かき氷 1      200句

子が食べて母が見てゐるかき氷    森澄雄

氷水  かき氷  夏氷 氷旗  氷店・削氷

作品
作者
掲載誌
掲載年月
かき氷先に来てゐる五六人 稲畑汀子 ホトトギス 199808
弁解の口をまつ赤にかき氷 竹貫示虹 京鹿子 199810
人波をはづれて樹下のかき氷 平子公一 馬醉木 199909
おばちやんの太さ二の腕かき氷 松木知子 ヒッポ千番地 199910
湧く雲の白さを盛りしかき氷 野路斉子 199911
顳痰貫くことばかき氷 宮澤さくら 遠嶺 199911
一匙に夢の滴るかき氷 甲田夏湖 船団 199912
思ひつきかくや名残りのかき氷 菊地澄子 酸漿 200001
守銭奴の舌やつと出すかき氷 飯島士朗 銀化 200009
船渡御を待つ一刻のかき氷 水原春郎 馬醉木 200010
かき氷旗を百年飛ぶ千鳥 亀丸公俊 銀化 200011
瓦屋根多き谷中やかき氷 緑川啓子 馬醉木 200101
大阪の橋越えてきてかき氷 東莎逍 船団 200102
ひそみゐる天上の青かき氷 仁藤さくら 船団 200106
昼月を横切るセスナかき氷 森理和 あを 200108
磁石ともなりしぶつかき氷かな 和田瑞子 銀化 200108
かき氷海へひろがる駅の道 高鴨アヤ子 春耕 200109
ひよいとをがみたくなるかき氷 滝沢環 京鹿子 200109
融けさうといふ顔になるかき氷 岩田登世 雨月 200109
体型を戻せぬままにかき氷 今井田敬子 円虹 200110
かき氷日は赤松へ廻りけり 桑田眞佐子 火星 200110
子の家の喜怒旺んなりかき氷 岡田和子 馬醉木 200110
昼鴉鳴く祖母の忌のかき氷 春田淳子 俳句通信 200110
かき氷色をたがへて山崩す 富田道子 円虹 200112
また嘘の恋告げられてかき氷 木田千女 200208
かき氷妣に中剃りありし日も 下材志津子 銀化 200208
かき氷やはり二人は未然形 藤井基史 帆船 200209
かまへずに物云ふ仲のかき氷 芝宮須磨子 あを 200210
かき氷一気に噛んで脳停止 吉田裕志 200210
かき氷売りて季節の店となる 堺井浮堂 円虹 200211
かき氷せむ宝の山の小豆煮て 山田六甲 六花 200308
天地のホメオスタシスかき氷 高橋将夫 200309
河童忌や愛はガラスのかき氷 斉藤静枝 あを 200309
瀞八丁中洲で休みかき氷 内山定子 築港 200310
長き匙長く使ひてかき氷 渡部義雄 200311
かき氷ほんの三口に目をつむる 林裕美子 六花 200401
寅さんの大きポスターかき氷 釜井瞳子 対岸 200408
誓子館出れば名物かき氷 中山富子 築港 200409
駄菓子屋のおばさん作るかき氷 増田智子 帆船 200409
送迎デッキ君とわけ合ふかき氷 飛鳥由紀 200409
かき氷もう一匙を食べ余す 辻井桂子 京鹿子 200409
飼ひ猫の聞き耳立てるかき氷 浅田光蛙 対岸 200409
エスタシオンイヨノマッヤマかき氷 山田六甲 六花 200409
トルファンの旅の話にかき氷 北村和子 草の花 200409
かき氷店屋の看板ペンキ剥ぐ 左官治郎 200410
そらされて戻らぬ会話かき氷 加藤隆平 帆船 200410
かき氷琵琶湖に虹のかかりけり 沖増修治 百鳥 200411
鎌倉の五山の風やかき氷 内藤ゑつ ゑつ 200411
かき氷崩して家族といふ時間 玉川梨恵 200411
脳天の射抜かるるごとかき氷 常盤しづ子 馬醉木 200412
太平洋の風一望のかき氷 堀田こう 雨月 200501
溶けるまで墓に供へるかき氷 石橋萬里 ぐろっけ 200502
松の間に掻氷屋の背のありし 山尾玉藻 火星 200507
足湯して見知らぬ人とかき氷 鎌倉喜久恵 あを 200508
かき氷むきになりたる昼下り 赤座典子 あを 200509
かき氷一人一人の輝けり 浅田光喜 対岸 200510
柴又の旗新しやかき氷 渡部伸一郎 百鳥 200510
塩原の田舎芝居とかき氷 芝宮須磨子 あを 200510
双塔の間近にありてかき氷 広瀬公子 百鳥 200511
順番を待つ長き列かき氷 金森恭子 築港 200511
かき氷当たり障りの無き話 伊藤早苗 200511
かき氷闇は側まで来てをりぬ 犬塚芳子 200511
あかんぼのおでこにこぼれかき氷 ことり 六花 200605
水といふシンプルが好きかき氷 木村茂登子 あを 200608
かき氷アルミの匙の懐かしき 宮入河童 200610
みづいろの声出できたるかき氷 服部早苗 200610
一徹は老の美学かかき氷 木下忠雄 酸漿 200707
これ以上大き字は無し「かき氷」 林翔 200707
「しずか」てふ子豚のご褒美かき氷 岡本幸枝 ぐろっけ 200710
子らの旅地図に確かむかき氷 水原春郎 馬醉木 200710
奥暗きより運ばれてかき氷 青山丈 200710
紙芝居缶蹴り駆けつこかき氷 田中春生 200711
かき氷食ぶに遅れをとつてをり 高橋道子 200711
汗りんりアイスクリームより掻氷 浮田胤子 ぐろっけ 200711
山頂はすでに崩壊かき氷 愛甲厚子 200711
饒舌のリズム鈍らすかき氷 塩路五郎 200808
藍暖簾ふらり銀座のかき氷 西田史郎 200809
ひと日来て命のかての欠氷 小林碧郎 馬醉木 200810
濡れし手で運ばれてくるかき氷 青山丈 200810
祭りの日頭がいたいよかき氷 広瀬結麻 200810
かき氷内腑一瞬驚かす 楯野正雄 200811
客観に主観をかけるかき氷 高橋将夫 真髄 200907
健啖がはばかるほどのかき氷 黒澤登美枝 200909
深からず浅からぬ仲かき氷 田中藤穂 あを 200909
かき氷三口でたりし齢かな 黒澤登美枝 200909
かき氷なかなか消えぬ蒙古斑 篠田純子 あを 200909
かき氷こぼし縁台将棋かな 石田きよし 200910
かき氷このごろ夫の兄のやう 高橋芳子 火星 200910
子の舌の蜥蜴めきをりかき氷 丸山照子 火星 200910
こぼしたるものより融けるかき氷 きくちきみえ やぶれ傘 200911
旧友と時戻しをり欠氷 菊池由惠 酸漿 200911
陣取りのさまに崩せり掻氷 隅田享子 200911
宿題のまだ終らないかき氷 高田令子 200911
行列のできる媼のかき氷 島内美佳 ぐろっけ 200912
逃足の早き弟かき氷 水原春郎 馬醉木 201009
この時世コンビニで買ふかき氷 小黒加支 酸漿 201010
かき氷崩せば海の蒼さかな 有本勝 ぐろっけ 201010
かき氷昭和の溶けてゆく如し 高橋将夫 201010
かき氷ひとつを崩しあふふたり 藤原若菜 春燈 201010
半世紀田舎ぐらしやかき氷 瀬川公馨 201010
些事一つ済ませし後のかき氷 藤見佳楠子 201010
瞳寄せまっ赤な舌をかき氷 森理和 あを 201010
粗供養のかさと音するかき氷 中山純子 万象 201010
恋ひとつ失ひし日のかき氷 大木清美子 201011
門前の床几に並び欠氷 永岡セッ 酸漿 201011
かき氷ふと口を衝く尺貫法 生方義紹 春燈 201011
かき氷はづれ馬券がポケットに 柴田良二 雨月 201011
文机へ届けられたるかき氷 安藤久美子 やぶれ傘 201011
少年の反抗期なり欠氷 内田和子 酸漿 201011
赤き舌青き舌見せかき氷 岡崎春菜 万象 201011
鬼怒川を出て来し風やかき氷 布川直幸 201106
傾けてこぼして積めるかき氷 山田六甲 六花 201108
かき氷忘れるために食ひにけり 田尻勝子 六花 201109
貧しさが恥なきころのかき氷 石田きよし 201109
余命表さもあらばあれかき氷 渡辺和夫 ろんど 201110
あいさつは一言が好しかき氷 藤井彰二 馬醉木 201110
思ひ出はみな色を持ちかき氷 辻直美 201110
奥の院へ磴のつつ立つかき氷 浜口高子 火星 201110
逢ふときはいつも真つ赤なかき氷 原友子 201112
うれしそうあの子頬張るかき氷 上村美翔 うらら 201202
一匙で脳にひびきしかき氷 池内とほる かさね 201207
かき氷掻きこぼしては盛りにけり 山田六甲 六花 201207
かき氷耳より百会ツーンと来 大日向幸江 あを 201208
露天風呂出て空色のかき氷 赤座典子 あを 201209
かき氷崩すあひだは海を見て 安居正浩 201209
かき氷前頭葉のうろたへて 齊藤實 201209
はたはたと旗のはためくかき氷 矢野百合子 201210
脳天ヘキーンと響くかき氷 中村ふく子 201210
かき氷さくさく減らしよく喋る 師岡洋子 ぐろっけ 201210
かき氷崩す手応へほどの憂さ 田村園子 201210
氷山をスプーン二個でかき氷 向江醇子 ぐろっけ 201210
喪帰りの匙ゆつくりとかき氷 小倉正穂 末黒野 201210
二千余の磴の途中のかき氷 奥田茶々 風土 201211
冥府より戻り来りてかき氷 古川夏子 201211
油こぼし坂の途中のかき氷 奥田茶々 風土 201211
かき氷待つ間を笹の揺れてをり 佐藤凉宇子 ろんど 201211
かき氷十七までは丸坊主 田中貞雄 ろんど 201211
東口徒歩三分のかき氷 今井春生 201211
鎮魂の心折り込むかき氷 布川直幸 201212
幼子の口開けて待つかき氷 きくちきみえ やぶれ傘 201212
かき氷ふつと視力の若返る 田所節子 201212
崩れ落ちさうなサービスかき氷 橋本くに彦 ホトトギス 201212
一匙ごと遠き目となるかき氷 大島節子 201212
工夫らの腑に沁み透るかき氷 梁瀬照恵 ぐろっけ 201301
こぽれたるもの光りけりかき氷 きくちきみえ やぶれ傘 201309
練乳のとろりとくぼむかき氷 山田六甲 六花 201309
かき氷空ゆく雲のひとつ白し 大崎紀夫 やぶれ傘 201309
壁に張る大漁旗やかき氷 根橋宏次 やぶれ傘 201309
流下式枝条塩田かき氷 梶浦玲良子 六花 201310
かき氷四人がみんな宇治金時 新江たか ろんど 201310
かき氷だんだん角の取れてきし 細川洋子 201310
かき氷一匙ごとに顔しかむ 松本文一郎 六花 201311
万歩計すこし休ませかき氷 河口仁志 201311
久闊の舌赤く染めかき氷 中山純子 万象 201311
引越しの荷出しの後のかき氷 荒木治代 ぐろっけ 201311
向き合ひてくづす楽しさかき氷 樋口みのぶ 201312
和菓子屋の奥に喫茶部かき氷 國保八江 やぶれ傘 201312
練乳がけ虫歯にしみるかき氷 三橋早苗 ぐろっけ 201312
ストローと匙添ヘメロンかき氷 安藤久美子 やぶれ傘 201312
友がみなわれより速しかき氷 中原幸子 船団 201401
かき氷一つで君は靡かない 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
かき氷味見しあうて崩れけり きくちきみえ やぶれ傘 201408
かき氷音立て食ぶる親子かな 横山さくら 春燈 201408
年来の友にばつたりかき氷 斉藤裕子 あを 201409
参拝を終へてすがしく掻氷 鈴木セツ 201409
牡丹のごとくに崩れかき氷 山田六甲 六花 201409
孫と喰ふ笑顔はじけるかき氷 斉藤裕子 あを 201409
かき氷幼児の顔の見えかくれ 東秋茄子 京鹿子 201410
かき氷大気の不安ごと崩す 甲州千草 201410
かき氷出前着きたる一家族 田中藤穂 あを 201410
無粋とはかくも男のかき氷 久保東海司 201410
日本橋の紙屋刃物屋かき氷 長谷川子 馬醉木 201410
メニューには「北山しぐれ」かき氷 小林久子 201410
赤いのがちゆきと幼やかき氷 岡野里子 末黒野 201411
風旨し峠の茶屋のかき氷 井上静子 201411
かき氷波に千鳥の暖簾かな 田尻勝子 六花 201411
かき氷まつ青けふの空に似て 志方章子 六花 201412
ものはみな歌で終えたしかき氷 阪野基道 船団 201502
トムヤムクン余韻冷ましの掻氷 布川直幸 201506
肩たたき百回分のかき氷 山田六甲 六花 201508
かき氷どの部分からくずさうか 八木健 八木健俳句集 201509
かき氷同じ訛の夫と居て 松井志津子 201509
日向へと犬が出てゆきかき氷 大崎紀夫 虻の昼 201510
たくましき腕の女やかき氷 新妻奎子 万象 201510
素通りの出来ぬ店ありかき氷 塩川君子 末黒野 201510
浮橋の大きくたはむ欠氷 佐藤喜孝 あを 201510
青空の青をいただくかき氷 上野紫泉 京鹿子 201511
草臥れて抹茶小豆のかき氷 安藤久美子 やぶれ傘 201512
叱らるる子の舌真つ赤かき氷 小泉三枝 春燈 201609
かき氷ひとりに余し夫恋し 平野加代子 春燈 201609
さよならを言へぬなりゆきかき氷 岸洋子 201609
初恋や始めて食るかき氷 大日向幸江 あを 201609
石段に座つてたべるかき氷 きくちきみえ やぶれ傘 201609
助け合ひ生きし昭和やかき氷 布施政子 馬醉木 201610
かき氷嬰抱く妻へ含まする 田中とし江 201610
祈り終ヘバザーの庭にかき氷 野村鞆枝 京鹿子 201610
全集にふところ不如意かき氷 内海良太 万象 201611
大久保は若者の町かき氷 原田しずえ 万象 201611
トタン屋根バッハのフーガかき氷 平井奇散人 船団 201612
誘はれて来て席題のかき氷 中川句寿夫 ここのもん 201705
青が好き舌を真青に欠氷 赤座典子 あを 201707
かき氷 →2      

 

05/07/25 作成