1 (凍鶴を含む)     98句

日の春をさすがに鶴の歩み哉      其角

鶴帰る  鶴引く    鶴来る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
星消えて鶴に朝空放たれし 進菁亀 円虹 199806
着地する鶴は雄姿の影たたむ 進菁亀 円虹 199806
暮れてなほ鶴は婦心の餌を漁る 進菁亀 円虹 199806
鶴の野の端に生活の灯のともる 進菁亀 円虹 199806

 悼 舘野翔鶴様

足跡を残されしこと鶴の空

稲畑汀子 ホトトギス 199812
立ち位置を定めて鶴となる季節 柿原金米 船団 199812

 悼 武原はん様

雪を舞ひ月を舞ひ鶴帰りけり

稲畑汀子 ホトトギス 199902
火鉢には降りねど鶴の脚二本 中原道夫 銀化 199902
凍鶴の膝折るところ見てしまふ 鷹羽狩行 199903
緞帳の鶴の羽ばたき冬はじめ 柴崎加代子 199903
凍鶴のみじろぐほどの日ざしかな 林翔 199903
その旨を傳へて鶴の凍つるなり 中原道夫 銀化 199903
鶴凍てて袂も袖もなかりけり 梅田津 銀化 199903
竹箒鶴は裸で来たりけり 鳥居真理子 船団 199903
暁の鶴待つ息を交し合ひ 柏井幸子 円虹 199904
鶴唳に暁けはなれゆく鶴の里 柏井幸子 円虹 199904
暁空の微塵まぎれず鶴となる 柏井幸子 円虹 199904
病む鶴に棚田の冷のつのり来る 柏井幸子 円虹 199904
鶴の墓小さきは鶴の子のものか 柏井幸子 円虹 199904
鶴來ると一句したため年に逝く 山田耕子 京鹿子 199904
凍鶴の禅定相に言問へず 大橋敦子 雨月 199904
鶴が翅のばすに檻の斜めかな 大橋敦子 雨月 199904
姉羽鶴餌を食ぶに水洗ひすと 大橋敦子 雨月 199904
田の鶴に声かけて行く登校子 石垣幸子 雨月 199904
里の子の太郎と呼べる鶴やどれ 石垣幸子 雨月 199904
塒へと鶴翔ち月の残りたる 石垣幸子 雨月 199904
幾度も怪我の鶴見る遠眼鏡 石垣幸子 雨月 199904
凍鶴の立つ一脚のおもひかな 樋口英子 朝桜 199904
鶴減るを嘆きし子等の鶴日記 赤井よしを 円虹 199905
果しなき夕鶴の空ありにけり 赤井よしを 円虹 199905
鶴の声細りて闇の深まりぬ 赤井よしを 円虹 199905
暁天に一番鶴の現はれし 赤井よしを 円虹 199905
これよりの里人の日々鶴の日々 赤井よしを 円虹 199905
凍鶴に太郎といふ名ありにけり 嵯峨根鈴子 火星 199907
高歩きして凍鶴の寄り添へり 金國久子 青葉潮 199907
鶴の棹遅れし鶴の加れり 広渡敬雄 遠賀川 199909
天山を語れ日暮れの渡り鶴 竹貫示虹 京鹿子 199911
凍鶴の眼の瞠きてをりにけり 能村登四郎 芒種 199911
凍鶴と見えはた老鶴とも思ふ 能村登四郎 芒種 199911
ひともがきして凍鶴の凍てを解く 能村登四郎 芒種 199911
鶴渡りゆきし志賀とぞ聞けばなほ 桑田青虎 ホトトギス 199912
総身の白をもて鶴眠りけり 川島真砂夫 199912

 祝 田鶴三百五十号

田鶴舞へば山野に道のおのづから

稲畑汀子 ホトトギス 200002
折り紙の狂ひそめたり鶴の空 坂田和嘉子 京鹿子 200003
凍鶴の聲長々き喉を經つ 中原道夫 銀化 200003
羽づくろふ鶴や上野の塔五重 當麻幸子 雲の峰 200003
丹の塔を仰ぎて凍つる鶴一羽 中村克久 雲の峰 200003
迫真の舞ひ雪中の鶴一羽 小澤克己 遠嶺 200004
凍鶴の一歩も退かぬ構へかな 小澤克己 遠嶺 200004
真名鶴の声こんこんと初明り 白澤良子 200004
凍鶴の項なりける朝日かな 小形さとる 200004
鶴啼いて空に一閃息放つ 藤浦昭代 円虹 200005
刻欲しき鶴と心の通ふまで 藤浦昭代 円虹 200005
屏風へと鶴歩ましむ素描かな 環順子 遠嶺 200005
乱舞すみ鶴天馳けの羽拡ぐ 小澤克己 遠嶺 200007
鶴のあし杭のあまたを踏みかへて 小山森生 200008
谷地果に鶴眠るべし冬月夜 塩路隆子 精鋭選集 200008
火の山の晴れし青空鶴来る 竹川貢代 春耕 200010
収穫の終へし畑や鶴の声 藤村美津子 春耕 200010
山台に見立てし古墳田鶴舞へり 内山和江 奧嶺 200010
虚空から腿煌々と鶴来る 岡井省二 200011
きらきらとしぐれくるなり田鶴の空 大橋櫻坡子 雨月 200011
4Bに替へてなべ鶴生まれたる 和田瑞子 銀化 200012
読点のひとつはずせば鶴翔ちぬ 松山律子 六花 200101
口よごしゐて凍鶴になれずをり 長谷川鉄夫 200101
夕鶴の一陣翔つや暁の湖 御子柴光子 春耕 200101
初國に鶴降り立ちしころの聲 中原道夫 銀化 200102
凍鶴の羽を拡げる日の出かな 香川はじめ 春耕 200102
凍鶴の脚水平にある野末 豊田都峰 京鹿子 200103
鶴来ると胸襟に隙みせにけり 林朋子 船団 200103
いづみ野は禽の楽園鶴万羽 渕脇登女 200104
啼き交す鶴白息を天に向け 齋部干里 ぐろっけ 200104
鶴居村馴染の鶴と会ふ如し 松崎鉄之介 200105
鶴を見る俳句気狂ただに見る 泉田秋硯 200105
凍鶴の首の立ちたる波紋かな 横松しげる 200105
残照に鶴の羽搏つ惜しみなし 鳴海清美 遊び蔓 200105
手を打てば凍鶴白く崩れたる 鳥居真里子 船団 200106
大虚空ひきよせてくる鶴の声 西田もとつぐ 船団 200106
凍て鶴の火を蔵したる胸かたち 能村登四郎 200108
ゆつくりと来て老鶴の凍て仕度 能村登四郎 200108
凍鶴と見えはた老鶴とも思ふ 能村登四郎 200108
ひともがきして凍鶴の凍てを解く 能村登四郎 200108
凍鶴の眼を開くとき待てり 能村登四郎 羽化 200110
凍鶴の群に入らんと歩みをり 能村登四郎 羽化 200110
凍鶴の凍てを解かむと羽をもがき 能村登四郎 羽化 200110
また一つ田鶴の句碑建ち鶴を待つ 神田一瓢 雨月 200112
湿原は沼を隠して鶴を待つ 鷹羽狩行 200112
標なき棚田目指して鶴来る 永井房代 200112
鶴の声棚田に低くこだまして 永井房代 200112
千里来て己れいたはる鶴の声 永井房代 200112
金色の鶴渡りゆく月の海 雨村敏子 200112
凍鶴の影を極力細め立つ 鷹羽狩行 200202
身を反らす絶頂のあり鶴のこゑ 亀田愚風 銀化 200202
はるかより鶴くる瑞気くもりかな 川島真砂夫 200203
鶴唳をこぼしゆく野や夜明前 高橋たか子 馬醉木 200203
鶴の空女帝待たるる賜剣の儀 吉村春風子 遠嶺 200203
凍鶴はおのが抜羽をかへりみず 矢島久栄 200203
凍鶴の払ふことなき背の雪 稲森柏郎 200203
鶴 2 →      

 

2021年1月8日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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