凍 月    38句

月光は凍りて宙に停れる   山口誓子   炎晝

冬の月  冬月  冬満月  冬三日月  寒満月  凍月

作品
作者
掲載誌
掲載年月
月凍ての純度高まる刻ならん 峯尾文世 銀化 199901
凍月の鉄塔に触れ壊れさう 西岡美代子 百鳥 200106
少年の言葉のナイフ凍つる月 篠田純子 あを 200107
月凍てゝ地震の記憶の朝かな 稲畑汀子 ホトトギス 200201
月凍つるまざと吾が影木々の影 金田きみ子 200203
月凍つる群青の村その下に 岡田順子 ホトトギス 200306
月凍つるくるり向き変へ風見鶏 佐々木恭子 遠嶺 200403
凍らむと月光軋む桐林 橋本榮治 馬醉木 200502
さみしさに犬吠えてゐし月凍る 川崎洋吉 遠嶺 200503
凍月やひとりの部屋へかへらねば 渡辺素子 帆船 200504
星一つ従へてをり凍てし月 赤座典子 あを 200504
あでやかな弦のハバネラ凍月夜 赤座典子 あを 200504
夕月も凍てなきがらは眠りゐる 市場基巳 200506
遷行の儀てふ凍月懸る杜 河合佳代子 栴檀 200603
終生の友を喪ひ月凍つる 柳生千枝子 火星 200702
糞船も凍てゝ並木にかかる月 瀧春一 200706
凍て月の光斜めに越の海 竹中一花 200708
凍空に夕星のあり二月堂 山村修 酸漿 200803
月凍つるしじまの中の御輿蔵 高橋将夫 200804
弦月の凍てて鋭き光かな 有元洋剛 201003
凍て月や零れて光るピラカンサ 川村一旦子 末黒野 201104
作物に被爆のおそれ月凍つる 田中藤穂 あを 201201
穂高嶺に照る冬月も凍てにけり 中村翠湖 馬醉木 201202
月凍てて樹林に残る獣道 田中由喜子 馬醉木 201204
凍て月の照らす母屋に母臥せり 沖則文 ぐろっけ 201205
月凍てて魔性は息を吹き返す 前田恵美子 青鷹 201210
玻璃越しに月影凍つる吾がベッド 秋田直己 ぐろっけ 201303
月青く凍てて荒磯ばかりかな 遠藤真砂明 201403
冷凍の月光漬けのわが家かな 石田きよし 201403
雲霽れて月の凍れる石切場 玉田瑞穗 万象 201404
快晴のはじまる月と星凍てて 稲畑汀子 ホトトギス 201501
夜は竊に瀧は月下に凍てにけり 井上石動 あを 201501
月凍てて生あたたかき犬の舌 笹村恵美子 201503
星一つ従へ月の凍てにけり 内山照久 201703
あかがねの凍つる球体月の蝕 辻美奈子 201804
鳥瞰の風のうるさし凍つる月 篠田大佳 あを 202101
清め塩一グラム入り月凍つる 柴崎和男 やぶれ傘 202105
月光の凍てて丹後の奥にゐる 田邑利宏 202110

 

2022年1月26日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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