冬三日月      81句

黒き月のせて三日月いつまで冬  西東三鬼  変身

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬三日月トンガリ屋根にとどめたき 野口光枝 高籬 199812
千曲川冬三日月のささやけり 小宮山勇 青胡桃 199905
冬三日月不眠不休の下水管 小枝恵美子 ポケット 199911
独り寝を冬三日月に覗かるる 石田静 200003
冬三日月吊されやがて鳥になる 斎藤白砂 海程 200009
舟寄せて冬三日月に舫ひけり 小澤克己 遠嶺 200105
潮騒や冬三日月の舟に乗る 田中聡子 遠嶺 200303
仰ぎ見る冬三日月の冴々と 木村迫子 酸漿 200304
冬三日月もう一度見に起きいでし 大木千鶴子 雲の峰 200401
鐘の音の冬三日月を尖らせり 与川やよい 遠嶺 200403
ふかれ来て冬三日月を仰ぎけり 阿部正枝 遠嶺 200406
冬三日月白寿の翁隠り世へ 中御門あや 雲の峰 200502
ヘッドランプに夜の明けて来し冬三日月 松井倫子 火星 200503
合鍵を冬三日月に吊しけり 吉田明子 200503
冬三日月言ひたきことば明日にする 尾堂Y 河鹿 200503
冬三日月桂歌丸艶話 滝本正史 帆船 200505
相照らす宵の明星冬三日月 宮津昭彦 200602
これやこの冬三日月のきひかり 久保田万太郎 春燈 200603
登り窯冬三日月は山の端に 八木柊一郎 ぐろっけ 200603
冬三日月道をはづれず落ちにけり 外川玲子 風土 200604
何もかも始めと終り冬三日月 篠田純子 あを 200702
笹の茶をふるまふ老舗冬三日月 今井松子 遠嶺 200703
冬三日月寡黙なること沈むまで 宮津昭彦 200801
電線の邪魔つけなるぞ冬三日月 三浦ゑおり 風土 200803
冬三日月金のしづくをこぼしたる 中島陽華 200803
冬三日月漢ひとりの寂と立つ 米須あや子 遠嶺 200804
星二つ冬三日月の舟にのり 松本静江 遠嶺 200903
明日への気構へ伝ふ冬三日月 波田真澄 遠嶺 200903
削られて冬三日月の細さかな 外川玲子 風土 200903
介護ベッドほどの傾き冬三日月 高橋道子 200903
冬三日月ひらきしままの友の文 今井松子 遠嶺 200904
明月記に会ひ冬三日月に送らるる 荻野嘉代子 春燈 201003
臍の緒は行方知れずや冬三日月 柴田佐知子 201004
うっすらと地球照なる冬三日月 山崎真義 201101
冬三日月沖波つひに海石噛む 神田恵琳 春燈 201102
冬三日月銀杏の瘤を磨きをり 松本三千夫 末黒野 201103
冬三日月刺客と呼ばれたることも 水野恒彦 201103
風少し冬三日月と飛行船 國保八江 やぶれ傘 201106
冬三日月街に迷子の異邦人 川崎真樹子 春燈 201201
冬三日月風のすさびに研がれをり 北川英子 201201
冬三日月霞ヶ浦に帆を掛くる 小泉欣也 ろんど 201204
湾岸の高きビルより冬三日月 松岡利秋 かさね 201205
悲鳴めく風を怺へて冬三日月 北川英子 201301
再稼働冬三日月の湖越える 鴨下昭 201301
冬三日月透徹優雅に静かなり オ水谷直子 京鹿子 201303
身中に入るや冬三日月の翳 中島讃良 ろんど 201204
あまねしや冬三日月の光あり 原久栄 末黒野 201304
飛行機の冬三日月の弧にかかる 兵泉美 京鹿子 201401
冬三日月霞ヶ浦に帆を掛くる 小泉欣也 ろんど 201402
冬三日月触れなば指の切れさうな 大木清美子 201402
冬の三日月舟に乗せたし天女かな 犬塚芳子 201403
闇をさく冬三日月の笑ひかな 中野京子 201403
冬三日月一番星のために痩す 中田のぶ子 ろんど 201403
冬三日月動けば斬られさうな夜 菊川俊朗 201404
杉の秀の冬三日月を冠とす 後藤眞由美 春燈 201602
道長は冬三日月を見る気なし 高橋将夫 201602
三日月を傷のごとくに冬の海 松本三千夫 末黒野 201603
冬三日月塗椀一対出してをる 中田禎子 201604
冬三日月狐化粧の長き列 荒井和昭 201604
直角に来る晩年や冬三日月 齋藤厚子 201604
覚悟てふ錨しづむる冬三日月 栗原公子 銀の笛 201612
冬三日月神話となりし鳥・獣 宮内とし子 201702
雲置かぬ冬三日月や鳶三羽 福田禎子 末黒野 201702
冬三日月夢のつづきを尋ねたし 本多俊子 201704
風の街冬三日月の低くあり 森なほ子 あを 201802
冬三日月欠けた部分は補はぬ 高木晶子 京鹿子 201803
第九聴く今年も冬三日月を背に 植木やす子 201902
訃が一つ冬三日月の瞬きよ 山岸明子 201910
すでに体温失せし喪服よ冬三日月 井上菜摘子 京鹿子 201912
冬三日月刃の光滴らせ 岡野里子 末黒野 202004
冬三日月のひつかけてゐる星ひとつ 布施由岐子 末黒野 202103
中天の冬三日月は屋根に映え 石原健二 やぶれ傘 202103
鳩居堂瓦の上の冬三日月 森なほ子 あを 202202
取り消しの出来ぬ言の葉冬三日月 井上静子 202202
冬三日月椎の大樹の上にあり 田中藤穂 202202
冬三日月ひつそり光る帰り道 山口地翠 春燈 202203

 

2023年1月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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