冬の濤    123句

冬濤の掴みのぼれる巌かな   橋本鶏二

冬海 冬の海 冬の浜 冬の浪 冬の濤 冬の波

作品
作者
掲載誌
掲載年月
冬濤に打ちあげられしごと四五戸 柴田良二 雨月 199901
冬涛はバスコ・ダ・ガマの長篇詩 品川鈴子 ぐろっけ 199912
冬濤を踏まへ断崖向ひ合ふ 小山徳夫 遠嶺 200002
冬涛を越え大漁の無線くる 松本松魚 円虹 200102
白山忌ゆゑの冬涛とぞ思ふ 松本松魚 円虹 200102
冬濤や尖塔宙へ発つ構へ 小山徳夫 遠嶺 200103
冬濤にもつとも近し良寛堂 深澤鱶 火星 200104
冬濤や練習船は帆を下し 松原フクヱ ぐろっけ 200104
挑みたる岩に冬涛返り討ち 荒川美邦 京鹿子 200201
冬濤に立つ和多都美の鳥居五基 密門令子 雨月 200202
冬涛の裏返りては島を囓む 山田弘子 円虹 200203
燈台に雲低く冬の濤高し 藤村美津子 春耕 200203
いちはやく詩藻曳きゆく冬の濤 中原道夫 銀化 200204
冬濤や貝殻灯台傾きし 藤村美津子 春耕 200205
冬濤の中より鳥の飛び立てり 大串章 百鳥 200301
うすら日を乗せ冬濤のうねり来る 赤松せつよ 築港 200302
立ち上がる冬濤道に仁王立ち 猪子青芽 ホトトギス 200304
立ち上がる冬濤足のある如く 猪子青芽 ホトトギス 200304
立ち上がりたる冬濤に月丸く 猪子青芽 ホトトギス 200304
冬濤に立ち防塁に佇みて 松尾緑富 ホトトギス 200308
航跡の冬濤となる巨船かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200312
灯台の崖駆け登る冬の濤 北嶋薫 築港 200402
冬濤の立ちあがるとき息吸ひぬ 池田光子 風土 200403
大島の海金剛に冬の濤 上原口チヱ ぐろっけ 200403
冬濤に呑まれ海鵜のそれつきり 永野順江 対岸 200404
アメリカの船載せて来し冬の濤 稲畑廣太郎 ホトトギス 200501
釣人に冬濤及ぶ礁かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200501
屋根に石石の向かうに冬の濤 林昭太郎 200502
冬濤を働哭と聞く日暮かな 松林順子 雨月 200504
冬濤の轟き止まぬ洞窟湯 中松疏水 雲の峰 200504
北の宿に冬濤聞きて足らひけり 塩田博久 風土 200504
冬濤や函館山の裏夜景 安原ときこ 遠嶺 200504
冬濤といへず冬怒濤ともいへず 坊城俊樹 ホトトギス 200505
冬濤や海女小屋すべて塞がるる 松林順子 雨月 200505
身を細めては冬濤と対峙せり 曷川克 遠嶺 200506
船の水尾てふ冬濤でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 200511
塩つくる火を冬濤の前に守る 柴田佐知子 200601
冬濤に近づき過ぎるまで熟慮 伊藤早苗 200602
冬濤の音やなまはげ去りし闇 西村梛子 馬醉木 200603
冬濤の音ちちぽぽとたかしの墓 伊藤伴子 四葩 200603
風蔭に語り冬濤の音やさし 瀧春一 常念 200606
目覚めれば冬涛の音床柱 渡邉美保 火星 200703
冬濤の身を投げうつて砕けけり 小山徳夫 遠嶺 200703
冬濤やまなこ潤める人魚像 菅澤陽子 春燈 200804
冬濤に真向ふ青木しげるの碑 阿部すず枝 万象 200804
片寄せの冬濤もまた故郷なり 高田令子 200804
恒河沙の佛の数や冬の濤 西村純太 200805
一礁となり冬濤を粉砕す 小山徳夫 遠嶺 200804
赤松の安宅の関や冬怒濤 林友次郎 天帝 200806
冬怒涛一途にくだけ株下落 鴨下昭 200901
冬濤の秘めし力が巌を打つ 松本圭司 200901
冬の濤礁の鼻につんのめる 和田満水 200901
清張のモノクロ映画冬怒濤 藤原はる美 200902
玻璃に湯をぶつかけ挑む冬怒濤 和田満水 200902
湾内の巌へ冬の怒濤かな 山田六甲 六花 200902
冬涛をけちらして航く鬼が島 坂上香菜 200903
冬涛を聞きつつ和む与謝の宿 能勢栄子 200903
冬濤を脱ぎ旭光を浴ぶる巌 小山徳夫 遠嶺 200903
点眼の終の一滴冬怒濤 竪山道助 風土 200903
生きてゐる地球のこゑや冬怒濤 藤原照子 200903
冬怒濤東尋坊を低くして 三宅一城 200906
冬濤に真向ひ立てり葬りあと 渡漫千枝子 馬醉木 201002
つかさどる指揮の強弱冬怒濤 藤原照子 201002
冬濤の丹青たんちよん職人なりしかな 瀬川公馨 201002
潮騒に母の声あり冬怒涛 佐藤健伍 201002
冬怒濤灘に敵陣あるごとし 小林朱夏 201003
佐渡抱く大海原や冬の濤 坂根宏子 201004
冬怒涛深く潜れば無音界 泉田秋硯 201005
玻璃越しに見る冬濤の無言劇 千田百里 201101
冬怒濤津軽弁にて押し寄せる 福田かよ子 ぐろっけ 201102
冬濤の一心ひとを許しをり 橋本榮治 馬醉木 201103
冬濤の追手が囲む荒岬 柴﨑富子 春燈 201103
堪忍の袋の破れ冬怒濤 青木ちづる 201104
日本海の機嫌悪くて冬怒涛 泉田秋硯 201105
玄界灘の冬涛激し防人歌 西村敏子 201201
冬が来るぞと灯台の怒濤攻め 遠藤真砂明 201201
文覚の籠りし洞や冬怒涛 田下宮子 201202
冬怒濤玄界灘の夕日消す 楠原幹子 201203
冬怒濤呑まれし民の声かとも 岡澤田鶴 201203
母の死は冬の怒涛の一つなる 水野恒彦 201203
見はるかす海戦の跡冬怒濤 塩見治郎 雨月 201203
或る女祖母といふ冬怒涛 小堀寛 京鹿子 201205
海鳥の鳴き声消ゆる冬怒濤 溝渕弘志 六花 201205
屋根に石石の向かうに冬の濤 林昭太郎 あまねく 201210
冬怒濤巌菩薩の影帯びて 吉川隆史 201303
冬の濤見てきて妻に詫び言葉 戸栗末廣 201303
明石の門やがて冬濤荒るる日も 稲畑汀子 ホトトギス 201311
冬濤のつんつん白き角立てて 野村重子 末黒野 201404
冬濤を計る魚夫の目静かなり 有松洋子 201502
声あぐる柱状節理冬怒濤 加藤富美子 201502
厳しくも気高き若狭の冬怒濤 山田六甲 六花 201502
砂浜に紫烟一挿し冬怒涛 熊谷ふみを ろんど 201503
冬濤の砂丘に育つ松の苗 内海保子 万象 201503
冬濤の渚を飾る白フリル 呂秀文 春燈 201503
冬の海波・浪・濤の高さかな 渡部節郎 201504
肩組んで攻めくる濤や冬銀河 金子正道 京鹿子 201504
打ち返す波の三角冬怒濤 菊地光子 201603
巨艦めく島へ一撃冬怒濤 田川美根子 201603
一湾を磨きあげたる冬怒濤 佐藤やすこ 風土 201603
冬濤に突き当るかに島の道 今橋眞理子 ホトトギス 201605
北斎の狂気は本気冬怒濤 飯田久美子 末黒野 201605
これが冬怒濤東尋坊を噛み 後藤比奈夫 ホトトギス 201610
柱状節理板状節理冬怒濤 後藤比奈夫 ホトトギス 201610
冬濤の異国生札のやんちやもの 西村将昭 201702
帰ること忘れて見入る冬怒涛 秋川泉 あを 201702
冬濤の記憶しまひし舟箪笥 榎本秀治 201703
冬怒濤間垣つくろふ能登の浜 田勝子 万象 201703
真珠湾遥かな磯の冬怒濤 石田きよし 201703
己が殻破つてみよと冬怒濤 楠原幹子 201704
欣一の「塩田句碑」や冬怒濤 門伝史会 風土 201704
終の地と定めてみれば冬怒濤 桐山甫 201706
冬濤のしぶき届かぬ岬巌 松田多朗 馬醉木 201801
水鳥を上下させゐる冬波涛 田尻勝子 六花 201803
因幡かなくだけて白き冬怒濤 延川五十昭 六花 201803
灯台の裳裾に砕け冬怒濤 安斎久革 末黒野 201803
真冬なり楠大木に濤の音 井上静子 201804
還俗の鵜の戸惑へば冬の濤 道端齊 201903
冬怒濤海蝕洞を塞ぎをり 栗山恵子 雨月 201903
篁は怒濤のごとし冬岬 荒井千佐代 201904
冬涛のなく音消える氷見の海 七郎衛門吉保 あを 202003
冬涛のない氷見の海無言なり 七郎衛門吉保 あを 202004
富士を背に冬の怒濤の高まりぬ 及川照子 末黒野 202004
ポピュリズムドーヴァー海峡冬怒涛 出利葉孝 202005
冬の濤巌に挑むシャバダバダ 出利葉孝 202005
冬怒涛海の底なる大欠伸 楠本和弘 202006
冬怒濤子攫はむと沖より来 窪みち子 202010
廃船の竜骨洗ふ冬怒濤 中村重幸 202104
きりぎしの白き灯台冬怒濤 太田良一 末黒野 202104
大太鼓連打の響き冬怒濤 鈴木和江 202105
冬怒濤大敷網の海覆る 田中佐知子 風土 202203
玻璃越しの眼下に望み冬怒濤 前原マチ 末黒野 202203
冬怒濤かもめ百羽を岸に置き 斉藤マキ子 末黒野 202204
冬の濤岩礁に駄々捏ねてをり 出利葉孝 202205
冬怒濤岩礁呑んでしまひけり 本間せつ子 末黒野 202205
冬濤に太初の白さありにけり 角野良生 202208
冬の濤見てゐて肚の決まりけり 戸栗末廣 202210
冬怒濤意志あるごとく襲ひ来る 河原敬子 202210

 

2022年12月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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