五月闇 1    200句

五月闇より石~井の流れかな    川端茅舍

五月  五月尽  五月鯉  五月晴  五月闇

作品
作者
掲載誌
掲載年月
色づける庭を覆ひて五月闇
稲畑廣太郎
ホトトギス
199906
幽玄の五月闇よりシテ出づる
稲畑廣太郎
ホトトギス
199906
大通り空車溢れて五月闇
稲畑廣太郎
ホトトギス
199906
癌の海に已れただやふ五月闇
三浦勲
199907
鹿威し五月闇打ち半伽思惟
伊丹さち子
馬醉木
199908
賽の目の裏目表目五月闇
鈴鹿百合子
京鹿子
199908
諭されし人を葬る五月闇
山口たけし
俳句通信
199908
鳥ではない木とわたくしと五月闇
小枝恵美子
ポケット
199911
病棟を老父訪いくる五月闇
石川義倫
海程
200005
どこにでも起り得る些事五月闇
保坂さよ
いろり
200006
五月闇雨の匂ひの駅に立つ
内野聖子
船団
200009
妬といふ言葉浮かびて五月闇
内野聖子
船団
200009
皐月闇テールランプの照らす雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
200106
五月闇昭和の記憶一つ又
稲畑廣太郎
ホトトギス
200106
波の音近くなり来る五月闇
内藤悦子
あを
200106
入道のぬつと顔出す五月闇
内藤悦子
あを
200106
五月闇のあちらこちらの水鏡
加藤みき
200107
五月闇通る人皆無口なり
桑原敏枝
いろり
200107
豪農の厨の納戸の五月闇
横田和
春耕
200107
餡練つてゐる火の濃かり五月闇
杉浦典子
火星
200108
潮騒につのる雨音五月闇
藤井圀彦
200108
大皿の羊歯のデフォルメ五月闇
伊藤稔代
200109
心音の波形消えゆく五月闇
河野美奇
ホトトギス
200110
五月闇聞き返す耳落ちたれば
堀真知子
海程
200110
庭隅に猫の目動く五月闇
大久保白村
ホトトギス
200111
五月闇天狗はいよよ赤き顔
稲畑廣太郎
ホトトギス
200206
淋しさを埋めるすべなし五月闇
稲畑汀子
ホトトギス
200206
すれ違ふ人恐ろしき五月闇
小林佐江子
雨月
200206
そのかみの子とろの暗さ五月闇
鷹羽狩行
200207
五月闇釜鳴吉と聴きにけり
田中由子
円虹
200207
五月闇茶碗で水を飲んでをり
市川伊團次
六花
200207
片付かぬ部屋を片付け五月闇
市川伊團次
六花
200207
屑ひとつ取るのが重き五月闇
市川伊團次
六花
200207
五月闇芥のなかに招き猫
金子野生
京鹿子
200208
五月闇森の侏儒の神隠し
川崎光一郎
京鹿子
200208
五月闇森に潮の匂ひして
加藤みき
200208
五月闇カーラのみが白く見ゆ
小田知人
ぐろっけ
200208
雨音の闇の向かうの五月闇
岩田沙悟浄
円虹
200209
五月闇天を降り来て奈良坂に
岩田沙悟浄
円虹
200209
五月闇動悸の他に音も無し
岩田沙悟浄
円虹
200209
五月闇信長討たれ攻め終る
西重正
京鹿子
200209
喪心の日々に深しや五月闇
佐野布娑
雨月
200209
多摩川を越えれば五月闇解け
稲畑廣太郎
ホトトギス
200306
稜線は仄と明るき五月闇
稲畑廣太郎
ホトトギス
200306
五月闇テールランプはいよよ赤
稲畑廣太郎
ホトトギス
200306
その中に魑魅を秘めて五月闇
稲畑廣太郎
ホトトギス
200306
五月暗おしるし程に隅田川
稲畑廣太郎
ホトトギス
200307
エンジンの近づく音や五月闇
宮崎千恵子
帆船
200307
誰かつく良寛の毬五月闇
石田阿畏子
馬醉木
200308
黒猫の眸するどし五月闇
若山実
雲の峯
200308
五月闇運河を隔て君がゐる
加藤あけみ
円虹
200309
五月闇節電進む丸の内
稲畑廣太郎
ホトトギス
200406
五月闇抜けサヨナラ弾スタンドへ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200406
五月闇頭陀袋からまず手足
吉弘恭子
あを
200407
木の花のそれとわからず五月闇
鷹羽狩行
200407
五月闇なんじあもんじあの唸りごゑ
松井のぶ
200407
ふくれくる潮の香に酔ふ五月闇
前田青紀
馬醉木
200408
五月闇面のパックをはがしをる
中野京子
200408
花道を木偶の歩みぬ五月闇
大東由美子
火星
200408
五月闇角を曲れば三国港
柏木昭子
築港
200408
眠れぬと言ふ妻眠る五月闇
河西みつる
草の花
200408
心半分持つていかれし五月闇
林裕美子
六花
200408
木偶の目の深淵覗く五月闇
鈴木愛子
ぐろっけ
200408
泥眼の奥底しれぬ五月闇
近藤喜子
200409
子を抱きて待つ救急車五月闇
中嶋陽子
風土
200409
五月闇奈落の口に巻揚機
笠間圭子
京鹿子
200409
映像に不死身のひばり五月闇
河合佳代子
栴檀
200409
雲水の足裏の白き五月闇
柳葉繁
200409
掻きまぜてみむ蛸壺の五月闇
飛鳥由紀
200409
仏の灯終日点す五月闇
花房敏
ぐろっけ
200410
おのが声はるかに聞こゆ五月闇
水野恒彦
200507
遍照堂蔀の裡は五月闇
品川鈴子
ぐろっけ
200507
五月闇抜ける分身影もたず
宇都宮滴水
京鹿子
200507
五月闇きれいに掃いてありにけり
高橋将夫
星の渦
200507
押入に遊びし記憶五月闇
鹿野佳子
200508
青貝の息をしてをる五月闇
雨村敏子
200509
戦火に追はれし記憶五月闇
三反田輝夫
河鹿
200510
五月闇文目もわかず水ほとり
稲岡長
ホトトギス
200510
惑星の裏かも知れず五月闇
岩垣子鹿
ホトトギス
200511
探りゐる鍵穴といふ五月闇
山田弘子
ホトトギス
200511
人悼む心に黙す五月闇
稲畑汀子
ホトトギス
200606
模型屋の昼を灯して五月闇
稲畑汀子
ホトトギス
200606
五月闇灯せば句座の新しく
稲畑汀子
ホトトギス
200606
軍星負ひし光秀五月闇
荻野嘉代子
春燈
200608
待たさるる聴力検査五月闇
富沢敏子
200608
水平に刀置きある五月闇
大東由美子
火星
200608
観音の手燭に浮かぶ五月闇
北川瀬通子
200609
荒縄の先ゆれてをり五月闇
栗栖恵通子
200609
リア王の心そのまま五月闇
近藤喜子
200609
枕上古墳の迫る五月闇
植村よし子
雨月
200609
徘徊のゆくても知らず五月闇
河内桜人
京鹿子
200610
五月闇ケア・ホームに童唄
古林田鶴子
ぐろっけ
200610
一戸づつ五月闇抱く舟屋かな
山田弘子
ホトトギス
200611
海底に揺れてをりけり五月闇
ことり
六花
200706
螺髪にもにはかな風の五月闇
水野恒彦
200707
見そなはす塔の心柱五月闇
能村研三
200707
シャーマンの口の中なる五月闇
栗栖恵通子
200708
五月闇薬師如来の泥鰌髭
藤木祥治
春燈
200708
五月闇音せぬ時も日の中に
長屋璃子
火星
200709
卵黄のしずかに落ちて五月闇
小形さとる
200709
五月闇来て燭光の伎芸天
曷川克
遠嶺
200709
千年の井戸に棲みつく五月闇
吉村摂護
200709
五月闇大輪先生阪神ファン
稲畑廣太郎
ホトトギス
200806
誰も覗くバッタリ小屋の五月闇
伊藤白潮
200807
ふくろうの金の眼動く五月闇
久保田美智子
200808
いつよりか無人の団地五月闇
富崎季実子
200808
露天湯へ長き通路や五月闇
富崎季実子
200808
五月闇より好転の空ありや
小澤克己
遠嶺
200808
五月闇数羽の鴉歩きゐる
水野恒彦
200808
朴の幹ほのかにぬくし五月闇
西岡史代
万象
200808
草も木も雨も匂ひて五月闇
鎌倉喜久恵
あを
200808
沸騰を待たずに冷めて五月闇
松田都青
京鹿子
200809
堰を落つ水のきらめき五月闇
伊藤希眸
京鹿子
200809
五月闇牛蛙鳴く駅に着く
藤井美晴
やぶれ傘
200809
五月闇能面の口動くかな
有賀昌子
やぶれ傘
200809
南北の地震の報あり五月闇
金澤明子
200810
五月闇音も匂ひもなかりけり
高橋将夫
200907
阿曽女あそめ守る釜占の火や五月闇
須賀允子
万象
200907
五月闇の奥を覗かず帰りたり
近藤紀子
200908
山川草木悉皆成仏五月闇
小林宙太
炎環
200908
明滅の星すぐそこに五月闇
柴田鏡子
200908
朽ちさうな洋館の白五月闇
鎌倉喜久恵
あを
200908
かさぶたをこわごわ剥けり五月闇
石川裕美
ぐろっけ
200909
五月闇警笛止めて玄関に
島純子
ぐろっけ
200910
五月闇虚子のあしあと辿る旅 稲畑廣太郎 ホトトギス 201006
オペを待つベッド固しや五月闇 小林成子 201007
鳥居二つ境明神五月闇 内海良太 万象 201007
五月闇内なるをろちさわぎだす 安部里子 あを 201007
郵便夫出でくるモスク五月闇 藤原冬人 火星 201008
五月闇平癒祈願の磴のぼる 川崎利子 201009
抽斗は我楽多市や五月闇 森下康子 201009
種牛の鼻差し入れる五月闇 小堀寛 京鹿子 201009
五月闇救急車待ちて門に立つ 島純子 ぐろっけ 201010
五月闇森の匂ひの濃くありぬ 今橋眞理子 ホトトギス 201011
五月闇抜け真つ新な朝かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201012

久保田万太郎先生急逝

五月闇蓬髪にはかに櫛折れて

成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
五月闇新人賞が払ひゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
五月闇らふそく能に解けゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201106
五月闇深し明るき一と所 稲畑汀子 ホトトギス 201106
同義語に「水棺」「水葬」五月闇 能村研三 201106
ビオロンの洩るる枝折戸五月闇 神田恵琳 春燈 201107
藍の華甕につぶやく五月闇 林いづみ 風土 201108
原子炉へ入るロボット五月闇 次井義泰 201108
五月闇橋に隠さる黄金比 村高卯 201108
厄除の朱旗に打たるる五月闇 田中貞雄 ろんど 201108
しみじみと隻眼かこつ五月闇 山田をがたま 京鹿子 201109
人形の口のほころぶ五月闇 伊奈勝代 京鹿子 201109
波のごとき竹の葉擦れや五月闇 松本三千夫 末黒野 201109
ただ眺む梵字の壁の五月闇 西村純太 201109
五月闇しかと味はふ節電時 古林田鶴子 ぐろっけ 201110
竹林の騒ぎ出したる五月闇 鳥羽夕摩 京鹿子 201110
追伸の次の一枚五月闇 鳥羽夕摩 京鹿子 201110
寺を守る難聴の僧五月闇 石田野武男 万象 201110
鍵盤に触れし残響五月闇 コ田千鶴子 花の翼 201111
旅先に届きし訃報五月闇 稲畑汀子 ホトトギス 201205
濡れ色に句碑を鎮めて五月闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
五月闇二人の恋を消してゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201206
山の端を墨絵ぼかしの五月闇 小池清司 かさね 201207
ものの怪に憑かれて竦む五月闇 後藤マツェ 201207
ハミングを引き出す微酔五月闇 田中貞雄 ろんど 201207
いま消えし医院の灯五月闇 鈴木良戈 201208
誤解とは解き難きもの五月闇 山内洋光 201208
携帯電話けいたいの会話が歩く五月闇 竹内悦子 201209

マリーアントワネット幽閉

五月闇栄華の果の牢格子

塩路隆子 201209
能面の裏も表も五月闇 岩月優美子 201209
ぶうらりと垂るる革砥や五月闇 菊地光子 201209
五月闇ため隅櫓守る乾 豊田都峰 京鹿子 201209
齢老いし時間が通る五月闇 松田都青 京鹿子 201209
五月闇眼鏡のレンズすぐ汚る 村田とくみ ぐろっけ 201211
オフィス街半旗掲げて五月闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201305
潦より潦五月闇 稲畑汀子 ホトトギス 201305
おのれより離れゆくこゑ五月闇 水野恒彦 夢寐 201306
伽羅の香のかすかや堂の五月闇 井上石動 あを 201306
五月闇木々は合言葉を持ちて 小幡喜世子 ろんど 201309
五月闇赤子に還る寝息かな 和田政子 201407
五月闇行き交ふ人のみな無口 松嶋一洋 201407
唐突に猫が声立て五月闇 半田稜 ろんど 201408
熱き茶をひたすら汲みぬ五月闇 岡野ひろ子 201408
行灯を背に人形や五月闇 西谷良樹 春燈 201408
一灯を奥に許して五月闇 豊田都峰 京鹿子 201408
五月闇恋はボタンの掛け違ひ 松田都青 京鹿子 201409
五月闇クレーン止まるお昼どき 竹内悦子 201409
橋の向うの十三回忌五月闇 鳥居美智子 ろんど 201409
遮二無二の二が離れない五月闇 松田都青 京鹿子 201409
化身への思ひいまだに五月闇 直江裕子 京鹿子 201409
五月闇七盛塚のどれがだれ 三村純也 ホトトギス 201410
月落ちてよりの真の五月闇 鳥居美智子 ろんど 201410
後手に扉をしめ五月闇深し コ田千鶴子 馬醉木 201507
五月闇木の葉したたる山の道 秋川泉 あを 201508
峰定寺の磴四百の五月闇 大橋晄 雨月 201509
むらさきに煙る山里五月闇 武生喜玖乃 雨月 201509
新聞は広告ばかり五月闇 野中圭子 京鹿子 201510
仁王の眼の金縛りに遇ふ五月闇 堀田清江 雨月 201510
もうワイン誰も勧めぬ五月闇 稲畑廣太郎 ホトトギス 201606
この奥は世界遺産や五月闇 小野寿子 201606
刀剣の反りに凝りたる五月闇 コ田千鶴子 馬醉木 201607
息つめて木熊彫り上ぐ五月闇 大内和憲 万象 201608
消灯の病室包む五月闇 金山雅江 春燈 201609
王様の耳ロバの耳五月闇 直江裕子 京鹿子 201609
彩を消し匂ひは秘めて五月闇 熊川暁子 201609
あな暗やとは鉄門の五月闇 安原葉 ホトトギス 201612
時流れゐしを忘れし五月闇 稲畑汀子 ホトトギス 201706
着陸の態勢を問ふ五月闇 稲畑汀子 ホトトギス 201706
麺類を喰らう人類五月闇 川嶋健佑 船団 201707
五月闇玻璃の向かふは無限界 熊川暁子 201708
五月闇潜みてをりし魔物かな 岩月優美子 201708
木の幹に鹿の食みあと五月闇 石川純子 万象 201709
五月闇より樟の葉の匂ひけり 戸栗末廣 201709
ふるさとの森の匂ひや五月闇 大山春江 万象 201710
血のごとき子規の墨跡五月闇 木暮陶句煎 ホトトギス 201711
稲荷祀る銀座路地裏五月闇 川田好子 風土 201808
仏の灯のみの内陣五月闇 佐津のぼる 六花 201809
色えんぴつ転がる先の五月闇 おーたえつこ 201809
五月闇→2      

 

2021年6月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。