鶴 2 (凍鶴を含む)     98句

高熱の鶴青空に漂へり    日野草城

鶴帰る  鶴引く    鶴来る

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鶴守に恩を返せし鶴ありや 稲森柏郎 200203
旅程組む一ト日出水の鶴を見に 松尾縁富 ホトトギス 200204
山裾の田に降り立てる逸れ鶴 松尾縁富 ホトトギス 200204
見渡して一万羽超すてふ田鶴を 松尾縁富 ホトトギス 200204
強風に向き凍鶴のみじろがず 松田欽吾 雨月 200204
凍鶴の己れ信じて凍てにけり 加藤はま子 200204
風花に夕鶴声をのこしけり 石鍋みさ代 春耕 200204
相寄るは相寄りしまま鶴凍つる 大堀柊花 200205
地に湧けるごとく翔ちゆく万の鶴 田中黎子 円虹 200205
鳴き交し鳴き交し鶴天の渦 田中黎子 円虹 200205
片脚の水漬きて眠る鶴に雨 田中黎子 円虹 200205
鶴唳の天より返す雨となる 田中黎子 円虹 200205
鶴へ鶴鶴の歩みにて寄れり 深澤鱶 火星 200205
鶴守の去にし雪野の晴れにけり 山本耀子 火星 200205
翔つ前の声混じり合ふ鶴の恋 山本耀子 火星 200205
残月や鶴唳天を埋め尽くす 伊藤冬留 200205
人は灯に鶴は塒に野を戻る 佐藤冨士男 ホトトギス 200207
どの景色にも夕鶴の戻る空 佐藤冨士男 ホトトギス 200207
舞ひ下りし鶴より凍てゝゆきにけり 佐藤冨士男 ホトトギス 200207
翅に貌埋め凍鶴みじろがず 塩川雄三 潮路 200210
凍鶴を見てゐる吾も凍ててをり 塩川雄三 潮路 200210
塔の芯病んでゐるなり鶴のごとく 中原道夫 銀化 200211
はばたくを忘れましたか凍てし鶴 芝宮須磨子 あを 200212
離反とは師を越ゆること鶴渡る 五十嵐暢子 対岸 200212
鶴来るもう使はれぬ登り窯 五十嵐暢子 対岸 200212
簡潔を尊びて鶴凍てにけり 鷹羽狩行 200301
鶴か雪女かよべの機音は 鷹羽狩行 200301
青空を来て凍鶴となつてゐる 小澤克己 遠嶺 200303
鶴の村まなこ優しき人ばかり 徳丸峻二 風土 200303
故あつて鶴は蒔絵に潜みけり 横尾桂子 銀化 200303
暁闇に田鶴びつしりと声の渦 白澤よし子 馬醉木 200304
群翔の鶴たをやかに天暗む 白澤よし子 馬醉木 200304
とぎれなき空の絵巻よ鶴舞へる 白澤よし子 馬醉木 200304
鶴唳に冬は眠れず鶴の墓 白澤よし子 馬醉木 200304
啼く声の鶴となりたるのんどかな 深澤鱶 火星 200304
凍鶴の上を日の塵通りけり 浜口高子 火星 200304
明日くると鶴守畦に焚火して 木田千女 200304
脱北の鶴煌々と日に舞へり 小澤克己 遠嶺 200304

 祝・川口襄句集『マイウエイ』

鶴舞の上に青空の道があり

小澤克己 遠嶺 200304
ゆつくりと舞ひ下り凍てし鶴となる 伊藤政子 築港 200304
風の中一万の鶴群れゐたり 伊藤政子 築港 200304
鶴発つと昂り覗く遠眼鏡 大石喜美子 雨月 200304
鶴語るまなざし深き農夫かな 大石喜美子 雨月 200304
病む鶴を八年看取る明け暮れと 堀田清江 雨月 200304
凍鶴の金輪際の我慢かな 青野れい子 200304
凍鶴の一声分の息浮かぶ 佐藤喜孝 青寫眞 200304
病む鶴を看取る一羽の添ひにけり 小森泰子 馬醉木 200305
空凍てて鶴の一声はがねなす 小森泰子 馬醉木 200305
鶴を呼ぶボーイソプラノ鶴も啼く 泉由秋硯 200305
鶴の肉食みし夜咄夢うつつ 坂井法 200305
荘洋の八代野仰ぎ鶴を待つ 仙石君子 雨月 200305
啄んでゐる鶴冬の田に七羽 仙石君子 雨月 200305
病む鶴の仰げば深空ありにけり 加美明美 200305
八千の鶴の眠りし闇深し 宮中千秋 ホトトギス 200305
凍鶴の堪らず脚を上げにけり 伊藤白悠 200305
今年また減りしと綴る鶴日誌 山田弘子 草の蝉 200305
空暗むほどに鶴来し日もありと 山田弘子 草の蝉 200305
夕日に背むけて手負の鶴ならむ 山田弘子 草の蝉 200305
日向ぼこして鶴守といふ昔 山田弘子 草の蝉 200305
鶴唳が目覚しといふ宿女将 山田弘子 草の蝉 200305
鶴送るチャイコフスキーの協奏曲 野口香葉 遠嶺 200306
帰る鶴見えなくなれば目をつむる 野口香葉 遠嶺 200306
残る鶴けものの声を出しにけり 杉浦典子 火星 200306
鶴交み終へたる歩幅なりしなり 城孝子 火星 200306
金箔酒飲んで今夜は鶴になる 笠間圭子 京鹿子 200306
大空に鶴池のつる巣立ちけり 山田六甲 六花 200307
弔ひに鶴はめざとく降りて来し 八田木枯 晩紅 200307
暮六ツにはじまる鶴のめまひかな 八田木枯 晩紅 200307
枕べを火照る火照ると鶴が過ぐ 八田木枯 晩紅 200307
鶴凍ててかたちを夜にもちこみぬ 八田木枯 晩紅 200307
鶴の死や鏡を伏せておくことも 八田木枯 晩紅 200307
鶴守の疵ひろがりぬ紅を得て 八田木枯 晩紅 200308
すれちがひたる鶴守は医のにほひ 八田木枯 晩紅 200308
葉をかさねし鶴の巣すでに崩れをり 横林誠二 200309
冠の丹のまだ淡し幼鶴 水原春郎 馬醉木 200312
鶴守の視野の中なる親子鶴 水原春郎 馬醉木 200312
鶴唳の一声秋を深めけり 水原春郎 馬醉木 200312

 和田敏子長逝

句縁また父の祥月鶴来る

大橋敦子 雨月 200312
しろがねの潮目なりけり鶴渡る 水野恒彦 200401
肩を並め鶴唳ともに聞きしこと 大橋敦子 雨月 200401
不知火の海より現るる鶴の棹 味村志津子 雨月 200401
トラクター来るに道開く丹頂鶴 大塚初江 200401
並ぶ鶴餌を食ふ順のあるごとし 大塚初江 200401
塒へ行く鶴給餌場へ寄りにけり 大塚初江 200401
一線に鶴の並んで塒へ行く 大塚初江 200401
まるまりて月光に鶴深眠る 大塚初江 200401
生身魂鶴の一声放ちけり 横山昌子 200401
なべ鶴の飛翔を追ふも芒原 川口幾 草の花 200401
黄落や民話の里に鶴啼ける 岸のふ 馬醉木 200402
第三の雄は脚長鶴の舞 鷹羽狩行 200402
深雪より白さまさりて鶴の舞 鷹羽狩行 200402
風切羽風に吹かれて病む鶴か 鷹羽狩行 200402
夕鶴の更けて雪女となるか 鷹羽狩行 200402
鶴の来てしぐるるいろの特攻碑 淵脇護 河鹿 200402
鶴来るむかしの語り大らかに 柴田靖子 200402
鶴の里けふ村人の葬りあり 大串章 百鳥 200402
三枝の礼返して鶴の去りにけり 安西静 帆船 200402
鶴の檻五重の塔と年ゆくや 堀内一郎 あを 200402
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2021年1月9日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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