鵙の贄 1     176句

鵙の贄若草色をしてゐたり    加藤三七子

百舌鳥    鵙の贄  鵙日和  冬の百舌  春の鵙

作品
作者
掲載誌
掲載年月
風になほ命ある如鵙の贄 稲畑汀子 ホトトギス 199910
隣にも忘れられたる鵙の贄 稲畑廣太郎 ホトトギス 199910
鵙の贄夕日に四肢を張りゐたり 鈴木夢亭 塩屋崎 199910
昼月に捧げてありし鵙の贄 菅原鬨也 199912
生木焚く火のくすぼるや鵙の贄 大竹淑子 風土 199912
子に遺すものとてわづか鵙の贄 藤井昌治 199912
木の枝にまだ濡れてゐる鵙の贄 舘林志津子 俳句通信 200001
修身の時間退屈鵙の贄 中原道夫 銀化 200011
それぞれに入島許可証鵙の贄 浜福恵 風土 200012
蔵酒に醉うて候鵙の贄 延広禎一 200012
天翔けるさまに乾びし鵙の贄 唐沢静男 春耕 200101
鵙早贄雨千畳となりにけり
黒田咲子
200101
昼近くまだ濡れてゐる鵙の贄 岡和絵 火星 200102
鵙が贄突つこみにけり男山
飯塚ゑ子
火星 200103
血方なり高き梢に百舌の贄 金子皆子 海程 200105
十字架のイエスもかくや鵙の贄 鷹羽狩行 200110
鵙の贄あれは四回戦ボーイ 小川真理子 銀化 200111
鵙の贄死後のあれこれ人まかせ 波多洋子 銀化 200111
鵙の贄戰利はかなきものばかり 中原道夫 銀化 200112
干からびて形残しぬ鵙の贄 久保木千代子 春耕 200112
鵙の贄山門不幸庭を掃く 後藤志づ あを 200112
身に覚えなきことばかり鵙の贄 長田等 200201
鵙の眼のどこかに鵙の贄を見る 谷村祐治 雨月 200202
鵙の贄あからさまなる枝のあり 白岩三郎 馬醉木 200212
鵙の贄忘れ乾びしものばかり 下平しづ子 雨月 200301
鵙の贄天のどこかに高笑ひ 栗田武三 ぐろっけ 200301
縄文の猟夫像の辺鵙の贄 金丸鐵蕉 200302
寂庵の木戸の小枝に鵙の贄 小阪律子 ぐろっけ 200302
目障りな冬鵙の贄深呼吸 泉由秋硯 200305
里山の梢に残す鵙の贄 井上輝男 築港 200312
走り根の気まま気ままや鵙の贄 内山千代子 帆船 200312
鵙の贄ベイブリッジの見えてをり 今瀬剛一 対岸 200312
鵙の贄漁船は沖へ出払へり 大串章 百鳥 200312
鵙の贄刺さりたる木を避けて過ぐ 苑実耶 200312
降るがまま暮るるがままや鵙の贄 遠野萌 200312
鵙の贄帽子を被りなほしたる 荒井千佐代 200312
大池の空日がわたり鵙の贄 岡井省二 省二全句集 200312
鵙の贄見詰め落暉の息づかひ 松田都青 京鹿子 200401
鵙の贄駅と我が家と柵つづき 須佐薫子 帆船 200401
手足動くの動かぬのと鵙の贄 有吉桜雲 200402
きつさきの少し欠けたる鵙の贄 若山実 雲の峰 200402
一声を発して鵙の贄となる 稲畑廣太郎 ホトトギス 200410
干からびて枝と化したる鵙の贄 高野清風 春耕 200412
安曇野や入日に黒き鵙の贄 前阪洋子 春耕 200412
足もげて枝となりたる鵙の贄 辰巳陽子 春耕 200412
快哉のかたちに乾び鵙の贄 伊藤白潮 200501
乾洞びて枝の瘤めく鵙の贄 石田嘉江 200501
履歴書に職歴多し鵙の贄 渡邉春生 百鳥 200501
織田の地の猛々しかる鵙の贄 大橋麻沙子 雨月 200503
鵙の贄にもずの荒性見たりけり 西村しげ子 雨月 200503
鵙の贄ひからび切って四肢張れる 西村しげ子 雨月 200503
まだみどり保つ蟷螂鵙の贄 長村雄作 栴檀 200503
牛乗せたトラックが過ぎ百舌の贄 若泉真樹 200503
口笛のやみしあたりよ鵙の贄 遠野萌 200511
まだピクと動く手脚や鵙の贄 合川月林子 ぐろっけ 200512
鵙の贄天つつぬけの青さにて 定梶じょう あを 200512
畑染めて落暉ひろがる鵙の贄 岡田貞峰 馬醉木 200601
晩鐘や鼈甲色に鵙の贄 吉田明子 200601
鵙の贄富士見櫓の登り口 原田しずえ 万象 200601
みるからに干涸びてゆく鵙の贄 西村純太 200602
とつ払ふ藪にいくつも鵙の贄 若島久清 万象 200602
鵙の贄の絶叫空へ消えゆけり 森川泰雄 200603
鵙の贄千丈ガ原に迷ひこむ 浜福恵 風土 200611
おしなべて神は美食家鵙の贄 片山タケ子 200701
見たくなきものにも興味鵙の贄 湯川雅 ホトトギス 200702
鵙の贄去年の指切り思ひ出す 渡邉美保 火星 200703
蟷螂の礫刑もまた鵙の贄 味村志津子 雨月 200703
鵙の贄その正体の乾きをり 稲畑汀子 ホトトギス 200710
眼より乾びはじめて鵙の贄 福場朋子 200711
鵙の贄万事休すといふ形 土井田晩聖 万事 200711
べからずの柵の向かうの鵙の贄 風間史子 200712
続々と工事車入れり鵙の贄 松平菩提子 京鹿子 200801
なにがしの贖罪にせむ鵙の贄 田畑耕之介 京鹿子 200801
鵙の贄けふの夕日の落ちにけり 藤井昌治 200801
鵙の贄笑えずあれもこれも捨て 北村香朗 京鹿子 200804
蜥蜴の尾の長き先まで鵙の贄 手島伸子 雨月 200805
鵙の贄力漲る松の枝 浅田光喜 絵巻物 200806
鵙の贄埴輪口して天仰ぐ 森下康子 200812
榧の木に夕映えゐたる鵙の贄 戸栗末廣 火星 200812
大空に乾くほかなき鵙の贄 柴田佐知子 200812
林中の夕日が強し鵙の贄 丹羽啓子 馬醉木 200901
腕白の見てゐる梢の鵙の贄 川口襄 遠嶺 200901
京遠し根来ねごりは嶮し鵙の贄 浜福恵 風土 200901
あざやかな蝶串刺しに鵙の贄 伊川玉子 万象 200901
鵙の贄ほとほと違ふ氏素姓 梶浦玲良子 六花 200901
鵙の贄片手のばせば竹竿屋 梶浦玲良子 六花 200902
鵙の贄有無いはさじの仕置ぶり 大橋敦子 雨月 200903
指先に苦悶ありあり鵙の贄 大橋淳一 雨月 200903
私ならそこには置かぬ鵙の贄 高橋将夫 200912
涸びきって鵙も食はざる鵙の贄 大橋晄 雨月 201001
千段の磴登りきり鵙の贄 森清尭 末黒野 201004
神域を侵せしは誰そ鵙の贄 福田雅子 万象 201010
鉛筆の先尖るべし鵙の贄 常田創 201011
鵙の贄魔笛流るる真昼かな 延広禎一 201011
鵙の贄へその緒ほどに乾びをり 宇都宮敦子 201101
月光に貌もたげをり鵙の贄 戸栗末廣 火星 201101
みづうみの晴にさしあり鵙の贄 城孝子 火星 201101
鵙の贄木椅子の釘の抜けてをり 楠原幹子 201101
庭の木の思はぬところ鵙の贄 白石正躬 やぶれ傘 201102
生半可知恵におぼれし鵙の贄 吉田政江 201201
わが視野の端に干乾び鵙の贄 荒井千佐代 201201
叡山の入り日まみれの鵙の贄 飯塚ゑ子 火星 201201
鵙の贄近江の月にかはきけり 城孝子 火星 201202
鵙の贄未だ手足の動きをり 後藤桂子 万象 201202
罪無くて罪負ふなりの鵙の贄 布川直幸 201209
叫喚の空の真澄に鵙の贄 遠藤真砂明 201212
自分史は残さぬ決意鵙の贄 笠井清佑 201301
晒されて忘れ去られて鵙の贄 佐々木新 春燈 201301
現し世の弱肉強食鵙の贄 塩千恵子 201301
収まりのつかぬ姿に鵙の贄 柴田佐知子 201302
触角のぎんぎら乾び鵙の贄 品川鈴子 ぐろっけ 201307
十字架のイエスさながら鵙の贄 品川鈴子 ぐろっけ 201307
鵙の贄バッハの受難曲聞ゆ 品川鈴子 ぐろっけ 201307
記載なき賞味期限や鵙の贄 林紀夫 春燈 201311
鵙の贄ここからは野のはづれなり 豊田都峰 京鹿子 201312
鵙の贄それも深まりゆくものか 豊田都峰 京鹿子 201312
鵙の贄垂れし一肢をなぶる風 豊田都峰 京鹿子 201312
鵙の贄村の裏口めくあたり 豊田都峰 京鹿子 201312
鵙の贄高野吉野は峯つづき 深澤鱶 火星 201401
阿鼻叫喚のさまに干涸ぶ鵙の贄 大橋淳一 雨月 201402
忘れたのはしやつくりの所為鵙の贄 木戸渥子 京鹿子 201402
鵙の贄昼も仰臥の眼の端に 宮井知英 201404
月も日も水晶色や鵙の贄 山田美恵子 火星 201411
絶叫のかたちに刺され鵙の贄 早川俊久 馬醉木 201412
手の甲に灸点ひとつ鵙の贄 苑実耶 201501
魂を天に預けて鵙の贄 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
魂を天に預けて鵙の贄 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
鵙の贄空どこ迄も晴れわたり 岡本まち子 馬醉木 201511
硬直の始まつてゐる鵙の贄 南うみを 風土 201612
殻少し残つてゐたる鵙の贄 高倉和子 201702
鵙の贄どっちつかずの空のいろ 中川句寿夫 ここのもん 201705
鵙の贄厠の窓にやや離れ 大崎紀夫 やぶれ傘 201711
陽も風も愛切切と鵙の贄 渕上千津 201801
鵙の贄朝より喉の渇きけり 杉田智榮子 馬醉木 201801
しづけさは鵙の贄より始まりぬ 山本則男 201803
滑空のまま風を呼ぶ鵙の贄 安藤しおん 201901
鵙に贄蛙の股のまだ白く 南うみを 風土 201901
逆光やまだやはらかき鵙の贄 石田阿畏子 馬醉木 201902
目でありし穴を風抜く鵙の贄 荒井千佐代 201902
平泳ぎの形に乾きて鵙の贄 岡井マスミ 末黒野 201902
目でありし穴を風抜く鵙の贄 荒井千佐代 201906
仰向けに乾びつくして鵙の贄 藤生不二男 六花 202001
耳覆ふニュースばかりや鵙の贄 菅野日出子 末黒野 202001
半鐘の錆び切つてをり鵙の贄 森岡正作 202001
忘れ物めきし枯木の鵙の贄 増成栗人 202003
鵙の贄咥へなほして突き刺せる 角野良生 202006
抗ふさま残す形や鵙の贄 菅野日出子 末黒野 202012
尻尾まだ動いてをりぬ鵙の贄 荒井千佐代 202102
鵙の贄にはなりたないなりたない 稲畑廣太郎 ホトトギス 202110
残額の増ゆることなし鵙の贄 林紀夫 春燈 202112
鵙の贄賞味期限の表示なし 本多遊方 春燈 202112
鵙の贄場所を移してやりにけり 高橋将夫 202112
鵙の贄歓喜のごとく四肢ひらく 柴田佐知子 202112
磔の主の釘思ふ鵙の贄 荒井千佐代 202112
枝の色に紛れ乾きぬ鵙の贄 山下美典 ホトトギス 202203
干乾びてなほ鮮やかや鵙の贄 星加鷹彦 202205
鵙の贄ひゆるると風の乾きたる 北村操 202207
魂の叫びを空に鵙の贄 稲畑廣太郎 ホトトギス 202210
 

 

2022年10月18日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。