五 月 9       226句

管楽器寝かす五月の海の上   河合凱夫   飛礫

作品
作者
掲載誌
掲載年月
さみどりは五月の光誘ふいろ 高橋好温 馬醉木 201306
五月来るペンの滲みの青々と 安立公彦 春燈 201307
信濃から姪も駆け付け五月の葬 長島清山 かさね 201307
高階にしばし五月の天女とて 田中藤穂 あを 201307
朱の塔を拝す五月の風享けて 和田郁子 201307
駿河湾の五月の雨の中義兄の死 長島清山 かさね 201307
遠山の空朱鷺色に五月来る 石本秋翠 馬醉木 201307
東大寺鴟尾にあつまる五月の陽 吉成美代子 あを 201307
投薬減り安堵の息の五月かな 川井素山 かさね 201307
薬草に五月の庭は闇白し 山根征子 201308
蒼空五月鍾乳洞の明り取り 吉田克美 ろんど 201309
少年と少女に返り磯五月 井上浩一郎 ホトトギス 201310
五月朔日初花なりし時計草 瀧春一 花石榴 201312
五月来る象のまなこの皺ぐるみ 千田敬 201401
五月かな番号札をわたされて 中林明美 船団 201401
五月過ぐひとり暮らしの音立てず 竹貫示虹 京鹿子 201405
鼻少し灼けて五月の豆畑 田中貞雄 ろんど 201405
風五月仔細分らぬまま仏 稲畑汀子 ホトトギス 201405
五月憂し立ち飲み酒のワンコイン 能村研三 201406
親子して揃ひの靴や五月来ぬ 中山静枝 201406
鯉の水尾広がる五月来たりけり 野上杳 201407
五月来る風が折りたる子の尿 菅谷たけし 201407
五月来るカーテンに風よくからみ 井上春子 春燈 201407
切れ長の白鳳秘仏五月来ぬ 長谷川翠 馬醉木 201407
水走り白い花散る五月くる 大坪景章 万象 201407
塾帰りの影踏みの子やはや五月 宮崎左智子 201407
湧水の砂噴きあぐる五月かな 山下健治 春燈 201407
海光に萌ゆる里山五月来ぬ 石本秋翠 馬醉木 201407
晩鐘や五月の五時の青空へ 渡辺安酔 201407
縄張りは佐幕の心風五月 豊田都峰 京鹿子 201407
五月来て暦剥ぐ音一直線 柴田久子 風土 201408
五月拍子百周年歌劇かな 数長藤代 201408
五月の水溢れ比奈夫の虹の句碑 栗山恵子 雨月 201408
大道芸の口に火を吐く街五月 中村洋子 風土 201408
切株の力残せり風五月 鴨下昭 201408
瀬戸内の五月の海や渦の道 中川すみ子 201408
雀等と五月の風に溺れをり 田原陽子 201408
水使ふことを増やしぬ五月来て 山田暢子 風土 201408
真つ青に空は五月をぬりつぶす 岡澤田鶴 201408
小ぶりなる如来の膝へ五月の陽 木戸宏子 201408
活気づく学生の町ばら五月 久保田雪枝 雨月 201408
楽器背ナにキャンパス往き来風五月 塩見英子 雨月 201408
葉隠れに二の腕みえる五月かな 原田達夫 201408
風五月天よりも地の輝けり 高村令子 風土 201408
目瞑れば湖の呼気なり五月来る 北川孝子 京鹿子 201408
柿右衛門の蒼あざやかに五月来る 柴崎英子 201408
母の手を自ら離す五月かな 仲里奈央 201408
母とわが誕生日同じ五月過ぐ 滝沢幸助 春燈 201408
風五月少年イエス丘駆ける 有松洋子 201408
風五月空奪はれし日本橋 石川寿夫 ろんど 201408
風五月空と語らふポプラの木 中井弘一 201408
布きれをいちまい首に風五月 坂場章子 201408
讃美歌の声透き通る風五月 岩月優美子 201408
産院へ花籠入る五月かな 熊川暁子 201408
白孔雀五月の風へ羽ひろげ 有松洋子 201408
敗戦憲法以来五月を否みけり 滝沢幸助 春燈 201408
遠目してなぞる稜線湖五月 北川孝子 京鹿子 201408
読み終へし本の栞や五月鬱 丸井巴水 京鹿子 201408
空と屋根青と赤なり五月来る 原田たづゑ 春燈 201408
電話鳴る五月豆腐屋空き店舗 鴨下昭 201408
転舵して水尾は純白五月行く 千田敬 201408
雨あとの山毛欅の嵩高五月来る 西村節子 火星 201408
潮の香を吸うて五月の川堤 坂場章子 201408
医学実習白衣まぶしき五月かな 江木紀子 雨月 201408
安心の糸月仰ぐ五月来ぬ 数長藤代 201408
木の橋を渡つて往きし五月かな 鳥居美智子 ろんど 201409
鋼鉄の昏さなりけり五月波 山本久江 201409
五月来て鷹の統べたる裏妙義 小林和子 風土 201409
草木の高く匂ひて五月かな 内藤呈念 ホトトギス 201410
ことごとく五月かぐはしみづみづし 内藤呈念 ホトトギス 201410
椎と雲湧きて五月の空せばめ 佐藤喜孝 あを 201410
五月好きことに五月の母校好き 大久保白村 ホトトギス 201411
風五月山河躍つてをりにけり 木村享史 ホトトギス 201411
美しき五月の朝を生きてをり 木村享史 ホトトギス 201411
男より女輝き街五月 今橋眞理子 ホトトギス 201411
ホーム五月三時のお八つ出る楽しさ 野沢しの武 風土 201412
右折して左折五月の蝦夷の旅 稲畑汀子 ホトトギス 201505
旅衣脱いだり着たり蝦夷五月 稲畑汀子 ホトトギス 201505
風五月乱るる髪もそのままに 稲畑汀子 ホトトギス 201505
旅衣吹かれて蝦夷の五月かな 稲畑汀子 ホトトギス 201505
プラードの五番と五月盛りなり 井上石動 あを 201506
男の子たち五月病などふつとばせ 加藤みき 201507
白熊の五月の水を奪ひ合ひ 大谷昌子 馬醉木 201507
身をたたく抗癌剤や五月来る 藤丸誠旨 春燈 201507
トンネルの陽差しは出口五月行く 能村研三 201507
開け放つ五月の窓もわが脳も 辻美奈子 201507
海五月安房の走者を見失ふ 千田百里 201507
心にも開け放つもの五月来る 宮内とし子 201507
五月来るハムの切り口もも色に 楠原幹子 201507
忽と逝く海の男の五月かな 河口仁志 201507
ドロップのごと児ら駆ける五月の野 栗原公子 201507
木道に歩荷のひびき五月来る 田中佐知子 風土 201507
夕日いま散歩の道を焼く五月 松嶋一洋 201507
折紙の見事な鎧五月来る 村上倫子 201507
蕊降つて風入れ替はる五月かな 黒沢登美枝 201507
朝風呂に人体図めく五月かな 田中藤穂 あを 201507
風五月青の濃淡水彩画 長崎桂子 あを 201507
五月三日澄みし天空九条晴 佐藤恭子 あを 201507
風五月痩せるまで犬梳かれをり 鈴木まゆ 馬醉木 201508
境内を婚礼の列五月来る 遠山のり子 201508
神の座は咲き満つる中五月来る 宮井知英 201508
窓開けて五月の風を通しけり 松村光典 やぶれ傘 201508
変声期の子の黙深き五月かな 岡田史女 末黒野 201508
晩鐘の余韻五月の空に消ゆ 藤岡紫水 京鹿子 201508
五月鬱鸚鵡返しで暮れて行く 丸井巴水 京鹿子 201508
バンジージヤンプ五月の風を切り裂きぬ 布川孝子 京鹿子 201508
風五月昴るもののなしとせず 福島照子 京鹿子 201508
犀星の筆跡親し旅五月 安立公彦 春燈 201508
昨日より今日の群青五月富士 柴崎富子 春燈 201508
欅並木五月の風がふくらます 井上春子 春燈 201508
恙あり籠りぐせつき五月果つ 大嶋洋子 春燈 201508
草稿を書き上げ五月の風美味し 赤岡茂子 春燈 201508
庭師来て五月の風の通ふ庭 那須禮子 春燈 201508
わがつけし傷に樹脂噴く五月来ぬ 木下夕爾 春燈 201508
手をふれてピアノつめたき五月かな 木下夕爾 春燈 201508
海の駅の他がらんどう浜五月 高橋道子 201508
家中の窓開け五月来たりけり 数長藤代 201508
五月来る瘤つややかに床柱 成田美代 201508
搾乳の音弾みたる五月かな 甕秀麿 201508
みちのくへ発つや五月の尾を掴み 千田百里 201508
谷中画く青い眼に会ふ風五月 宮内とし子 201508
川風の五月の香り和船来る 鈴木良戈 201508
洛中を一川奔る五月かな 橋添やよひ 風土 201508
峡深く道切れ込んで五月来る 生田作 風土 201508
大桟橋五月の風をほしいまま 井口ふみ緒 風土 201508
ふるさとに向かふ車窓に五月富士 中嶋陽子 風土 201508
父と弟忌日重なる五月来ぬ 水井千鶴子 風土 201508
佇めば弥生遺跡に五月風 延川五十昭 六花 201508
紬織る五月は五月の色を持て 高橋照子 雨月 201508
あをあをと五月息づく森巡る 祐宗千代子 雨月 201508
樟大樹五月の空を押し上ぐる 田賀楳恵 万象 201508
雌蛭木の先は五月の波の音 岩月優美子 201508
「飛ぼうよ」と五月の鴎誘ひ来る 有松洋子 201508
老犬の歩み促す風五月 久保夢女 201508
子どもらが風となりゆく五月かな 後藤マツエ 201508
切通し五月の小雨五月の香 森清信子 末黒野 201509
影ろひて樹々彩増せり五月風 岡野里子 末黒野 201509
五月富士ほてり色して昏れにけり 原田しずえ 万象 201509
金剛峯寺の廊下よく鳴る風五月 原田達夫 201509
気象異変五月台風また沖に 久保晴子 雨月 201509
駆け抜けし昭和遥かや風五月 佐土井智津子 ホトトギス 201510
差し潮の五月のひかる傘雨の忌 大崎紀夫 虻の昼 201510
五月来る空より青き水のそら 三屋英俊 万象 201510
雑踏を抜けて五月のカフェテラス 松田明子 201510
倒木に小さき命や五月山 布施由岐子 末黒野 201510
堰落つる水牝閃々と五月来ぬ 饗庭悳子 末黒野 201604
五月てふ何かが新しき句座へ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
俳句とは心の若さ蝦夷五月 稲畑廣太郎 ホトトギス 201605
夕べ会ひ今日又会へて旅五月 稲畑汀子 ホトトギス 201605
風雨荒れ五月の旅を縫ふやうに 稲畑汀子 ホトトギス 201605
寒暖のきびしき五月なりしこと 稲畑汀子 ホトトギス 201605
美しき大地よ蝦夷の五月とは 稲畑汀子 ホトトギス 201605
靴紐を替へて五月へ歩き出す 千田百里 201606
月山の雪解瑕疵見ゆ五月来ぬ 沼澤石次 馬醉木 201607
真帆白し五月の風を傾けて 錫木妙子 馬醉木 201607
帆船の女神うるはし五月風 上柿照代 馬醉木 201607
暦剥ぐ音直線に五月来る 成宮紀代子 201607
崩れ易き五月三日の目玉焼 頓所友枝 201607
酒肆に満つ憲法論や五月憂し 千田百里 201607
啄木も行雲の人五月来る 大畑善昭 201607
風五月広げて大き旅の地図 宮内とし子 201607
五月晴クレーンはピルを積み重一ね 宮内とし子 201607
悲しみも喜びも五月こそ生きぬいて 菊地榮子 春燈 201607
名を知らず背の高い五月の人と呼ばう 菊地榮子 春燈 201607
伊予はるか野風呂岬の風五月 鈴鹿呂仁 京鹿子 201607
五月風昔は白の似合ひけり 中田みなみ 201607
五月来ぬ海山見たき望みあり 田中藤穂 あを 201607
衣の軽く歩みも軽し五月かな 長崎桂子 あを 201607
風五月町の幾多の匂ひ満つ 長崎桂子 あを 201607
風撫でる花壇の五月の放物線 長崎桂子 あを 201607
五月来る鳥の図鑑のプレゼント 山荘慶子 あを 201607
担任の家庭訪問五月かな 山荘慶子 あを 201607
扇風機出すや五月の終わる日に 須賀敏子 あを 201607
黒服にはじまる五月雲あらず 山崎靖子 201608
生きものの黒目まん丸五月晴 田部井幸枝 201608
死ぬときは五月と思ふ崖の青 高橋たか子 馬醉木 201608
砂浴びて馬立ち上がる風五月 鈴木漱玉 馬醉木 201608
観覧車空をまはして五月来る 板坂良子 馬醉木 201608
余念なき念の化粧や五月来る 中野さき江 春燈 201608
五月晴家事一切に使ひきる 滝澤千枝 春燈 201608
五月来る艀に垂れし縄梯子 小林共代 風土 201608
しあはせの黄色のポスト風五月 問島あきら 風土 201608
植物園に五月の風や大櫻 布施まさ子 風土 201608
バス停の屋根に魚網や五月晴 赤座典子 あを 201608
五月晴君の笑顔も晴々し 王岩 あを 201608
栗国忌丁雨忌五月来たりけり 田中臥石 末黒野 201608
ウインドーにドガの踊り子街五月 川村亘子 末黒野 201608
坂に来て五月の風のやはらかし 松原三枝子 万象 201608
帆を降ろす舟に五月の風騒ぐ 平居澪子 六花 201608
風五月ドローン捉へるドローン飛ぶ 塩貝朱千 京鹿子 201608
五月来ぬ苑にあたかもファンファーレ 浅井青二 雨月 201608
世々を経ていざ鎌倉へ旅五月 久保田雪枝 雨月 201608
五月の風入れて遺品の整理など 森幸 雨月 201608
レコードの針置くやうに五月来る 大矢恒彦 201608
啄木になつて五月の砂すくふ 本多俊子 201608
沖へ出で五月の風となる白帆 古賀しぐれ ホトトギス 201609
表札の夫婦別姓五月晴 田嶋洋子 春燈 201609
ガラス切る音まつすぐに五月来る 宮川みね子 風土 201609
五月晴れ去年の大稲架残りたる 赤堀洋子 万象 201609
コックスのひと声とぶや五月晴 黒滝志麻子 末黒野 201609
祖の句碑へ序章のちかひ五月凪 和田照海 京鹿子 201609
駆ける児を追ふ母若し五月風 神田惣介 京鹿子 201609
コルク栓スポンと抜けて五月富士 中島陽華 201609
彩を消し匂ひは秘めて五月闇 熊川暁子 201609
数式のすいすい解けて風五月 藤井啓子 ホトトギス 201610
晴れをんな五人集まり五月晴 石川叔子 201610
生花展蕾ほころび五月尽 野村鞆枝 京鹿子 201610
風五月おむつもこもこ鬼ごつこ 布川孝子 京鹿子 201610
風あらばすぐに応へて五月の木 小林愛子 万象 201610
べーコンをカリカリに焼く五月晴 山田佳乃 ホトトギス 201611
朝礼の五月の言葉透きとほる 七種年男 輪中の空 201612
一輪車苗山積みに風五月 渡辺やや 風土 201701
教会でのゴスペル熱唱五月晴 井上正子 童女 201701
マンドリンの響くベネチア五月晴 南北佳昭 船団 201701

 「あらうみ」九百号祝句

あらうみの歴史播く五月晴

稲畑汀子 ホトトギス 201702
マヌカンのうなじ伸びやか五月来る 藤沢秀永 201702
神々のサイコロキャラメル五月来る 秋山泰 船団 201702
ノイシュヴァンシュタイン城五月の空に童話めく 成瀬櫻桃子 春燈 201704
仕事の手止めて五月の庭に出る 稲畑汀子 ホトトギス 201705
巡り来る日々の早さよ旅五月 稲畑汀子 ホトトギス 201705
もう会へぬ友を偲びて風五月 稲畑汀子 ホトトギス 201705
降り立ちし五月の蝦夷の風纏ひ 稲畑汀子 ホトトギス 201705
着陸す五月の雪の山見つつ 稲畑汀子 ホトトギス 201705
この広き大地五月の風を生む 稲畑汀子 ホトトギス 201705
快晴の旅路五月の蝦夷なりし 稲畑汀子 ホトトギス 201705
偲ぶ人多し五月の風の中 稲畑汀子 ホトトギス 201705
風五月北の大地に着陸す 稲畑汀子 ホトトギス 201705
水音を消して風音庭五月 稲畑汀子 ホトトギス 201705
友病めばわが齢思ふ五月尽 稲畑汀子 ホトトギス 201705
五月→10      

 

2021年5月29日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。