鶴 4  (凍鶴を含む)    167句

新藁にのぼりて鶴を仰ぎけり     佐藤念腹

鶴帰る  鶴引く    鶴来る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
万の鶴ゐて丹頂の一羽かな 淵脇護 河鹿 200505
不知火海伸びちぢみして鶴の棹 淵脇護 河鹿 200505
日もすがら野面せせりて鶴家族 有島夛美 河鹿 200505
海鳴りの墓標ひとつや鶴来る 九万田一海 河鹿 200505
鶴を呼ぶボーイソプラノ鶴も啼く 泉田秋硯 黄色い風 200505
妻恋へば野に鶴唳のこだまかな 淵脇護 河鹿 200506
吹き降りの深き闇より鶴のこゑ 前迫寛子 河鹿 200506
檳榔に鶴に名残りの雪飛べり 鈴木厚子 栴檀 200506
鍋鶴の溢るる八代の干拓地 須原正三 200506
丹頂鶴釧路湿原餌を拾ふ 原田英子 築港 200508
鶴啼いて水辺は闇を深うせり 山本喜朗 雨月 200509
嘴目立つ鶴憩ひをり葦そよぎ 沢聰 馬醉木 200510
鶴の声蓮田を渡る風に乗り 大谷美保子 栴檀 200510
恋生まれ凍鶴凍てを解きにけり 田所節子 涼しき嵩 200511
先発の田鶴来と今朝のニュースたり 神田一瓢 雨月 200512
鶴来ると校内掲示板にあり 長戸幸江 百鳥 200601
鶴唳のたしかの八代泊りかな 手島伸子 雨月 200601
鶴来るや暁闇の星ちりばめて 沼口蓬風 河鹿 200602
病など捨ててしまおか鶴万羽 坂元フミ子 河鹿 200602
魚干す海人の頭上を鶴来たる 鮫島禮子 河鹿 200602
鶴来ると羊穂丈を揃へけり 鮫島禮子 河鹿 200602
遠眼鏡の捉ふ田鶴のおやこかな 飛鳥由紀 200602
鶴守のつる撮る吾をとりにけり 飛鳥由紀 200602
凍鶴の申し訳ほど動きたる 飛鳥由紀 200602
鶴守のぽつりとつるの減りしこと 飛鳥由紀 200602
鶴守の注連用の藁足しにけり 飛鳥由紀 200602
鶴一羽無重力なる着地かな 阿部順子 200602
一幅の絵になりたしと鶴立てり 松田有伽 河鹿 200603
鶴凍てて大日の耳澄みてをり 奥村邦子 200603
ゆつくりと鶴の竹馬歩きかな 斎藤くめお 対岸 200603
羽搏きに羽ばたき答へ冬の鶴 山中明子 対岸 200603
凍鶴を遠ちに風鳴る谷地坊主 永井雪狼 200604
凍鶴のこゑ膨れくる特攻碑 淵脇護 河鹿 200604
凍鶴の淋しきときを羽撃つなり 尾堂Y 河鹿 200604
払暁の海へ一声鶴の舞ふ 早水秀久 河鹿 200604
風はらむかたちとなりて鶴啼けり 田中春生 200604
凍鶴を包みし闇の深さかな 山田富朗 遠嶺 200604
威嚇するに声を合せり夫婦鶴 大塚初江 200604
鶴を撮るに電線外すカメラマン 大塚初江 200604
牧場の上自づと鶴の飛来の道 大塚初江 200604
給餌場へ来ては戻れり塒鶴 大塚初江 200604
寒波来て塒離れぬ鶴の群 大塚初江 200604
来し鶴に日記当番八代の子 石垣幸子 雨月 200604
万羽鶴うねりとなりて餌を漁る 早水秀久 河鹿 200605
雪原に軽きステップ鶴の舞 泉田秋硯 200605
凍鶴の祈りにも似て足替ふる 直江裕子 京鹿子 200605
声援も空し反れ行く鶴一家 平山風鳥 河鹿 200606
臈たけて双鶴の羽差し交はす 荒川美邦 京鹿子 200606
鶴の子の取つてつけたるやうな足 吉田明子 200608
落ちさうに覗ける鶴の子のうなじ 加藤廣子 火星 200611
夫婦鶴牧夫になじみはじめ雪 西村梛子 馬醉木 200612
鶴の野に鶴ゐる淑気夜明けゆく 西村梛子 馬醉木 200612
雪を来るは鶴の化生の女かも 西村梛子 馬醉木 200612
闇徐々に退く空へ鶴の鬨 宮脇ちづる 200702
天帝にもの申さんと番鶴 吉原一暁 200702
天界へ移る鶴唳仰ぐのみ 千原叡子 ホトトギス 200703
遠ざかる鶴の残像引きにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200703
目出度さの烏城の上を鶴舞へり 河原一夫 200703
凍鶴に泥鰌をやりに行きし事 浮田胤子 ぐろっけ 200703
北向きの獣舎の鶴の風当り 平川倫子 ぐろっけ 200703
一花なり日をいただきし凍鶴は 近藤喜子 200704
雪原の鶴と紛ふや会津城 物江康平 春燈 200704
田鶴飛んで出水の空の美しき 味村志津子 雨月 200704
足跡の残る鶴の田焼かれけり 工藤義夫 馬醉木 200705
閉ぢしまま凍鶴眼玉動しぬ 石橋萬里 ぐろっけ 200705
残照に染まり飛び立つ鶴の群 沖則文 ぐろっけ 200705
一村をあげて鶴守る出水かな 手島伸子 雨月 200705
落日の余韻に田鶴の影舞へる 手島伸子 雨月 200705
三日月の下に鶴唳夜もすがら 手島伸子 雨月 200705
稜線の落暉かすめて二羽の鶴 安原ときこ 遠嶺 200705
鶴の声缶蹴り遊びしてゐたり 中島陽華 200706
畔越して餌を拾へる残り田鶴 神田一瓢 雨月 200706
凍鶴の一羽が白き屏風かな 瀧春一 200706
七百号祝ぐや鶴唳高らかに 大橋淳一 雨月 200707
鶴守の見送る鶴でありにけり 下平しづ子 雨月 200707
凍鶴の身をふくらます靄の中 田中久仁子 万象 200708
湿原を切り裂く鶴の一声よ 田中久仁子 万象 200708
鶴来る君の悌慕ふごと 稲畑廣太郎 ホトトギス 200711
鶴来るとねぐら整備のボランティア 乃美隆子 200712
はぐれ鶴ある日の死角つい知らず 宇都宮滴水 京鹿子 200712
万の田鶴出水の空を暗めたる 高木典子 雨月 200801
天守なき城の空舞ひ鶴帰る 福盛悦子 雨月 200801
日に照りて鍋鶴の頸白きかな 新倉舒子 200801
鶴現るる朝霧に羽湿らせて 松原智津子 万象 200801
朝礼に鶴の来てゐる分教場 松原智津子 万象 200801
鶴守は鶴より小さきをみななり 松原智津子 万象 200801
若き鶴群れには入らず葦の陰 松原智津子 万象 200801
鶴の来て虚空の風になりにけり 横田実 遠嶺 200802
息白し高啼く鶴と見る我と 塩田博久 風土 200802
近づきて相はなれたる田鶴の群 神田一瓢 雨月 200802
鶴見台三歩登れば一望に 神田一瓢 雨月 200802
訪ねたる日本晴の田鶴の里 神田一瓢 雨月 200802
寒晴や鶴は浮かび鳶は舞ひ 工藤義夫 馬醉木 200803
羽衣を奪はれたるよ檻の鶴 近藤喜子 200803
姪の住む阿波に鍋鶴渡来せり 松崎鉄之介 200803
一対の霜夜の鶴のねむりかな 遠藤和彦 遠嶺 200803
鍋鶴の薄墨いろの暮色かな 高橋さえ子 200803
カウカウと鶴の鳴きけり霜柱 斉藤和子 200803
舞ひ降りし鶴の高声他を制す 石岡祐子 200805
鶴唳や朝の曠野を引き締めて 川口襄 遠嶺 200805
残雪やかすれがちなる鶴のこゑ 戸栗末廣 火星 200805
古利根へ放ちし鶴や草筏 柴崎甲武信 月日 200811
黄鶴に乗り峰雲を越えゆかむ 小山徳夫 遠嶺 200811
飴細工の指先眩し鶴来る 延広禎一 200901
鍋鶴来る町の刈田の広々伸ぶ 松崎鉄之介 200901
晴海埠頭耳を澄まして鶴になる 田島健一 炎環 200902
こう鶴の餌嘴高く万歳す 禰寝瓶史 京鹿子 200902
こう鶴の垂直離陸刈田風 禰寝瓶史 京鹿子 200902
今生は紺青ならむ鶴のこゑ 八田木枯 晩紅 200902
吃々と鶴のこゑせり薔薇水しやうびすい 八田木枯 晩紅 200902
やは肌を思ふばかりに鶴しわる 八田木枯 晩紅 200902
蒼々と身をすりあはす鶴の修羅 八田木枯 晩紅 200902
辞書よりも重たく鶴は凍りけり 八田木枯 晩紅 200902
軍刀をひつさげて鶴渡るなり 八田木枯 晩紅 200902
逢坂や微熱の鶴が夜遊びに 八田木枯 晩紅 200902
小倉山菓子器に籠る鶴の息 佐藤午後 炎環 200903
凍鶴やいつも真中に立つごとし 豊田都峰 京鹿子 200903
鶴渡る母が居るから帰る里 鷹崎由未子 春燈 200904
凍鶴や二羽ゐて脚の影二本 山下青坡 200904
あかときの鶴唳雪を誘ひけり 山口順子 200904
稗搗の村に羽搏く日の出鶴 延広禎一 200904
鶴の吐く息の金砂となる朝 橋本順子 200904
エレベーターの中凍鶴を思ひけり 石井浩美 炎環 200904
眼福は城に丹頂鶴舞ひて 磯野しをり 雨月 200904
凍鶴の一本脚を真似てみる 泉田秋硯 200905
凍鶴の動きを待てり双眼鏡 石岡祐子 200905
凍鶴の凍てたるままに声を出し 塚越美知子 200905
病む鶴の小屋に大きな錠ひとつ 田島洋子 200908
蒼穹や豆粒ほどに鶴現るる 岡田真澄 風土 200910
大空を鶴来て蝦夷耀へり 岡田真澄 風土 200910
鶴来るや否やコンパス歩きかな 千田百里 200912
静寂は佗茶のこころ鶴凍る 林日圓 京鹿子 201001
冀ひ鶴まつさらな空にふれ 八田木枯 晩紅 201002
鶴よりもましろきものに処方箋 八田木枯 晩紅 201002
凍鶴やいつも真中に立つごとし 豊田都峰 土の唄 201002
鍋鶴の渡るに空の重さあり 山本康夫 201002
大いなる夕日に田鶴の羽摶つかな 岡淑子 雨月 201002
鶴見むと出水の畦に日暮まで 岡淑子 雨月 201002
夕映えの野に鶴唳の満ち来る 岡淑子 雨月 201002
こう鶴に雪野展けて郷ごころ 禰寝瓶史 京鹿子 201003
丹頂の自由なる空鶴居村 石田玲子 201003
鶴来て何やらうれし朝の庭 東芳子 酸漿 201003
大社めでたき鶴の襖の絵 天野明 201003
冬薔薇奏楽堂へ鶴羽うち 岡田のり子 201003
甲板のひろびろとあり鶴渡る 菅原鬨也 201004
あかときの野に凍鶴の影二つ 遠藤和彦 遠嶺 201004
青空を揺らして鶴の来りけり 松田明子 201004
雲割りて鶴ゆつくりと降りて来し 松田明子 201004
先達の鶴来て村の整へり 松田明子 201004
鶴の来て鶴守の日々始まりぬ 松田明子 201004
先達の鶴大空をほしいまま 松田明子 201004
凍鶴のすでに限界かもしれぬ 安居正浩 201004
凍鶴やラピスラズリの空が見ゆ 本多俊子 201004
銀泥のこゑ凍鶴の洩らしけり 近藤喜子 201004
鶴に明け鶴に暮るるは日も月も 後藤比奈夫 ホトトギス 201005
求愛の鶴の大きく美しく 後藤比奈夫 ホトトギス 201005
湿原の列車の窓に鶴よ鶴 和田政子 201005
丹頂鶴(つる)飛来やはり出雲は神の国 泉田秋硯 201005
アクセルをやさしく踏めよ鶴がゐる 和田森早苗 201005
鶴を見に動物園にきて寒し 渡辺鶴来 春燈 201005
捕はれの真鶴の嘴乾びゐて 仲田眞輔 ぐろっけ 201005
芝二月鶴の別れとも思ふ 倭文ヒサ子 酸漿 201006
鍋鶴の声の膨む夜明かな 山口貴志子 馬醉木 201012
暁の鶴影も乱さず餌に集ふ 山口貴志子 馬醉木 201012
鶴の群十字に翔て明けゆけり 山口貴志子 馬醉木 201012
滑走の鶴にさざ波立つ田面 山口貴志子 馬醉木 201012
一声もおろそかにせず鶴迎へ 丸井巴水 京鹿子 201012
鶴 →5      

 

2021年1月11日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

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