刈 田 3      193句

刈りたての刈田のなにかはづかしく   小林貴子   北斗七星

作品
作者
掲載誌
掲載年月
来年は作らぬ刈田歩きけり 高橋ひろ 万象 200902
いろいろの鳥の声する刈田かな 笠置早苗 火星 200902
遠くまで見えて刈田のわびしさよ 西本輝子 雨月 200902
こう鶴の垂直離陸刈田風 禰寝瓶史 京鹿子 200902
父といふ容れもの風の刈田かな 井上菜摘子 京鹿子 200902
刈田闇臥牛にまがふ野積み藁 鎌田政利 京鹿子 200902
みわたせる限り朝露刈田あと 藤原春子 六花 200902
刈田越し秩父連山雲の上 佐藤喜仙 壁炉 200911
利根越えて稲田刈田のひろがりぬ 上原重一 200911
鶏が刈田を歩く子が歩く 山田美恵子 火星 200911
廃校の噂だあれもゐない刈田道 布川直幸 200912
刈田焼く匂ひ各駅停車かな 中條睦子 万象 200912
糠雨の遊行柳の刈田かな 松本三千夫 末黒野 200912
刈田道白鷺やはり一羽なり 早崎泰江 あを 200912
雲流る刈田の涯の上総沖 田中臥石 末黒野 201001
ふるさとの山は動かず夕刈田 石田邦子 遠嶺 201001
風筋の景ふくいくと夕刈田 春山和子 遠嶺 201001
大刈田系図もなくて続く家 吉岡知香 京鹿子 201001
石叩よろけて走る大刈田 穂苅照子 万象 201001
遠くより寺鐘の響きくる刈田 松林順子 雨月 201001
一郷の刈田の涯の鎮守かな 水谷靖 雨月 201001
刈株のみなふくよかな刈田あり 谷合青洋 酸漿 201001
所在なく蝶飛びゆける刈田かな 鈴木幾子 酸漿 201001
魚沼の刈田稔田それぞれに 安藤久美子 やぶれ傘 201001
ふるさとの夕べ刈田の匂ひかな 苑実耶 201002
見えてゐて声の届かぬ刈田かな 児玉満智子 201002
烏二羽鳶を追ひたり刈田原 村戸弥牛 万象 201002
紛れなき瑞穂の国や刈田ゆく 仙石君子 雨月 201002
みちのくの刈田を歩む雀どち 石井邦子 酸漿 201003
刈田の子かくれんぼより鬼ごつこ 涌羅由美 ホトトギス 201004
足跡の刈田に残る深き跡 滝沢伊代次 万象 201010
犬走る藁の匂ひの刈田かな 早崎泰江 あを 201011
巻雲の端のほつれて刈田かな 大竹淑子 風土 201012
みはるかす刈田をてらす団地の灯 池田光子 201012

滝沢伊代次先生急逝

山国の刈田に遊び給ふらむ

大坪景章 万象 201012
越の地震刈田の夫婦走り寄る 大西八洲雄 万象 201012
通学の近道となる刈田かな 阿部すず枝 万象 201012
茜雲刈田に朱鷺を放鳥す 遠藤実 あを 201012
門前の広々したる刈田かな 久保田嘉郎 酸漿 201012
刈田はやボール遊びの子らのもの 窪田粧子 馬醉木 201101
処々に煙立つ刈田続きけり 中江月鈴子 201101
全霊を濯いでもらふ刈田風 猪爪皆子 201101
にぎはしく雀の遊ぶ刈田かな 村井一之 末黒野 201101
山間の刈田をすべる日差しかな 村井一之 末黒野 201101
天と地とその先にある刈田風 鴨下昭 201101
月曜の風の戸惑ふ大刈田 森未明 京鹿子 201101
子らの声けふの刈田は土俵なり 松岡和子 201102
倭にもミレーの祈り大刈田 後條さと子 201102
稔田に隣る刈田よ穭田よ 水野加代 万象 201102
鷺が翔ち鷺が佇む刈田かな 水野加代 万象 201102
赤灯の流れ刈田を曲りゆく 浜口高子 火星 201102
晴れ渡る刈田に隣る遺跡かな 石黒興平 末黒野 201104
みちのくの雲の影濃き刈田かな 矢崎暉文 酸漿 201104
朝の陽にしらさぎの立つ刈田かな 白石正躬 やぶれ傘 201112
小鷺百翔びたつ刈田祝ひめく 清水佑実子 201112
ほつこりと溶岩が浮き出る刈田かな 岩木茂 風土 201112
実り田の横にやすらぐ刈田かな 高橋将夫 201112
刈田より巴に翔べり雨の鷺 田中臥石 末黒野 201201
新しき刈田の匂ひ広がれり 高倉和子 201201
われを呼ぶ声ののりくる刈田風 服部早苗 201201
酒蔵の裏の刈田のせまいこと だいじみどり 201201
刈田風深々かぎぬ町育ち 永塚尚代 ぐろっけ 201201
催しの煙火打ち上げ刈田道 有本南陵 ろんど 201201
傷口のこんなに並ぶ刈田かな 樽井明子 京鹿子 201201
刈田道伊勢の神楽の二人連れ 大山文子 火星 201201
遠神楽刈田の煙にとぎれつつ 浜口高子 火星 201202
しほざゐの遠し穭の出ぬ刈田 岡本敬子 万象 201202
二上の山の際まで刈田かな 平居澪子 六花 201202
古代いと栄えし国の刈田風 栗原京子 201203
駅ごとに刈田の匂ふ単線路 岩永はるみ 白雨 201203
さびさびて夕日の影を曳く刈田 井上弘堂 ホトトギス 201204
とむらひののちの刈田の匂ひかな 辻美奈子 201211
鷺一羽歩む刈田や佐渡の海 川井素山 かさね 201212
夕映えの刈田に残る稲穂の香 池内とほる かさね 201212
新しき刈田に残る轍かな 和田勝信 かさね 201212
椅子ひとつ置いて刈田の芯となす 大竹淑子 風土 201212
氏神へ参道長き刈田道 生田恵美子 風土 201212
ぽつかりと青空のある刈田かな 高倉和子 201212
一面の刈田となりて山近し 山本孝夫 201301
遠筑波あつけらかんと刈田かな 荒木甫 201301
朝日影我が身刈田に五十メートル 松木清川 ぐろっけ 201301
鶺鴒の忽とあらはれ刈田道 熊切修 末黒野 201301
舞降りてスワン憩へる刈田跡 和田森早苗 201302
口笛に刈田を犬のまつしぐら 吉田カイ 万象 201302
漱石の伊予の出湯へ刈田道 高橋照葉 ぐろっけ 201302
夕風とともに刈田の匂ひかな 白石正躬 やぶれ傘 201302
刈田にて蝗を追ふ日失せにけり 池田光子 201303
雲流れ刈田の煙流れ消ゆ 和田勝信 かさね 201311
知る顔もまばらの在所刈田道 新海英二 春燈 201312
マンションの長き影置く刈田かな 太田チエ子 末黒野 201401
わらわらと雀逃げ発つ刈田かな 国包澄子 201401
遠ければ列車親しき刈田かな 定梶じょう あを 201401
熱気球ぐんぐん昇る刈田かな 苑実耶 201401
豊年や刈田の風も浅間晴 水原春郎 馬醉木 201401
アインシュタイン学研都市の刈田守る 塩路隆子 201401
刈りたての田面や鷺の悠々と 太田チエ子 末黒野 201401
刈り終へし田に律儀なる案山子かな 大橋晄 雨月 201401
去来するものの囁き刈田風 鎌田悟朗 ろんど 201401
刈田焼く出稼ぎの日を指折りつ 布川孝子 京鹿子 201402
里山の刈田に群るる雀かな 牛窪啓詞 やぶれ傘 201402
刈田昏れ遠き潮騒高まれり 高橋明 末黒野 201402
幾重にも雲の降りくる刈田かな 清水量子 201402
あらためて刈田の広さ見てをりぬ 近藤紀子 201402
日当れる刈田の中の墓一基 垣岡瑛子 火星 201403
刈田道おちているのは白いひも 梨地ことこ 船団 201403
故郷の刈田を渡る風の色 池谷鹿次 末黒野 201404
夕陽いま刈田労ひゐたるかな 西郷慶子 201411
白鷺の百を数ふる刈田かな 中川すみ子 201412
刈られゆく田に落穂などなかりけり 田中臥石 末黒野 201412
広がりや刈田の果の筑波山 伴秋草 末黒野 201412
華やぎのあとかたもなき刈田かな 中村紀美子 春燈 201412
白鷺の百を数ふる刈田かな 中川すみ子 201412
華やぎのあとかたもなき刈田かな 中村紀美子 春燈 201412
穏やかに暮るる刈田に夫婦して 川上久美 ろんど 201412
寂しさと安堵ひろがる刈田かな 武政礼子 雨月 201412
広がりや刈田の果の筑波山 伴秋草 末黒野 201412
峠越え刈田の先に高速道 鈴木石花 風土 201501
スコップの刺さりて誰も居ぬ刈田 岩木茂 風土 201501
魚沼や刈田の風の豊かなる 平居澪子 六花 201501
刈田晴神の合唱聞えさう 宮坂恒子 201502
棚田みな刈田となりて眠るだけ 上辻蒼人 風土 201502
近江路のかるた散らしに刈田かな 熊川暁子 201502
落日の中に父母ゐる刈田かな 中山皓雪 201502
もう風も雨も怖れぬ刈田なり 栗原京子 201503
この朝は鼻唄も出づ刈田晴 久保東海司 201504
刈田道風が迷うてをりにけり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201510
鳧鳴かせ眠りの浅き夕刈田 布川直幸 201511
雨の降る向うに鷺のゐる刈田 大崎紀夫 やぶれ傘 201511
父呼べば母が応へる刈田かな 斉藤裕子 あを 201511
刈田道歩けば遠き筑波かな 山下健治 春燈 201512
電柱に海抜表示刈田面 加藤峰子 201512
一角に深き轍を大刈田 荒木甫 201512
晩稲田の風をのこして刈られけり 藤生不二男 六花 201512
刈り終へし田に胸を張る案山子翁 大橋晄 雨月 201512
刈りたての田に群れほどく鴉どち 生田作 風土 201512
ちちははの月日残れる刈田かな 中山皓雪 201601
行く人を急かす日暮れの刈田道 羽賀恭子 201601
刈田道集めて村の小学校 外山節子 末黒野 201601
刈たての匂をふくむ刈田風 戸辺信重 春燈 201601
喪の奏を了ふや刈田の濃き匂 荒井千佐代 201601
開発の歩き納めや刈田道 中谷未知 末黒野 201602
千枚田天辺よりの稲を刈る 下平しづ子 雨月 201603
下校放送刈田をわたる午後三時 白石正躬 やぶれ傘 201604
群れ鳥の啄む夕日刈田あと 甲州千草 201611
刈田跡粛々たりし月夜かな 物江康平 春燈 201701
田の神のくつろぎをらる刈田かな 加藤季代 万象 201701
いち早く刈田の中を住処とす 加藤みき 201701
後ろ手に佇む漢刈田あと 押田裕見子 201702
刈田風追へぜ名のあゐ山淡し 松本鷹根 京鹿子 201702
穭なき刈田広ごる奥州路 駒形祐右子 万象 201703
故郷は一望千里刈田原 池谷鹿次 末黒野 201704
写メ送信刈田掛稲籾殻焼 石森理和 あを 201711
刈田ごと扇びらきにすずめ揚ぐ 神蔵器 風土 201712
三輪車乗りすててある刈田かな 竹内悦子 201801
藁の香の匂ひ立ちたる刈田かな 森幸 雨月 201801
胡麻粒のやうに刈田の鴉どち 大内マキ子 万象 201801
刈田みち波切不動の遠く見ゆ 山下良江 万象 201802
野仏の供華新しき刈田中 古谷昌女 春燈 201802
一村の軽くなりたる刈田かな 石黒興平 末黒野 201802
投げし毬犬の拾つて来る刈田 佐津のぼる 六花 201803
刈田より何か掴んで鴉発つ 佐津のぼる 六花 201803
灘の風真直ぐに来る刈田かな 柴田志津子 201811
牛積まれ行くよ農道刈田みち 笹倉さえみ 雨月 201901
コンビニの灯に刈田ねむれざる 南うみを 風土 201901
軽トラックの轍の深き刈田かな 天野美登里 やぶれ傘 201901
刈田いま安堵の彩となりゆけり 木村あさ子 201902
弓始一矢刈田に突きささる 池田光子 風土 201904
下野へ帰る子送る刈田道 石橋邦子 春燈 201912
素十忌の刈田の畦のあをあをと 南うみを 風土 202001
朝ごとに刈田増えゆく美嚢の里 善野行 六花 202001
刈田道夕日を入れて道祖神 丸山千穂子 末黒野 202001
山影の伸ぶる刈田の匂ひけり 土江比露 春燈 202001
宗像や刈田のさきに勇魚塚 中島陽華 202001
刈田明るし一直線に風はしり 城戸ひろみ 雨月 202002
刈田より身を濯ぐ風貰ひけり 善野行 六花 202002
穭田も刈田も水浸き神送 善野行 六花 202002
歩くごと枡目は踊る刈田かな 出利葉孝 202002
雨続く刈田を鷺が歩きゐる 湯本正友 やぶれ傘 202002
刈りとれぬものなほ光る刈田かな 直江裕子 京鹿子 202003
晴れわたるここら魚沼刈田原 安原葉 ホトトギス 202003
越後路の空へ伸びゆく刈田道 稲畑廣太郎 ホトトギス 202009
由良の門へ刈田の畦をたどりけり 南うみを 風土 202012
刈田延々地図の通りに行けば駅 森なほ子 あを 202101
雲の影しづかに渡る刈田かな 川高郷之助 202101
辺りみな刈田となりて朝日満つ 大内幸子 六花 202101
外房を走る単線刈田風 杉山くみ子 末黒野 202103
まつろはぬ地にも刈田の秋津島 中田光介 202108
分け合うて刈田の畦の昼餉かな 関妙子 202112
直角に畦の交はる刈田かな 大坂正 末黒野 202201
赤子鳴くこゑは刈田の向こうから 秋山信行 やぶれ傘 202201
刈田原嘶きはるか駅家跡 小形博子 202202
金色の波の醒めたる刈田かな 住田千代子 六花 202202
大刈田大海原をまなかひに 沼田巴字 京鹿子 202210
なだれ来て雀転がる刈田かな 坂口学 202212
刈田→ 1

 

2022年12月16日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。