寒満月     136句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
寒満月妻ののぼりしあとのなし 神蔵器 風土 199903
みな遠し寒満月のしらじらと 中村祭生 ぐろっけ 200003
風鳴つて寒満月の操車場 小澤克己 遠嶺 200004
有明の寒満月の御空かな 二瓶洋子 六花 200005
寒満月鬼貫の墓詣で来て 松崎鉄之介 200103
寒満月この揺らめきを誰に告げん 重高涌子 遠嶺 200104
岩戸より寒満月のせりあがる 後藤洋子 ぐろっけ 200104

 その新月の半月後

寒満月ハハハヒヒフフフ憂愁

入江一月 船団 200105
まつり上げられて独りや寒満月 まついひろこ 銀化 200202
寒満月仰ぎ魔性ともなれず 羽根嘉津 200204
子の家も照らして居らん寒満月 松本秀子 200204
寒満月一瞬無音となりし街 柿沼盟子 風土 200204
この道を寒満月に守られて 石田邦子 遠嶺 200205
寒満月無韻に過ぐる人も世も 北川孝子 京鹿子 200205
白がねの寒満月の面てかな 粟津松彩子 ホトトギス 200206
噴煙を上げし山の端寒満月 安原ときこ 遠嶺 200206
日の入りて寒満月の海の上 松崎鉄之介 200303
寒満月頭のどこかはなやげり 天野きく江 200303
寒満月ぐらりと奇蹟起こりさう 白髭美佐子 200304
弟よ寒満月の降りどころ 伊藤希眸 京鹿子 200305
寒満月遺影並べし大藁家 柴田佐知子 200312
寒満月こころの襞の伸びゆけり 西山美枝子 酸漿 200402
大玻璃の磨きこまれて寒満月 花島陽子 遠嶺 200404
円柱や昼の寒満月なりき 大島翠木 200404
千切れ飛ぶ白雲はやし寒満月 高嶋宇多子 栴檀 200405
怒るには力が足らず寒満月 柴田佐知子 200405
あかときの寒満月を独りじめ 仙石君子 雨月 200504
寒満月餃子百個のゆであがり 中野京子 200504
硨磲貝しゃこがいの殼の分厚き寒満月 岩月優美子 200504
生く者は眠れねむれと寒満月 丸山佳子 京鹿子 200601
寒満月歓喜のごとく葱畑 神蔵器 風土 200602
寒満月の強き光や父癒えよ 大川ゆかり 200603
寒満月熟睡の母はそのままに 佐山苑子 遠嶺 200604
もの言ひて寒満月に見られけり 竹内悦子 200604
探しものは身の内にあり寒満月 加藤みき 200604
寒満月余呉の湖あお白し 谷村幸子 200604
寒満月抱きし供華を十字路に 宮村フトミ ぐろっけ 200605
寒満月海ひたひたと波を織る 池田都々女 ホトトギス 200606
阿字観の寒満月でありしかな 高橋将夫 200703
落ちなむと寒満月の黄金色 松崎鉄之介 200704
寒満月眼鏡細身に歪みけり 高橋道子 200705
遠くより雪のこゑして寒満月 神蔵器 風土 200803
寒満月若衆色めき荒神事 大井邦子 ぐろっけ 200803
夜回りの寒満月に向ひゆく 大西裕 酸漿 200803
眼の底に寒満月を溜め戻る 渡邉友七 あを 200902

 通夜

寒満月かへりに同じ角曲り

神蔵器 風土 200903
上り来て寒満月の座に坐る 根岸善行 風土 200903
夫よ子よ召されし人よ寒満月 森道子 京鹿子 200903
寒満月浮べし雲の波白し 阿部文子 酸漿 200903
詩仙来て寒満月の座が締まる 小澤克己 遠嶺 200904
絵馬抱へ寒満月を仰ぎけり 橋本良子 遠嶺 200904
寒満月全天晴の中いそぐ 泉田秋硯 200904
ふたつある寒満月や空と水 中野京子 200904
寒満月知る人ゆゑに追ひ越さず 風間史子 200904
雫して地球がのぼる寒満月 小林和子 風土 200904
雪止むや寒満月の与謝郡 柴野静 200905
生かされて寒満月の下にあり 松吉惠子 遠嶺 200905
寒満月毬とつきませうつた姫 中尾杏子 201003
上りきて寒満月となりにけり 根岸善行 風土 201004
接近の火星従へ寒満月 片桐てい女 春燈 201004
寒満月背負ひ斯道の遥かなり 安田久太朗 遠嶺 201005
待避線の貨車の逃亡寒満月 鴨下昭 201101
寒満月大東京をてのひらに 神蔵器 風土 201103
寒満月自決の刃先思ふべし 柴田佐知子 201103
ほどの良き雲ふり払ふ寒満月 久米なるを 201104
寒満月仰ぎつ急ぐ家路なり 渋谷ひろ子 酸漿 201104
神南備に寒満月の高くあり 川崎良平 雨月 201104
寒満月ほめて門まで客送る 名取袿子 201105
寒満月刻々沈む神の峰 滝川あい子 雨月 201106
寒満月雪吊は影低く立つ 野沢しの武 風土 201107
スカイツリー寒満月を突いてをり 久染康子 201203
寒満月消すすべもなき黄泉路かな 雨宮桂子 風土 201204
寒満月上げて大山巌の像 大坪景章 万象 201204
寒満月眼の冷ゆるまで仰ぐ 石垣幸子 雨月 201204
もう終はる点滴の滴寒満月 児玉有希 京鹿子 201205
寒満月少年の絵馬文字太し 小原登志春 雨月 201301
金魚池寒満月の身じろがず 小川玉泉 末黒野 201304
寒満月この世が異界かもしれず 高橋道子 201305
深海のごとき北空寒満月 土井ゆう子 風土 201305
地の音は消えて孤高の寒満月 大坪景章 万象 201305
寒満月世のしがらみを断ちにけり 中田のぶ子 ろんど 201305
寒満月一過客なる潜水艦 田中貞雄 ろんど 201401
寒満月産みたる山の暮れ残る 杉浦典子 火星 201402
髪解きて巫女が家路へ寒満月 荒井千佐代 201403
髪解きて巫女が家路へ寒満月 荒井千佐代 201403
高くして寒満月の冴える夜 羽賀恭子 201404
寒満月家路を照らしくるるなり 山田春生 万象 201404
寒満月猫の足あと埋めてゆく 上野紫泉 京鹿子 201404
寒満月玻璃に貼りつく気配して 竹内悦子 201404
金粉を撒き散らしつつ寒満月 飛高隆夫 万象 201404
寒満月詩心生るる句座帰り 嵐弥生 末黒野 201405
寒満月あとさき人を置かざりし 山崎靖子 201405
大欅寒満月を押し上げて 清水節子 馬醉木 201503
寒満月沼にあふれんばかりかな 内海保子 万象 201503
競艇果つ水面平に寒満月 鈴木石花 風土 201504
仰ぎ見る寒満月の清々し 羽賀恭子 201504
寒満月閉むるに惜しき木の雨戸 波多野孝枝 末黒野 201505
寒満月大東京をてのひらに 神蔵器 風土 201602
寒満月難民に加護たれ給へ 渕上千津 201603
涙目か涙もろさか寒満月 北川孝子 京鹿子 201604
寒満月地下鉄車輌地に並び 加藤みき 201604
寒満月若草山に火を放つ 雨宮桂子 風土 201604
寒満月構へなき身を射通せり 松林依子 201605
ややいびつ昨夜の寒満月よりも 瀬島洒望 やぶれ傘 201606
中天の寒満月に歳糺す 松本鷹根 京鹿子 201704
明け遣らぬ西方浄土寒満月 竹内悦子 201704

 関白道長

寒満月透かさるる心に翳りなし

高野昌代 201704
船旅や寒満月の中天に 前川美智子 末黒野 201704
寒満月浮かびし顔の愉色かな 平澤侃 末黒野 201704
身を射らる寒満月の光かな 鈴木庸子 風土 201704
寒満月身を切る風は勢を増す 長崎桂子 あを 201703
句座帰り寒満月を一人占め 福田禎子 末黒野 201705
玲瓏と寒満月の極まれり 多方清子 雨月 201803
老猫も寒満月を見上げをり 秋川泉 あを 201804
寒満月満潮堤を越えむとす 川崎雅子 春燈 201804
日一日寒満月は和三盆 鷺山珀眉 京鹿子 201804
転びけり寒満月を称へゐて 秋川泉 あを 201903
ぬっと出し寒満月に声を上げ 秋川泉 あを 201903
寒満月鴇色の失せ澄み切れり 赤座典子 あを 201903
寒満月椎の葉蔭に光をり 田中藤穂 あを 201903
ぽっかりと寒満月の今生まる 秋川泉 あを 201903
寒満月ぬぬっと出し橋の上 秋川泉 あを 201904
むかし話の絵本抜けでし寒満月 塩貝朱千 京鹿子 201904
寄席はねて寒満月が野の涯に 坂入喜代枝 201905

 悼中村哲氏
寒満月原野の涸るることなかれ

栗坪和子 202002
寒満月夫と夜参りしてをりぬ 岩田洋子 202003
澄みわたる寒満月や秘境の湯 渡会昌広 馬醉木 202003
寒満月拝し一日をしめくくる 高井修一 春燈 202004
寒満月張り合ふ者はなかりけり 瀬川公馨 202004
ロボットがお帰りと待つ寒満月 大山夏子 202006
寒満月海にくだけて揺れやまず 小河原清江 梛の木 202007
寒満月等身の濃き影一つ 大川暉美 末黒野 202105
皓皓と寒満月の孤高かな 飯田久美子 末黒野 202105
南の島くまなく照らせ寒満月 赤座典子 あを 202203
寒満月魔女の影置き皓皓と 塩貝朱千 京鹿子 202204
寒満月樹齢重ねし樫越えて 菅野日出子 末黒野 202205

 

2023年1月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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