露けし 3      100句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
やぶれ傘ありて露けき荘のもの 稲畑汀子 ホトトギス 200408
露けしや岳麓にゐて富士見えず 稲畑汀子 ホトトギス 200408
露けき灯湖の広さを明かしをり 稲畑汀子 ホトトギス 200408

 悼井上哲王様

三瓶野の露けさ偲ぶことばかり

稲畑汀子 ホトトギス 200408
弔電を打ちて家居の露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200408
消息を聞き露けしと思ひけり 稲畑汀子 ホトトギス 200408
火星見る露けき逢瀬なりしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200408
さなきだに独りの山路露けかり 橘澄男 山景 200408
滞在に倦むことのなし露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200409
露けしや忌日の巡り来ることも 稲畑汀子 ホトトギス 200409
露けしや火星夜々遠ざかりゆく 稲畑汀子 ホトトギス 200409
露けしと朝の旅立声かけて 稲畑汀子 ホトトギス 200409
露けしや二度寝三度寝旅の朝 稲畑汀子 ホトトギス 200409
露けしや火星の距離を聞きしより 稲畑汀子 ホトトギス 200409
朗読の雨ニモ負ケズ露けしや 須佐薫子 帆船 200409
降り出して露けき横川詣かな 稲畑汀子 ホトトギス 200410
露けしやあけぼの杉も沼杉も 稲畑汀子 ホトトギス 200410
露けしと言ひ快晴と言ひ直す 稲畑汀子 ホトトギス 200410
露けしや四半世紀を経し忌日 稲畑汀子 ホトトギス 200410
父偲ぶいとも露けき能登の旅 能村研三 200410
病室の四隅露けく見つめられ 今瀬剛一 対岸 200410
万葉の露けきものに逢はぬ晴 稲畑汀子 ホトトギス 200411
呼びかけて絆の深く露けしや 下田栄子 対岸 200411
露けしや大津皇子の相聞歌 多田生湖 春燈 200411
石堂のバージン・ロード露けくて 山崎靖子 200411
婚成就露けき音の作り滝 山崎靖子 200411
露けしや注連を廻らす力石 立脇操 雲の峰 200411
経堂に一つ火揺らぎ露けしや 淵脇護 河鹿 200412
顔知らぬ父の忌なれど露けしや 宮脇ちづる 200412
露けしや洞に息づく石灰華 石本秋翠 馬醉木 200412
露けしや鳩のかたちに土の笛 松波幹治 万象 200412
露けしや熊野古道の石の形 吉田康子 火星 200412
露けしや埴輪に赤子負ふをみな 若林杜紀子 百鳥 200412
露けしや灯し透けたる竹細工 中田みなみ 200412
月出でて沼の露けさ田に及ぶ 岡本眸 200412
祈らむと露けき木椅子拭きもせず 荒井千佐代 200501
露けしや耳掃除してひよの声 中山純子 万象 200501
決戦のべース露けき芝に置く 近藤倫子 ぐろっけ 200501
富士蔵す闇の時つ露けさよ 山田弘子 ホトトギス 200501
新札の一葉の瞳の露けしや 滝川あい子 雨月 200501
露けしや鉄路に鉄の匂ひして 隅田恵子 雨月 200502
五十年埋めし歳月露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200507

 悼 朝日千尺様

驚きは悲しみとなる露けしや

稲畑汀子 ホトトギス 200507
しのび寄る夜気も露けき宿りかな 稲畑汀子 ホトトギス 200509
松島の昏れて露けき灯をこぼす 稲畑汀子 ホトトギス 200509
露けしや旅より旅へ空路あり 稲畑汀子 ホトトギス 200509
露けしや名刀に銘筆に銘 鷹羽狩行 200509
ひとびとよ露けき家の待ちてあらむ 瀧春一 菜園 200509
制服の尚露けきを掻いだく 瀧春一 菜園 200509
鑛山の神露けき鑛石(いし)に注連新し 瀧春一 菜園 200509
露けさの畫室灯して人を招ず 瀧春一 菜園 200509
露けしと露草も目を見張りけり 富安風生 200509
露けさの顔に流れて今日も晴 岡本眸 200510
露けしや二等兵いま苔むして 鎌倉喜久恵 あを 200510
露けさの木橋に遅れ足の音 小田司 馬酔木 200511
わが記憶迷路露けくありしかな 稲畑汀子 ホトトギス 200511
地震見舞ふ露けき受話器置きにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200511
地震のこと聞けば聞くほど露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200511
露けしや御饌にくたかけその卵 鷹羽狩行 200511
露けしや受けし誹謗を糧となし 中村龍徳 200511
夢寐に入る時も覚めても露けくて 柳生千枝子 火星 200511
露けしや草も畑も石ころも 土屋酔月 火星 200511
露けしや両手に杖の谷汲山 辻恵美子 栴檀 200511
露けさの夜どほし灯る外厠 仲村青彦 200511
薪能露けき燭を草に置き 千手和子 馬醉木 200512
手打刃の反りのあつさの露けかり 村上一葉子 200512
露けしや母の逝きたる夜の白む 大橋麻沙子 雨月 200512
さんさ時雨聞くや露けき草に坐し 上田明子 雨月 200512
公演の子規物語露けしや 落合絹代 雨月 200512
身を撫して露けさを言ふ待合はせ 岡本眸 200512
欄間より伊達の闇とは露けしや 坊城俊樹 ホトトギス 200601
露けしや一弦琴に指走り 一民江 馬醉木 200601
露けしや鉄路起点の車輪止め 望月澄子 対岸 200601
露けしや砂場に砂の山二つ 伊藤以玖子 対岸 200601
露けさの子の声遠く迄ひびき 柳生千枝子 火星 200601
露けしや秘仏の坐せる厨子の闇 尾野奈津子 春燈 200601
藩公の紋入りの幕露けしや 鈴木智子 200601
生れけり露けき夜を蹴り上げて 浅田光代 風土 200601
竹削る音の露けき夜の土間 高橋さえ子 200601
露けしと亡き母が云ふ父がいふ 冨円正吉 200601
露けしや樹下にて話す二タ三言 糸井芳子 200601
露けしや癌病室のボスとなり 次井義泰 200602
露けしや琵琶湖一望ならずとも 桑田青虎 ホトトギス 200602
近江富士露けきさまに遥かなる 桑田青虎 ホトトギス 200602
露けしや羽衣宙に舞ふばかり 西村純太 200602
踏みしむる古道の一歩露けしや 本多ちづ子 馬醉木 200602
露けしや土肥一族の墓石群 菊池由惠 酸漿 200602
露けしや大病三つ乗り越えたり 山田をがたま 京鹿子 200602
落雷の欅露けし挙兵の地 江崎成則 栴檀 200602
露けさの朝の寡黙でありにけり 木村享史 ホトトギス 200603
露けしやガラスケースの八雲琴 藤田佑美子 栴檀 200603
老の底窮むるほどに露けしや 瀧青佳 ホトトギス 200604
句碑といふ露けき時を刻むもの 稲畑廣太郎 ホトトギス 200608

 大森康生様悼句

昭和の世露けく語られしことも

稲畑廣太郎 ホトトギス 200609

 悼 井土祥風様

露けしや虚子と遊びし思ひ出も

稲畑汀子 ホトトギス 200609
近くとも都会の迷路露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200609
稿債を持ちたる旅の露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200609
心ここにあらざることも露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200610
ふたたびの単身赴任露けしや 稲畑汀子 ホトトギス 200610
その中に句碑も露けき岩として 稲畑廣太郎 ホトトギス 200610
露けし →4      

 

2021年9月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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