鶴帰る       86句

鶴帰る  鶴引く    鶴来る

鶴帰りそこらに遊ぶ水豊か   山口青邨   露団々

作品
作者
掲載誌
掲載年月

 悼 武原はん様

雪を舞ひ月を舞ひ鶴帰りけり

稲畑汀子 ホトトギス 199902
一悼は雲居はるかに鶴帰る 高崎武義 199903
鶴帰る鎧をつけた彼の国へ 大谷昌弘 海程 199906
鶴帰る海峡の日を使ひ切り 川島真砂夫 200004
平和像指さす空を鶴帰る 苑田ひろまさ 200105
鶴帰り空に素顔の戻りけり 木村公子 200107
鶴帰る一本の綿棒も 横山隆 海程 200107
旋回は別れの合図鶴帰る 中川節子 春耕 200107
光りつつ色増す山河鶴帰る 大沼眞 200205
鶴帰る太き気流に身をゆだね 伊藤冬留 200205
昼の月こそ寂しけれ鶴帰る 伊藤冬留 200205
色紐で綴ぢる古文書鶴帰る 野口香葉 遠嶺 200206
帰りゆく鶴に南北あたらしき 蔵持柚 銀化 200206
帰る鶴見えなくなれば目をつむる 野口香葉 遠嶺 200306
湿原の低き場所より鶴帰る 市川十二代 ぐろっけ 200306
嘴高く帰心つのれる万の田鶴 石黒芳子 雨月 200405
鶴帰る空の閂はづさるる 山下繁子 河鹿 200405
天草の波おだやかに鶴帰る 沼口蓬風 河鹿 200406
青空の一点開けて鶴帰る 九万田一海 河鹿 200406
何一つ言伝てもなく鶴帰る 藤井明子 馬醉木 200406
胸内に嶺々を収めて鶴帰る 小澤克己 遠嶺 200406
一せいに千の首伸べ鶴帰る 宮脇ちづる 200505
浮雲に歳月はなし鶴帰る 加藤富美子 200505
身を深くコートに沈め鶴帰す 淵脇護 河鹿 200505
帰り行く鶴がひと声づつ残し 品川鈴子 ぐろっけ 200505
鶴帰る遺跡の島に声残し 平山勝子 河鹿 200506
げに青き休日の空鶴帰る 迫口君代 河鹿 200506
鶴帰る真鯛のいのち生るるとき 九万田一海 河鹿 200506
帰る鶴湖の雫を引き上げて 横田晶子 風土 200506
潮流の藍をしるべに鶴帰る 能村研三 200603
先陣や天草経由鶴帰る 平山風鳥 河鹿 200606
汀てふ標づたひや鶴帰る 泉田秋硯 200606
靄を脱ぐ殉教の島鶴帰る 一瀬昭子 馬醉木 200606
上昇気流今つかまへて鶴帰る 丹生をだまき 京鹿子 200606
一切を捨て一斉に鶴帰る 有吉桜雲 200607
平和像の指さす空を鶴帰る 苑田ひろまさ 200705
天守なき城の空舞ひ鶴帰る 福盛悦子 雨月 200801
馴染みたる鶴北帰へと立上がる 中島玉五郎 200804
わたつみをたましひ蒼く鶴帰る 本多俊子 200807
湿原に風そだつ日を鶴帰る 宮崎紗伎 春燈 201006
みだれ翔ち棹たてなほし鶴帰る 水野節子 雨月 201006
さざ波の端の重なり鶴帰る 宮井知英 201007
鶴帰る月日の果てるところまで 松本圭司 201008
風音より羽音鋭し鶴帰る 山口貴志子 馬醉木 201012
熱き糞残して鶴の帰りゆく 中島讃良 ろんど 201105
磔の姿に鶴の帰りけり 柴田佐知子 201107
鶴帰る岬の鼻に独り在れば 鳳蛮華 201108
鶴帰る遠つ御祖の島わたり 中島久子 馬醉木 201205
鶴帰る天にきざはしあるごとし 河口仁志 201205
病む鶴の帰心のつばさ草青む 水木沙羅 201206
北帰行風待つ鶴が天仰ぐ 高瀬博子 六花 201212
外つ国の空を見据ゑて鶴帰る 布川直幸 201303
里人のなごりの撒餌鶴帰る 堤京子 馬醉木 201305
北になほ北の空あり鶴帰る 前田忍 火星 201305
鶴帰る釧路湿原斜交ひに 門伝史会 風土 201306
鶴帰る空を貫く道のあり 本多俊子 光のうつは 201404
草々のうしろ余白や鶴帰る 西田孝 ろんど 201406
出水野は日矢のあまねし鶴帰る 板坂良子 馬醉木 201406
蒼天を押し上げ鶴の帰りけり 松田明子 201408
鶴帰る父はは黄泉へ行つたきり 小谷一夫 201506
鶴帰る塒の空を旋回し 千波悠 201506
崑崙へ遠き目差し鶴帰る 水野恒彦 201507
高鳴きのひと声鶴の北帰行 佐々木よし子 201605

 悼・上山永晃さん

鴨帰り鶴翼の陣崩れたり

西川保子 春燈 201605
鶴帰る祈りの鶴を折りにけり 加藤良子 春燈 201606
噴煙を眼下に鶴の帰りをり 山本無蓋 201705
明日は帰る番の鶴の睦まじう 佐藤澄世 馬醉木 201705
天地に声解き放ち鶴帰る 松田明子 201707
鶴帰る微動だにせぬ湾の面 荒井千佐代 201807
鶴帰り大いなる田の残りけり 松田明子 201807
けふの日はけふの風紋鶴帰る 栗坪和子 201901
葬列と同じ方へと鶴帰る 荒井千佐代 201904
鶴帰る夜明けの無糖缶コーヒー 火箱ひろ 船団 201910
鶴帰る原爆炸裂せし空を 荒井千佐代 202004
鶴帰る国際墓地のいま真上 荒井千佐代 202105
鶴帰る死人しびとは眼鏡外されて 柴崎和男 やぶれ傘 202105
影ふかき平屋の生家鶴帰る 笹村政子 六花 202106
夢違観音来ませ鶴帰る 栗坪和子 202107
平らかな風を起こせり鶴帰る 山田佳乃 ホトトギス 202108
鶴帰る国際墓地のいま真上 荒井千佐代 202108
羽搏きは喝采に似て鶴帰る 千田百里 202205
真青な空を残して鶴帰る 松田明子 202205
鶴一羽功成し遂げて天に帰す 河野昭彦 ホトトギス 202207
鶴守の予感たがはず鶴帰る 笹村政子 六花 202207
天上の雲おしひらき鶴帰る 今橋眞理子 ホトトギス 202307

 

2024年3月5日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。