冬満月      191句

冬満月雑木林のすぐうしろ    川崎展宏

冬の月  冬月  冬満月  冬三日月  寒満月  凍月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬満月母を見ていて見失う 横地かをる 海程 199904
戻り路よ冬満月に見送られ 林翔 200003
たかだかと冬満月や湖きらら 中川悦子 酸漿 200004
冬満月ここにゐる亡夫の声 石橋翠 いろり 200101
冬満月狸ばやしは地底より 塩貝朱千 京鹿子 200101
稜線に冬満月のかかりをり 石山民谷 遠嶺 200103
頤や冬満月が斜交ひに 横松しげる 200105
母と娘に冬満月の停まれり 木村真魚奈 京鹿子 200111
夜の景は隅なく青し冬満月 木下節子 雲の峰 200201
犬連れて冬満月の下歩く 辻のぶ子 雲の峰 200202
冬満月遠忌ついでの由布泊り 吉田政江 200202
冬満月影踏み遊び子に教ふ 大串章 百鳥 200202
絹雲に冬満月ののりにけり 中野京子 200203
冬満月湖面を弛くしてゐたり 小川えいいち 遠嶺 200203
冬満月牛に抱かるる外寝人 高橋正彦 200204
冬満月男を一人手離せり 小林あつ子 火星 200207
午後の晴れ冬満月につながりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200211
冬満月やがては沈む村明かし 子安教子 200301
冬満月からくり人形眼をひらく 雨村敏子 200303
冬満月早寝の夫と並びたる 伊藤多恵子 火星 200303
冬満月夕日にうすき紅もらひ 堀博子 火星 200303
山峡に冬満月をかかげをり 鈴木とし子 遠嶺 200304
さがしもの冬満月の中にあり 米須あや子 遠嶺 200304
はなれ星孤独にさせぬ冬満月 伊藤真代 200307
金婚の子離れすみし冬満月 竹貫示虹 京鹿子 200312
磔刑の冬満月の出副都心 福嶋千代子 200402
冬満月絞る手力知恵も欲し 禰寝瓶史 京鹿子 200402
師の遺影ほゝゑみてをり冬満月 高橋瑛子 河鹿 200403
吹き晴れや冬満月の宙吊りに 近藤喜子 200403
通夜を辞し冬満月に面を上ぐ 水野あき子 遠嶺 200403
砂丘ゆく遠まはりして冬満月 蓮尾あきら 風土 200403
電線で綱渡りして冬満月 小山百合子 遠嶺 200405
杉山の漆黒抜くる冬満月 森屋慶基 風土 200411
冬満月つり橋渡つてをりにけり 植木戴子 200502
湖底めく冬満月の鬼無里村 伊藤たいら 雲の峰 200502
サキソフォン冬満月を上げにけり 久松久子 百鳥 200502
晩年は冬満月のしずくかな 大島翠木 200503
冬満月魔女の箒の過りけり 尾堂Y 河鹿 200503
冬満月心の窓をみがきたし 佐藤ナオ子 遠嶺 200503
冬満月大輪の暈被てをりぬ 中垣郁代 築港 200504
冬満月胸に銀杏の降りゆきぬ 大島翠木 200602
駅からは一人となりて冬満月 矢田弘子 対岸 200602
平家村冬満月にしづもれる 小山漂葉 酸漿 200602
天空の宴の時刻冬満月 安永圭子 風土 200602
有明の冬満月をみて発ちぬ 三輪慶子 ぐろっけ 200603
冬満月路上ピエロの一輪車 師岡洋子 ぐろっけ 200603
身のユダを冬満月に放ちけり 大島翠木 200603
明るくて冬満月を仰ぎけり いば智也 六花 200603
冬満月我より前を影法師 北村香朗 京鹿子 200603
何よりの妻の元気や冬満月 永田哲心 遠嶺 200604
永別はかくも静かに冬満月 環順子 夢帽子 200608
海坂に見ゆ船一つ冬満月 松林順子 雨月 200702
冬満月魁夷の白馬天を行く 神蔵器 風土 200702
冬満月散るものもなき枝の影 長崎桂子 あを 200702
己が影己がおどろく冬満月 大山里 200703
徘徊の妻の融けゆく冬満月 河内桜人 京鹿子 200703
冬満月本音を飲みて胃の痛し 市橋章子 ぐろっけ 200705
生も死もどうでもよろし冬満月 折橋綾子 200802
冬満月真向ひにある家路かな 辰巳あした 雨月 200802
潮騒や冬満月の熊野灘 小山香月 酸漿 200802
赤信号冬満月を仰ぎたり 須賀敏子 あを 200802
冬満月栄華の跡をただ照らす 近藤紀子 200803
冬満月娘の店に花を植ゑ 椿和枝 200803
冬満月白き巨きな量つくる 椿和枝 200803
冬満月わが住む星の青きとや 永塚尚代 ぐろっけ 200803
雲を出て兎の躍る冬満月 山下良江 万象 200804
天心に冬満月や渓の音 田島勝彦 遠嶺 200804
科学より童話が親し冬満月 宮野照子 馬醉木 200902
落ちさうな冬満月や由紀夫の碑 外川玲子 風土 200902
揺り椅子の揺るる頭上冬満月 三輪初子 炎環 200902
冬満月木椅子一つを与へかし 井上信子 200902
ひむがしに冬満月の孤高かな 千田敬 200902
庭師いま仕上げしばかり冬満月 北川英子 200902
冬満月飛石づたひの母の部屋 笹村政子 六花 200902
つまづいて冬満月に起こさるる 小澤克己 遠嶺 200903
冬満月人祈りゐて力得る 田巻和子 遠嶺 200903
冬満月わが胸の内見透かさる 薗田智子 遠嶺 200903
ラジオより芭蕉の講座冬満月 三角千栄子 炎環 200903
冬満月それを嫉妬といふらしい 添田勝夫 炎環 200903
「舟弁慶」果つ松濤町冬満月 林いづみ 風土 200903
冬満月楷書でしるす命名軸 河村泰子 ぐろっけ 200903
冬満月低く里山這ふやうに 林陽子 万象 200903
子ら去りて冬満月の濡れてをり 本田久美 遠嶺 200904
煌々と冬満月の窓にあり 東芳子 酸漿 200904
かがやきて冬満月の入日かな 滝沢伊代次 万象 200911
冬満月友と再会第九聴く 米山喜久子 201001
約束の冬満月となり居たる 井上信子 201002
外にも出で冬満月に立ち尽す 船橋とし 201002
書肆めぐる冬満月の街を抜け 中原敏雄 雨月 201002
冬満月牛王宝印ふところに 中島陽華 201003
冬満月どんろど橋の上にをる 松本桂子 201003
暮るるまで冬満月のかろさかな 中野京子 201003
髪梳いて冬満月の重さかな 篠藤千佳子 201003
冬満月ベイブリッジを行く汽笛 内藤庫江 末黒野 201003
冬満月と我のあひだに何もなし 高田令子 201003
行く道に冬満月のあがりけり 山田春生 万象 201003
後半生攫われそうな冬満月 桑名さつき ろんど 201003
冬満月夙志の途の半ばなり 川口襄 遠嶺 201004
冬満月引く波白き桂浜 美田茂子 末黒野 201004
冬満月ジエームスデイーンは永久の人 佐々木紗知 京鹿子 201005
湖も山も墨絵ぼかしに冬満月 森岡正作 201101
冬満月夜明前なる雲を出づ 阿部文子 酸漿 201102
冬満月明石海峡隈もなし 橋本榮治 馬醉木 201103
池の面の冬満月の蒼さかな 小川玉泉 末黒野 201103
冬満月黒塀つづく柊家 西村雪園 風土 201103
踏切や冬の満月はなさきに 定梶じょう あを 201103
冬満月庭の外れの朴大樹 西本才子 万象 201104
雲流れ羽化の済みたる冬満月 中島讃良 ろんど 201104
初冬や満月白き西の峰 伴秋草 末黒野 201202
影踏みの声の消えたる冬満月 井上淳子 火星 201203
黄みばしる西の満月冬の朝 柳田皓一 かさね 201203
次の曾孫は男子と分かり冬満月 小野口正江 末黒野 201203
鯨幕冬満月め隔たりに 山尾玉藻 火星 201212
冬満月木霊に応ふ魔法瓶 田中貞雄 自註句集 201301
冬満月従へるかに星一つ 早崎泰江 あを 201302
冬満月しろがねに出づ来年は 高橋道子 201302
冬満月メタセコイアの虚空かな 鶴原妙 ろんど 201302
ノーベル賞すでに過去とや冬満月 宮内とし子 201302
冬満月仰ぎて祈り重ねけり 西川春子 春燈 201303
なに祈るべきこの冬の満月に 松田泰子 末黒野 201304
夕餉煮る匂ひただよふ冬満月 長崎桂子 あを 201401
宿の夜の冬満月を窓にして 大島英昭 やぶれ傘 201401
冬満月ゆつくり山を離れけり 大滝敏子 末黒野 201402
冬満月古都にしづけさ戻りけり 小山繁子 春燈 201402
朝まだき冬満月の明かりなほ M谷和代 万象 201403
山頂に雲を遊ばせ冬満月 中山静枝 201403
冬満月電話で友を誘ひ出す 小山直子 末黒野 201404
灯を消して冬満月を独り占め 小山直子 末黒野 201404
冬満月幽かにフェニックスの風 岩月優美子 201502
窓明けて頬の強張る冬満月 長崎桂子 あを 201502
冬満月ジェンガ一瞬にて崩る 笹村恵美子 201503
冬満月オカリナの音の耳心地 佐藤凉宇子 ろんど 201503
日常に轍をつける冬満月 こうのこうき ろんど 201503
冬満月のぼる速さをまのあたり 飛高隆夫 万象 201503
冬満月遠くに姉の声たしか 三木千代 201505
冬満月君と仰ぎし刻思ふ 雨宮桂子 風土 201603
冬満月較ぶるもののなき孤高 荒井千瑳子 201604
冬満月沼黒々とふくらめり 内海保子 万象 201610
冬満月小指に光るリングかな 中田禎子 201702
両翼を灯して過る冬満月 内藤静 風土 201702
雲迅く冬満月の照り翳る 松原智津子 万象 201702
冬満月子の誕生の報せ待つ 落合裕子 万象 201702
信濃路や冬満月と農家あり 田中信行 201703
余生なほ冬満月の明るさよ 中貞子 201703
拝みたり冬満月の落着きを 大坪景章 万象 201703
真間川の急流と化す冬満月 溝呂木信子 201704
冬満月川面を統ぶる午後十時 沼崎千枝 末黒野 201704
フランス語のアベマリア聴く冬満月 鈴木石花 風土 201704
冬満月暫し癒しの時を得る 長崎桂子 あを 201801
冬満月残し露天湯去りがたし 森藤千鶴 馬醉木 201802
冬満月上げて宿場の版画めく 中田みなみ 201803
冬満月に見透かされをり心ぬち 河本由紀子 春燈 201803
赤富士に冬満月の沈みけり 岡田ちた子 雨月 201803
冬満月回転扉止めたのね たかはしすなお 201803
冬満月巨きく載せて安房の山 森清堯 末黒野 201804
冬満月海を顕たせる波明り 伊藤希眸 京鹿子 201804
姉逝くや冬満月を待つやうに 下田奉枝 雨月 201804
ぬつと出ていつもあるかに冬満月 奥田温子 やぶれ傘 201804
竹林に椋鳥の塒や冬満月 須賀敏子 あを 201804
詩心ふと冬満月の明るさに 石黒興平 末黒野 201805
刻一刻蝕まれゆく冬満月 大橋晄 ホトトギス 201809
冬満月光陰操る皆既食 渡部恭子 201902
冬満月圃場遠くに人の影 辻響子 201903
冬満月むかしむかしは通ひ婚 片山煕子 京鹿子 201903
二日続きの冬満月嬰生まる 竹内悦子 201904
心性を灸り出したる冬満月 河崎國代 春燈 201904
カンツォーネ冬満月の港町 中村世都 201905
吾も修羅冬満月に立ち尽くす 森祐司 201910
山城や冬満月のさえ渡り 秋川泉 あを 202001
冬満月に強く生きよと励まされ 駒井でる太 馬醉木 202002
極楽のこのままつづけ冬満月 井上静子 202003
よく晴れて曾孫生れて冬満月 宮地静雄 末黒野 202004
うすぎりの蕪のやうな冬満月 沼田桂子 春燈 202004
冬満月柞の森の奥透けて 森清堯 末黒野 202004
出て見よと夫の知らせる冬満月 山本久枝 やぶれ傘 202006
冬満月稲佐の浜に潮さして 中貞子 202102
冬満月昔となりしコロナ前 岩藤礼子 やぶれ傘 202103
跨線橋冬満月を横に見て 奥田温子 やぶれ傘 202103
山なみを照らし出したる冬満月 西住三惠子 202104
方舟の影尋ねたり冬満月 楠本和弘 202202
見とれゐる冬満月の大きさに 橘正義 春燈 202203
冬満月人のくさりのちりぢりに 神蔵器 風土 202203
可惜夜の冬満月やかむさびて 小林拓路 末黒野 202204
改札出で冬満月とぶつかりぬ 上野紫泉 京鹿子 202204
さっと見てすぐ家に入る冬満月 田中藤穂 あを 202204
一艘のための桟橋冬満月 荒井千佐代 202205
ぬばたまの冬満月や波の音 河野礼子 末黒野 202206
山なみを照らし出したる冬満月 西住三惠子 202212
舌の根も木の根もすこやか冬満月 北川孝子 京鹿子 202212
 

 

2023年1月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。