野 火 2       100句

生駒山系野火に逢いたりわれも野火   澁谷道   紅一駄

末黒野  焼野  野焼  野火

作品
作者
掲載誌
掲載年月
男ゆく野火の種火の藁提げて 加古みちよ 冬菜畑 200301
野火の先風従へてをりにけり 稲畑汀子 ホトトギス 200302
野火煙水墨画めく山路かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
風神の加勢を受けて野火走る 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
句碑生れて稲城熊野を繋ぐ野火 稲畑廣太郎 ホトトギス 200302
かけ上る野火の先端わたしなり 片山タケ子 200305
風変り野火の煙に逃げ出せり 加藤弘一 築港 200305
野火走るそこだけ風の育ちをり 板倉幸子 築港 200305
野火走る不在地主の畦を越え 森脇恵香 雲の峰 200305
胸中に滾るものあり野火走る 多田節子 雨月 200305
野火叩くわたしはもつと若いはず 小倉斑女 銀化 200305
ひと筋の野火葦原に来て狂ふ 中村翠湖 馬醉木 200306
焔より人声大き迷ひ野火 小森泰子 馬醉木 200306
旅装解く野火の焔にまだ酔ひて 辰巳比呂史 200306
野火焼けば雄叫びを上ぐよろこびて 三好淡紅 200306
地を這へる野火立ち上がる山火かな 田中黎子 円虹 200306
野火煙ひと日火の山統べゐたる 田中黎子 円虹 200306
一輌車の車窓に迫り野火走る 金升富美子 200306
大阿蘇の人を走らす野火の舌 笠間圭子 京鹿子 200306
夕野火のさらに遠くに野火ひとつ 松永唯道 円虹 200307
野火奔る早さに犬の追ひつけず 中島知恵子 雨月 200307
行き細る熊野古道や野火明り 谷合青洋 酸漿 200307
野火敵意あるかに筋を違へけり 酒本八重 200307
野火守にちよつと挨拶して行きぬ 酒本八重 200307
原野焼く野火を恐れず侮らず 井上蘇柳 ホトトギス 200311
暮れなづむ美馬の郡を野火走る 品川鈴子 ぐろっけ 200402
野火あがるそれからの日々農ごころ 鈴鹿仁 京鹿子 200403
遠野火や人に孤独といふ個室 岡本眸 200403
日輪のどんより宙に野火煙り 笠間圭子 京鹿子 200404
野火飛んで焔の行く手先導す 山田天 雨月 200405
野火起つや川一筋に村頒つ 渡邉友七 あを 200405
遠野火や男四五人佇める 若山実 雲の峰 200405
遠く野火眼鏡の冷を拭ひつつ 木内憲子 200405
屈強の吾子と見る野火猛りけり 荒井千佐代 200406
野火遠くなりゆく大地何を秘む 荻野千枝 京鹿子 200406
野火走るゴールはいづこ鵜殿原 河村泰子 ぐろっけ 200407
野火煙る高層マンション隠しつつ 河村泰子 ぐろっけ 200407
野火叩戦旗のごとくかかげゆく 岩岡中正 ホトトギス 200408
捨て野火の美しければ跼みけり 岩岡中正 ホトトギス 200408
また雪が来さうな空や野火匂ふ 長田秋男 酸漿 200411
釣人の助長させをり野火げむり 伊藤白潮 200503
野火点けて縄文の声放ちけり 成瀬櫻桃子 春燈 200504
遠くとほく思ひの丈を野火奔る 木村風師 馬醉木 200504
野火奉行武蔵のごとく棒かざす 泉田秋硯 200505
一燈に紐一つ垂れ野火遠し 今瀬剛一 対岸 200505
燃え盛る野火顔熱く通りけり 今瀬剛一 対岸 200505
眼ぎらぎら立ち上がる野火の丈 今瀬剛一 対岸 200505
野火消えてねんねんころりおころりよ 今瀬剛一 対岸 200505
筑波よりの風を力に野火放つ 今瀬剛一 対岸 200505
野火中に立ちたる倭建かな 今瀬剛一 対岸 200505
立ち上がる野火を小鳥の突つ切れり 太田土男 百鳥 200505
遠野火や古民家囲ふ防風林 中里とも子 百鳥 200505
安房の旅友と幾度び野火を見し 足立靖子 200505
遠き野火昼満月を浮かべけり 蓮田照子 200505
野火猛るなかハイウェー突つ走る 宮崎正 ホトトギス 200506
遠き日の宿営の地や野火猛る 辰巳比呂史 200506
野火猛る「撃ちてし止まむ」と言ふことも 金子輝 春燈 200506
野火奔り風の音域拡げをり 中尾公彦 200506
野火の中石像逃る術断たる 寺岡ひろし 雨月 200506
野火走る将門拓きたる大地 関根洋子 風土 200506
旅ねむく野火眼裏に消え育ち 渡邉友七 あを 200506
大野火を浴びて湯気たつ川面かな 三関浩舟 栴檀 200507
日の暮の野火を見てゐる葬あと 下平しづ子 雨月 200507
野火走るはしると鴉猛り鳴く 高橋さえ子 200508
野火走り風の機嫌を伺へり 関まさを 酸漿 200603
遠野火や区切りつけねばならぬこと 中田みなみ 200603
旅の夜の野火遠ければ憶ひまた 岡本眸 200603
はるかより野火はわが子を舐めにくる 辻美奈子 200604
庭芝を焼いていささか野火とせむ 鎌倉喜久恵 あを 200604
一念を貫くやうに野火走る 芝生南天 河鹿 200605
男の子らを育てし度胸野火放つ 刈米育子 200605
対岸の野火を見守り太公望 水上れんげ 200605
嶺の神敬ひ懼れ野火放つ 柴田佐知子 200605
野火打ちし夜の深さやとりけもの 服部早苗 200605
立ち上がる野火を掠めし鳥の影 吉田明子 200605
風呼びて野火会心の炎上げ 前川明子 200605
野火走り何事もなき日なりけり 高橋将夫 200605
野火猛りわつと増えたるカメラマン 戸田春月 火星 200605
野火見つつ防空壕の暗さふと 長沼三津夫 200605
野火の炎の煌々と吾が胸照らす コ田正樹 河鹿 200606
富士おろす風にぎりしめ野火を守る 片田千鶴 馬醉木 200606
風落ちて走り疲れの野火の脚 鮎川富美子 200606
消防団法被なびかせ野火追へり 武子都史郎 200606
牧場はあの辺りかも野火走る 勝見玲子 200606
人の声風に乗り来る野火の上 生田作 風土 200606
過疎村の老猛然と野火叩く 塩路隆子 200607
野火遠し奇襲に耐へしその家紋 服部郁史 京鹿子 200607
君逝きてわが慟哭の野火走る 小澤克己 遠嶺 200607
叩き棒担ぎ野火守駆け出せり 有吉桜雲 200607
まだほのと野火の匂へる句帖かな 岩岡中正 ホトトギス 200608
草薙の剣か野火の横走り 伊藤希眸 京鹿子 200608
焦げ跡を取り巻き野火の広がれり ことり 六花 200608
迷ひから抜け出て野火の走りけり 坂本緑 200611
熱気球あがり遠野火遥かなる 紺野とも子 200704
いつか見し夢のごとくに野火猛る 本藤みつ 200704
うまごやしその侭にして野火走る 清水幸治 200705
熾る野火漢の影を走らする 中嶋昌子 春燈 200705
水ぎはの芦をとらへし野火の丈 谷田部栄 万象 200705
風しまくは鬨の声とも野火猛る 内山花葉 200705
よるべなき帰心をそそる車窓野火 品川鈴子 ぐろっけ 200705
野火走る烈しさ吾に今一度 足利徹 ぐろっけ 200705
野火→ 3      

 

2021年3月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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