冬に入る 4   102句

山の音山へかへりて冬に入る   石嶌岳

冬立つ  立冬  冬に入る  冬来る  今朝の冬
作品
作者
掲載誌
掲載年月
道のりの遥か灯ともり冬に入る 北川英子 200901
湧き水の湯気たちのぼり冬に入る 中山純子 万象 200901
箪笥部屋使はぬ部屋も冬に入る 青垣和子 雨月 200901
藍甕に藍を眠らせ冬に入る 水谷靖 雨月 200901
冬に入る豊年の地のあたたかさ 瀧春一 深林 200901
和洋折衷日本列島冬に入る 藤野寿子 あを 200901
隣室よりパソコンの音冬に入る 篠田純子 あを 200901
冬に入るいつもの場所に血圧計 鈴木多枝子 あを 200901
草の香の烟纏ふや冬に入る 中貞子 200902
百年の格子を磨き冬に入る 田下宮子 200902
冬に入るけふのひと日は舟にゆれ 戸村よねこ 遠嶺 200902
トーストの焦げ目くつきり冬に入る 西村昌三 遠嶺 200902
丹念に田を鋤き峡は冬に入る 浜福惠 風土 200902
冬に入り川音更けし少家族 中山純子 万象 200902
冬に入る橋守に窓ひとつあり 城孝子 火星 200902
血圧の一喜一憂冬に入る 岡本直子 雨月 200902
独居てふ自由不自由冬に入る 川崎光一郎 京鹿子 200902
冬に入る言葉の節を噛みしめつ 田原陽子 200902
冬に入る隣り家の姓度忘れに 清水幸治 200902
起ち上がる波の切つ先冬に入る 藤原はる美 200902
風紋の影濃く砂丘冬に入る 園多住女 雨月 200903
旅先の便り届かず冬に入る 明石文子 ぐろっけ 200903
見下ろせる木々美しく冬に入る 筒井八重子 六花 200903
いくばくの解かぬ転居荷冬に入る 山田弘子 ホトトギス 200904
雨音に目覚めて冬に入る日かな 中島知恵子 雨月 200904
糊効きしナースの白衣冬に入る 木下忠雄 酸漿 200904
積まれたる薪の香りや冬に入る 木下忠雄 酸漿 200904
神楽坂黒板塀も冬に入る 田中藤穂 あを 200912
町の温泉の幟はたはた冬に入る 小澤菜美 201001
駅に向かふ朝の人波冬に入る 今井弘雄 春燈 201001
晒し樋洗ひ薬園冬に入る 淺井照子 京鹿子 201001
一年のしづかに熟し冬に入る 外川玲子 風土 201001
冬に入る五重塔の心柱 林いづみ 風土 201001
森繁の影消ゆるなく冬に入る 大橋晄 雨月 201001
励み来し水中歩行冬に入る 中島伊智子 酸漿 201001
ちぢまって伸びる夜泣きや冬に入る 篠田純子 あを 201001
お早やうと言ふこともなく冬に入る 井上信子 201001
谿百戸冬に入りたる益荒男ぶり 伊藤敬子 201001
大台の源流蒼く冬に入る 鈴木照子 201002
冬に入る木立も影を改めて 渡漫千枝子 馬醉木 201002
多摩川の中州広がり冬に入る 乙坂きみ子 末黒野 201002
影長く肩を並べて冬に入る 田村園子 201002
ポトフーの湯気を豊かに冬に入る 河村啓花 ろんど 201002
堂管の水面に反りて冬に入る 小山徳夫 遠嶺 201002
伊豆の友一人づつ逝き冬に入る 山田暢子 風土 201002
気と風と水音もろとも冬に入る 近藤きくえ 201002
辻褄のぴたりと合うて冬に入る 冨松寛子 201002
二皮も剥けさるすべり冬に入る 大坪景章 万象 201002
広き田に罅の走りて冬に入る 酒井湧甫 201002
鴉より愚かに生きて冬に入る 水谷靖 雨月 201002
イエスノーぶれなく生きて冬に入る 佐田昭子 ぐろっけ 201002
思ふことありて酒断ち冬に入る 上田幸夫 ぐろっけ 201002
鉄を切る火花の匂ひ冬に入る 石原光徳 酸漿 201002
影踏の母と子のあり冬に入る 大澤洋子 酸漿 201002
天竜の水穏やかに冬に入る 内田妙子 酸漿 201002
犬小屋に犬のゐぬまま冬に入る 木村茂登子 あを 201002
ともしびを豊かに飛騨は冬に入る 徳井節子 馬醉木 201003
深吉野に錠の音あり冬に入る 山根征子 201003
冬に入る谷川の音聞きにけり 山口天木 雨月 201003
冬に入る机に黒き眼鏡ケース 土井三乙 風土 201003
冬に入る武州野州の国境 瀬島洒望 やぶれ傘 201003
雨上りポプラのにほひ冬に入る 明石文子 ぐろっけ 201003
冬に入る朝が夕べになるやうに 佐土井智津子 ホトトギス 201004
僧いつも小走りであり冬に入る 藤井啓子 ホトトギス 201005
虚子の句碑青畝の句碑も冬に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201011
旅多き日も半ば過ぎ冬に入る 稲畑汀子 ホトトギス 201011
付箋紙の最後一枚冬に入る 吉田希望 201101
冬に入る電車待つ間の風を避け 笹井康夫 201101
真ん丸な猫の寝姿冬に入る 矢口笑子 春燈 201101
ともしびを豊かに飛彈は冬に入る 徳井節子 馬醉木 201101
山荘の冬に入りたり甘雨あり 石脇みはる 201101
おのがじし何か抱へて冬に入る 犬塚李里子 201101
冬に入るそびらに大仏殿の鴟尾 雨宮桂子 風土 201101
豆腐屋の肩を怒らせ冬に入る 中島玉五郎 201101
東京タワー少し淋しげ冬に入る 北川英子 201101
苦労するひとよそに見て冬に入る 溝口健也 201101
引導の鐘鳴り止まず冬に入る 大橋晄 雨月 201101
見ゆるもの皆透きとほり冬に入る 長崎桂子 あを 201101
挙手多数よって今日より冬に入る 定梶じょう あを 201101
冬に入る熊野古道の起点の碑 田中芳夫 201102
したたむる見舞一筆冬に入る 遠田澄子 馬醉木 201102
沖雲の奔る大灘冬に入る 高地勝峰 馬醉木 201102
独り言ひとり眩き冬に入る 府川昭子 春燈 201102
鷹匠町の空の碧さよ冬に入る 間島あきら 風土 201102
一声は蛙にあらむ冬に入る 前川明子 201102
勝鬨橋がつがつと揺れ冬に入る 原田達夫 201102
冬に入るはねては見する鯉の紅 大島翠木 201102
結界をすり抜け冬に入りにける 柳川晋 201102
冬に入る西洋人形捻子秘めて 宮内とし子 201102
反らす身は日本の角度冬に入る 掛井広通 201102
返信はウィのひとこと冬に入る 阿部眞佐朗 201102
冬に入る工事現場のコスモスよ 大坪景章 万象 201102
滝こだま響きて古刹冬に入る 岡淑子 雨月 201102
いてふの樹影きつぱりと冬に入る 松本三千夫 末黒野 201102
忘られし駄金魚一尾冬に入る 小倉正穂 末黒野 201102
耳鳴りの今朝は大きく冬に入る 谷泰子 ぐろっけ 201102
消えさうな聴力支へ冬に入る 中島霞 ぐろっけ 201102
蜘蛛の巣の意外につよき冬に入る 早崎泰江 あを 201102
甘さうな色の錠剤冬に入る きくちきみえ やぶれ傘 201102
風に立つ白き十字架冬に入る 刈米育子 201103
診療所看板残り冬に入る 木千恵子 万象 201103
闘病も今の生き甲斐冬に入る 嶋田一歩 ホトトギス 201104

冬に入る→ 5

     

2021年11月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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