落 葉 14      144句

一枚の落葉となりて昏睡す   野見山朱鳥   愁絶

作品
作者
掲載誌
掲載年月
参道を吹きぬけ落葉吹きたまり 芝宮須磨子 あを 201011
掃く落葉掃かぬ落葉も庭のもの 稲畑汀子 ホトトギス 201012
吹き溜まり落葉にしやがみ喫煙派 品川鈴子 ぐろっけ 201012
乳母車枯葉の上に落葉して 吉弘恭子 あを 201012
落葉していよいよ細き一の滝 阿部ひろし 酸漿 201012
踏切の音に追はるる落葉かな 塩路五郎 201101
埋門までは落葉の女坂 瀬戸峰子 春燈 201101
踏み入りて落葉のこゑや冠木門 北岸邸子 春燈 201101
子等風の心となりて落葉道 松嶋一洋 201101
金色にかがやく落葉踏むふたり 上原重一 201101
掻き集め落葉長者の気分なり 中島玉五郎 201101
目瞑りて落葉しぐれを聴く夜かな 杉本光祥 201101
謎ひとつ解けて落葉の帰り坂 丸井巴水 京鹿子 201101
跫音に聞耳たてる夜の落葉 川崎光一郎 京鹿子 201101
追ひ風に浮き足立ちて落葉坂 森茉明 京鹿子 201101
落葉降る自づとシャンソン口遊み 宮原悦子 雨月 201101
落葉して湧水細く峯の茶屋 秋葉貞子 やぶれ傘 201101
仕舞屋に落葉のたまる一所 長谷川幸恵 酸漿 201101
庭掃きて残る落葉に風少し 續木文子 あを 201101
落葉ふむさくさくとはたカラカラと 鎌倉喜久恵 あを 201101
足に合ふ靴得てたのし落葉道 田中藤穂 あを 201101
はらはらと散りからからと落葉かな 阿久澤利男 やぶれ傘 201101
山門や夕影長き落葉掻 田村幸子 201102
落葉掃く禰宜の袴の青美しく 木戸宏子 201102
当尾の落葉の深し眠り仏 鈴木照子 201102
友逝けり夫は無口に落葉焚き 田下宮子 201102
紅葉落葉踏みて天城の峠越 坂上香菜 201102
突風に落葉逆まく京大路 伊藤憲子 201102
奔放に落葉掛け合ふ塾帰り 中村ふく子 201102
大欅見上げては掃く落葉かな 中村ふく子 201102
腰骨の軋みなだめて落葉掻く 杉本綾 201102
竜ヶ岳に熊出たる報落葉踏み 坂根宏子 201102
楠公の産湯井へ舞ふ落葉かな 井口淳子 201102
一山を駆け抜くる音や落葉掻 白澤よし子 馬醉木 201102
神域の桂落葉の香なりけり 西川保子 春燈 201102
落葉掃く箒に戯れる子犬かな 豊谷ゆき江 春燈 201102
小諸なる古城落葉の止まざりき 泉田秋硯 201102
檻罠の中へ落葉のしきりなる 南うみを 風土 201102
天無風くづれるごとき落葉かな 渡辺安酔 201102
人影のなき団地にも落葉時 高田令子 201102
熊よけの鈴の遠鳴り降る落葉 成田美代 201102
落葉焚墓を温めてゐたりけり 相良牧人 201102
落葉掃く僧にあらたな風生まる 近藤きくえ 201102
木洩れ日に彩なす落葉しぐれかな 近藤きくえ 201102
裏返す火の静かなる落葉かな 近藤喜子 201102
一二一二落葉踏みゆくアンダンテ 岩下芳子 201102
散り敷ける落葉踏みゆく黒ブーツ 松下八重美 201102
空よりも斜面明るき落葉山 久染康子 201102
起きぬけの禰宜のジーンズ落葉掃く 藤原照子 201102
熊鈴は落葉の海に漂へり 阿部眞佐朗 201102
人去りて人また来たり落葉焚 田中久仁子 万象 201102
落葉する水の音ある方にのみ 豊田都峰 京鹿子 201102
一枚の落葉となりゆくまでの時間 服部郁史 京鹿子 201102
掃き終えて又降る落葉美しく 石田かし子 ろんど 201102
落葉はらり牽牛子塚は黙したり 池端英子 ろんど 201102
落葉道踏めばスキップしたくなり 片岡良子 雨月 201102
掃き寄せて振返りざま落葉せる 片岡良子 雨月 201102
落葉径ほほゑみ美しき女来る 仙石君子 雨月 201102
山の水引きゐる宿の落葉掻 丸山照子 火星 201102
金剛山(こんがう)の落葉とびくる残り簗 浜口高子 火星 201102
生きてをり路地の落葉の吹き溜り 松本三千夫 末黒野 201102
落葉掻く人背を伸ばし富士を見る 鈴木英男 末黒野 201102
哲学者めく夫の背や落葉降る 平居澪子 六花 201102
紅葉する落葉手に取り子等にあげ 武智恭子 ぐろっけ 201102
落葉踏む終らぬ恋の音をさせ 野口喜久子 ぐろっけ 201102
風の渦生まれ落葉の巻かれ行く 大西ユリ子 ぐろっけ 201102
風化せる武将の墓に落葉散る沖則文 大西ユリ子 ぐろっけ 201102
梅樽の湯船に落葉葵紋 大西ユリ子 ぐろっけ 201102
早起きの夫が日課の落葉掃 青木政江 酸漿 201102
若人の足軽やかに落葉踏む 浅野恵美子 酸漿 201102
落葉径こころ平静とり戻す 早崎泰江 あを 201102
吹き溜まりまでからころと落葉かな 大島英昭 やぶれ傘 201102
雨音の落葉を揺らし始めけり きくちきみえ やぶれ傘 201102
背戸道の片側に寄る落葉かな 廣瀬雅男 やぶれ傘 201102
落葉掃くことより始むビル工事 高橋均 やぶれ傘 201102
果もなく星座の話落葉焚 吉田希望 201103
くの一の落葉樹海を駆け抜ける 松岡和子 201103
凍て落葉踏めばザクザク音高き 山崎里美 201103
信心の歩に紅葉坂落葉坂 古賀しぐれ ホトトギス 201103
欅落葉に仕へるごとく今朝も掃く 平野伸子 馬醉木 201103
落葉掃が好き落葉焚もつと好き 橘正義 春燈 201103
踏む音が好きで落葉の径をゆく 永島雅子 春燈 201103
小石蹴り一句ひらめく落葉道 河本利一 201103
落葉踏み音交はし合ふ男女かな 清海信子 末黒野 201103
落葉踏む齢重ねし土踏まず 安斎久英 末黒野 201103
落葉踏む音を恃みの山路かな 堺昌子 末黒野 201103
絵の具では出せぬ濃淡落葉舞ふ 江島照美 201103
お謡の本の栞の櫨落葉 金澤明子 201103
地にかへるやすらぎにある落葉かな 大竹淑子 風土 201103
通夜の帰途落葉の嵩につまづけり 柴田朱美 京鹿子 201103
父の背をまだ追ひつづけ落葉踏む 柴田朱美 京鹿子 201103
やさしさに触れた旅路の落葉かな 柴田朱美 京鹿子 201103
老いの掌をかざすや落葉の嵩を焚き 柴田朱美 京鹿子 201103
落葉舞ひ不意に暮色がのしかかる 柴田朱美 京鹿子 201103
落葉踏む抱きしむやうにぎゆつとふむ 箕輪カオル 201103
靴音を吸ひとつてゐる敷落葉 箕輪カオル 201103
落葉籠もののけまでも詰めしかも 村高卯 201103
けふの歩の落葉吹かれてしまひけり 原田達夫 201103
落葉蹴る音のやつぱり拗ねでゐる 杉浦典子 火星 201103
落葉踏む一茶の墓へ深さ踏む 柴田良二 雨月 201103
落葉かき雄淵・雌淵の畔にて 陶山泰子 ぐろっけ 201103
落葉し毛細血管のごと大樹 角谷美恵子 ぐろっけ 201103
石鎚の樹間を過ぐる落葉風 沖則文 ぐろっけ 201103
ラストシーン決めて落葉の横なぐり 小瀧洋子 ろんど 201103
朝戸出の希望の音や落葉踏む 田中一美 ろんど 201103
面塚の落葉さ走る快楽かな 土居通子 ろんど 201103
さまざまな人生のあり舞ふ落葉 家塚洋子 酸漿 201103
積む落葉蹴上げ蹴ちらし子ら遊ぶ 伊藤一枝 酸漿 201103
しばらくはそのままに置く落葉あり 満川房子 酸漿 201103
落葉掃く音を遠くに深眠り 鎌倉喜久恵 あを 201103
向かひ風追風落葉日を返し 山田佳乃 ホトトギス 201104
落葉踏む音水音へ邸の庭 宮崎正 ホトトギス 201104
獣道みごと落葉に隠さるる 宮脇百百子 201104
片開き門を潜れり落葉どき 横井博行 万象 201104
林間にひと筋淡き落葉道 鳳蛮華 201104
落葉踏みつつ存間を繰り返す 安武晨子 201104
けものみち落葉の嵩の五寸ほど 安藤久美子 やぶれ傘 201104
落葉路のひとすぢほそく日がくれる 豊田都峰 京鹿子 201105
五本なる丘の欅の落葉かな 豊田都峰 京鹿子 201105
落葉より花覗かせしたんぽぽよ 大山妙子 酸漿 201105
きのふよりけふの落葉の高き踏む 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
足許の落葉に混じるすがれ蜂 竹内弘子 あを 201105
消火器を替へねばならぬ落葉かな 竹内弘子 あを 201105
水底に柳落葉や宗祇水 大西まりゑ 酸漿 201106
宮落葉清めたまへと私に 丸山佳子 京鹿子 201107
石段を上がりて落葉拾ひけり 池崎るり子 六花 201107
落葉踏む音を重ねて峠越ゆ 柳澤宗正 万象 201108
落葉して鎧脱ぎたる庭木かな 稲畑汀子 ホトトギス 201109
公園の出口を探す落葉径 吉弘恭子 あを 201109
眠る子を私したる落葉かな 星野早苗 船団 201110
西行に会へる思ひの落葉踏む 中條睦子 万象 201110
落葉焚いつも海から来る日暮 コ田千鶴子 花の翼 201111
胸中のとつぷり暮れて落葉焚 コ田千鶴子 花の翼 201111
せつかちな商都の歩み落葉舞ふ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201111
落葉掻ビル街の朝目覚めゆく 稲畑廣太郎 ホトトギス 201111
落葉して仕尽すまでの日数かな 稲畑汀子 ホトトギス 201111
マロニエの落葉は朝の二三枚 稲畑汀子 ホトトギス 201111
山を消し落葉しぐれとなりにけり 布川直幸 201111
離宮落葉に黒猫の肢撓やか 品川鈴子 ぐろっけ 201111
竹箒四十五度に落葉掻 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
落葉掃かないで俳句を作るから 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
神苑の落葉掻く音にも祝意 稲畑廣太郎 ホトトギス 201112
見るための落葉を掃かずあることも 稲畑汀子 ホトトギス 201112
落葉にも見頃といふがありし庭 稲畑汀子 ホトトギス 201112
落葉→ 15      

 

2020年12月7日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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