柳の芽       184句

この春は柳の芽にぞ玉は貫ぬく咲き散る花の行くへ知らねば 源氏物語

柳の芽  芽柳    青柳  夏柳  葉柳

作品
作者
掲載誌
掲載年月
色はまだ水に届かず柳の芽 山田弘子 春節 199503
点き渋る街灯一つ柳の芽 山本瓜塔 円虹 199806
水際はひとを素直に柳の芽 前田陶代子 199901
甲羅干す亀四つ五つ柳の芽 長谷川翠 馬醉木 199902
酒の香の戻る酒蔵柳の芽 山田弘子 円虹 199903
まぶしさは水より風に柳の芽 若山千恵子 馬醉木 199905
人の恋気になつてゐる柳の芽 後藤比奈夫 円虹 199905
柳の芽風吹くたびに透けてをり 佐藤康子 遠嶺 199906
柳の芽背伸びしている十七歳 北原武巳 船団 199909
塗り終へし舟が客待つ柳の芽 天野英子 春耕 200004
橋わたるエプロン白し柳の芽 加瀬美代子 200005
池の面に光揺らげり柳の芽 梅田秀子 酸漿 200006
八つ橋の六つめ長し柳の芽 夏秋明子 火星 200006
城濠の柳の芽吹き見て歩く 加古みちよ 火星 200007
柳の芽ゆるる想ひを奏でをり 小澤克己 遠嶺 200008
坂の上に教会見えて柳の芽 遠藤和彦 遠嶺 200008
どのやうな風に狂はむ柳の芽 山田六甲 六花 200103
柳の芽ゆつくり水位とり戻し 川畑良子 200104
簀囲ひの鯰を覗く柳の芽 皆川盤水 春耕 200104
柳の芽引く手応へを愉悦とも 藤井みち子 200105
藩校の跡や柳の芽の揺るる 谷口ふみ子 雨月 200105
濠にふれ土にはふれず柳の芽 鷹羽狩行 200106
影いまだ煙がほどや柳の芽 伊藤トキノ 200106
白壁をさらにひきたて柳の芽 世古幸久 200106
乳母車ゆるりと停る柳の芽 岩垣子鹿 円虹 200106
さざ波の川より風や柳の芽 板倉勉 六花 200204
忠敬を送りし河岸の柳の芽 増田文雄 遠嶺 200205
水音や夕日に映ゆる柳の芽 橋本良子 遠嶺 200205
生え初めし孫の歯二本柳の芽 石川元子 酸漿 200205
欄干に沿ひて戻るや柳の芽 岩永節子 春耕 200205
柳の芽葉先はぴんと反り上る 森理和 あを 200205
赤子の手操つてゐる柳の芽 久松久子 百鳥 200206
抱く児の手に縺れをり柳の芽 松田欽吾 雨月 200206
雛段に糾び柳の芽の優し 松田欽吾 雨月 200206
貝売の雨に荷を解く柳の芽 初瀬啓子 200206
曙や水の匂ひの柳の芽 山口啓介 百鳥 200207
朝粥や柳の芽吹く勝手口 横松しげる 200207
礼装の親子連れだち柳の芽 後藤洋子 ぐろっけ 200207
会ひ別る橋のゆききや柳の芽 宇都宮滴水 京鹿子 200304
職人と朝の茶を飲む柳の芽 禅京子 風土 200305
人のみなやさしくなりて柳の芽 大森サカエ 帆船 200305
砂利船の吃水深し柳の芽 渡部義次 雲の峰 200305
父娘句碑柳の芽ぐみ日に新た 福盛悦子 雨月 200305
川沿ひの風にさ揺れて柳の芽 青垣和子 雨月 200305
三年は永し短し柳の芽 赤座典子 あを 200305

 三月十四日、鈴木真砂女逝く

柳の芽女将真砂女のなつかしき

林翔 200305
工房の息ぴつたりと柳の芽 小田道知 円虹 200306
堰落つる水光りあふ柳の芽 米倉よしお 雲の峯 200306
印旛渺茫ほどけて粗き柳の芽 鈴掛穂 200307
借家見に戸を繰りみれば柳の芽 鈴木美枝 酸漿 200307
ハングルの語尾の意を問ふ柳の芽 高田令子 200307
油屋に日差ありけり柳の芽 延広禎一 200307
川底に届く日ざしや柳の芽 志水千代子 雲の峰 200404
橋姫の触れしや柳の芽のひかり 豊田都峰 京鹿子 200404
水漬きたるこめつこ柳の芽吹きかな 鈴木とおる 風土 200406
啄木の北上川の柳の芽 鈴木とおる 風土 200406
柳の芽くぐり会議の最終回 高田令子 200407
転任の噂はうはさ柳の芽 水原春郎 馬醉木 200505
駅前の広場ひろびろ柳の芽 植松美根子 200505
いつか来たことのある町柳の芽 木村みかん 200505
高階の窓に人見え柳の芽 隅田恵子 雨月 200506
木之本に馬市の跡柳の芽 乗光雅子 雨月 200506
柳の芽平戸に残る六角井 三輪洋子 200506
浅草や人の数ほど柳の芽 金子慶子 遠嶺 200507
紙司と茶の老舗のあはひ柳の芽 延広禎一 200507
水の上に日の衰へて柳の芽 上林孝子 200507
塔の影よぎるボートや柳の芽 平野無石 200508
一と村は雨に沈みて柳の芽 西村勝美 春燈 200605
記すほども無きてん末や柳の芽 宇都宮滴水 京鹿子 200605
抱き上げし子の手に触るる柳の芽 安田とし子 ぐろっけ 200605
身の傷の数は言ふまじ柳の芽 戸村よねこ 遠嶺 200606
山畑に十基の風車柳の芽 南保芙美子 遠嶺 200607
放水の音響きをり柳の芽 植木戴子 200608
忘却のほぐれてきたり柳の芽 真木早苗 八千草 200608
風に会ひ風をまとへば柳の芽 稲畑汀子 ホトトギス 200703
古き葉の行方は知れず柳の芽 稲畑汀子 ホトトギス 200703
風よりも日に応へたる柳の芽 稲畑汀子 ホトトギス 200703
皆肩に触れて行く道柳の芽 稲畑汀子 ホトトギス 200703
受流す風の川面へ柳の芽 田中峰雪 雨月 200706
柳の芽楽屋出口に人溢れ 藤本章子 200707
さみどりの風渡りけり柳の芽 川口崇子 万象 200710
触るるとき水面光りて柳の芽 稲畑汀子 ホトトギス 200803
活け置きし枝垂れ柳の芽を吹けり 戸村朗子 200804
枯立つも枝にひそやか柳の芽 青木陽子 酸漿 200804
青空に淡き柳の芽吹かな 大西裕 酸漿 200805
もつれてはほどきて風の柳の芽 荒井書子 馬醉木 200806
禽影の淡く睦める柳の芽 上谷昌憲 200806
疾風の時折煽る柳の芽 吉沢陽子 200806
柳の芽雲水歩みつつ眠る 神山志堂 春燈 200806
寄り添へる大小の水尾柳の芽 川口襄 遠嶺 200808
せせらぎに耀ふ峡の柳の芽 川口襄 遠嶺 200808
藍倉の並ぶまぼろし柳の芽 上崎暮潮 ホトトギス 200809
道迷ふ人と出逢ひて柳の芽 稲畑汀子 ホトトギス 200903
東京の人も迷うて柳の芽 稲畑汀子 ホトトギス 200903
柳の芽切り取り線はこちらです 篠田純子 あを 200905
銀座八丁雨となりけり柳の芽 片桐てい女 春燈 200905
教へ子も余生に入れり柳の芽 中原吟子 雨月 200905
柳の芽忽ち空と馴染みけり 難波篤直 200906
不忍の競馬場跡柳の芽 武田漣 炎環 200906
遊廓の夢の端なりし柳の芽 長谷川いづみ 炎環 200906
朝靄の奥より大河柳の芽 根岸善行 風土 200906
いち早く風を捉へて柳の芽 田中春子 雨月 200906
柳の芽下谷に古き組紐屋 芝尚子 あを 200906
風を抱き風を放ちて柳の芽 古林阿也子 200907
まだ風の素通りなりし柳の芽 稲畑汀子 ホトトギス 201003
倉敷や鯉を籠目に柳の芽 山田六甲 六花 201003
道幅に風のあふるる柳の芽 遠藤真砂明 201004
遠景をなほとほくして柳の芽 安武農子 201005
柳の芽一日豊かでありにけり 田中涼平 201006
諏訪湖畔風に柳の芽ぶきけり 出中喜久子 酸漿 201006
中指もて暈す絵具や柳の芽 卯木堯子 春燈 201007
恵那山の空を遥かに柳の芽 有賀昌子 やぶれ傘 201008
八卦見の視線をそらす柳の芽 篠田純子 あを 201105
細雨降る原爆ドーム柳の芽 石田康明 春燈 201106
しろがねの光まとへり柳の芽 小泉和代 酸漿 201106
商ひは最中一筋柳の芽 山本浪子 風土 201106
白鳥の拡がる水尾に柳の芽 久保東海司 201107
柳の芽八歳の児のキックオフ 有賀昌子 やぶれ傘 201110
釣糸をやや引く流れ柳の芽 谷田部栄 万象 201205
伊吹嶺の色を含みて柳の芽 七種年男 201206
飛騨春慶蓋付ペン皿柳の芽 荒木甫 201207
老人の遊心誘ふ柳の芽 佐藤淑子 雨月 201209
その中に金を秘めたる柳の芽 稲畑廣太郎 ホトトギス 201302
ゆつたりと尺余の真鯉柳の芽 熊切光子 末黒野 201306
公園の改修遅々と柳の芽 泉和美 末黒野 201406
入れ替はる風の新し柳の芽 森清堯 末黒野 201406
道行くは旧知の猫よ柳の芽 奥田温子 やぶれ傘 201406
一枝とて縺るるはなし柳の芽 中村紀美子 春燈 201406
柳の芽昨夜の雨の光り合ふ 槐島修 万象 201407
ジョギングは池を三周柳の芽 塩田博久 風土 201505
湖風やまだまだ硬き柳の芽 青野安佐子 201505
滴々と若草色に柳の芽 松尾龍之介 201505
鳥を呼ぶ音譜の如き柳の芽 高野昌代 201506
柳の芽地に届かむとふくらみぬ 松本文一郎 六花 201506
池の面に触れんばかりや柳の芽 室谷幸子 万象 201506
三津五郎の楷書の芸や柳の芽 間島あきら 風土 201506
子の声の風に散らばり柳の芽 黒滝志麻子 末黒野 201506
そよ風とあ・うんの呼吸柳の芽 本池美佐子 201507
瞑想し一呼吸おく柳の芽 丹羽武正 京鹿子 201507
珈琲の香り蔵より柳の芽 今井春生 201508
ハイウェーの影大川に柳の芽 浦川哲子 201508
川岸に矢板打つ音柳の芽 大崎紀夫 虻の昼 201510
信号無視を指摘されたり柳の芽 篠田純子 あを 201604
材木を立てて乾かす柳の芽 高倉和子 201605
柳の芽吹かるる度に濃くなりぬ 井上春子 春燈 201606
放生の鯉の背浮かび柳の芽 岡野里子 末黒野 201606
ゆれる度緑濃くなる柳の芽 山下美典 ホトトギス 201608
犬抱いて引越してくる柳の芽 中川句寿夫 ここのもん 201705
天人の羽衣掛けし柳の芽 原田しずえ 万象 201705
池の面に風の道あり柳の芽 松本三千夫 末黒野 201705
小流れの水のきらめき柳の芽 岡淑子 雨月 201706
佐保川の風たをやかに柳の芽 谷村祐治 雨月 201706
柳の芽煙れる中に鳥の影 田尻勝子 六花 201706
やる気なささうな鎮座の柳の芽 上谷昌憲 201706
橋ごとに変はる高欄柳の芽 森清堯 末黒野 201707
街道や遊行柳の芽吹きどき 数長藤代 201707
気恥づかしき昼の花街柳の芽 田町千章 201707
池の端の柳の芽ぶき鮭はぬる 堺昌子 末黒野 201806
燠のごと光る水あり柳の芽 林いづみ 風土 201807
柳の芽野川の風に育ちけり 宮沢治子 春燈 201807
荒川のきらめく風や柳の芽 荒井貞子 末黒野 201904
平成に名残の雨や柳の芽 佐藤信子 春燈 201905
せせらぎの音をひろふや柳の芽 佐藤まさ子 春燈 201905
柳の芽ちりちりここが本丸で 辻水音 201906
船着場針先ほどの柳の芽 福田禎子 末黒野 201906
渡し場や風と光と柳の芽 福田禎子 末黒野 201906
舟乗り場ある蔵町や柳の芽 鈴木庸子 風土 201907
涙ごゑの最後の校歌柳の芽 篠田純子 あを 202004
柳の芽其れぞれ光凭れゐて 篠田純子 あを 202005
雀らのこゑに揺れゐる柳の芽 きくちきみえ やぶれ傘 202005
対岸の方が色濃し柳の芽 根岸善行 風土 202006
絹の雨雫連ぬる柳の芽 高木邦雄 末黒野 202007
柳の芽ぬらりくらりと過ごしける 今井充子 202007
道風の傘に触るるや柳の芽 今泉忠芳 日輪馬車のタクト 202009
雨は母風は父なり柳の芽 本池美佐子 202104
空青し陽の匂ひ抱く柳の芽 今井弘雄 春燈 202105
湯の町の風の声きく柳の芽 秋山蔦 春燈 202105
上りには上りの汽笛柳の芽 森祐司 202110
風やさし芽ばり柳のうすみどり 相川健 202110
少年はボクからオレヘ柳の芽 若松恭子 春燈 202205
透きとほるほどの朝月柳の芽 奥田温子 やぶれ傘 202206
そこだけに風の流れて柳の芽 今村千年 末黒野 202206
町川の流るでもなし柳の芽 佐々木永子 末黒野 202206
蜜豆や銀座の柳芽吹き初む 今井康子空 202211

 

2015年2月25日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。

 
2015年5月24日 15/05/24