地 震 3     230句

使ひゐる春の地震のあとの箸    本橋愛子

地震  余震  津波  震災  原発・原子炉

作品
作者
掲載誌
掲載年月
残暑中台風地震矢継ぎばや 牧原佳代子 酸漿 200511
地震なゐありて濁世に遠き蓮の花 松村多美 四葩 200512
地震つづく東京に泊つ暑さかな 安原葉 ホトトギス 200512
雪の夜は梁哭けり地震の村 吉田かずや 春燈 200512
台風に地震の追ひうち時計鳴る 相沢有理子 風土 200512
穏やかに地震十年の探梅行 稲畑廣太郎 ホトトギス 200601
蝉の穴まづ歪みては地震来たる 坊城俊樹 ホトトギス 200602
かつて地震ありし初冬の九十九島 小澤克己 遠嶺 200602
鵯来鳴く彼方うすうす地震雲 相沢有理子 風土 200602
地震のあと神楽笛よりよき音出づ 定梶じょう あを 200602
地震の崖崩れしままや秋の雨 安原葉 ホトトギス 200603
地震に備え多摩湖工事や葛の花 真木早苗 八千草 200604
雛壇を驚かしたる地震のあり 穐好樹菟男 馬醉木 200605
地震がきて思へり今朝の蛙の死 人見靖子 対岸 200605
目を背けたきもの地震絵双六 後藤比奈夫 ホトトギス 200606
すは地震かとも屋根より雪落ちて 寒河江桑弓 200606
小さき地震女雛の簪ゆれゆれて 柳生千枝子 火星 200606
地震あとの紫蘭は笹を被りゐる 火村卓造 ぐろっけ 200606
秋を待つとはこの風にこの地震に 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
秋近き地震の都心でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200607
不機嫌に文鳥啼けり春の地震 小林文良 春燈 200607
地震のあと煙と地にあり青蜥蜴 水野恒彦 200608
溝蕎麦や地震の疵ある登り窯 苑実耶 200610
鉄線の花のふるえや遠き地震 桑原泰子 八千草 200611
朝の地震林檎の皮の縺れたる 田原陽子 200701
赤楊咲くや地震の証のかたはらに 佐々木幸 200702
露寒の地震の日またもめぐり来し 安原葉 ホトトギス 200703
吹きて啜る熱き葱汁地震の後 土井三乙 風土 200703
地震止みぬペンペン草の花白う 定梶じょう あを 200705
「能登半島地震」と名づく花曇 定梶じょう あを 200705
祈りつつ地震の忌日の焚火かな 長山あや ホトトギス 200706
桜餅地震くぐりきし手塩皿 浜口高子 火星 200706
行く春の地震とも風の触れしとも 吉原一暁 200708
地震ありて凪に赤潮ただよへり 坂北濤 200708
武者人形仕舞ふに地震ぐらりと来る 高塚診次 200708
春潮に地震の昂り残る能登 藤浦昭代 ホトトギス 200709
地震町に一縷の活気燕来る 藤浦昭代 ホトトギス 200709
地震あとの両掌に熱き一夜酒 浜口高子 火星 200709
明易し地震に目覚めてよりの刻 川崎俊子 馬醉木 200709
戛然としたたる母郷地震走る 内山花葉 200710
ふたたびの地震に目覚めて夜の暑し 谷榮子 雨月 200710
炎熱の極みに来たり地震幾度 椿和枝 200711
梅雨の地震ころがり出でし団子虫 大坪景章 万象 200712
地震あとの空の青さに小鳥くる 丸山照子 火星 200712
濁りざけ見えぬ地震に火を焚けり 水野恒彦 200801
葉牡丹の干支一巡り地震跡 品川鈴子 ぐろっけ 200802
地震の夜や蛤高く潮を吹き 塩路隆子 200804
地震ありしこともうつつよ花の旅 稲畑汀子 ホトトギス 200804
地震あとに祈る母の背風花す 堀田清江 雨月 200804
地震の地に帰島始まるさくらかな 中条さゆり 200806
秋近き地震の一報ありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200807
又地震のありしと梅雨の電話切れ 稲畑汀子 ホトトギス 200807
地震のこと梅雨の会話に加はりぬ 稲畑汀子 ホトトギス 200807
中国の地震に揺れて鉄線花 松嶋一洋 200807
雨に日に嵐に地震に秋近し 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
星飛ぶや地震の列島見下して 稲畑廣太郎 ホトトギス 200808
又地震の話となりぬ露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200808
地震の夜は火蛾殊更に狂ひけり 泉田秋硯 200809
日本は地震多き国露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200809
地震の跡しるき館や梅雨冷えて 宮崎見昭 遠嶺 200809
夏至やけふ地震疵深しみちのくは 上原重一 200809
地震の夜のたちまち褪せる水中花 伊藤希眸 京鹿子 200809
梅雨空の遠くの地震に身のすくむ 大橋晄 雨月 200809
せめてもの梅雨の晴間の今朝の地震 磯野しをり 雨月 200809
みちのくの地震の号外梅雨寒し 和田崎増美 雨月 200809
鳥瞰の白き地震跡梅雨深し 丹間美智子 炎環 200809
律儀にも地震の国からさくらんぼ 岡本幸枝 ぐろっけ 200809
夏草の山路もろとも削ぎし地震 安原葉 ホトトギス 200810
南北の地震の報あり五月闇 金澤明子 200810
蝉しぐれ木喰像に地震の傷 長谷川智弥子 炎環 200810
朝は地震夜はいかづちに怯えゐる 大橋敦子 雨月 200810
再びの地震に青田の水涸るる 松本アイ ぐろっけ 200812
一月十五日言三言地震のこと 稲畑汀子 ホトトギス 200901
地震ありし地の秋森の底にあり 北川とも子 ぐろっけ 200902
春の地震なゐ磁石の針のまだおびえ 片山由美子 200903
みな大き地震経し山車やお通りに 野沢しの武 風土 200904
地震訓え具さに聞きて枯葎 北川光子 ぐろっけ 200905
地震の地に残る橋の名業平忌 稲畑汀子 ホトトギス 200906
地震に覚めもう朝寝などして居れず 千原叡子 ホトトギス 200907
風鈴を吊る朝の地震きつかけに 田村園子 200909
打つ手なき地震に脚垂れ蜂水へ 渡邉友七 あを 200909
早朝の地震そのあと台風来 篠田純子 あを 200909
地震の来て朝顔いよよ襞深く 和田政子 200910
朝まだき地震の一撃秋暑し 磯村こうき 200910
強き地震一人居の夜生姜湯 赤座典子 あを 200910
地震すぎて白さるすべり風の湧く 陣野今日子 風土 200911
いくさ地震生きのびて肥え更衣 品川鈴子 はらから 200911
地震あとも表情変へぬ盆の富士 小島禾汀 春燈 200911
山百合や地震にくづれし墓の辺に 小林のり人 春燈 200911
朝の地震みんみん蝉が鳴きたつる 小林正史 200911
台風に地震に列島あたふたす 磯野しをり 雨月 200911
水母寄す地震崩れの岸壁に 塩出眞一 ぐろっけ 200911
竜淵に潜みそこねし地震走る 間宮あや子 馬醉木 200912
隙間風地震の爪痕残る街 稲畑廣太郎 ホトトギス 200912
八朔の地震にムンクのごと叫ぶ 加藤峰子 200912
台風の迫る夜明けの地震烈し 植村よし子 雨月 200912
虫の音のひたと止みたり地震の夜 藤本節子 万象 200912
棚その他無事で地震止み灯の涼し 稲畑廣太郎 ホトトギス 201001
忘れめや地震の暁闇凍てしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201001
地震来て耳そばだてる霜の夜 渡辺安酔 201001
底冷の天神社碑に地震の跡 改正節夫 ぐろっけ 201002
冬うらら地震はひとごと根津界隈 藤野寿子 あを 201002
裸婦像凍つ地震の刻指す時計抱き 塩出眞一 ぐろっけ 201003
地震つづく東北関東春いづく

秋山恒雄

投稿 201103
地震津波列島の春微塵とす 今村征一 投稿 201103
天蓋の辛夷散りつぐ地震の報 藤原千紗子 投稿(広島県) 201103
ゆらゆらとおぼろの闇に余震かな 尾形照夫 投稿(座間市) 201103
地震後の寡黙な暮し畦を塗る 安冨正則 投稿(広島市) 201104
地震津波火山灰も黄沙も降る島に 今村征一 投稿(金沢) 201104
青き踏む地震の復興祈りつつ 今村征一 投稿(金沢) 201104
地震の地を思えば花見など出来ぬ 今村征一 投稿(金沢) 201104
震災で済まぬ人災春虚し 今村征一 投稿(金沢) 201104
地震津波なかりしやうに春の海 今村征一 投稿(金沢) 201104
大地震無事の一言辛夷咲く 鈴木正紘 投稿 201104
地震よりの復興遅々と夏に入る
今村征一 投稿(金沢) 201105
いとほしや地震に摘まれし春の夢 伊藤憲子 201105
ひしめきて咲く片栗や地震の後 阿部文子 酸奬 201105
遠き地震知る由もなし沈丁花 小松渓水 酸奬 201105
牙を剥く世紀の地震や三・一一 紀川和子 201105
原発も地震もなければ辛夷日和 北川英子 201105
春の地震位牌仏像揺り倒し 大畑善昭 201105
春月や週間過ぎし地震の跡 笠井清佑 201105
春疾風地震の難民駅にあふれ 上谷昌憲 201105
人はただおろおろ竦む春の地震 上谷昌憲 201105
千年目てふ春を破りて巨大地震 吉田政江 201105
浅春や日毎に伝ふ地震騒ぎ 大西八洲雄 万象 201105
大地震に半旗を掲げ春の湖 竹内悦子 201105
大地震の後まで侘助咲き残る 阿部ひろし 酸奬 201105
大地震の跡無残なり鳥帰る 竹内悦子 201105
大地震のことには触れず花の下 笹村政子 初鼓 201105
地震しきり木の芽をかこむ放射能 上原重一 201105
地震の後春寒の円の続きけり 伊藤公子 酸奬 201105
地震の地へ出向く子送り春寒き 森下康子 201105
地震遠し芽吹きの街で客死せり 伊藤希眸 京鹿子 201105
地震激し子の住む街の陽炎へる 辻直美 201105
地震跡をそぼ濡らしけり木の芽雨 鈴木照子 201105
地震知らぬごとく岬のすみれ咲く 今村征一 投稿(金沢) 201105
地震津波春寒もしや天譴か 大畑善昭 201105
唐突の巨大地震や春の昼 鷲見たえ子 201105
突然に春の空白地震止まず 能村研三 201105
白梅の慄へて地震の揺り戻し 上谷昌憲 201105
不意に来し地震にたじろぐ春の夜 青野安佐子 201105
未曾有の地震と津波や冴返り 伊藤憲子 201105
翔けて見む弥生の地震の娘の安否 山崎里美 201105
大地震の跡無残なり鳥帰る 竹内悦子 201105
地震跡をそぼ濡らしけり木の芽雨 鈴木照子 201105
未曾有の地震と津波や冴返り 伊藤憲子 201105
牙を剥く世紀の地震や三・一一 紀川和子 201105
唐突の巨大地震や春の昼 鷲見たえ子 201105
地震遠し芽吹きの街で客死せり 伊藤希眸 京鹿子 201105
地震しきり木の芽をかこむ放射能 上原重一 201105
不意に来し地震にたじろぐ春の夜 青野安佐子 201105
突然に春の空白地震止まず 能村研三 201105
白梅の慄へて地震の揺り戻し 上谷昌憲 201105
人はただおろおろ竦む春の地震 上谷昌憲 201105
春疾風地震の難民駅にあふれ 上谷昌憲 201105
原発も地震もなければ辛夷日和 北川英子 201105
地震激し子の住む街の陽炎へる 辻直美 201105
春の地震位牌仏像揺り倒し 大畑善昭 201105
地震津波春寒もしや天譴か 大畑善昭 201105
浅春や日毎に伝ふ地震騒ぎ 大西八洲雄 万象 201105
地震知らぬごとく岬のすみれ咲 今村征一 投稿(金沢) 201105
大地震の後まで侘助咲き残る 阿部ひろし 酸奬 201105
ひしめきて咲く片栗や地震の後 阿部文子 酸奬 201105
地震の後春寒の日の続きけり 伊藤公子 酸奬 201105
遠き地震知る由もなし沈丁花 小松渓水 酸奬 201105
大地震のことには触れず花の下 笹村政子 初鼓 201105
未曾有の津波伴ひ春の地震 赤座典子 あを 201105
大地震身を寄せ合ひて寒に耐ふ 芝宮須磨子 あを 201105
大地震行きずりの人暖かく 芝宮須磨子 あを 201105
春の地震信号すべて赤となる 東亜未 あを 201105
方丈記まさに今記す春の地震 長崎桂子 あを 201105
川縁に草摘み地震の地を想ふ 大橋晄 雨月 201105
駆け降りる高度階段春の地震 粟倉昌子 201106
大地震の対策澱む鳥曇 北尾章郎 201106
花咲くも大地震もまた神の意思 横田矩子 201106
春よ来い東日本の地震跡 西岡裕子 201106
一億の強き絆や春の地震 杉本綾 201106
最短のメールを受送春の地震 中川すみ子 201106
菜の花に払ひたる鬱地震の後 中川すみ子 201106
地震鎮り炎点々冴返る 新実貞子 201106
慰めの言葉失せたり春の地震 能勢栄子 201106
大地震の祖国へ祈る春夜弥撒 宮田香 201106
大地震の復興遠し三月尽 竹内悦子 201106
駈け降りる高廈階段春の地震 粟倉昌子 201106
大地震に決めたる覚悟梅白し 粟倉昌子 201106
枕辺の地震速報凍返る 粟倉昌子 201106
国騒ぐ地震現なり京の春 谷口俊郎 201106
花冷や地震あとの灯を慎みて 丹羽啓子 馬醉木 201106
バット振る無心の男の子春の地震 森さち子 201106
奥羽より足竦めさせ春の地震 田中涼平 201106
地震ふままにふるへてつくしんぼ 荒木甫 201106
春の地震「叫び」のやうな人の顔 原田達夫 201106
春の地震に動き始めし古時計 中下澄江 201106
地震の地の友如何ばかり春の宵 安立公彦 春燈 201106
春暁の地震みんなを起こしけり 加藤良子 春燈 201106
大地震や悼みてあまる三月尽 加藤良子 春燈 201106
春眠の夢奪ひたる地震かな 鈴木静恵 春燈 201106
きぎす啼くみちのくの地震鎮もるべし 鈴木直充 春燈 201106
身のうちの地震ゆれ娘まず弥生尽 高橋和女 春燈 201106

 悼

春満月地震禍あまねく抱擁す

和田孝村 春燈 201106

 悼

大地震に惑ふ此岸や鳥曇

和田孝村 春燈 201106
地震続く地や泰然とさくら咲く 後藤眞由美 春燈 201106
客足の途絶えし日々や地震の春 坂本依誌子 春燈 201106
病む夫に一夜の添い寝春の地震 鈴木誠子 投稿(富士市) 201106
雉子啼いて間もなくのこと巨き地震 大畑善昭 201106
竜天に登りそこねし地震つづき 北川英子 201106
地震あとの列を乱さぬ葱坊主 宮内とし子 201106
彼岸七曜地震情報におろおろと 千田百里 201106
地震のあと蟄居旬余の蕗のたう 秋葉雅治 201106
葱坊主揺れてゐるかに地震酔ひ 吉田政江 201106
折れざくら地震の地に咲く季の恵み 千田敬 201106
大時計止まりしままに春の地震 鈴木良戈 201106
緊急地震速報蔦の芽が真つ赤 井原美鳥 201106
地震の子の卒業式の写真かな 大坪景章 万象 201106
地震津波放射線まで弥生寒 大坪景章 万象 201106
地震見舞ためらふままや四月馬鹿 大坪景章 万象 201106
春の地震母の気配に赤子泣き 大橋雅子 万象 201106
応へなき受話器を握る春の地震 大橋雅子 万象 201106
大地震の来りて春の足竦む 福田雅子 万象 201106
父祖の地の宮城を春の暴れ地震 松本三千夫 末黒野 201106
原発の未曾有の被害春の地震 小野口正江 末黒野 201106
地震後の雀見ずなり桜の芽 小野口正江 末黒野 201106
荒東風や東北関東大地震 岡田史女 末黒野 201106
入院の児へ付き添ふや春の地震 岡田史女 末黒野 201106
地震あとや松の樹越しに春の月 菅野蒔子 末黒野 201106
大地震の停電の夜を蟇出づる 沼崎千枝 末黒野 201106
大地震に果つることなき春うれひ 大橋晄 雨月 201106
釘付けの地震の映像余寒大 中島霞 ぐろっけ 201106
地震の跡遅々たるままに春いまだ 林美智 ぐろっけ 201106
春北風地震の爪跡つぎつぎに 林美智 ぐろっけ 201106
春日射あまねく地震の地にそそげ 藤田京子 ぐろっけ 201106
涙眼で黙祷地震の春寒し 木野裕美 ぐろっけ 201106
大地震に外へとび出し寒き春 樋口正輝 ぐろっけ 201106
春浅し地震速報箸持てず 樋口正輝 ぐろっけ 201106
地震跡の瓦礫の街やつばめ来る 田中貞雄 ろんど 201106
地震やまぬ夜や沈丁の香の淀 中田のぶ子 ろんど 201106
震へ立つグラスの脚や春の地震 福永尚子 ろんど 201106
三月の地震にふるへつ祈るのみ 工藤美和子 酸漿 201106
春炬燵かかへて地震をやり過ごす 外川玲子 風土 201106
地震のあと三月十一日の畳拭く 外川玲子 風土 201106
大地震知らぬ振りして花辛夷 門伝史会 風土 201106
食卓に地震と卵冴返る 根岸善行 風土 201106
海底を浮かれだしたか春の地震 安部里子 あを 201106
地震来ぬかと身構へて日々米をとぐ 鎌倉喜久恵 あを 201106
東京タワー少しかしいで春の地震 鎌倉喜久恵 あを 201106
めまとひや緊急地震速報音 篠田純子 あを 201106
春愁地震速報息詰まる 長崎桂子 あを 201106
うぐひすの突如の美声地震もなし 早崎泰江 あを 201106
酢なまこに地震速報流れけり 火箱游歩 船団 201107
「さくら・さくら」三春の桜地震に耐ヘ 中村ふく子 201107
地震の海知り尽したる桜鯛 服部早苗 201107
地震いまだうすくれなゐに木の芽山 服部早苗 201107
身の内に地震の予知ありさくら時 服部早苗 201107
地震知らぬごとく岬のすみれ咲 今村征一 投稿 201107
明易の地震やみちのくの朋いかに 水原春郎 馬醉木 201107
地震酔や喉につかふる花見酒 村高卯 201107
花韮や地震に崩れし石畳 菅野日出子 末黒野 201107
三月を襲ひし地震の大津波 佐藤健伍 201107
家族みな戻りて春の地震思ふ 佐藤健伍 201107
空振りの地震速報月おぼろ 藤原照子 201107
地震跡の鉄路の徐行蝶の昼 藤原照子 201107
春の地震日本を二つに折りたたみ 工藤節朗 201107
地震計かすかに振るる蝶の昼 辻美奈子 201107
春眠の覚め際地震の濤かぶる 松井志津子 201107
地震あとの段差を隠し杉菜生ふ 松井志津子 201107
地震後の心ざらつき蝌蚪の水 五十嵐章子 201107
桐咲くや地震に崩れし父の墓 山田暢子 風土 201107
集まれば地震の話に桜餅 門伝史会 風土 201107
春昼の地震千年の多胡碑揺れ 鈴木 石花 風土 201107
鳩尾に衝撃走る春の地震 谷泰子 ぐろっけ 201107
生きてねと祈る地震禍辛夷咲く 中尾廣美 ぐろっけ 201107
地震津波日本憂ひて春寒し 中田寿子 ぐろっけ 201107
春寒く大地震あとの喪の心 永塚尚代 ぐろっけ 201107
鳥雲に地震の安否を問ふ電話 野口喜久子 ぐろっけ 201107
たんぽぽの地震に耐へし茎短か 林美智 ぐろっけ 201107
大地震に春塵あげて落ちくる書 遠藤とも子 ぐろっけ 201107
啓蟄や大地震の地よ甦れ 木野裕美 ぐろっけ 201107
彼岸会や巨大地震の爪のあと 北村香朗 京鹿子 201107
幾千の爪あとのある大地震 北村香朗 京鹿子 201107
有史史来の地震に没する花便り 北村香朗 京鹿子 201107
地震激し黙・黙・黙にさくら散る 伊藤希眸 京鹿子 201107
言ふすべなし地震の瓦礫に雪まで積み 丹生をだまき 京鹿子 201107
地震に落つる夫の遺影や帰る鳥 城詰操 万象 201107
弥生行く地震の傷跡引き摺つて 城詰操 万象 201107
昼の地震春潮高くうねりたる 山口千代子 万象 201107
飼猫を探す貼紙春の地震 山口千代子 万象 201107
大地震や倒れし墓へ春の雨 山口千代子 万象 201107
杉花粉飛ぶや甍に地震の崩え 神田美穂子 万象 201107
校庭に地震の地割れ地虫出づ 神田美穂子 万象 201107
地震あとの空の余白を鳥帰る 神田美穂子 万象 201107
大地震に新しき薙芽吹山 鍋島広子 万象 201107
さくらさくら白きさくらや地震の年 大坪景章 万象 201107
小綬鶏の良く啼く日なり地震予報 田中貞雄 ろんど 201107
地震浜よいつか真砂の潮干狩 鎌田慶子 ろんど 201107
四月尽歌壇俳壇地震尽し 上野かりん ろんど 201107
桜咲く地震のりくに踏ん張りて 田中一美 ろんど 201107
日の本を揺るがせ春の地震大き 水田壽子 雨月 201107
長閑さにひそめる愁ひ地震の後 溝内健乃 雨月 201107
地震の地に花の旅せし思ひ出も 服部珠子 雨月 201107
滲みたる春の月あり地震のあと 花岡豊香 酸漿 201107

 東日本大震災

医・職・住・育地震の地の音や春

延広禎一 201107
地震の地に近づく八十八夜かな 谷岡尚美 201107
硝子戸に張りつく守宮地震知るや 早崎泰江 あを 201107
遺言をいよいよ書く気春の地震 木村茂登子 あを 201107
茶箪笥の鳴りゐる地震春の夜 丑久保勲 やぶれ傘 201108
大地震ありたる夜半の朧月 今井千鶴子 ホトトギス 201108
震度六地震に震へる竹の秋 松嶋一洋 201108
地震あとの都忘れは刻のまま 北村香朗 京鹿子 201108
春地震に男の涙幾度ぞ 北村和代 ぐろっけ 201108
地震跡や相手が欲しい水喧嘩 吉田克美 ろんど 201108
地震傷みの土手のシートや麦の秋 菅野蒔子 末黒野 201108
春蘭に屈みて地震をやり過ごす 城戸緑 末黒野 201108
大地震の話は尽きず梅雨の宿 北尾章郎 201109
地震見舞とて故郷より桜鯛 今井千鶴子 ホトトギス 201109
地震の町一夜の明けて霞立つ 赤川誓城 ホトトギス 201109
地震見舞ふ甘酒なども荷の中に 赤川誓城 ホトトギス 201109
盆の月いづこへ失せし地震の街 見田英子 春燈 201109
地震はげしかりがね全て帰りしや 鈴木千恵子 万象 201109
麦秋や土蔵の壁に地震の罅 亀田やす子 万象 201109
大地震や隣家も田植出来ぬまま 大村かし子 万象 201109
地震の句を読めば涙や梅雨来たる 高橋美恵 末黒野 201109
春一番地震に消えたる生活の灯 大場ひろみ 馬醉木 201110
穴出でし墓に地震つぐ真の闇 大場ひろみ 馬醉木 201110
地震過ぎの散華尽して紫木蓮 大場ひろみ 馬醉木 201110
苗札を立てて地震後の畑割 大場ひろみ 馬醉木 201110
地震の地より無事の証のさくらんぼ 中沢三省 風土 201110
朽ちかけし壷を這ひ出す朱夏の地震 鴨下昭 201110
地震の地に友たづぬるも蝉浄土 武田巨子 春燈 201110
地震の跡アルバム探す子月おぼろ 神田惣介 京鹿子 201110
詩心空白地震出水との災害に 大橋敦子 雨月 201110
蒲の穂に雄蕊の長し地震の国 三枝正子 万象 201110
廃校に地震の瓦礫や半夏雨 大村かし子 万象 201110
新聞を切り抜く癖や地震の秋 小林清之介 風土 201111
爽やかに地震の国説く尾池論 山口キミコ 201112
蝦夷までの雲海の下地震の地も 河野美奇 ホトトギス 201112
独活の香に母郷みちのく地震のこと 篠原幸子 春燈 201112
大地震を言へば銀漢海に澄み 藤原冬人 火星 201112
地震続く太古の海の夕焼くる 浅沼久男 201112
秋あかね地震の修理の青シート 原田達夫 201201
冬ざれや地震痕いまだ整はず 岡野ひろ子 201201
蕎麦の花地震に崩れし登窯 飯田ひでを 201201
地震が来て冬瓜汁の具が踊る 丸山酔宵子 かさね 201201
草紅葉地震の跡ある八角墳 有本南陵 ろんど 201201
地震跡の枯野に埋む冊子かな 西村純太 201202
地震荒れのでこぼこ道に銀杏散る 松嶋一洋 201202
戦も地震をもくぐり木の葉髪 市橋香 ぐろっけ 201202
昨日今日気づかぬ地震や冬はじめ 松田泰子 末黒野 201202
地震一に誰も気づかず歌留多かな 竹内悦子 201203
鴨引いて行く大地震を見下して 稲畑廣太郎 ホトトギス 201203
大地震の今宵雁風呂焚かれずに 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
春の地震旅の予定の取り止めに 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
春の地震大地の怒りをさまらず 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
雛飾りつつ地震鎮めたまへかし 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
失ひしものの大きさ春の地震 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
冴返るばかりや地震をさまりて 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203
人の世の耐へねばならぬ春の地震 伊藤とほ歩 ホトトギス 201203

 平成二三年三月 六句

地震吼ゆる芽ぐむ木立を鷲掴み

布川直幸 201203
地を割つて春の空へと地震走る 布川直幸 201203
地震遊ぶ常陸野の春めちやくちやに 布川直幸 201203
地震走り去る春雷の音を呑み 布川直幸 201203
地震どかん春雷どかんまたどかん 布川直幸 201203
原発を無頼と化せり春の地震 布川直幸 201203
地震傷みせし床の間に鏡餅 松嶋一洋 201203
呑み過ぎの元旦酒に地震がきて 丸山酔宵子 かさね 201203
地震ありき復興期せむ北の春 長島清山 かさね 201203
一人居の地震は怖し室の花 赤座典子 あを 201203
地震の傷癒えし山家の余寒かな 正谷民夫 末黒野句集 201203
地震の地の友を案じて花の句座 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
強風に地震に遅れて春の闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201204
寒厨に妻の粥煮る地震の国 佐々木薫 かさね 201204
地震の地に続く総の地春寒し 安立公彦 春燈 201204
鮟鱇の地震の疵痕吊られけり 鴨下昭 201204
寒鴉騒ぐと見れば地震来たる 小川玉泉 末黒野 201204
身の内に地震の揺れあと山霞む 岡井マスミ 末黒野 201204
三月や大空襲に大地震に 木島茶筅子 かさね 201205
地震より一瞬早き雉子の声 高島三郎 万象選集 201205
地震のあと一とせ耐へて蕗のたう 秋葉雅治 201205
地震後の料峭スカイツリーの灯 鈴木良戈 201205
戦慄が走る暮春の地震予告 酒本八重 201206
速報の地震の字にある余寒かな 涌羅由美 ホトトギス 201206
蛇見かけざりしは地震の頃よりと 稻畑汀子 ホトトギス 201206
鈴蘭の野をゆるがせし朝の地震 稻畑汀子 ホトトギス 201206
雀の子残らず立ちて地震の屋根 小林和子 風土 201206
閏日の雪や頻りに地震誘ふ 田中貞雄 ろんど 201206
春の地震去年思ひ出す海の音 田中臥石 末黒野 201206
雛の間の灯を消す頃や地震小さき 安藤久美子 やぶれ傘 201206
節電に地震に鎮もる夏館 稲畑廣太郎 ホトトギス 201207
別れ霜地震の陸奥今日越えて 森下岩男 風土 201207
春暁に海猫浮かぶ地震の海 丸山酔宵子 かさね 201207
半分は見えぬたんぽぽ地震いくど 上野紫泉 京鹿子 201207
五月冷え臨時ニュースは地震速報 田中貞雄 ろんど 201207
小綬鶏の声借りるべし地震予報 田中貞雄 ろんど 201207
幾度も地震ふる初秋の大地 稲畑汀子 ホトトギス 201208
幾度も地震ありし地の露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 201208
水底は蝌蚪の天国地震あるな 上原重一 201208
地震つづき背に重たく春を負ふ 塚原洋子 201208
地震ありて命見つめる五月かな 塚原洋子 201208
地震どんと子燕糞を落としけり 大坪景章 万象 201208
藤房の光の中に地震の神 鴨下昭 201209
くちなしの匂ひ地震とも目眩とも 藤原照子 201209
地震あらば螢袋に逃げ込まむ 千田敬 201209
蚕豆をひたすらむきぬ地震の日は 野畑さゆり 馬醉木 201210
美容師と地震の話防災日 坂上香菜 201211
そらみみに地震ある気配冬旱 酒井秀郎 返り花 201211
山一つ地震に失せたり梅雨じめる 酒井秀郎 返り花 201211
地震あけし塀の艀へと寒波入る 布川直幸 201212
地震あとの段差まだまだ蜻蛉とぶ 伊藤希眸 京鹿子 201212
地震に覚めし午前三時や虫時雨 島野ひさ 万象 201212
春暁や黙示のごとき地震に覚め 竹内弘子 201212
寒月の細し暁闇地震のこと 稲畑汀子 ホトトギス 201301
地震跡の断崖に這ふ蔦紅葉 笠井敦子 201301
冷まじや歳時記落す真夜の地震 松嶋一洋 201301
花柊匂ふ闇あり地震のあと 千手和子 馬醉木 201302
この一本地震知る彼岸桜かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201303
初音聞く蹠を地震の走り過ぐ 布川直幸 201303
地震はしる北の恵方に父の海 遠藤真砂明 201303
桜の夜枕の中を地震走る 布川直幸 201304
地震ふ列島活き活き御慶かな荒木 201304
地震去れば拳突き上げ雲の峰 野沢しの武 風土 201304
草萌ゆる地震観測計蔵し 浅田光代 風土 201305
陸に海に空に薫風今日も地震 布川直幸 201305
地震より大きく揺らす半仙戯 高橋将夫 201306
きのふけふ地震に尖りし春ごころ 黒澤登美枝 201306
神の留守ここにもありぬ地震の痕 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
隙間張る地震の傷痕癒えぬまま 稲畑廣太郎 ホトトギス 201311
地震走りけり月光の降りやまず 辻美奈子 201312
飾焚く地震鎮まれと願ひつつ 布川直幸 201401
水害も地震禍も納め秋深む 松嶋一洋 201401
物芽出づ大地震へしあの日はも 稲畑廣太郎 ホトトギス 201403
綿虫の舞の華やか弱き地震 甲州千草 201403
草萌えの段々畑地震のあと 柳橋繁子 201405
大地震の鎮魂の日や春の雁 北郷和顔 末黒野 201406
地震近し電信柱の鴉の巣 二宮一知 万象 201406
地虫出づ地震の亀裂の深きより 阪本哲弘 201406
中干しの青田に地割れ地震来るな 布川直幸 201407
日に三度地震のありぬ霾ぐもり0 河口仁志 201408
新幹線地震に戦く青田中 稲畑廣太郎 ホトトギス 201408
地震ありし日のままの岩露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 201408
地震の夜の蛤高く潮を噴き 塩路隆子 璦別冊 201408
地震後の新茶のみどり萩茶碗 岡山敦子 京鹿子 201409
地震告げる緊急警報明易し 鈴木セツ 201409
カンナ燃ゆ地震に崩れしままの墓 鴨下昭 201410
地震ありて目を覚まされし夜寒かな 小池一司 やぶれ傘 201412
眠る山地震に噴火に起されて 稲畑廣太郎句帳 ホトトギス 201412
曼珠沙華中越地震拾年目 太田チヱ子 末黒野 201501
寒月や地震の記憶の語部に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201501
狐火や墓地ひび割れの地震の跡 宮田香 201502
地震被災十年目来しそぞろ寒 安原葉 ホトトギス 201503
旅立ちの戸口に地震秋暑し 神田惣介 京鹿子 201503
地震→ 4      

 

2021年3月31日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。