蚊 2   71句

わが宿は蚊の小さきを馳走かな    芭蕉

  蚊柱/藪蚊  なごり蚊  残り蚊  秋の蚊

秋蚊 残り蚊 名残り蚊 溢れ蚊 哀れ蚊

作品
作者
掲載誌
掲載年月
血を分けしゆゑに蚊を打つ憎まねど 山田六甲 六花 201507
寂の墓碑蚊の泣き声と手を合はす 松本鷹根 京鹿子 201508
一匹の蚊にストーカーされてゐる 八木健 八木健俳句集 201509
昼の蚊を叩き落せり大国天 福島せいぎ 万象 201509
初蚊落ちてわが水割に溺るるよ 安住敦 春燈 201509
汐だまりより蚊の生るる城ヶ島 瀬島洒望 やぶれ傘 201510
血を吸つて低空飛行の蚊へ止め 仁平則子 201510
厠より蚊を叩きたる音のあり 佐津のぼる 六花 201511
昼の蚊の途方に暮るる奥座敷 押田裕見子 201511
線香を点ける間も蚊に刺さる 松村光典 やぶれ傘 201512
蚊を打って我が血の色をじっと見る 杏中清園 船団 201602
やはらかき蚊の浮きゐたる新樹の夜 山田六甲 六花 201606
洞の島百万匹の蚊を鳴かす 吉村摂護 201607
耳に来し蚊に浅き夢奪はるる 藤岡紫水 京鹿子 201609
四柱推命わたしの腕に蚊が止まる 竹内悦子 201610
琥珀のなか恐竜の血を吸ひたる蚊 近藤喜子 201610
靴下の上から刺す蚊忌々し 松本文一郎 六花 201611
蚊を防ぐ薬線香総ぐるみ 松本文一郎 六花 201611
神鈴に混じつてゐたる蚊の捻り 吉田葎 201611
羽音する枕元なり蚊をピシャリ 黒澤佳子 あを 201610
蚊にさされそれでもすきなピアノ弾く 水谷直子 京鹿子 201702
庭の蚊に好かれてをりし主かな 稲畑汀子 ホトトギス 201706
蚊を連れて入り来し客二十人 稲畑汀子 ホトトギス 201706
不審蚊の張り手をかわす奇手緩手 鈴鹿呂仁 京鹿子 201707
血の騒ぐ女をねらふ蚊の羽音 押田裕美子 201706
昼の蚊の途方に暮るる奥座敷 押田裕美子 201706
鼻先を風と過ぎたる初蚊かな 中田みなみ 201709
更けし夜の一匹の蚊の存在感 田原陽子 201710
不審蚊の最上階のミステリー 寺岡直美 京鹿子 201711
蚊の赤く吸ひついたままに腕 田尻勝子 六花 201711
蚊を打ちて蠅を叩いて盆支度 小田嶋野笛 末黒野 201712
真夜中の蚊の音耳に頬叩く 枝みや子 やぶれ傘 201710
耳元に初蚊が迷ふ広辞苑 丸井巴水 京鹿子 201808
樹の回り蚊の飛交ひし不気味かな 長崎桂子 あを 201808
黴も蚊も勢ひ鈍る四十度 七郎衛門吉保 あを 201809
鏡見て耳朶の蚊をぴつと打つ 竹内文夫 六花 201810
物陰に今は危険と真昼の蚊 石田康明 春燈 201810
蚊のこゑのなき夏の世の恐ろしき 熊川暁子 201811
音もなく居間のドアより初蚊かな 谷口律子 末黒野 201907
長明の方丈庵の蚊と申す 南うみを 風土 201908
腕のべて止まり来し蚊をまた叩く 中島秀夫 王水 201909
手の甲や予感蚊に狙はれてゐる 定梶じょう あを 201909
昼の蚊に足の三里を刺されもし 小田嶋野笛 末黒野 201910
蚊用心障子あけしめ夏座敷 菊谷潔 六花 201910
満を持し腕にとまらせ蚊を叩く 高濱朋子 ホトトギス 201911
パドックの忙しき尾つぽ蚊の稔り 伊藤鴉 末黒野 201911
九階ヘエレベーターは蚊をのせて 高田留美 船団 201912
音もなく居間のドアより初蚊かな 谷口律子 末黒野 202004
蚊のとまる格天井のサンバかな 庄司久美子 202008
一匹の蚊の襲撃にてこずれる 中島昌子 202009
蚊の声や思はず叩く右の頬 東正則 末黒野 202009
幼子の頬に小さき蚊が止まり 増田裕司 やぶれ傘 202009
乱雑に積んだる本に蚊が隠れ 瀬島洒望 やぶれ傘 202010
蚊を打ちし音の響きてひとりなる 村上葉子 202011
湯あたりの蚊のへろへろと降り来る 谷田明日香 風土 202011
蚊を打つて話の接ぎ穂戻しけり 志方章子 六花 202012
蚊の居なささうで居る庭巡りけり 稲畑汀子 ホトトギス 202106
初陣の翅音なりし初蚊打つ 長谷川歌子 春燈 202108
蚊のこゑを叩きて辞書を繰り直す 畑佳与 京鹿子 202110
牛小屋の蚊を焼き母の夕仕度 和田照海 京鹿子 202111
独り居に蚊の鳴きたつる夕べかな 西住三惠子 202112
参道の猫に逃げられ蚊に追はれ 稲畑廣太郎 ホトトギス 202207
補聴器を占領したる蚊の羽音 稲畑廣太郎 ホトトギス 202207
知らぬ間に蚊にさされゐる五月かな 府川昭子 春燈 202208
腰に蚊火つけあふ畑の夫婦かな 柿内清一 202208
蚊の声を聞きしのみなり坂の上 山田六甲 六花 202206
蚊でもなし百足でもなし腕に疵 山田六甲 六花 202206
別人のごとくきびしく蚊を叩く 中村重幸 202209
くるぶしの蚊を払ひつつ塩むすび 小泉里香 やぶれ傘 202210
蚊を打つて勝ち誇りゐる女かな 志方章子 六花 202210
宴あと蚊にも寄られて夢の中 草場つくし 六花 202210
蚊→ 1

 

2023年6月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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