野 火 1       100句

野火つけてはらばうて見る男哉    一茶

末黒野  焼野  野焼  野火

作品
作者
掲載誌
掲載年月
野火いまだわたりをり司馬遼太郎 岡井省二 199805
野火走る急げばわたし翅生えて 平野八重子 海程 199807
捨て野火を風は見捨てず燃え立たす 眞木礼子 円虹 199807
野火消えて消えざるものの胸にあり 眞木礼子 円虹 199807
ここよりは追はざる野火となりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 199902
人の意に逆らひて野火走りけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 199902
謀りごとめく長堤に野火放つ 能村研三 199903
野火に負う陣太刀なれば祖父まぼろし 高桑聡 船団 199903
野火止の淑気の中を水走る 小林俊彦 春耕 199903
足元をねずみ走りに野火走る 神蔵器 風土 199904
野火の炎の千枚舌や空舐むる 林翔 199904
遠野火を見てより己が齢濃し 樋口英子 朝桜 199904
遠野火や父情はかくも遠巻きに 樋口英子 朝桜 199904
遠野火のさらに遠くに子の赴任 樋口英子 朝桜 199904
野火消えてルオーの夕日いま沈む 三嶋隆英 馬醉木 199905
遠野火や帰路への坂を踏み始む 小澤克己 遠嶺 199905
炎の先を巻舌にして野火走る 能村研三 199905
娶らずに逝つてしまへり野火走る 原田かずゑ 199905
大野火の煙日輪紅くせり 笹本達夫 199905
村中の土手繋がりて野火煙る 笹倉さえみ 雨月 199905
田の神の注連新しき野火の跡 松宮幹彦 俳句通信 199905
利根川の大きな闇の野火煙 皆川盤水 春耕 199905
菩提寺は真田の家紋野火はしる 小宮山勇 青胡桃 199905
野火止の細き流れや法師蝉 小宮山勇 青胡桃 199905
野火遠く別れの言葉空しきも 三宅句生 馬醉木 199906
田の神の幣新しき野火の跡 松宮幹彦 春耕 199906
野火放つ消防団の法被かな 川崎不坐 火星 199907
進まねば消えるさだめの野火と人 藤岡紫水 京鹿子 199907
野火赤しその遠さにも追ひつけず 豊田都峰 京鹿子 199908
野火止の雨後の水嵩蛍の火 金子きくえ 春耕 199908
古城去りいまは車窓の野火明り 丸山海道 海道全句集 199910
走る野火獣の如く打たれをり 石井とし夫 とし夫句集 199912
舐め盡す野火の舌なり火色見ず 中原道夫 銀化 200003

 楠戸まさる句集『飛火野』序句

ときに火の旗を靡かせ野火すゝむ

鷹羽狩行 200004
野火放つはじめは妬心置くやうに 小澤克己 遠嶺 200004
しばらくは空見て野火の走りだす 小澤克己 遠嶺 200004
伏流をまたぎて野火の勢ひけり 藤原照子 200004
高台を越えたる野火の行方かな 高橋将夫 200005
野火放つはじめは漂ひ心かな 小澤克己 遠嶺 200005
犬とゆく川原に野火の走りをり 穴澤光江 遠嶺 200005
消防車待機をさせて野火放つ 安陪青人 雨月 200005
野火を見し夜を野火走る胸の奥 熊岡俊子 雨月 200005
牛あづけ来て阿蘇人の野火放つ 栗山恵子 雨月 200005
夕空を潤して野火おこりけり 篠原俊博 銀化 200005
畦焼きて野火止の水透きとほる 唐沢静男 春耕 200005
野火渦となりつつ風を奪ひ合ふ 稲田眸子 200005
野火はるか口許ゆるむ童像 大谷茂 遠嶺 200006
ひとすぢの野火耳順へと意を決す 川口襄 遠嶺 200007
体内に野火の一点癌動く 佐々木峻 ヒッポ千番地 200007
野火走るこころを駆くるものありて 阿部寒林 200010
一陣の風に迫りし野火の音 林敬子 酸漿 200103
いかるがの風出て野火の猛りかな 朝妻力 俳句通信 200103
法起寺に朽ちかけし門野火匂ふ 朝妻力 俳句通信 200103
土色の上の灰色野火終はる 飯塚ゑ子 火星 200103
野火炎ゆるめらめら炎ゆる斎宮址 堀田清江 雨月 200104
野火走る速さをペンの追ひ縋る 山野みどり 銀化 200104
漢等に打擲されて野火止まる 泉田秋硯 200105
野火果てし後の山風素直なる 浜田南風 200105
野火迫り来ると人垣後しざり 高垣和惠 雨月 200105
敗残の遠き日の炎かはた野火か 岩崎きゑ子 馬酔木 200106
燃え尽くす野火一切の凝視の中 渡辺友七 あを 200106
風神の下知は厳たり野火走る 鵜飼紫生 雨月 200107
野火止は身の内にこそ欲しきもの 武田菜美 銀化 200107
大野火を神話の神に奉る 岩岡中正 ホトトギス 200108
岩ひとつ野火とたたかひをりにけり 岩岡中正 ホトトギス 200108
立ち上る野火風に添ひはじめけり 稲畑汀子 ホトトギス 200202
夕野火となりゆくままに捨てらるる 稲畑汀子 ホトトギス 200202
野火退くも進むも神の意のままに 鷹羽狩行 200203
野火の舌沼尻にきてくゆりけり 渡辺立男 馬醉木 200204

 「耀」五周年を祝して

暮れてより旗幟あきらかに野火進む

鷹羽狩行 200204
煙あげ野火が拡げてゆく末黒 武政礼子 雨月 200204
夕野火のけむり背山の日を隠す 中村敏夫 春耕 200204
野火の煙火の見櫓をつつみけり 八角うめ子 春耕 200204
草の丈越ゆる炎や野火熾る 高橋たか子 馬醉木 200205
野火の穂を勢子十人の百叩き 泉田秋硯 200205
野火消えて一斤染に空昏るる 河田青嵐 風土 200205
憂へるかに夕野火のまた立ち止まる 岩瀬良子 円虹 200205
鳥語より高きを舞へり野火埃 岩瀬良子 円虹 200205
野火埃笹の形の降つてきし 岩瀬良子 円虹 200205
日の矢受け一気走りの野火となる 小澤克己 遠嶺 200205
影を濃く引き寄せて野火起ち上がる 森田博 200205
巣の雛の首立てとほす野火を前 森田博 200205
頬かむりの男現はる野火のなか 岡和絵 火星 200205
摘みて来し土筆にまじる野火の煤 柳沢杏 酸漿 200205
嚆矢とは阿蘇に放ちし野火ならむ 横尾桂子 銀化 200205
野火走る土手に置かれし大薬缶 吉田百合子 春耕 200205
遠野火や夜行列車の音つづく 伊藤洋 春耕 200205
石原の野火散兵の陣を布く 久保田由布 ぐろっけ 200205
進み来し野火大岩を取囲む 久保田由布 ぐろっけ 200205
火の中に立ちゐて野火を実感す 久保田由布 ぐろっけ 200205
遠野火や水面明りに禽のこゑ 大谷茂 遠嶺 200206
野火とんで休耕田を目覚めさす 中島知恵子 雨月 200206
叫び声何燃えさかる野火の果 安達風越 雨月 200206
ふと思ひしばらく思ふ野火遠く 岡本眸 200206
野火を打つ遠きひとりも打ちつづく 藤井昌治 200206
走る野火韋駄天の裔なりしかな にいざ蚯蚓 銀化 200207
野火に暮れて印旛の里の水の音 森園ムツ子 200207
渡良瀬の天を狭めて野火走る 玉川悠 遠嶺 200208
眼よりあふれて野火の奔りだす 小澤克己 遠嶺 200209
男ゆく野火の種火の藁提げて 加古みちよ 冬菜畑 200301
野火→ 2      

 

2021年3月15日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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