蚊 1   251句

わが宿は蚊の小さきを馳走かな    芭蕉

  蚊柱/藪蚊  なごり蚊  残り蚊  秋の蚊  秋蚊 残り蚊 名残り蚊 溢れ蚊 哀れ蚊

作品
作者
掲載誌
掲載年月
朝の蚊の声泥の声水牛に
金子兜太
海程
199810
昼の蚊に水牛の眼の大きさよ
金子兜太
海程
199810
蚊の夕べ人間水牛より寂し
金子兜太
海程
199810
水音や糺の森の蚊にささる
杉浦典子
火星
199811
魔がさして刺しちまったの我鬼忌の蚊
三神あすか
船団
199902
蚊を打つてふたたび睡魔払ひけり
鷹羽狩行
199906
初蚊とも睡魔のささやき声かとも
鷹羽狩行
199907
蚊の餌食なりつつ一句ひねりたる
桑垣信子
いろり
199908
蚊奴らに膕腓よほろこむらのにほひたつ
亀丸公俊
銀化
199908
蚊のいのちなど考えてゐる夕べ
岡田万壽美
俳句通信
199908
首洗ひ井戸を覗きて蚊に刺され
近藤酔舟
199910
駅ごとに蚊も乗り降りの終電車
細川知子
ぐろっけ
199910
じつくりと止まらせし蚊も打ち損ね
嶋田摩耶子
ホトトギス
199912
血ぶくれの蚊に招かれて子規参り
杉本艸舟
200001
あぶれ蚊に燗徳利の温きかな
菊地恵子
酸漿
200001
一匹の蚊にふりまはされて気嫌がいい
河西志帆
京鹿子
200001
蚊がまとふ島の岬に傘さして
山尾玉藻
火星
200007
蚊を打ちて糖尿病を笑ひけり
山田六甲
六花
200007
蚊に羽音死は足音も立てず来る
林翔
200008
もう来しかと声の初蚊を耳で追ふ
木村風師
馬醉木
200009
蚊に餌をわが血を遣りぬ悔むまじ
林翔
200009
蚊にもみやげうづ巻線香戻り買ふ
丸山佳子
京鹿子
200010
細腕を刺すあぶれ蚊の特攻隊
鈴鹿仁
京鹿子
200010
老おそふ墓の蚊数珠で追ひ拂ふ
吉田多美
京鹿子
200011
蚊に刺さることも供養と墓洗ふ
吉田多美
京鹿子
200011
蚊奴らにほどこす血ある盆の月
竹村悦子
銀化
200011
蚊を打てど手より飛び立つこと早き
桑垣信子
いろり
200011
蚊を打ってそこはかとなく愉快なり
藤原紅
いろり
200011
花野の家蚊の昂ぶりにたじろぎぬ
金子兜太
海程
200101
反故となる恋文で蚊を叩きけり
笠学
船団
200101
刺した蚊と痒い私とうすら寒
池田澄子
船団
200105
蚊を逃れられざることも仕事かな
稲畑汀子
ホトトギス
200106
武蔵野の蚊に喰はれたる跡ならん
稲畑汀子
ホトトギス
200106
縁に足投げ出してより蚊の世界
稲畑汀子
ホトトギス
200106
蚊が刺すにまかす償ひ負ひきれず
渡辺友七
あを
200106
月食を見に出ては蚊に刺されけり
稲畑汀子
ホトトギス
200107
伊能家の蚊に刺されしと吹聴す
大串章
百鳥
200107
貧血を掠め取ったる蚊を打てり
篠田純子
あを
200108
蚊の声のまだをさなきに夢覚ます
藤木竹志
馬酔木
200109
またの世のあると思はじ蚊を打ちて
川田さちえ
200109
葉蘭叢の蚊を扇ぎゐる男かな
桑田眞佐子
火星
200109
蚊の唸りニースへの夢破らるる
鳴海清美
六花
200109
耳元を蚊が安眠をさまたぐる
近藤豊子
雨月
200109
声のなき蚊が来てをりぬ藪茗荷
永田二三子
酸漿
200110
子に継いで蚊蚋ごときにも頒つ
亀丸公俊
銀化
200110
蚊を軽く叩くも紫斑指の先
佐々木春子
200110
まとひつく縞蚊を吹きて世の底に
澤本三乗
200110
昼の蚊を打つて伎芸天女の前
城孝子
火星
200111
曝す書に大正の蚊の標本散る
佐藤真次
200111
盆の蚊は打てぬと言うてゐたる間に
三村純也
ホトトギス
200112
溢れ蚊の人につきゆく谷中墓地
佐野美智
200112
あぶれ蚊や技芸天女に真向うて
鳴海清美
六花
200112
採点のペン持ちしまま蚊を打てり
田中武彦
六花
200112
蚊の止まる本を閉ぢむとしてやめぬ
田中武彦
六花
200112
貴婦人のような蚊にあう地獄堂
蔵前幸子
船団
200201
プロレスの技も交えて蚊を叩く
富沢秀雄
船団
200202
稿了へし肩の痛みよ青蚊出づ
田中藤穂
あを
200206
わがほほを撲たせやがつてしまだら蚊
山田六甲
六花
200208
芝川の水神さまの蚊に螫される
竹内弘子
あを
200208
寝そびれし千々の念ひに初蚊出づ
山岸治子
馬醉木
200209
蚊を打つてよりの本陣物語
西田もとつぐ
雲の峰
200209
かしは手のやうに蚊を打つ生家にて
佐藤節子
銀化
200209
夢吹雪醒めし静臥へ蚊の声降る
渡邉友七
あを
200209
血を吸つて大きく眠る蚊をつぶし
河合笑子
あを
200209
老いし親を避けて子にくる蚊ありけり
竹内美智代
酸漿
200210
したたかに血を吸ひし蚊を殺したり
筧節子
築港
200210
太き蚊の枢離れぬ増上寺
西田もとつぐ
雲の峰
200210
蚊一匹うち損じても落ちこむ日
早崎泰江
あを
200210
竹林の真空界や蚊の哮び
吉田裕志
200211
展望台蚊取線香落ちてをり
望月周
百鳥
200211
腰掛けし離宮の亭で蚊に螫さる
坂口三保子
ぐろっけ
200211
鋸を引く大工あなどる八月蚊
小野寺節子
風土
200212
飛蚊症かと思ひしが止まりけり
土井田晩聖
銀化
200301
病室に蚊の飛ぶことの親しかり
高橋としを
酸漿
200306
何遍も蚊を払ひたる茶臼山
山田六甲
六花
200307
一瞬のためらひもなく蚊を打てり
奥村真由美
築港
200308
にこやかに在し蚊を打つ音激し
梅谷昌弘
雲の峰
200309
蚊を打ちて殺し文句を忘れけり
浅川正
雲の峰
200309
冥界の篁の井の蚊に刺さる
長谷柑生
200309
去りがての蚊を搏ちにけり芭蕉庵
伊藤春生
帆船
200309
一匹の蚊と乗り合はす山手線
戸栗末廣
火星
200309
そよ風のところすなはち蚊天国
恩塚典子
ぐろっけ
200309
朝まだき刀背打されし蚊の立てり
篠田純子
あを
200310
広峰山蚊にさされつつ句碑掃除
竹内紫翠
築港
200310
蚊の声に絶たれし夢を又も追ふ
柳沢典子
酸漿
200311
あぶれ蚊や夫にかくれて煙草吸ふ
秋岡朝子
200401
血膨れて踏ん張つてゐる家蚊かな
浅川正
雲の峰
200408
蚊の好む闇はころびの墓の闇
今瀬剛一
対岸
200408
うかとして随心院の蚊に刺さる
西畑敦子
火星
200409
蚊を叩くふりして触るる男かな
中谷喜美子
六花
200409
左手もて右の腕の蚊を打てり
渡邉友七
あを
200409
思ひつきり腕をぴつしやり蚊一匹
長崎桂子
あを
200409
読経の予定変更やぶ蚊打つ
富沢敏子
200410
蚊を打ちぬ三十貫の男かな
渡辺美代
対岸
200410
南方熊楠うちし蚊かくも大きかな
戸田和子
200411
芭蕉像身を伸ばし蚊を打ちにけり
今瀬剛一
対岸
200412
哀れ蚊の衿にまどろむ旅の朝
岡田芳べえ
200504
妻逝けり肩に来し蚊を叩かずに
古屋喜水
春燈
200508
蚊の腹をしげしげと見る網戸ごし
林翔
200508
天井絵の美女の河童へ蚊の寄れり
横林誠二
200509
打ちし蚊と喰はれし痕の数合はず
三橋早苗
ぐろっけ
200509
わが胸に寄る蚊を打つて健けき
瀧春一
菜園
200509
蚊を叩きまだあかあかとわが血潮
得田武市
河鹿
200510
蚊を打つて漸く終る立ち話
達山丁字
200510
一匹の蚊に六畳の乱気流
丸井巴水
京鹿子
200510
蚊を連れて入つて来たり父と母
荻野みゆき
対岸
200511
蜂か蚊かさされて眼重くをり
岡久枝
酸漿
200511
墓掃除まづ蚊を払ふ草燻す
高倉恵美子
200511
打ち逃す山城跡の蚊の一つ
守屋井蛙
酸漿
200512
先客の蚊を叩く音有楽苑
梅村五月
栴檀
200601
蚊がわんわん追っ払っても30センチ
中野英歩
八千草
200601
止まらせて蚊を打つことの多くなり
高倉恵美子
200602
耳元に来て走り蚊のささやけり
内海良太
万象
200606
蚊の声す常寂光寺女人の碑
松村多美
四葩
200608
怠れば目の前を蚊の長き脚
渡邉友七
あを
200608
飯くふと蚊になかれけり愚かな日
定梶じょう
あを
200608
昼の蚊や男子厨房に入り喰はる
田上昭夫
四葩
200609
本堂に座り直して蚊を打てり
高倉和子
200609
屋形船蚊のふうはりと腕を刺す
東亜未
あを
200609
待ちぶせのやう玄関の蚊の唸り
加藤峰子
200610
蚊に食はれて淵明逝きぬ己矣夫やんぬるかな
松崎鉄之介
200610
蚊を払ふ御手は持たず千手仏
内海なみ
200610
蚊にさされまさに弥勒のはれ瞼
下平しづ子
雨月
200610
蚊を打つて閻魔堂まで参りけり
平田紀美子
風土
200610
待たさるる間を悠然と蚊を叩く
館容子
200611
蚊の姥のすぐに傷つく美しき脚
荒井和昭
200611
むかし戦争ありし溢蚊に刺されゐし
伊藤早苗
200611
墓守に聞く郷土史や蚊を叩き
樋口みのぶ
200611
あぶれ蚊の鼻のあたまにとまりけり
馬場宏
春燈
200612
無防備を蚊に狙はれてゐる旅路
稲畑汀子
ホトトギス
200706
蚊のひそむ庭に客人通されず
稲畑汀子
ホトトギス
200706
腕に来し五月蚊鈍しすぐ打たる
小林清之介
万象
200708
蚊を打つて父の昔を聴きゐたり
戸栗末廣
火星
200709
大蚊の透けて脚からぬけおちる
吉弘恭子
あを
200709
一人闇蚊の羽音さへ親しけり
柴田靖子
200710
花切れば蚊のあわてたり我もまた
秋千晴
200710
蚊を打ちてひとりの夜となりにけり
あさなが捷
200710
ころび寝の手は覚めてゐて蚊を叩く
大川冨美子
ぐろっけ
200710
蚊に刺されもゆる実盛見てをりぬ
村上美智子
雨月
200710
遺恨とや潰し損ねし蚊に刺され
四戸和彦
八千草
200712
雌蚊のみ刺客と言はれ合点せり
四戸和彦
八千草
200712
阿波の蚊の刺さねば損という羽音
坪内稔典
船団
200801
蚊の遊ぶ輪よ祖父の声祖母の声
中原幸子
船団
200801
血を吸って蚊の一族は並ばない
中原幸子
船団
200801
蚊のわらう声かもひと雨くるのかも
中原幸子
船団
200801
蚊を潰すことに始まる句作かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
蚊に食はれますよ私は大丈夫
稲畑廣太郎
ホトトギス
200807
初蚊打つ見返り弥陀の目路先に
岡佳代子
200809
弁慶の引摺り鐘や蚊のうなり
泉礼子
馬醉木
200809
蚊の姥が足忘れゆく網戸かな
吉村摂護
200809
ひと杓の水に出できし地蔵の蚊
助口弘子
火星
200810
エレベーター乗りあはす蚊と目の合ひぬ
篠田純子
あを
200810
欲ばりて血の色となる蚊の打たる
秋千晴
200811
客を待つごとく寄り来る畑の蚊
中村紘
ぐろっけ
200811
たちまちに蚊のやつてくる祠かな
大島英昭
やぶれ傘
200811
蚊の声のかすかに湧けり萩は実に
永田二三子
酸漿
200902
庭の蚊に待たれてをりしこと確か
稲畑汀子
ホトトギス
200906
蚊の声を払ふ手で灯を点しけり
山田六甲
六花
200907
山荘に入るやすなはち蚊の声す
水原春郎
馬醉木
200909
神の蚊に食はれ水占えにしかな
和田照海
京鹿子
200909
はしり蚊を打ちて舌鋒涼しかり
渡辺昭
200909
庭に立つ女はたはた蚊を追へり
鎌倉喜久恵
あを
200909
蚊を打つて夢の半ばをひき返す
浅田光代
風土
200909
病める手のすき間より蚊を逃しけり
村瀬嘉子
ろんど
200909
蚊を打つて甲斐に一歩を印しけり
森岡正作
200909
太き蚊がゐるの逃げたの子供部屋
佐用圭子
200910
蚊を打つて言ひたき事を逃したり
池田光子
風土
200910
蚊を打つて朝に始まる拭掃除
久保田嘉郎
酸漿
200910
蚊の羽音B29の記憶あり
遠藤実
あを
200910
視力良き子供に聞いて蚊を打ちぬ
島本知子
ぐろっけ
200911
蚊を拂ひマルクス語る遠き日々
能勢栄子
200912
人の家の厨を借りて蚊を叩く
彦根伊波穂
200912
血膨れの蚊のよろめけり座禅堂
藤本節子
万象
200912
叩かれし蚊の移し絵となりにけり
鳳蛮華
201001
『ヰタ・セクスアリス』丸めて蚊を叩く
竪山道助
風土
201001
ここよりは蚊に刺されんの覚悟せな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201006
蚊を退治する新兵器贈られし
稲畑汀子
ホトトギス
201006
今日の蚊は友となりけり便所飯
網野月を
201007
この雨にこの風に蚊は退散か
稲畑廣太郎
ホトトギス
201007
人寄せて蚊を寄せて館華やげり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201007
寝てゐても無意識に手は蚊を叩き
中島玉五郎
201007
蚊の声のかすかを羅漢聴き給ふ
白数康弘
火星
201008
蚊を打つて働き足りし妻の腕
渡邉友七
あを
201008
蚊を叩きくれたる娘の手やはらかや
瀧青佳
ホトトギス
201010
蚊の声に間合ひありたるお仏壇
飯塚ゑ子
火星
201011
草引くや蚊にまつはられ打つ手なき
松本和子
酸奬
201011
蚊に好かれ句座疎かにしてをりぬ
園部早智子
ろんど
201011
蚊のためにあるやうな庭なりしかな
稲畑汀子
ホトトギス
201106
我れもまたストーカーされたりその名は蚊 いそべみつ ろんど 201009
戸袋へ戸を繰り入るる初蚊出づ 定梶じょう あを 201106
人寄せて蚊を寄せて句碑鎮もれり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
蚊に好かれゐる人嫌はれゐる人 稲畑廣太郎 ホトトギス 201107
蚊も刺さぬ夜更の星に包まるる 稲畑汀子 ホトトギス 201107
父の日を来て埼玉の蚊にさされ 堀内一郎 あを 201107
一匹の蚊を払へずに臨書かな 坂口夫佐子 火星 201108
昼の蚊の胡散臭くて古本屋 荒木甫 201109
昼の蚊を東司の奥へ置きざりに 荒木甫 201109
一夜庵に風を通せば蚊も入り来 史あかり ぐろっけ 201109
耳朶に蚊のささめきぬ寝入り端 藤井久仁子 ぐろっけ 201110
夜ごと来る忍者の如き蚊を叩く 三浦澄江 ぐろっけ 201110
朝採りの収穫物に蚊の混じる 秋千晴 201111
鍵開けるその束の間に蚊の餌食 永塚尚代 ぐろっけ 201111
血の跡がある蚊でも踏んだのだらう ことり 六花 201111
王将を追ひ詰む縁台薮蚊打つ 平野数子 京鹿子 201201
深川正一郎展を蚊と共に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
君を刺すその蚊に嫉妬夜の湖畔 宮田香 故郷 201207
扇風機廻さねば蚊にまつはらる 大橋敦子 雨月 201207
八十九齢に蚊のまとひ来る何とせむ 大橋敦子 雨月 201207
老身にまとふ蚊ひとつ執念しや 大橋敦子 雨月 201207
蚊のまとふ生身かなしく詮もなし 大橋敦子 雨月 201207
蚊の声の耳そばに来て目覚めたる 松本周二 かさね 201208
蚊に追はれ来たる一人につゞきけり 稲畑汀子 ホトトギス 201208
蚊の多き不開の門にわらじ塚 長谷川鮎 ぐろっけ 201208
外濠の由緒正しき蚊を打てり 米澤光子 火星 201208
蚊一匹に不眠の呪誼を続けをり 川端俊雄 火星 201208
蚊くすべに玉蜀黍の髭を干す 山田六甲 六花 201208
蚊を打って髯の達磨に睨まるる 柴田良二 雨月 201209
蚊というは骨の塊宙を飛ぶ 貝森光洋 六花 201209
蚊の群と闘ひながら草毮り 後藤克彦 かさね 201210
打たれずに払はれるだけ茶席の蚊 三橋早苗 ぐろっけ 201210
蚊の色のあはきみどりで生れにけり 天野美登里 やぶれ傘 201211
蚊を打つて精進料理の席につく 高尾豊子 火星 201211
蚊を打つて血液型の話など きくちきみえ やぶれ傘 201212
貧血のわが血盗むは庭の蚊ぞ 梁瀬照恵 ぐろっけ 201301
白く来て館の蚊赤く飛び立てり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
庭の蚊をへだつ玻璃戸を不用意に 稲畑汀子 ホトトギス 201305
鏡中の腕にとまりし蚊を打てり 亀田やす子 ははのこゑ 201306
蚊と雨に好かれ君には嫌はれて 稲畑廣太郎 ホトトギス 201307
真夜中に柏手打って蚊を潰す 貝森光洋 六花 201309
蚊の来襲闇を零戦飛ぶ如く 山本孝夫 201310
上人の舌先に蚊の止まりたる 岩下芳子 201310
恍惚の絶頂にある蚊をたたく 久世孝雄 やぶれ傘 201310
二匹の蚊井戸端会議に顔を出し 土井久美子 201311
一匹の蚊を連れ来たる見舞籠 斉藤マキ子 末黒野 201311
蚊のごとく一打で死せることも良し 白水良子 201311
金雀枝のほとりはしり蚊弱々し 瀧春一 花石榴 201312
館の蚊はみちのく美人好みかな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201407
昼の蚊とエレベーターに乗り合はす 村高卯 201408
鮮血を欲しがり来たる闇より蚊 古川忠利 ろんど 201409
蚊を打つて無聊の一日締め括る 鈴木まゆ 馬醉木 201409
蚊ばしらの弾むやうなり海軟風 定梶じょう あを 201409
本を読む目の前を蚊の通りけり 飛高隆夫 万象 201409
寺の蚊のもの問ふごとくまつはりぬ 大谷昌子 馬醉木 201409
鼻先を風と過ぎたる初蚊かな 中田みなみ 201409
天井の龍の睨める真昼の蚊 藤田素子 火星 201409
蚊を打つてわが血の濃さと思ひけり 加古みちよ 火星 201410
蚊も住まぬ高階にゐてアロマ焚く 森下康子 201410
己が血で蚊の行く闇の闇の果て 古川忠利 ろんど 201411
足首の後ろにとまる蚊の二匹 松村光典 やぶれ傘 201412
血の騒ぐ女をねらふ蚊の羽音 押田裕見子 201412
蚊一匹骨を鳴らして夫は追ふ 白水良子 201412
乃木邸のおくれ蚊ひそむ馬屋かな 原田しずえ 万象 201502
大寒や本を開けば蚊のむくろ 飛高隆夫 万象 201505
蚊 →2      

 

2021年6月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。