冬に入る 5   200句

ただならぬ病覺えて冬に入る  高島茂  草の花

冬立つ  立冬  冬に入る  冬来る  今朝の冬
作品
作者
掲載誌
掲載年月
計画は早目早目に冬に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201111
竹人形髪の先から冬に入る 竹貫示虹 京鹿子 201111
冬に入る今宵の夫は道後の湯 増田一代 201201
京町の路地(ろうじ)どんつき冬に入る 森下康子 201201
寄合の果てし町内冬に入る 米田文彦 かさね 201201
巻尺のかしやんと戻り冬に入る 林昭太郎 201201
炊飯に湧く肚力冬に入り 杉本綾 201202
救世の手の長きみ仏冬に入る 山下佳子 馬醉木 201202
気持良く冬に入る日の方眼紙 荒井和昭 201202
縁先に木鋏ありて冬に入る 堀岡せつこ 201202
冬に入る追ひ掛くるかに余震なほ 荒木甫 201202
金山寺味噌を備へて冬に入る 十川たかし 201202
珈琲挽く店主やや老い冬に入る 相沢有理子 風土 201202
夫の愚痴聞くも看取りや冬に入る 田村加代 末黒野 201202
仮住みに身を委ねゐて冬に入る 高木典子 雨月 201202
松風の高鳴る背山冬に入る 博多永楽 雨月 201202
山茱萸の幹ぼこぼこと冬に入る 大坪景章 万象 201202
冬に入るあごをざらりと撫でにけり 久世孝雄 やぶれ傘 201202
生くるもの葉裏に隠し冬に入る 野坂民子 馬醉木 201203
胸反らすラジオ体操冬に入る 丑久保勲 やぶれ傘 201204
病む犬の声のかすれて冬に入る 久世孝雄 やぶれ傘 201204
陵のまへの箒目冬に入る 広渡敬雄 201211
懐かしき父を惟み冬に入る 大橋敦子 雨月 201212
猪よりも大きな犬や冬に入る 高倉恵美子 201212
こんなところにちひさき骸冬に入る 沼田桂子 春燈 201301
カステラの木箱の香り冬に入る 中山静枝 201301
スカイツリー影長くして冬に入る 小池清司 かさね 201301
ふかふかの産着ヘリボン冬に入る 北川英子 201301
銀色の湖面波立ち冬に入る 松山潤子 京鹿子 201301
冬に入る血圧計の数値かな 定梶じょう あを 201301
噛まれたる犬と出会うて冬に入る 仁平則子 201301
鯉寄せて飛騨の門川冬に入る 米山のり子 馬醉木 201302
しみじみと聞く追分や冬に入り 大松一枝 201302
石切の北壁峨々と冬に入る 石崎和夫 201302
大根に隠し庖丁冬に入る 橋添やよひ 風土 201302
冬に入る一つの星のかがやきて 宮川みね子 風土 201302
湯沸しの滾れる音の冬に入る 松山直美 火星 201302
あたらしき味噌蓋開けて冬に入る 箕輪カオル 201302
冬に入るボトルシップのうすぼこり 涼野海音 火星 201303
首塚の石塊寂びて冬に入る 山本麓潮 万象 201303
名を残す恋文横丁冬に入る 大文字孝一 春燈 201303
冬に入る清々しき富士に背伸びす 東秋茄子 京鹿子 201303
耳りんと立ちて甲斐犬冬に入る 広渡敬雄 201303
不要物山となりたり冬に入る 三谷ゑい 末黒野 201303
曇天の鴉黒ぐろ冬に入る 松本文一郎 六花 201303
目つぶりて裟婆の音消し冬に入る 覚本秀子 ろんど 201303
曲り家の高き煙出し冬に入る 中根千恵子 ろんど 201303
石庭の幾何学模様冬に入る 有本南陵 ろんど 201303
水分のぬけし風音冬に入る 田中一美 ろんど 201303
奥英彦の一戸一灯冬に入る 安武晨子 201303
家まるく仔猫まあるく冬に入る 大日向幸江 あを 201401
満願の鐘ひとつ撞き冬に入る 近藤幸三郎 風土 201401
落し蓋とればほつこり冬に入る 宮内とし子 201401
噛んでけり京の豆菓子冬に入る 定梶じょう あを 201401
神将に喜楽のなくて冬に入る 菊川俊朗 201401
誰も居ぬレントゲン室冬に入る 高倉恵美子 201401
血管の六百キロと冬に入る 竪山道助 風土 201402
高野槙一本仕立て冬に入る 相良牧人 201402
年金のまた下りたる冬に入る 本木下清美 ぐろっけ 201402
残る世を素直に生きて冬に入る 田村すゝむ 風土 201402
風景の両端がまづ冬に入る 佐々木紗知 京鹿子 201402
法灯の揺れのおさまり冬に入る 前田美恵子 201402
蜂蜜の底に固まり冬に入る 三木千代 201402
木の洞に在す観音冬に入る 瀬戸悠 風土 201402
ペン先の時折掠れ冬に入る 新江たか ろんど 201402
野宮の竹吹く風も冬に入る 玉置かよ子 雨月 201402
和蝋燭の色絵三色冬に入る 生田恵美子 風土 201402
牛乳の膜のしわしわ冬に入る 有本惠美子 ろんど 201402
水分の嶺より冬に入る在所 片山喜久子 雨月 201402
隈笹の縁取り白く冬に入る 佐々木新 春燈 201402
体脂肪率二十三パーセント冬に入る 間島あきら 風土 201402
谷川の音の尖りて冬に入る 片山喜久子 雨月 201402
潮の香の血液センター冬に入る 平居澪子 六花 201402
冬に入りマラソンの帯一の谷 木本蓚 ぐろっけ 201402
冬に入る龍太の机しんと在り 室伏みどり 雨月 201402
冬に入る屏風ヶ浦を海に立て 岡澤田鶴 201402
夫ありてこその平穏冬に入る 伊東孝子 201402
灯台の裏窓日射し冬に入る 中山純子 万象 201402
ゆさゆさと牛のおっぱい冬に入る 火箱ひろ 201403
茅葺きの千木は新たに冬に入る 岩崎可代子 ぐろっけ 201403
醤油屋の煉瓦煙突冬に入る 波戸辺のばら 201403
上弦に侍る夕星冬に入る 安斎久英 末黒野 201403
顔洗う猫は右利き冬に入る 南北佳昭 船団 201403
牛の子の鼻ピカピカと冬に入る 笹村恵美子 201403
赤々ともゆる山々冬に入る 中野京子 201403
どの部屋も刻む秒針冬に入る 落合絹代 雨月 201403
降る雨の音の静かに冬に入る 稲岡長 ホトトギス 201403
常陸野の万象冬に入りにけり 池田光子 201404
旅続き句会続きて冬に入る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201411
剥落の木肌雄々しく冬に入る 布川直幸 201411
麹屋の破風より湯気冬に入る 落合晃 201501
街路樹の幹の捲れや冬に入る 山内碧 201501
噴く山も寡黙の山も冬に入る 高橋あさの 201501
大欅より冬に入る武蔵ぶり 高橋あさの 201501
大藁屋薪高々と冬に入る 近藤鉦子 201501
心音のひとつ抜け落ち冬に入る 鈴木セツ 201501
門院陵^白ド砂青松冬に入る 松本鷹根 京鹿子 201501
鳶の鳴く群青日和冬に入る 杉本綾 201502
絡み合ふ電源コード冬に入る 相良牧人 201502
たたなはる赤城全容冬に入る 茂木なつ 春燈 201502
波立ちて魞の傾ぎて冬に入る 大石喜美子 雨月 201502
チューリップ球根植ゑて冬に入る 佐野つたえ 風土 201502
足湯ある嵐山駅冬に入る 岡本尚子 風土 201502
嫗らのちぎり絵あそび冬に入る 伊勢きみこ 火星 201502
街路樹の幹の捲れや冬に入る 山内碧 201502
筑紫野の仏大きく冬に入る 森真二 201502
犀よりも大き顔して冬に入る 雨村敏子 201502
雲ひとつ残し大空冬に入る 前田美恵子 201502
対岸は錦を保ち冬に入る 大橋晄 雨月 201502
冬に入るとふ語も寂し一人住み 服部珠子 雨月 201502
窯小屋に薪高く積み冬に入る 齊藤哲子 201502
モーニングサービスに粥冬に入る 甕秀麿 201502
大雪山の樹々黙ばかり冬に入る 佐瀬晶子 ろんど 201502
雲低く一日の静寂冬に入る 竹田ひろ子 ろんど 201502
また一つ水の尖りて冬に入る 竹田ひろ子 ろんど 201502
椎の枝風鳴らしけり冬に入る 菊谷潔 六花 201502
からからと鳴つて竹林冬に入る 平居澪子 六花 201503
冬に入る雨に変はりし湖の色 吉田万喜子 雨月 201503
身ひとつの鳥や魚や冬に入る 柴田佐知子 201503
冬に入る遺愛の帽の出番です 渡邉俊子 京鹿子 201503
柔らかき手ざはりの布冬に入る 藤兼静子 201503
扉絵のゴルゴ13冬に入る 鈴木みのり 201503
調教の馬の太息冬に入る 市川玲子 馬醉木 201503
倒れ銀杏塑像立ちして冬に入る 田中一美 ろんど 201503
蝦夷の樹の早や黙ばかり冬に入る 佐瀬晶子 ろんど 201503
オリオンの寝起きの顔や冬に入る 橋本くに彦 ホトトギス 201503
境目のなき蒼穹や冬に入る 山下ひろみ 201504
五輪展の羽釜なつかし冬に入る 平野無石 201504
新幹線の歴史を辿り冬に入る 植木やす子 201504
園丁のつぶやき冬に入りにけり 佐土井智津子 ホトトギス 201506
勝鬨橋がつがつと揺れ冬に入る 原田達夫 箱火鉢 201511
週末の旅は続きて冬に入る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201511
ゆで卵きれいに剥けて冬に入る 山田六甲 六花 201511
蒼茫たる夜空や冬に入る神戸 熊岡俊子 雨月 201512
気がつけば雑用ばかり冬に入る 石井美智子 風土 201512
歎かひの詩人生れし日冬に入る 生田高子 春燈 201601
半襟の芯新しく冬に入る 平野加代子 春燈 201601
みな同じマッチの頭冬に入る 原友子 201601
みおくりてよりの月日や冬に入る 金山雅江 春燈 201602
古民家の煙一筋冬に入る 久米憲子 春燈 201602
埴輪の目さらに切れ長冬に入る 沼田桂子 春燈 201602
トンネルの中に県境冬に入る 島玲子 風土 201602
吹く風も流るる雲も冬に入る 吉永すみれ 風土 201602
冬に入る百尺観音の虚空 雨宮桂子 風土 201602
背を伸ばすタオル体操冬に入る 鈴木庸子 風土 201602
ドライフラワー逆さに吊つて冬に入る 仙田孝子 風土 201602
武相荘の棚の裸婦像冬に入る 落合絹代 風土 201602
我がこころ光度を上げよ冬に入る 有松洋子 201602
冬に入る何故か飲みたき昼の酒 久世孝雄 やぶれ傘 201602
やつちや場の野菜積み上げ冬に入る 野口朝世 やぶれ傘 201602
折鶴の吊るされしまま冬に入る 甕秀麿 201602
深淵のただならぬ色冬に入る 丸尾和子 雨月 201602
大川のさざ波立ちて冬に入る 多方清子 雨月 201602
雑用と言へども大儀冬に入る 中原敏雄 雨月 201603
膳にのる根菜多し冬に入る 中島昌子 201603
冬に入る烏ほじくる燃えるごみ 池田友之 夏雲 201603
冬に入る目ざまし時計一つ増え 谷島弘康 末黒野 201603
冬に入る庭師が縄を切る音も 森俊人 201604
日替りのコーヒーカップ冬に入る 赤座典子 あを 201701
極小の羽毛ふうわり冬に入る 石森理和 あを 201701
カップ麺三分待てば冬に入る 早瀬淳一 船団 201701
薬草を干して七尾路冬に入る 望月晴美 201701
海鳴りの豊かに暗し冬に入る 辻美奈子 201701
墨壺の糸のぴしりと冬に入る 林昭太郎 201701
願掛けの蝋燭あまた冬に入る 山内碧 201701
斧こだま平家の里の冬に入る 藤井君江 馬醉木 201701
僧房の寝床一畳冬に入る 小田司 馬醉木 201701
大琵琶の紺の動かず冬に入る 密門令子 雨月 201701
雲竜の眼玉ぎろりと冬に入る 松本三千夫 末黒野 201702
木椀の杢目の密や冬に入る 齋藤晴夫 春燈 201702
弦の月うつすら昇り冬に入る 落合裕子 万象 201702
伐採木積まるる湖辺冬に入る 林陽子 万象 201702
揺り椅子のかすかな軋み冬に入る 紅露恵子 万象 201702
印を結ぶみほとけの指冬に入る 宇都宮敦子 201702
身仕度に手間どる齢冬に入る 大内幸子 六花 201702
赤い靴の少女の瞳冬に入る 井口ふみ緒 風土 201702
中華街に消防訓練冬に入る 中村洋子 風土 201702
鴉にも正調音痴冬に入る 田原陽子 201702
野のにほひ町のにほひも冬に入る 岡本敬子 万象 201702
椨の木の瘤隆々と冬に入る 池美佐子 201702
精神安定剤一粒ふやし冬に入る 鶴岡紀代 春燈 201702
出社酣の靴音冬に入る 大島寛治 雨月 201702
処方薬またひとつ増え冬に入る 田岡千章 201703
野うさぎの耳ぴんと立て冬に入る 正谷民夫 末黒野 201703
寝て起きて食ぶるほかなし冬に入る 大坪景章 万象 201703
冬に入るゆかりの筆をおろしけり 丹羽武正 京鹿子 201703
おとうとの扁桃腺よ冬に入る 河野けいこ 船団 201707
ピラカンサの重く赤き実冬に入る 小池一司 やぶれ傘 201712
街路樹を照らす朝日も冬に入る 長崎桂子 あを 201712
磨ぎ立つる大黒柱冬に入る 神田恵琳 春燈 201801
ボルシチのメニュー書き足し冬に入る 内海良太 万象 201801
LFDの青き街の灯冬に入る 平松うさぎ 201801
ジッパーの滑り良き日や冬に入る 平松うさぎ 201801
診察券だけの財布や冬に入る 安居正浩 201801
象の絵は耳と鼻だけ冬に入る 竹内悦子 201802
冬に入るすでに遊行の大欅 神蔵器 風土 201802
山水を戸毎に引きて冬に入る 佐野和子 万象 201802
豆腐屋の巨き庖丁冬に入る 今井吉子 馬醉木 201802
人生に取捨の神あり冬に入る 吉田とよ子 春燈 201802
余生とは余命にあらず冬に入る 笹倉さえみ 雨月 201802

冬に入る→6

     

 

2021年11月23日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。