9       164句

霜履きし箒しばらくして倒る  能村登四郎  長嘯

作品
作者
掲載誌
掲載年月
秒針のいのちを刻む霜夜かな 寺田すず江 201804
霜踏めば崩るるものが胸にあり 熊川暁子 201804
霜除の男結びや無人駅 西住三惠子 201804
神は死ぬ。ニーチェは霜げても生きる。 高橋龍 201805
接写する霜の世界の小宇宙 能美昌二郎 201805
霜の夜の透きとほりくる言葉かな 天谷翔子 201806
チチチチと体温計の鳴る霜夜 角野良生 201806
霜晴やホットミルクと甘食と 服部早苗 201806
凡夫なる愚を知り霜を踏みにけり 竹下陶子 ホトトギス 201811
根上りの松の星霜野分雲 富川明子 201812
初霜やこゑ尖らせて山鴉 布施政子 馬醉木 201812
霜の田やようべ流星群がふり 定梶じょう あを 201901
霜の声ロシア正教会の黙 稲畑廣太郎 ホトトギス 201901
霜の夜や使ひこなせぬ父の筆 谷田明日香 風土 201901
霜の花桧皮の屋根の深眠り 小形博子 201902
まだ夜のやうな朝なり霜咲けり 辻美奈子 201902
屋敷神へ霜踏む母の足音す 斉藤玲子 馬醉木 201902
遠山に残照うすく霜の声 吉岡睦子 馬醉木 201902
蝶番ひ弛む裏木戸霜のこゑ 鷺山珀眉 京鹿子 201902
霜の石変転を経てここに坐す 山田六甲 六花 201902
空港へながき橋行く霜の朝 天野美登里 やぶれ傘 201903
霜の朝渡船場発のバスが出る 白石正躬 やぶれ傘 201903
星飛ぶと云ふから起きてゐる霜夜 青谷小枝 やぶれ傘 201903
畑中の巾一間の霜の道 大島英昭 やぶれ傘 201903
百枚の田のきらめけり朝の霜 小田嶋野笛 末黒野 201903
明け方の橋に霜置く中洲にも 安斎久英 末黒野 201903
初産迎ふ牛の起居や霜晴るる 四方由紀子 風土 201903
トーストを焦がしてゐるや霜の朝 平田きみこ 風土 201903
初霜を歩む手を振り肩を振り 内藤静 風土 201903
家古りてどこか鳴くなり今朝の霜 林いづみ 風土 201903
山影のままに田毎の霜残り 田中たつを 雨月 201903
霜の夜電子ピアノの音を消し 辻美奈子 201903
霜晴れや欲得もなく生きんとす 寺田すず江 201903
林蔵の墓のほとりの霜くすべ 増成栗人 201904
暁や何処の霜も見逃さず 本間せつ 末黒野 201904
霜の夜の汽笛は棒のごとく鳴る 宮内とし子 201904
老人といふ抜け殻にも霜夜 上野進 春燈 201904
霜踏んで胸より軍鶏の歩きだす 柴田佐知子 201904
母の息か霜降る音かひとりの灯 杉田智榮子 馬醉木 201904
土もたぐ小さきいのちに霜囲 酒井たかお 201905
難聴の身にもしんしん霜の声 石黒興平 末黒野 201905
片耳を外して眠る霜の夜 直江裕子 京鹿子 201905
コンビニで喪のネクタイを買ふ霜夜 井上和子 201907
初霜を侮ることのゆるされず 竹下陶子 ホトトギス 201908
霜のたび縮み菜の襞深くなる 深川淑枝 201909
朝霜に幽けかりけり沙羅の花 大坂正 末黒野 201910
旅立の朝の初霜踏み分けて 稲畑汀子 ホトトギス 201911
初霜の大地を覆ふ刹那かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201911
初霜や悠久の天綺羅星に 竹下陶子 ホトトギス 201911
初霜に関東ローム層目覚め 稲畑廣太郎 ホトトギス 201911
臨終の姉に紅さす霜夜かな 永石清湖 馬醉木 201912
書き出しに躓いてゐる霜降る夜 山田暢子 風土 202001
初霜の夜小面に小さき翳 鈴鹿呂仁 京鹿子 202001
青銅のひびきはたりと霜の寺 鷺山珀眉 京鹿子 202001
早起きの足のうれしき霜日和 北川孝子 京鹿子 202001
初霜は天のふりかけ千枚田 菊池和子 京鹿子 202002
初霜や一樹の影の残る庭 松本峰春 京鹿子 202002
霜育つ真夜や言葉をはぐくめり 藤原照子 202002
愛猫の寄り来て眠る霜夜かな 中山惠子 202002
霜夜あけ鶏鳴ひびく戦没碑 橋添やよひ 風土 202002
合意なき決定とやら初霜降る 井尻妙子 京鹿子 202002
初霜の便り列島を南下 井尻妙子 京鹿子 202002
霜光や織部の皿は掌に溶ける 伊藤希眸 京鹿子 202003
オリオンの今立ち上がる霜夜かな 吉田順子 202003
霜白く化粧ふ風紋九十九里 大沢美智子 202003
有り余るしあわせのごと霜の花 三上程子 風聴くや 202003
勉学と知る向かひの灯霜夜かな 成宮紀代子 202003
霜の夜やショパン聴きつつ夜半まで 高木邦雄 末黒野 202003
霜晴や童等小走りの通学路 高木邦雄 末黒野 202003
初霜の地窓明りとなりにけり 中田みなみ 202003
眠る汝のまなぶた動く霜夜かな 西村操 雨月 202003
脈打たぬ顔となりゆく霜夜かな 柴田佐知子 202003
霜の花馬の総身ゆるびなし 柴田佐知子 202003
霜踏んで流人のごとく歩きけり 柴田佐知子 202003
薄紅のリップクリーム霜の朝 安藤久美子 やぶれ傘 202003
霜あとの地表めくれてぴらぴらと 大島英昭 やぶれ傘 202003
霜除けや青天続いてをりにける 植木戴子 202003
青き星の輝き霜の声となる 近藤喜子 202003
霜枯や風のうしろの風の私語 鷺山珀眉 京鹿子 202003
霜の朝人ひく犬の息荒し 松田多朗 馬醉木 202003
落葉まで薄化粧して今朝の霜 菊谷潔 六花 202004
畑に霜丹色の月の昇りくる 川崎登美子 202004
昨日の野球の声す霜畳 川崎登美子 202004
初霜や曇りガラスのやうな窓 湖東紀子 ホトトギス 202004
近江八景ところどころの霜くすべ 増成栗人 202005
その先に漬物工場霜くすべ 瀬島洒望 やぶれ傘 202005
霜の午後日向に靴の跡続く 湯本正友 やぶれ傘 202006
霜晴や筵を広げて焼餅屋 西住三惠子 202006
蜘蛛の囲や霜の花めく雨の粒 岡野里子 末黒野 202009
ボルドーを寝酒と決めて霜夜かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202010
早立ちの一歩初霜踏みしめて 稲畑汀子 ホトトギス 202011
初霜を踏み来し靴といはずとも 稲畑汀子 ホトトギス 202011
初霜に朝の光を置き初めし 稲畑汀子 ホトトギス 202011
初霜に都心の朝の縮みゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
忙しき都心初霜降りてより 稲畑廣太郎 ホトトギス 202011
きりきりと霜夜の叫びありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
霜夜行く恋に疲れし男かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
恋破れ霜夜の帰路でありにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 202012
霜降や当てなく延ばす祝ひ事 能村研三 202012
奥つ城の白き音踏む霜の花 石原孝人 京鹿子 202101
霜の夜の薪棚のある画家の庭 能村研三 202101
霜の墓誌なぞりて十二月八日 武田未有 202102
鶏鳴に明くる牧場の霜だたみ 園部蕗郷 春燈 202102
里近き横穴墓群霜の声 尾崎千代一 末黒野 202102
レノン忌の午前零時の霜のこゑ 南うみを↓ 風土 202102
初霜に株の粧ふ田面かな 藤生不二男 六花 202102
マスク白吐く息白し霜の朝 大日向幸江 あを 202102
初霜やそぞろ信濃の旅心 山西商平 ホトトギス 202103
赤ワイン一人聴くWHAM霜夜かな 江草礼 春燈 202103
霜の花無垢の光を放ちけり 武田巨子 春燈 202103
降る霜の嫁入り娘のべールとす 高野昌代 202103
昨夜の霜残る青菜の滴かな 高木邦雄 末黒野 202103
えやみ鬱路傍の石の霜の声 岩崎藍 末黒野 202103
野良猫の目と出会ひたる霜の朝 秋山信行 やぶれ傘 202103
鳩寄せて餌を撒くひと霜白し 稲田延子 やぶれ傘 202103
木の影を動く鳥影霜の朝 森なほ子 あを 202103
霜のこゑかなしきことを抱き眠る 亀井福恵 京鹿子 202104
級友の訃報届くや霜の朝 加藤静江 末黒野 202104
深爪の痛みじんじん霜の夜 芝田幸惠 末黒野 202104
しんしんと過去降りつもる霜夜あり 磯崎啓三 風土 202105
茶碗みがく霜夜の息を吹きかけて 磯崎啓三 風土 202105
街川のネオン張り付く霜夜かな 梅田武 末黒野 202105
霜降る夜バスの座席の温さかな 湯本正友 やぶれ傘 202105
青森の帆立霜夜のクール便 吉田幸恵 やぶれ傘 202105
玄関の錠確かむる霜夜かな 浅嶋肇 やぶれ傘 202105
霜枯れて白く輝く河川敷 石原健二 やぶれ傘 202105
霜の夜は身の解けゆく湯につかり 木村瑞枝 やぶれ傘 202105
改札を出て霜の夜を小走りに 坂本和穂 やぶれ傘 202105
チェロを聴く霜夜の星の瞬きに 加藤あけみ ホトトギス 202106
おはやうと書く霜晴の窓硝子 加藤あけみ ホトトギス 202106
初霜と聞きしばかりに集ふ会 稲畑汀子 ホトトギス 202111
初霜に気づきしよりの家居かな 稲畑汀子 ホトトギス 202111
初霜や故郷の土踏みしめて 稲畑廣太郎 ホトトギス 202111
涼新たハーゲンダッツに霜の付く 篠田大佳 あを 202111
久に来し吉田鴻司の墓に霜 増成栗人 202201
霜の夜や正座の暮し忘れをり 能村研三 202202
枝折戸の結び目解けぬ霜の朝 鈴木齊天 202202

 香月泰男展

望郷の俘虜の眼暗き霜の夜

高橋寛子 春燈 202202
初霜や物干し場まで道ひとつ 関道子 春燈 202202
霜降やねむりぐすりを酒で嚥み 石川桂郎 風土 202202
清浄洗心・抜苦与楽や霜晴るる 浜福惠 風土 202202
せせらぎを母の声とも霜の夜 鷹崎由未子 春燈 202203
霜の朝背筋伸ばして一万歩 高木邦雄 末黒野 202203
皇帝ダリアのはやも凋落霜の朝 臼居澄子 末黒野 202203
弱虫のかたまってゐる霜の朝 井尻妙子 京鹿子 202203
初霜や小さく洗ふ朝の顔 石原孝人 京鹿子 202203
蝋涙の乾ぶる堂や霜枯るる 岡野里子 末黒野 202204
我一人拾ふ霜夜の路線バス 斉藤マキ子 末黒野 202204
明日あると思ふ霜夜の昆布茶かな 斉藤マキ子 末黒野 202204
浮みては言葉逃げ行く霜夜かな 内藤静 風土 202204
霜の夜の足音を待つ犬の耳 内藤静 風土 202204
つぶやきを猫に聞かるる霜夜かな 松本胡桃 風土 202204
衾中の耳の働く霜夜かな 高橋まき子 風土 202204
霜の夜の横笛平家ものがたり 山中志津子 京鹿子 202204
霜のこゑ毛細血管収縮す 亀井福恵 京鹿子 202204
霜解けて庭のいのちの目覚め初む 上野進 春燈 202205
晩霜に囁く朝日鶏の声 上野進 春燈 202205
遠山の墨絵のやうに雪解霜 秋山蔦 春燈 202205
膨らめる綺羅の葉先や霜雫 森清堯 末黒野 202205
闇下りて灯る山家や霜囲 森清信子 末黒野 202205
みしみしと霜夜の両手伸びまさる 磯崎啓三 風土 202205
庭先の光った霜は跡かたも 吉宇田麻衣 202206
霜の夜や百寿の叔母の訃報受く 井上和子 202210
鍵穴にあえかな震へ霜の夜 鈴鹿呂仁 京鹿子 202212
霜→1

 

2023年1月19日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。