夕 焼 8       200句

夕焼けやあさきゆめみてゑひもして   平井照敏

夕焼  秋夕焼  冬夕焼  寒夕焼  春夕焼  春茜

作品
作者
掲載誌
掲載年月
三輌の電車走りて夕焼雲 山荘慶子 あを 201507
叱られし子は夕焼に球を蹴る 野坂民子 馬醉木 201508
思ひ出すこと限りなし夕焼雲 柴崎富子 春燈 201508
ドライアイに泪滲みきぬ海夕焼 渕上千津 201508
この景を呑みし怒涛の大夕焼 松本秀子 201508
稜線を一筆描に夕焼落つ 森理和 あを 201508
練習の櫂の揃ひて夕焼雲 山荘慶子 あを 201508
夕焼けに押されて帰る散歩道 松嶋一洋 201509
梅雨夕焼切なきまでに燃ゆるかな 中村月代 末黒野 201509
薬提げ梅雨夕焼の方へかな 小林愛子 万象 201509
夕焼の向かうへ鴉帰りけり 山口千代子 万象 201509
油性ペンきゆきゆつと泣かす梅雨夕焼 箕輪カオル 201509
夕焼や島影黝き瀬戸の海 齊藤いさを 馬醉木 201510
戦争を知らぬ親子や大夕焼 中本清 万象 201510
しんかんたる大夕焼より父のこゑ 水野恒彦 201510
大夕焼叫びたきもの拒まずに 岩月優美子 201510
夕焼けを火の帯とせるタワーかな 久保田優子 末黒野 201510
そぞろ神の誘ふごとし夕焼空 大内由紀 末黒野 201510
平凡なる暮し彩り大夕焼 山本茂子 末黒野 201510
食べたいもの手作り出来て夕焼雲 山崎靖子 201510
たづぬる子ゐて夕焼の一石橋 遠山みち子 201510
捨舟に波のおよばず夕焼くる 笹村政子 六花 201510
夕焼けの空うつくしく崩れけり 佐津のぼる 六花 201510
夕燒を見たく相生橋に來し 佐藤喜孝 あを 201510
大夕焼消えて残るや旅ごこら 石原節子 春燈 201510
大夕焼雲と海との出会ひかな 秋山蔦 春燈 201510
夕焼を引き寄せてゐる砂丘かな 秋山蔦 春燈 201510
夕焼の空夕焼のガスタンク きくちえみこ 港の鴉 201510
幾たびも夕焼雲蹴り逆上り 能勢俊子 馬醉木 201511
夕焼に軟禁されてゐるふたり 中島悠美子 京鹿子 201511
法難の海に消えゆく大夕焼 吉永すみれ 風土 201511
池の面の夕焼の色盗みたる 瀬川公馨 201511
月一の受診のあとや大夕焼 岡井マスミ 末黒野 201511
半島が半島隠し大夕焼 荒井千佐代 201511
すはれゆく夕焼空へ群れ鴉 佐藤恭子 あを 201511
漣にあづく夕焼の赤とあを 佐藤恭子 あを 201511
夕焼をみな見惚れ立つ星見台 安原葉 ホトトギス 201512
夕焼の散歩が好きな夫なりき 長山あや ホトトギス 201512
六甲へ今日が終つてゆく夕焼 佐土井智津子 ホトトギス 201512
若かりしあの日の夕焼小焼かな 佐土井智津子 ホトトギス 201512
大夕焼今日の生きざま一ぺージ 池田光子 201512
この湾に生れし大和や夕焼くる 藤井啓子 ホトトギス 201601
大夕焼ガウディの塔空を突き 杏中清園 船団 201512
夕焼けの中のフジツボ愛好会 坪内稔典 船団 201602
夕焼に農具しばらく掛けておく 戸栗末廣 201604
日帰りの旅夕焼の覚めぬ間に 稲畑汀子 ホトトギス 201607
ひろがりし夕焼消ゆる早さかな 稲畑汀子 ホトトギス 201607
西空に迫る夕焼見届けむ 稲畑汀子 ホトトギス 201607
雲染めて夕焼西へ移りけり 稲畑汀子 ホトトギス 201607
あの辺り朱鷺の棲む森佐渡夕焼 福岡かがり 雨月 201607
彼の世への階段ゆるし大夕焼 江草礼 春燈 201608
ひこばえや大夕焼のなかに佇つ 宮川みね子 風土 201608
故郷に戻れぬ石や大夕焼 安永圭子 風土 201608
夕焼の湖一枚や魚飛べる 間宮あや子 馬醉木 201609
夕焼や何時もおくれる田舎バス 廖運藩 春燈 201609
夕焼けの地上に出れば異邦人 中川久仁子 201609
夕焼けに染まる高層ビルの群 鈴木石花 風土 201609
海の色かくして安房の大夕焼 岡尚 風土 201609
夕焼を告ぐる鳥語のひとしきり 辻美奈子 201609
大夕焼日本平が燃えてゐる 町山公孝 201609
霊峰の岩壁深く夕焼来る 木村美翠 201609
無言館辞して余情の夕焼かな 木村美翠 201609
夕焼や裳裾の長き影の富士 高木典子 雨月 201609
大夕焼考愛用の鍬洗ふ 石原孝人 京鹿子 201609
大夕焼柱サボテン影長し 伊吹之博 京鹿子 201609
大夕焼子がらす一羽遅れけり 藤田美耶子 201609
大夕焼人のみ明日を約束す 久保夢女 201609
園といふ異郷に獣夕焼ける 有松洋子 201609
雀の群鴉の群と夕焼けて 松本美簾 馬醉木 201610
指切りの小指短し梅雨夕焼 森清信子 末黒野 201610
わたつみの押し広げゐる夕焼かな 近藤喜子 201610
大夕焼け櫂振りかざしカヌー行く 布川孝子 京鹿子 201610
高階の玻璃百枚の大夕焼 阪上多恵子 雨月 201610
夕焼けや石の鳥居に乗る小石 永田万年青 六花 201610
夕焼や宿に吊るさる大わらぢ 加藤峰子 201610
梅雨夕焼狼煙のやうな雲を上げ 相良牧人 201610
燃えきらぬ夕焼を呑み日本海 大沢美智子 201611
夕焼けて淀の河口の燃ゆるごと 大橋晄 雨月 201611
万物を黄金に染めし大夕焼 寺田すず江 201611
夕焼の野原もう無し妹亡し 宮野照子 馬酔木 201611
相槌をうつて夕焼たためない 井上菜摘子 京鹿子 201611
夕焼の入道雲がごつつんこ 澤近栄子 京鹿子 201611
大雨に引きたてられて大夕焼け 出口誠 六花 201611
引き汐の礁に浸むる夕焼かな 鎌田光恵 201611
夕焼の里を見下ろす父祖の墓 井上和子 201611
湯の町の坊つちやん電車夕焼くる 渡部一陽 万象 201611
大夕焼空に絵筆を刷くごとく 宮本加津代 万象 201611
夕焼けや丘染まりゆく遊園地 本間せつ子 末黒野 201611
寺院三十並ぶ夕焼の港町 佐藤雄二 万象 201612
夕焼けて枯木は一歩前に出る 小枝恵美子 船団 201612
なにごとも神の一存大夕焼 栗原公子 銀の笛 201612
大夕焼そうして誰もゐなくなる 森川絢子 京鹿子 201701
香煙の二月堂より大夕焼 青木朋子 201612
夕焼を擦つて列車は導火線 峰崎成規 201701
大夕焼砂山くずす波の音 赤坂恒子 船団 201702
大夕焼時空ゆがめてをりにけり 高橋将夫 蜷の道 201703
竹林に帰る雀か夕焼雲 池谷鹿次 末黒野 201704
梅雨夕焼また明日会へるやうに逝く 中川句寿夫 ここのもん 201705
夕焼けてゐし節分の雑木山 小林愛子 万象 201705
夕焼に吸ひ込まれゆく五万頓 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
夕焼に黄泉近付けてゐる漢 稲畑廣太郎 ホトトギス 201707
空と海いま契りしか大夕焼 林昭太郎 201708
いつ迄も残る夕焼の朱がいとし 定梶じょう あを 201707
一村の遠火事に似て大夕焼 渡辺絹代 末黒野 201708
祈ること願ふことこの夕焼に 稲畑廣太郎 ホトトギス 201708
朝焼はジャズ夕焼は子守唄 高橋将夫 201708
荒波の能登茫茫と夕焼けて 山口ひろよ 201708
短めの飛行機雲よ大夕焼 出口誠 六花 201708
夕焼に笈摺たたむ道後の湯 稲岡みち子 雨月 201708
浮き雲のふち金色に夕焼ける 後藤マツエ 201709
大夕焼母の棺の焔かな 江島照美 201709
大夕焼つとめはたせし色となり 平野多聞 201709
夕焼の海せり上がり胡瓜もむ 岡尚 風土 201709
一族の墓へ夕焼匂ひ来る 奥田茶々 風土 201709
近江かな車窓いつぱい夕焼け空 丑久保勲 やぶれ傘 201708
夕焼けの褪せて川風来たりけり 白石正躬 やぶれ傘 201708
衝立のやうなマンション大夕焼 千田百里 201709
母ひとり残す病棟夕焼けて 岡部名保子 馬醉木 201709
地下道を抜けきて海辺大夕焼 菊池洋子 やぶれ傘 201709
夕焼の中へ出てゆく漁り舟 浅嶋肇 やぶれ傘 201709
銀座柳通り夕焼け靴の音 田中藤穂 あを 201709
大夕焼をとこ長長佇めり 加藤みき 201710
海峡に金の航跡夕焼くる 藤田美耶子 201710
夕焼や石屋に並ぶ石仏 太田慶子 春燈 201710
亀が首ぐんと伸ばせる大夕焼 中野さき汀 春燈 201710
大夕焼竜宮うつす利根川面 茂木なつ 春燈 201710
夕焼けを描く吾妹子夕焼けて 今村千年 末黒野 201710
潮入の川面とろとろ大夕焼 江澤弘子 201711
久々の佳き日に適ひ大夕焼 石黒興平 末黒野 201711
大いなる富士の夕焼旅の果て 饗庭悳子 末黒野 201711
仮縫ひのまま夕焼をたためない 井上菜摘子 京鹿子 201711
大夕焼摩文仁の海の底ひまで 密門令子 雨月 201711
帆船の大いなる帆に夕焼雲 播磨武子 雨月 201711
老いていま良きことも有り夕焼雲 山荘慶子 あを 201711
馬棚の伸ぶ夕焼生まるるところまで 石黒興平 末黒野 201712
夕焼を背負うて来たる三輪車 篠藤千佳子 201712
街すべて燃えゆく記憶大夕焼 窪みち子 201712
ぽこんぽこレタスを積んで夕焼けて 平きみえ 船団 201802
食卓の定位置夕焼けの正露丸 荒井千佐代 201801
サイレンの遠ざかりゆく大夕焼 中居由美 船団 201805
人を待つように海辺の夕焼け待つ 火箱ひろ 船団 201805
夕焼けや穂高連峰ふりむけば 田中藤穂 あを 201807
大夕焼浜尽くるまで歩みけり 吉田順子 201808
夕焼に染まる川の面さみしきや 石原節子 春燈 201808
夕焼小焼砂場あそびの子のひとり 村田あを衣 京鹿子 201808
人さらひ未だに怖し大夕焼 森岡正作 201809
教師から母の顔へと夕焼道 頓所友枝 201809
今生の終りは夕焼けのごとく 高橋将夫 201809
枝先に止まらぬ重さ大夕焼 平野多聞 201809
波寄する因幡鰐の瀬大夕焼 田尻勝子 六花 201809
夕焼けや神戸の島は埋め立て地 おーたえつこ 201809
駄菓子屋のあったこの道夕焼ける たかはしすなお 201809
灯し初む夕焼盆地神話めく 松本鷹根 京鹿子 201810
遺句集に栞を深く夕焼雲 北川孝子 京鹿子 201810
鉄橋の貨車夕焼を真二つ 諸岡和子 201810
大夕焼少年ひとり駅降りぬ 栗山恵子 雨月 201810
梅雨夕焼暗くなるまで見てをりぬ 大石喜美子 雨月 201810
銀座発夕焼線で帰るかな 佐々木あつ子 六花 201810
急行の停まらぬ駅の大夕焼 中上馥子 春燈 201810
夕焼に染まりて広き川となり 黒滝志麻子 末黒野 201810
夕焼の海へ迫り出す露店かな 岡野里子 末黒野 201810
飲み干すやグラスに残る大夕焼 岡野里子 末黒野 201810
天を地を人を一つや大夕焼 岡野里子 末黒野 201810
くつきりと馬の鼻筋梅雨夕焼 森清信子 末黒野 201810
夕焼の色の洪水止めむと 瀬川公馨 201811
夕焼や心の旅路停車駅 田中信行 201811
大夕焼炎立つかに町を染め 森幸 雨月 201811
キッチンの窓は夕焼誰に告げむ 辻由紀 雨月 201811
大夕焼死んでからでも老いるのか 直江裕子 京鹿子 201811
夕焼を残し「飛鳥U」出航す 森田節子 風土 201811
大夕焼父と子海へ歌ひだす 今井康子 201812
大夕焼どこかに帰りたくなった 西村亜紀子 船団 201812
夕焼けの犬がしみじみ西を向く 火箱ひろ 船団 201812
ラバゥルの空海燃やす大夕焼け 渡辺節子 201902
見霽す灘の夕焼山下る 若泉真樹 201904
夕焼けや誰に祈るか無縁仏 渡辺節子 201904
飛行機雲の夕焼け雲をはすかひに きくちきみえ やぶれ傘 201907
大夕焼海を歩いてゆけるさうな 水野恒彦 201908
夕焼の子となり帰る逆上り 田中公子 京鹿子 201909
今居るは大夕焼のどの辺り 細川洋子 201909
夕焼け空なり法華寺の避雷針 北村操 201909
母の背な父の背中や夕焼す 久保夢女 201909
大夕焼山々は地に伏すごとし 土井三乙 風土 201909
起きて坐すのみの一日に大夕焼 渡邊千枝子 馬醉木 201909
夕焼や手足の痛き使徒の像 中田みなみ 201909
薄玻璃のグラスに注ぐ山夕焼 武田未有 201909
紗をかけて夕焼残る八ヶ岳 武田未有 201909
大淀の果ての果てなる夕焼かな 大橋晄 雨月 201910
絹の道は紙の来し道夕焼けて 栗坪和子 201910
肩車の動かぬ父子や大夕焼 及川照子 末黒野 201910
少女のごと妻佇めり夕焼空 今村千年 末黒野 201910
八ケ岳夕焼雲の棚引きて 高木邦雄 末黒野 201910
白髪のほめられてゐる夕焼雲 笹村ルル 201910
夕焼空ロープ一本地雷原 近藤綾 201910
夕焼の真只中の大架橋 堀井英子 雨月 201910
夕焼や兄の走れば弟も 野田光江 雨月 201910
夕焼や湖に向く観世音 蒲田雅子 雨月 201910
大会果て大夕焼の家路なる 岡田ちた子 雨月 201910
大夕焼父の背中で見し記憶 山岸明子 201910
タワービル夕焼け空に映えにけり 村田武 やぶれ傘 201911
夕焼 →9

 

2021年8月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。