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 4    200句
作品
作者
掲載誌
掲載年月
幸村の抜け穴跡や蝉生まる 西畑敦子 火星 200510
一客一亭や折から蝉の聲 木暮剛平 万象 200510
ヒロシマやしいしいと鳴く朝の蝉 大坪景章 万象 200510
羽化できぬままに蝉の子土まみれ 三橋早苗 ぐろっけ 200510
四阿を風の素通り蝉の声 小橋末吉 対岸 200510
教会の森より湧けり油蝉 諸冨清子 対岸 200510
唖蝉を立たせ防災夜の訓練 海上俊臣 酸漿 200510
木の幹や蝉が所を取合へる 坂本幸子 酸漿 200510
蝉の貌四万十川に映りけり 大串章 百鳥 200510
初蝉を聞き丹念に顔洗ふ 三関浩舟 栴檀 200510
朝蝉や物干し竿の雨雫 坂部尚子 栴檀 200510
蝉木蔭貧乏ゆすり強ひられる 松本鷹根 京鹿子 200510
生告ぐるかに初蝉の鳴き出づる 佐藤淑子 雨月 200510
初蝉の威勢よく鳴きそれっきり 久保晴子 雨月 200510
断ち難き思ひ夜蝉の通夜二夜 高橋照子 雨月 200510
蝉の穴覗きてくらきあなたかな 溝内健乃 雨月 200510
初蝉や平家池畔のカフエテラス 平田紀美子 風土 200510
樹木なき砂丘どこから蝉の声 塩川雄三 築港 200510
又しても庭に鳴き出す法師蝉 小笠原扶美女 築港 200510
蝉の殼古墳の塚に爪を立て 川加藤サヨ子 築港 200510
飛び蝉の胸に止まつて動かざる 稲木款冬子 築港 200510
大樹よりどつと湧き立つ蝉の声 大森玲子 築港 200510
蝉の声一際高く去り行きぬ 岡村容子 築港 200510
法師蝉途切れ途切れに鳴き始む 石田經子 築港 200510
電車内蝉飛び込んで鳴きゐたり 内田せつ予 築港 200510
水流る哲学の道蝉の声 川口弘子 築港 200510
蝉はみな海傾けて鳴いてをり 齊藤實 200510
水飲んでうまきこの頃蝉が鳴き 土山栄 200510
降り出しの雨きな臭き蝉の坂 松岡隆子 200510
数へみて切なきものに蝉の穴 松岡隆子 200510
散華のごと蝉の声ふる円覚寺 鎌倉喜久恵 あを 200510
片肩に蝉とまらせて数歩あるく 鎌倉喜久恵 あを 200510
朝祓しばらく蝉を鎮めけり 泉田秋硯 200511
トタン屋根鳴らせし蝉や天仰ぐ 泉田秋硯 200511
寝返りを覚えし嬰や朝の蝉 鈴木照子 200511
御船代祭のさなかに法師蝉 鷹羽狩行 200511
蝉鳴いて朝は空から下りて来る 犬塚芳子 200511
原爆忌変らぬものに蝉の穴 万城希代子 200511
昼寝覚頭の中を蝉が鳴く 大坪景章 万象 200511
序破急の急盛んなる残る蝉 中村恭子 200511
交代のみんみん蝉になつてをり 富沢敏子 200511
夕蝉などとなまやさしきものにあらず 田原陽子 200511
早く出て唖蝉拾ふ散歩道 松崎鉄之介 200511
紫荊の走り根の合ひ蝉茸生ふ 松崎鉄之介 200511
馬手かばふ弓手邪慳や法師蝉 木田秀子 200511
蝉声のふと途切れたる溽暑かな 波田美智子 火星 200511
進めゆく鎌朝蝉のしづけさに 高梨美佐子 遠嶺 200511
園庭に蝉が奏するシンフォニー 高安勝三 遠嶺 200511
鳴く蝉にあと幾日のこの山河 冨岡夜詩彦 200511
蝉の羽化見てをり声を得つつあり 坂ようこ 200511
神木に配信されし蝉の声 中尾公彦 200511
自動ドア開けばわつと蝉のこゑ 田口たつお ぐろっけ 200511
幹の蝉ついと放ちし尿光る 田口たつお ぐろっけ 200511
坪庭に蝉の抜け穴四十余個 伊藤公女 ぐろっけ 200511
油蝉かするる声を続けゐて 丹羽敦子 酸漿 200511
校舎には蝉の声よりなかりけり あさなが捷 200511
蝉発ちし穴あまたなり庭乾く 苑実耶 200511
大社の蝉に耳がぴりぴり最敬礼 丸山佳子 京鹿子 200511
うら声で人ふり向かす法師蝉 丸山佳子 京鹿子 200511
蝉死せり物質文化世に驕り 角直指 京鹿子 200511
身の上を語り余して夜の蝉 大村美知子 京鹿子 200511
半睡のビルのぼりゆく蝉の声 伊藤希眸 京鹿子 200511
ちつち蝉占ひの灯を離れざる 小田元 六花 200511
蝉の穴巨大迷路の出口やも 水谷ひさ江 六花 200511
今はもう蝉鳴きやみてをりにけり 延川笙子 六花 200511
法師蝉泣くには非ず謳歌すと 服部菰舟 雨月 200511
朝蝉のいのちの讃歌是非もなや 落合由季女 雨月 200511
熊蝉のぬけがらとどむ一葉かな 落合由季女 雨月 200511
蝉生るや鳴くだけ鳴いて一ト世果つ 大西正栄 雨月 200511
法師蝉遺されし子もはや六十路 大西正栄 雨月 200511
ひとつ落つ蝉声の降りしきる中 大橋晄 雨月 200511
法師蝉御坊に鳴くやただ一つ 大橋晄 雨月 200511
蝉しじに二畳に老僧面打つ 乗光雅子 雨月 200511
法師蝉邪魔臭ささうに鳴き収む 塩川雄三 築港 200511
法師蝉終りの節を聞き分くる 安部桂 築港 200511
独唱も輪唱もある法師蝉 安部桂 築港 200511
千古の森万の梢に蝉鳴けり 池上和子 築港 200511
法師蝉神木の注連縋り鳴く 北嶋薫 築港 200511
蝉の穴あるはあるはの鈴ヶ森 佐藤喜孝 あを 200511
亡き母の齢数へみる夜半の蝉 坂元フミ子 河鹿 200512
携帯の電話で拾ふ蝉の声 木原紀幸 河鹿 200512
熊蝉の鳴ける人気のなき木立 市場基巳 200512
法師蝉鳴頻く五島天主堂 中里信司 酸漿 200512
蒼天や日中鳴き出す残る蝉 平フミ子 酸漿 200512
網戸つかみいきなり鳴ける夜蝉あり 乗光雅子 雨月 200512
夜蝉鳴く一樹の上の星世界 三関浩舟 栴檀 200512
熱の子や玻璃戸に当たる夜の蝉 清水雅子 栴檀 200512
日照雨後のいよよ冥くて蝉の穴 上林孝子 200512
唖蝉の来し樹は泰し誕生日 渡邉友七 あを 200512
道心の唱名一途残る蝉 尾野奈津子 春燈 200601
夜の蝉ナースコールに応へなき 的池遙 百鳥 200601
蝉生れて飴色鋳型のこりけり 楠原幹子 200601
蝉とんで幹を替へたるだけのこと 安達風越 雨月 200601
仰向けの蝉の時折動きをり 秋千晴 200601
蝉の穴まづ歪みては地震来たる 坊城俊樹 ホトトギス 200602
夕映を惜しむかなほも油蝉 赤司美智子 酸漿 200602
一声をあげて静まる夜の蝉 赤司美智子 酸漿 200602
油蝉ぢりぢりゐざり幹裏へ 田口たつお ぐろっけ 200602
蝉声の満たされてゐる蝉の穴 服部早苗 200602
これ以上待つくらゐなら蝉になる ことり 六花 200605
森の蝉ここで生まれてここで死ぬ ことり 六花 200605
時折に蝉鳴く夜の皿を拭く 楠木薫子 200605
征く馬に授くる護符や蝉の寺 瀧春一 常念 200606
白樺の蔭に到りて蝉凉し 瀧春一 常念 200606
朝鳥のときの間凉し蝉も鳴かず 瀧春一 常念 200606
蝉鳴かぬ山のしづけさ雲の峰 瀧春一 常念 200606
蝉の声は絶えず梔子の香に間あり 瀧春一 瓦礫 200606
瓦斯の火のいのち終るや蝉鳴き出づ 瀧春一 瓦礫 200606
声々に夜色を怖る法師蝉 瀧春一 瓦礫 200606
蝉穴を出でし途方もなき過ち 吉村たけを 海市蝶 200606
山寺に蝉聞きしてふ二三人 稲畑汀子 ホトトギス 200607
蝉鳴いて雨止んでゐしこと告ぐる 稲畑汀子 ホトトギス 200607
蝉鳴いてゐますと席に着かれけり 稲畑汀子 ホトトギス 200607
石の下祖母を納めて油蝉 出口誠 六花 200607
墨糸をぱちんと弾きにいにい蝉 大畑善昭 200608
蝉の穴兵器につきし雷の文字 辻直美 200608
天地のここにも恵み蝉生まる 村越化石 200608
朝日子に祝福さるる蝉の羽化 村越化石 200608
割箸を挿し込んであり蝉の穴 山田六甲 六花 200608
蝉の木の微動だもなき不思議かな 岡本眸 200608
顔あぐるたび蝉聲を重しとも 岡本眸 200608
蝉聲に固体の重さ終戦忌 岡本眸 200608
蝉の木がありぬ郵便局ありぬ 岡本眸 200608
初蝉や静謐に子は手術待つ 長谷川史郊 馬醉木 200609
蝉穴を覗きて後生頼みかな 水野恒彦 200609
涛音に開けつぱなしの蝉の穴 浜口高子 火星 200609
初蝉や耳とほき人そばにゐて 中山純子 万象 200609
油蝉をや仰のけに命終ふ 伊藤白潮 200609
さすらひの途中に覗き蝉の穴 伊藤白潮 200609
縢王閣地上より湧く蝉の声 松崎鉄之介 200609
陪冢の陵守蝉の鳴き歇まず 奥村鷹尾 京鹿子 200609
風絶えて蝉聲はいま一固体 岡本眸 200609
点と線推理楽しむ蝉の宿 達山丁字 200610
白雨あと声したたりて法師蝉 水原春郎 馬醉木 200610
少年に大き夕日や法師蝉 丹羽啓子 馬醉木 200610
初蝉や白づくめなる乳母車 和田ゑい子 馬醉木 200610
前世につながつてをる蝉の穴 高橋将夫 200610
水分や舌もつれずに熊蝉は 天野きく江 200610
蝉の声棚田をころげゆきにけり 近藤公子 200610
蝉の穴ワームホールに続きゐる 近藤喜子 200610
竹箒ねかせり蝉のうすみどり 松原仲子 200610
暁の蝉生る鈴を振るやうな 田原陽子 200610
まどひなくひすいの兒の蝉生れる 吉岡一三 200610
蝉化ける半透明のままにゐよ 吉岡一三 200610
人の世にみんみん蝉の朝がくる 遠藤真砂明 200610
棒鳴の蝉のすとんと落ちにけり 久染康子 200610
中国へ旅立つ前に蝉茸掘る 松崎鉄之介 200610
場所違へて蝉茸生へり三年目 松崎鉄之介 200610
蝉哀し猫のいたぶり甘受せる 岸本久栄 雨月 200610
俊寛の墓山蝉の鳴きつつむ 三輪温子 雨月 200610
命ある限り暮れても蝉の鳴く 綿谷美那 雨月 200610
蝉はただ哀しかなしと鳴くものと 大橋晄 雨月 200610
夕蝉や石仏もまたうすれゆく 豊田都峰 京鹿子 200610
大原の呂川律川蝉涼し 林日圓 京鹿子 200610
むかしより昔ありけり蝉の穴 滝沢環 京鹿子 200610
これやこの蝉の羽衣つつがなし 神蔵器 風土 200610
岩陰に並べる法師蝉の穴 山田六甲 六花 200610
初蝉ぞ大葉をつかみ生れける 延川五十昭 六花 200610
坪庭に蝉の穴ある茶席かな 延川五十昭 六花 200610
蝉の穴かぞへてからの草むしり 延川五十昭 六花 200610
蝉声の古き山門くぐりけり 金山千鳥 酸漿 200610
山寺の大樹離れし法師蝉 沖倉好秋 酸漿 200610
夕蝉や雨の合間の里山に 井関祥子 酸漿 200610
まだ白き蝉しつかりと草つかむ 坂本知子 酸漿 200610
夕蝉の引き潮のごとはたと止む 長澤健子 酸漿 200610
明けそめし森の奥より蝉の声 長澤健子 酸漿 200610
初蝉を聞く日さしたる用のなし 青山丈 200610
働いて日々働いて蝉涼し 久保田真理 200610
忙しなく生きよ生きよと法師蝉 鈴木多枝子 あを 200610
油蝉川底の草爛れをり 長崎桂子 あを 200610
熊蝉の砂利にひびけり離宮道 早崎泰江 あを 200610
烏去りみんみん蝉の鳴きいそぐ 鎌倉喜久恵 あを 200610
見通しのつかぬ停電あぶら蝉 篠田純子 あを 200610
コンダクターなくとも揃ふ蝉の声 北川キヨ子 200611
バス停に無人賣あり蝉はやす 吉田多美 京鹿子 200611
朝は蝉昼は鴉に夢破る 川村瑠璃 京鹿子 200611
教卓の角の手擦れや油蝉 木場田秀俊 200611
田の中に蝉の木のある夕景色 荒井和昭 200611
幹といふ幹に蝉ゐてむず痒し 望月晴美 200611
日蓮像の思惟ひた濡らす蝉の声 安藤しおん 200611
ぜんまいの緩みしごとく蝉落つる 篠原幸子 春燈 200611
瞑想の姿のままに蝉の殼 堀本祐子 遠嶺 200611
磴百段なほ蝉騒を抜けきれず 小山徳夫 遠嶺 200611
朝蝉や畳みおくもの身にまとふ 黒田咲子 200611
くま蝉の朝となりたるアニミズム 本多俊子 200611
蝉の森今ビッグバンと云ふべかり 天野きく江 200611
もろもろの音のみこみし蝉の穴 柴田靖子 200611
君逝くや聞こえぬ耳に法師蝉 松崎鉄之介 200611
唖蝉のよく飛ぶ路地に雀来る 松崎鉄之介 200611
喪の煮炊き昼時急かす法師蝉 宝玉トシ子 200611
気ぜはしく鳴く大阪の油蝉 中村洋子 風土 200611
みささぎは人入れしめず法師蝉 磯野しをり 雨月 200611
やはらかく生れし蝉なり草に寄る 滝川あい子 雨月 200611
日晒の木椅子が一つ法師蝉 松林順子 雨月 200611
蝉声に背ナを押されて関所越 丸尾和子 雨月 200611
喪心に浸りてをれば夜の蝉 加地芳女 雨月 200611
庭畑へ行く木の蝉を驚かす 島崎勇作 酸漿 200611
初蝉を聞きし安堵の一日かな 島崎勇作 酸漿 200611
初蝉の声の続かずをはりけり 島崎勇作 酸漿 200611
けふ処暑の庭に来て鳴く油蝉 島崎勇作 酸漿 200611
蝉→5      

 

2021年7月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。