
風土
200903
化石掘る十一月の終わりの日
坪内稔典
船団
200903
淋しくて十一月は嫌ひてふ
今井千鶴子
ホトトギス
200904
富士が富士らしく十一月の貌
木村享史
ホトトギス
200905
のつぽなり十一月の影法師
木村享史
ホトトギス
200905
どことなく十一月にある余裕
稲畑汀子
ホトトギス
200911
満月の十一月の峠かな
滝沢伊代次
万象
200911
十一月の洩れ日大柄濤起こる
鳥居をさむ
ろんど
200911
燒肉で十一月を泣いてゐる
佐藤喜孝
あを
200912
彩こぼす十一月の金平糖
徳田千鶴子
馬醉木
201001
ダ・ヴィンチか十一月の虫の宴
四條進
201001
真直に十一月の墓を訪ふ
神蔵器
風土
201001
香煙や十一月の風乾く
林いづみ
風土
201001
甲斐駒岳十一月の紫紺かな
伊藤敬子
201001
十一月の目差しまるごと伊勢古道
有本倍美
ろんど
201002
丑年の十一月の結願堂
小澤克己
遠嶺
201002
石投げて十一月の水の音
中村洋子
風土
201002
十一月メタセコイアに逢ひにゆく
竹久みなみ
風土
201002
神田川十一月を蔵しけり
安永圭子
風土
201002
土管坂十一月の雨上る
市橋敬子
201002
忌日にて始まる十一月長し
平居澪子
六花
201002
渡舟わたし発つ十一月の空の下
白石正躬
やぶれ傘
201004
悪人になれず十一月六日 神蔵器 風土 201101  
連衆に十一月の山の水音 浜福惠 風土 201102 瑞光院
ゆつくりと十一月の雨の中 高田令子 201102  
十一月日ざしの方へ座を移し 田所節子 201102  
はじまりもしまいも寂し十一月 森理和 あを 201101  
母の背のごと十一月の日溜りは 加古みちよ 火星 201102  
稿積みて十一月の喫茶店 山田佳乃 ホトトギス 201104  
海光は十一月のさみしさに 山田天 雨月 201201  
十一月ぬくし爆布の眩しさよ 田中貞雄 ろんど 201201  
バリウム飲む十一月の白き部屋 平野数子 京鹿子 201201  
十一月のチーズケーキや屋敷町 大島翠木 201202  
子音めく十一月の乾し茸 甲州千草 201202  
まろやかに十一月の夕日落つ 吉村さよ子 春燈 201202  
庭師来て十一月を整へぬ 藤岡紫水 京鹿子 201202  
一枚を着たり脱いだり十一月 大坪景章 万象 201202  
もの言うて十一月の或る夜更く 蔦三郎 ホトトギス 201204  
父恋に十一月の暮れ早き 大橋敦子 雨月 201212  
十一月しづかに刻む砂時計 沼田桂子 春燈 201301  
月上げて十一月の村八分 神蔵器 風土 201301  
お香買ひ十一月の小店出る 田中藤穂 あを 201301  
庭の木々十一月の月影に 長崎桂子 あを 201301  
坦坦と十一月は足早に 森理和 あを 201301  
鳥の目に十一月の町一つ 菊川俊朗 201302  
竹林に聴く風十一月六日 宮川みね子 風土 201302  
九重の十一月の滝白し 工藤はるみ 風土 201302  
幾とせぞ十一月の別れより 大坪景章 万象 201302 欣一忌
十一月の山に老人笑ひ出す 大島翠木 201302  
十一月伸るか反るかの大勝負 瀬川公馨 201302  
丸丸と十一月の媼かな 柳川晋 201302  
エーゲ海十一月を泳ぐひと 松村光典 やぶれ傘 201302  
髪切つて十一月をよく遊ぶ 谷さやん 船団 201304  
ひきつづく十一月の夜寒かな 島谷征良 風土 201311  
烏猫伸びして振り向く十一月 森理和 あを 201401  
欣一と綾子の晴や十一月 大坪景章 万象 201401  
筑波山ほがらほがらと十一月 すずき巴里 ろんど 201402  
墓地の隅かがやく十一月の柿 大坪景章 万象 201402 綾子先生へ
十一月日和えらんで庭囲い 鎌田慶子 ろんど 201402  
十一月北斗ひたすら傾けり 藤岡紫水 京鹿子 201402  
里山の十一月の欅かな 古沢幸次 ろんど 201402  
虚子館に十一月をしめくくる 大石よし子 雨月 201402  
妊るや十一月の曼陀羅華 竹内悦三 201403  
蓋の無き湯呑がひとつ十一月 高野春子 京鹿子 201403  
昼も夜も電話に出ない十一月 森理和 あを 201403  
亡き犬の血統書捨つ十一月 近藤紀子 201403  
よく晴れて十一月もゆかんとす 今橋眞理子 ホトトギス 201404  
はや二十日十一月と思ふ間に 今井千鶴子 ホトトギス 201404  
夫の忌や十一月は嫌ひなり 今井千鶴子 ホトトギス 201404  
嫁ぐ娘に十一月の過ぎ易し 今橋眞理子 ホトトギス 201404  
余裕なくなりし十一月も果て 安原葉 ホトトギス 201404  
好日や十一月も旅重ね 大久保白村 ホトトギス 201404  
忘れしや十一月の時雨会 稲畑汀子 ホトトギス 201411  
祝ぎの日の余韻十一月もなほ 稲畑汀子 ホトトギス 201411  
くすり湯を焚く十一月の佛ごと 井上信子 201411  
安静へ十一月の白いカーテン 井上信子 201501  
はや一年振り返りみる十一月 小野寺節子 風土 201502  
畦一つ跳んで十一月に入り 井口ふみ緒 風土 201502  
踏み出せぬ十一月の一歩かな 雨宮桂子 風土 201502  
十一月日向に座せば黄蝶来る 飛高隆夫 万象 201502  
空抜くる十一月や男の子生る 久米憲子 春燈 201502  
自転して分針秒針十一月 伊藤紀子 ろんど 201502  
誕生日十一月の薔薇小さし 半田稜 ろんど 201503  
くねくねの十一月をたぷたぷと 鶴濱節子 船団 201505  
千の杉十一月の空をさす 遠山みち子 201601  
兜太の書十一月を正しけり 鴨下昭 201601  
風の音十一月の陽を押しぬ 生田作 風土 201602  
ジャンケングー十一月を握り込む 久保夢女 201602  
白き蝶吸ひ込む十一月の空 岡崎春菜 万象 201602  
古里の駅は無人に十一月 森里和 あを 201602  
十一月リトマス試験紙みな青く のざきまみこ 201603 十一月→2

 

2020年11月1日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。