野 火 3       108句

野火の帯地平に赤しノロ跳ねる   高島茂

末黒野  焼野  野焼  野火

作品
作者
掲載誌
掲載年月
野火走る烈しさ吾に今一度 足利徹 ぐろっけ 200705
川幅は風筋野火の煙かな 山本耀子 火星 200705
ただ土手につつ立つてゐて野火熾ん 山本耀子 火星 200705
野火果てし空の青さを仰ぎけり 山本耀子 火星 200705
野火上がり胸にも燃ゆる炎あり 宮入河童 200706
野火出でし人影のまた野火に入る 井上浩一郎 ホトトギス 200706
野火走りけりうまごやし青きまま 清水幸治 200706
猛りくる母郷の野火の高さかな 小澤克己 遠嶺 200706
堂塔をひとひねりして野火猛る 小山徳夫 遠嶺 200706
てのひらの荒れやすく野火猛るなり 高橋さえ子 200706
遠野火を冷たき色と見てをりぬ 木内憲子 200706
夕さむく野火の冩るよ吾子の眸に 瀧春一 200706
郎女をこころに野火の遠かりき 水野恒彦 200707
野火走る矜恃の胸に風入れて 川口襄 遠嶺 200707
ぽつかりと穴の空きたる野火の跡 内田稔 遠嶺 200707
威丈高なり公認の野火なれば 佐藤山人 200707
遠野火や切なるものの母消ゆる 木山杏理 京鹿子 200801
見上げたる先に大富士野火煙 稲畑廣太郎 ホトトギス 200802
野火くぐり立つ鳥の影ありにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200802
一点が末広がりに野火猛る 藤原照子 200804
野火に立つ芯といふものなかりけり 天野みゆき 風土 200805
二手より野火の相摶つ国境 森岡正作 200805
躓くもありて幾筋野火走る 中村翠湖 馬醉木 200805
野火山火この世急がず生きむとす 水野恒彦 200805
野火走る消防団の布令の出て 谷村祐治 雨月 200805
燻れる野火を止めの通り雨 谷村祐治 雨月 200805
着任の神父に野火の駆けあがる 熊丸淑子 馬醉木 200806
野火守る棒のいささか焦げてをり 石田定子 200806
ある時は野火を操る農夫かな 貝森光洋 六花 200806
たましひを連れ去るやうに奔る野火 邑橋節夫 菊揃へ 200806
原点に還れと野火の奔りけり 邑橋節夫 菊揃へ 200806
大野火の舐めたる富士の演習場 神田美穂子 万象 200807
一すぢの野火より神話立ち上がる 岩岡中正 ホトトギス 200808
夕野火やなつかしき香の灰煙 鷹羽狩行 200903
空き缶の骸黒々野火のあと 鈴木阿久 200904
野火走るよりもすばやく勢子の足 布川直幸 200905
放たれて情け知らずの野火となり 布川直幸 200905
野火果てて老ひとも大き夜空あり 水野恒彦 200905
向う岸見えなくなりぬ野火猛り 上田明子 雨月 200905
いななきにかも似て野火の上がりけり 木村風師 馬醉木 200906
胸奥の大阿蘇の野火濃かりけり 冨松寛子 200906
野火放つ男寂しさ募らせて 柴崎英子 200906
怨念の声あぐ野火の焔かな 柴崎英子 200906
泊月の村を包める野火煙 山田弘子 ホトトギス 200907
その先は湖野火は気にかけず 河野美奇 ホトトギス 200907
神火とも業火とも野火猛るなり 柴崎英子 200907
鳴き交はす鴉の群や野火ぐもり 小山徳夫 遠嶺 200907
酔うてなほ胸中の野火消え残る 小山徳夫 遠嶺 200907
日食にまがふ曇天野火走る 佐藤恭子 遠嶺 200907
心奥を揺るがす野火や遠き嶺々 佐藤恭子 遠嶺 200907
清姫の馳せしとふ里野火猛る 森脇貞子 雨月 200907
野火けむり段々畑を這ひ上る 田中春子 雨月 200907
先を行く煙を追うて野火走る 高橋将夫 真髄 200907
かまきりの卵を焦がし野火走る 奥太雅 万象 200908
将門の塚を覆へる野火煙 酒井湧甫 200908
燃えて消えまた燃えて消え野火近し 中島玉五郎 201004
野火這へり混濁の世を熨すやうに 佐藤山人 201005
野火動くはるかに白き石舞台 遠山みち子 201005
はたと風変りて野火の猛るなり 樋口英子 201006
みづうみの鳥片寄せて野火走る 風間史子 201007
野火走り翼竜生まれ出でんとす 古川夏子 201008
野火を見る己れの中に野火があり 小澤利子 201101
シルビアと聲はしりけり野火の國 小堀寛 京鹿子 201104
野火遠しなべてひとりの旅ばかり 成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
野火猛けて郁夫の不動立ち上る 相良牧人 201106
春寒や津軽平野に野火ひとつ 藤原冬人 火星 201106
低き山背負ふ下総野火走る 上村葉子 風土 201106
音たてて野火は斜面をころがれり 松田明子 201108
駆け抜けし炎のあとの野火埃 松田明子 201108
車窓より夕野火に添ひ湖暮るる 乗光雅子 雨月 201202
野火走る固き拳がポケットに 能村研三 201203
神さびの山へ向ひて野火走る 川村清子 馬醉木 201205
狂ひ野火叩いて原発事故言はず 鴨下昭 201205
風神の位置定まりて野火となる 丸井巴水 京鹿子 201205
この時とばかり叩く背野火埃 佐藤山人 201205
治水社を焦がさんばかり野火猛る 柴田良二 雨月 201205
野火守は作務衣に髪を束ねをり 能村研三 201205
叩かれて思はぬ方へ野火走る 佐々木よし子 201205
翻る野火信長のマントめく 岡澤田鶴 201205
火の猛る野火見し夜の渇きかな 須藤美智子 風土 201205
遠野火やアルプス暮るるあかあかと 野畑さゆり 201206
四五人の忍者めくなり野火猛る 松本恒子 ぐろっけ 201207
野火遠しなべてひとりの旅ばかり 成瀬櫻桃子 春燈 201210
一筋は心鎮めの野火けむり 能村研三 201303
母の声野火の記憶を確かめる 池田光子 201304
野火打ちし棒のしばらく燻れる 原友子 201304
野火の尾を叩いては野火広げゆく 上野進 春燈 201305
乾坤をつなぎて野火の遠煙 藤岡紫水 京鹿子 201305
匂ひ追ふ視野の一角野火明り 甕秀麿 201305
野火といふ幕の上りし楽土かな 柳川晋 201305
一番星野火美しくなりにけり 岡崎伸 201305
背丈越す野火の勢ひにのけぞりて 堀井英子 雨月 201305
落城の劫火もかくや野火激し 堀井英子 雨月 201305
草薙剣を思ふ野火猛り 堀井英子 雨月 201305
野火にあり映画で見たる空襲図 古川忠利 ろんど 201306
一揆の碑辺りに上がる野火煙 宮原悦子 雨月 201306
遠野火や夕空あかね広げゆく 梶浦玲良子 六花 201306
バス停に野火の匂ひの充満す 中島玉五郎 201402
乙女らの野火放たんと矢を番へ 内藤静 風土 201405
風にまだ馴染まぬ野火のひとところ 柴田久子 風土 201405
下総や野火のけむりの青くして 内藤静 風土 201405
天平の空を烟らせ野火走る 横山昭子 雨月 201405
煽られて野火の相榑つ義仲忌 齊藤いさを 馬醉木 201405
カルストの巌を焦し野火猛る 水野恒彦 201406
野火猛る漢の影を走らせて 大橋淳一 雨月 201406
犀が来て放って去った野火だ野火 坪内稔典 船団 201406
野火を打つをとこのまなこ写楽調 石田きよし 201407
峡が峡らしく見ゆる日野火けぶる 松岡和子 201407
野火あがるもののふ駆けし古戦場 近昌夫 春燈 201412
野火 →4      

 

2021年3月22日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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