かぎろひ  129句

弁当を食べをへにけり浜山の笹に照る日はかぎろひてをり  木下利玄  紅玉

陽炎  かぎろひ  かげろふ  糸遊  遊糸

作品
作者
掲載誌
掲載年月
かぎろひしあとはさみしき墓ならむ 岡本眸 199807
かぎろひの野に石の貌石の尻 竹市悠紗 京鹿子 199809
かぎろへり登呂人住みしこの土も 新井英子 馬醉木 199906
畷にてかぎろひ易き棒のあり 西田孝 199906
埴輪みな睫毛の無くてかぎろへる 岡和絵 火星 199907
大木のゆつくり倒れかぎろへり 松永典子 船団 199909
姫島のかぎろひゐしが狐あめ 北川英子 200004
八畳占む獅子乗灯籠かぎろへり 上原瑞子 200005
炎上を過去に金閣かぎろへり 今井妙子 雨月 200008
城跡を二分す鉄路かぎろへる 鵜飼紫生 雨月 200009
かぎろへる大和七福神詣かな 井口弥江子 馬醉木 200104
かぎろへる點鬼簿出でし人らしく 中原道夫 銀化 200106
駈け抜けて来ても身中かぎろへる 蔵持柚 銀化 200106
こころもち長き利足かぎろひぬ 甲州千草 200107
バラ園にかぎろふ二輪在りにけり 金澤明子 火星 200107
ひんがしに瑠璃光浄土かぎろへり 川井政子 風土 200107
陽炎の中に吾ゐてかぎろひぬ 水井千鶴子 風土 200107
日本は何の足跡かぎろへり 掛井広通 200107
別々にかぎろひはじむふたりかな 井上菜摘子 京鹿子 200107
起重機の咥へしものもかぎろへる 岡本眸 200107
かぎろひや朱は陽のしづく丹生都比売 境良一 京鹿子 200204
声たかき少年野球かぎろへり 山田禮子 遠嶺 200206
あひみての後の思ひのかぎろへる 川名将義 銀化 200206
ひとがたのどこまでかぎろひてゆくか 邑沙綺 銀化 200206
こぼちたる家一塊のかぎろへる 加瀬美代子 200206
屋上に天体ドームかぎろへり 堀本祐子 遠嶺 200208
人麻呂のかぎろひに逢ふ初日かな 大野英美 風土 200304
日の丸も尾を振る犬もかぎろへる 中原道夫 銀化 200304
思ひにも輪郭ありやかぎろへる 尾上直子 200306
かぎろへりななめななめに松の幹 村上喜代子 百鳥 200306
かぎろへるゴールへ馬のなだれ込み 高柳かつを 百鳥 200307
かぎろひて思ひ違ひは解けぬまま 能村研三 200404
かぎろへるあの頃のこと今のこと 浅岡由恵 200404
かぎろへる木落し坂の深轍 能村研三 200405
かぎろうてゐし膝の上の医学書と 山田美恵子 火星 200405
墓石屋のとなり墓石屋かぎろへる 吉田明子 200406
忠敬の測りし渚かぎろへる 岡淑子 雨月 200406
雪嶺も七面山もかぎろへる 林裕子 風土 200406
かぎろひて欲得既に無くなんぬ 杉山瑞恵 雨月 200407
陽炎を見てをる我もかぎろへる 杉山瑞恵 雨月 200407
万葉の野にかぎろひの立つを見き 多田生湖 春燈 200411
かぎろひはひらがなのごと野に遊ぶ 鈴鹿仁 京鹿子 200504
お水送り済みし若狭井かぎろへる 岩崎眉乃 万象 200505
かの子忌やシュール朴訥かぎろへり 山元志津香 八千草 200506
人麻呂のひむがしの野のかぎろひぬ 山路紀子 風土 200507
先を行く卒寿の母のかぎろひぬ 柿澤喜三郎 百鳥 200507
かぎろひの真中を漢来りけり 水野あき子 遠嶺 200508
湖は揺るる器よかぎろへる 長井順子 200508
師には又師のあり墓所のかぎろへり 山元志津香 八千草 200509
かぎろふへ押しゆく姉の車椅子 出来由子 200605
踏切のかぎろひゐしを寢て思ふ 岡本眸 200605
醤油の香かぎろひ立てる銚子かな 河本由紀子 春燈 200606
人の死を見にゆく支度かぎろへり 掛井広通 200606
呑みほして五臓六腑のかぎろへる 松たかし 火星 200606
目の中に収めて巨船かぎろへる 青山丈 200606
かぎろひて矮鶏のつがひのうひうひし 山岸治子 馬醉木 200607
差し潮の間に魂消てかぎろへり 千田敬 200607
かぎろへる野に邑挙げて草競馬 室伏みどり 雨月 200608
かぎろひの沼は手品師魚の跳ぶ 松井のぶ 200705
深閑と牛舎かぎろふ農学部 若槻妙子 200705
かぎろひてパントマイムの指の先 奥村邦子 200706
かぎろひのなかへ会釈を返しけり 木内憲子 200706
咎人といへど戒名かぎろへり 藤井寿江子 馬醉木 200710
稻架照らふ不況の町をかぎろはせ 西口万佐子 200801
新年の大洗てふ海かぎろへり 阿部ひろし 酸漿 200802
知恵の輪も十指もやがてかぎろへり 掛井広通 200806
絵馬堂にマーメイド号かぎろへり 加藤みき 200806
雲雀下りてかぎろひの野に石仏 廣瀬義一 雨月 200806
石舞台かぎろひ御霊おはしけり 近藤きくえ 200807
原色を着てかぎろひの野に佇てり 成田美代 200807
かぎろへる水平線や鳥帰る 田中佐知子 風土 200807
天平の大仏殿もかぎろへる 椋本一子 雨月 200807
かぎろひの野に亡き母の車椅子 和田政子 200905
みすずかる美容師ひとりかぎろへり 中嶋憲武 炎環 200905
複写機の内部もつともかぎろへり 小嶋洋子 200905
かぎろへる讃美歌集の走り書き 小嶋洋子 200906
海豹の髭の先よりかぎろへり 一ノ木文子 炎環 200906
畦の木の並ぶあたりのかぎろへる 根橋宏次 やぶれ傘 200906
かぎろへる赤膚焼の宝相華 延広禎一 200907
かぎろへる石の寝釈迦も水音も 雨村敏子 200907
師の本に「定本」「読本」かぎろへる 能村 研三 201003
願ひ絵馬最上段はかぎろへる 泉田秋硯 201006
みちのくへつづくこの道かぎろへる 片山博介 春燈 201007
かつて職場のA4出口かぎろへる 千田百里 201105
文士村知らぬ月日のかぎろへり 千田敬 201106
蕪村その出自のくだりかぎろへる 井原美鳥 201106
毒ガスの排突の渓かぎろへる 大木茂 万象 201106
かぎろへる女流人の琉歌の碑 當間シズ 万象 201106
骨片は太古の矢尻かぎろへり 宮内とし子 201204
鉄橋も長き列車もかぎろへる 佐藤喜仙 かさね 201206
かぎろひて埋め戻されし塚巡る 千田百里 201206
かぎろへる明日香は石に問ふがよし 千田百里 201206
かぎろひの相模の海や富士真白 辻井ミナミ 末黒野 201206
かぎろへる壺の泪の無尽蔵 林いづみ 風土 201207
歓喜天の横に胞衣塚かぎろへる 雨村敏子 201207
あとで知る主治医の異動かぎろへり 吉田政江 201207
かぎろひの野に歩みそむベビー靴 栗原公子 201207
かぎろひの見えてカメラに阿夫利山 中村月代 末黒野 201207
山桃の花やかぎろふ定置網 清海信子 末黒野 201208
流木の竜の形にかぎろへる 石井美智子 風土 201211
かぎろひの丘へと続く寒灯り 塩路隆子 201303
かぎろひにかしずけるかに冬の嶺 塩路隆子 201303
かぎろへる軍艦型の軍艦島 荒井千佐代 201304
かぎろへり校歌に謳ふ島の海 水木沙羅 201306
三陸の果てなき荒地かぎろヘり 大日向幸江 あを 201405
お色直しの百年駅舎かぎろへる 千田百里 201406
かぎろへど鋸山は屹立す 上谷昌憲 201406
鈴ヶ森刑場ここにかぎろへり 堀口希望 201406
官兵衛と呼ばふ野良猫かぎろへる 塩路隆子 201406
観音の彼方かぎろふ魞の湖 田中佐知子 風土 201406
かぎろひて上野に人の溢れをり 柿沼盟子 風土 201407
かぎろひの野に佇めば怒濤音 渡部良子 馬醉木 201407
ぎんなんの実やかぎろへる南禅寺 中川すみ子 201502
稜線にかぎろひ立てる淑気かな 吉田順子 201504
国宝の塔かぎろひの中にあり 大橋晄 雨月 201506
かぎろひの電車でこぼこでこぼこと 原田達夫 箱火鉢 201511
どんど火に近間の野島かぎろひぬ 原久栄 末黒野 201605
花散るや水かぎろひの只中に 岡田史女 末黒野 201607
かぎろひの阿騎の大野の夜明かな 内海良太 青嶺 201612
かぎろひて戦禍の見えぬフエ・ダナン 七郎衛門吉保 あを 201805
かぎろひの御代新しき菜花かな 延川五十昭 六花 201906
大漁旗かぎろひに止む網打場 延川笙子 六花 201906
かぎろひや告白と言ふ手段あり 久保夢女 202005
閼伽桶の箍のゆるみてかぎろひぬ 根來隆元 202005
つきつめてゆけばゆくほどかぎろひぬ 高橋将夫 202106
岬ごと電車かぎろひつつ北へ 土井三乙 風土 202106
かぎろひてマリオネットのふたりです 奥田筆子 京鹿子 202107
かぎろひの降臨の地の飾り臼 松田那羅生 202204
かぎろひの中より谺返りけり 戸栗末廣 202302

2023年4月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

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