陽 炎 2  100句

陽炎や鍬捨ててをく畠中    夏目成美

陽炎  かぎろひ  かげろふ  糸遊  遊糸

作品
作者
掲載誌
掲載年月
陽炎に囲まれ陽炎になりすます 宮原みさを 花月亭 200208
子供らの遊び疲れて陽炎へり 宮原みさを 花月亭 200208
絵馬揺れて湯島天神陽炎へり 宮原みさを 花月亭 200208
産土神の石段歪み陽炎へる 宮原みさを 花月亭 200208
陽炎の中より老婆現はるる 宮原みさを 花月亭 200208
陽炎ひて足の踏場もなかりけり 宮原みさを 花月亭 200208
躓きし試歩陽炎を抜けきれず 土屋酔月 火星 200209
陽炎は紫式部の忘れもの 直江裕子 京鹿子 200209
ゆつくりと行く陽炎の向う側 湯浅夏以 遠嶺 200209
籬より花陽炎の奥書院 今井松子 遠嶺 200210
砂嵐めく遠景の陽炎へる 桑田青虎 ホトトギス 200211
相聞歌陽炎ひ立てる飛鳥人 門伝史会 風土 200211
解けぬまま残る悔あり陽炎燃ゆ 小西明彦 200302
隊商の駱駝伸び切り陽炎へり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200303
直角に畦激突し陽炎へる 野中亮介 馬醉木 200304
陽炎や痔の神祀る小祠も 三代川次郎 雲の峰 200304
どうにでもなる陽炎の中のこと 中原道夫 銀化 200304
陽炎のさきざきに荷をおろしゆく 吉弘恭子 あを 200304
むらさきに縄文のむら陽炎へり 小林共代 風土 200305
陽炎や政治家の墓文士の墓 大串章 百鳥 200305
陽炎に鞍はづされてありにけり 中村雅樹 百鳥 200305
陽炎や遠く潮騒とどく丘 祐森省造 雲の峰 200305
陽炎を追うて松本城下町 鈴木節子 200305
陽炎もともに反芻して牝牛 酒本八重 200305
縄跳びの子が陽炎を出入して 山田弘子 草の蝉 200305
陽炎ひて草木染めの糸を干す 斉藤由美子 ぐろっけ 200305
吾が明日もすでに混沌陽炎へる 泉田秋硯 200306
陽炎に路面電車の曳かれ来る 瀬戸悠 風土 200306
陽炎を膨らまし来るオートバイ 近藤栄治 200306
陽炎にくるまれて母八十路かな 吉村玲子 円虹 200306
陽炎や友あり遥かより来たる 長山あや 円虹 200306
将軍のお上り場跡陽炎へり 松崎鉄之介 200306
陽炎へり入ればばら窓大聖堂 秋田谷明美 帆船 200306
陽炎や貨物車駅を揺らし過ぐ 筑紫次郎 雲の峯 200306
陽炎へり近くて遠き隣組 辻雅子 ぐろっけ 200306
陽炎や恋は半分つくりごと 大谷ゆかり ぐろっけ 200306
くれなゐの陽炎小蝦干し拡げ 西村梛子 馬醉木 200307
陽炎や水牛の鋤く畝ゆるび 市ケ谷洋子 馬醉木 200307
天駆けり陽炎がごとなりたまひ 大野紅花 ホトトギス 200307
たたなはる遠嶺近つ嶺陽炎へる 松村富子 200307
陽炎に見えかくれしてかくれんぼ 中村恵美 円虹 200307
陽炎の野に放たれし犬二匹 中村恵美 円虹 200307
陽炎の土手はみ出して踊りけり 酒本八重 200307
川埋めて視野偏平に陽炎へる 岡本眸 200307
陽炎の土橋渡つてゐるは誰 櫻井多恵 200307
陽炎や錨に付きし貝を取る 影山わこ 百鳥 200308
石材店石灯籠が陽炎へり 田中嘉代子 ぐろっけ 200308
G線にゆらぐアリアよ陽炎よ 林翔 200403
陽炎に見失ふまいと母を喚ぶ 橘沙希 月の雫 200404
陽炎の中より出でし人力車 橘沙希 月の雫 200404
陽炎を裏返しては耕運機 橘沙希 月の雫 200404
陽炎や夢から覚めし石の上 村越化石 200405
陽炎をおもしおもしと列車来る 清水公治 200405
陽炎のごときを掬ひ四ツ手網 泉田秋硯 200406
陽炎を背負ひて会話はづみけり 林和子 200406
陽炎やシルクロードと奈良の距離 内山照久 200406
陽炎や砂に残れる蹄あと 岡淑子 雨月 200406
陽炎の中へ一途の出走馬 落合絹代 雨月 200406
陽炎に大切な人送り出す 鈴木えり子 百鳥 200406
陽炎や焼香台へひとりづつ 木下野生 200406
みんなみに陽炎の立つ大和かな 若山実 雲の峰 200406
陽炎をうかうか追へば落し穴 笠間圭子 京鹿子 200406
陽炎ひてこの世あの世の人の翳 城石美津子 京鹿子 200406
陽炎の岩となるまで漢坐す 小澤克己 遠嶺 200406
笑顔なる人陽炎を抜けて来て 松井淑子 200406
陽炎の中へチンチン電車揺る 中田征二 ぐろっけ 200406
融雪剤残りし坂も陽炎える 星加克己 ぐろっけ 200406
陽炎をまとひて路地の魚売 木室幸雄 百鳥 200407
病窓に見ゆる景色の陽炎へり 印牧緑 築港 200407
陽関へ平沙万里を陽炎へり 松崎鉄之介 200407
陽炎やいくさに人を送りゐて 木下野生 200407
陽炎を見てをる我もかぎろへる 杉山瑞恵 雨月 200407
戦わぬ国のプライド陽炎える 奥村美那子 200407
陽炎へ歩きはじめし子を放つ 吉原一暁 200407
噴く島に遠き一隻陽炎へる 安藤ヒサ子 河鹿 200407
陽炎や黒を凝りたる城の見え 酒井十八歩 草の花 200407
陽炎へる灯籠倒れてはこぬか 片山喜久子 雨月 200408
道問ふと陽炎ふ方を指しにけり 丸山照子 火星 200408
陽炎や双体神の戯れる 藤原りくを 八千草 200409
陽炎うて足あるものから毀れゆく 直江裕子 京鹿子 200409
陽炎や亀戸駅は骨の嵩 堀内一郎 あを 200503
陽炎の街に痩躯の人力車 須賀允子 万象 200505
陽炎やS字カーブをしくじりぬ 伊藤白潮 200505
影うつる遠望堤陽炎ひて 岩崎憲二 京鹿子 200505
吉田句碑神霊寂に陽炎へる 岩崎憲二 京鹿子 200505
陽炎は遠目堤の足うばふ 岩崎憲二 京鹿子 200505
起重機の掴みし貨物陽炎へる 塩川雄三 築港 200505
陽炎が立ち朝市も終るなり 青山丈 200505
塔頭のビードロ窓の陽炎へる 青木久子 遠嶺 200506
海峡にタンカーの数陽炎へる 加藤みき 200506
斑鳩の陽炎よりの出土なる 酒本八重 里着 200506
鳥羽離宮隅から隅へ陽炎へり 戸田春月 火星 200506
陽炎の入り口ペダル強く踏み 栗原公子 200506
釣人の背の円やかに陽炎へる 関口みよ子 帆船 200506
原子炉が要の町や陽炎へり 菅原末野 風土 200506
陽炎に火の島ゆらぐ大隅路 松元末則 酸漿 200506
半球の野の陽炎を男来る 原田達夫 虫合せ 200506
猫車行く手陽炎ふ行きがたし 定梶じょう あを 200506
陽炎や石と化したる砂袋 高橋さえ子 200506
沖待ちの船の最も陽炎へり 長沼三津夫 200506
陽炎→3      

2021年4月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。