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柿食ふやすでに至福の余生かな  結城昌治  歳月

柿  熟柿  渋柿  干柿  吊し柿  柿簾

作品
作者
掲載誌
掲載年月
柿二つ机上に子規を祀りけり 大橋伊佐子 末黒野 201201
斑鳩の茜したたる木守柿 宇都宮敦子 201201
離村の家更地となりて柿たわわ 海野みち子 万象 201201
柿ひとつ残して暮るる殉難碑 佐々木新 春燈 201201
柿の実に赤き陽あたる朝かな 松本周二 かさね 201201
屑籠に投げて届きし柿の蔕 小林清之介 風土 201201
山僧に妻子のありて柿をもぐ 内藤三男 ぐろっけ 201201
山柿活く華台に一つ転ばせて 野口喜久子 ぐろっけ 201201
山柿を流派問はずに投げ入れて 野口喜久子 ぐろっけ 201201
名水の郷に父母なし柿熟るる 三浦澄江 ぐろっけ 201201
柿はみな尻から太る伊賀上野 坪内稔典 船団 201201
飯給駅過ぎ柿日和定まれり 田中貞雄 ろんど 201201
来し方の捨て石の数柿の蔕 田中貞雄 ろんど 201201
老いたれば老ゆるこころに柿日和 藤岡紫水 京鹿子 201201
柿だけが留守番してゐる父の家 杉井真由美 京鹿子 201201
村人の数より多き小鈴柿 吉田政江 201201
残りけり柿の次郎が肩張つて 辻美奈子 201201
青空の半濁点や木守柿 久染康子 201201
柿赤し半鐘いまだ残る村 荒井千瑳子 201201
きざ柿の良きころあひの古墳山 山田美恵子 火星 201201
柿捥ぎのみんなに空の眩しかり 蘭定かず子 火星 201201
ながれ雲柿含羞の色となる 梶浦玲良子 六花 201201
手の届くところまで柿たわわなり 永田万年青 六花 201201
柿熟るる空青々と広がりぬ 五ケ瀬川流一 六花 201201
柿もぎの梯子の向きを変へにけり 大崎紀夫 やぶれ傘 201201
柿熟るる伊香保の町に入りにけり 廣瀬雅男 やぶれ傘 201201
柿の木や実と葉と枝と空と風 きくちきみえ やぶれ傘 201201
柿の実の二つ三つはや柿色に きくちきみえ やぶれ傘 201201
峡の日を独り占めせる残り柿 中井登喜子 201202
木守柿に歴史の重み光堂 川崎利子 201202
手に愛づる陶の光の富有柿 山下佳子 馬醉木 201202
柿主の年取られたる柿日和 井上信子 201202
柿を剥く子規のつむりの尖りやう 荒木甫 201202
選ばれて空をとほくに木守柿 甕秀麿 201202
天地の恵みの彩よ柿たわわ 近藤きくえ 201202
柿山に件の男来たりけり 瀬川公馨 201202
幽邃や柿色づきて水の張り 佐藤喜仙 かさね 201202
柿熟るる隣家やさしき昭和顔 乾有杏 201202
柿穫れば賑はひ失せてしまひけり 田代貞枝 201202
木守柿おき火のごとく残りをり 渡部節郎 201202
遠富士のけふよく晴れて木守柿 高橋あさの 201202
原罪を背負ひて柿の枝に潰ゆ 佐川三枝子 201202
富有柿熟れると友の便りくる 池田光子 201202
庭先の柿の樹実り孫集ふ 神田惣介 京鹿子 201202
老いてなほ柿は朱色につつまれり 伊藤希眸 京鹿子 201202
分銅のごとく垂れをり蜂屋柿 浅岡麻實 末黒野 201202
山城の川風頼み柿屋組む 隅田恵子 雨月 201202
日表の柿の艶めきたわわなる 本多正子 雨月 201202
木守柿ななつ残れるたたずまひ だいじみどり 201203
青空の孤独を癒す木守柿 安武晨子 201203
熟れ柿をいただきますと鵯の鳴く 府川昭子 春燈 201203
木守柿雨の日暮となりにけり 府川昭子 春燈 201203
木守柿視線の的となりてをり 黒澤登美枝 201203
柿出荷終へたる村の軽くなる 中村房子 馬醉木 201203
岬村の睡りの深き残し柿 葉山彰 ろんど 201203
残る柿みな啄まれ年暮るる 生田作 風土 201203
山里の空をひろげて柿明か 渡辺絹代 末黒野 201203
動くともなく雲動く木守柿 渡辺絹代 末黒野 201203
柿熟れてだらだら坂の珈琲屋 佐々木紗知 京鹿子 201203
木守柿二十も残し熟れに熟れ 福田かよ子 ぐろっけ 201203
めぐまれし余生と思ふ木守柿 三浦澄江 ぐろっけ 201203
柿熟るる庭を囲ひて売地札 村田とくみ ぐろっけ 201203
柿熟るる隣はひよこ鑑別所 松下八重美 夢見の鐘 201203
用水を挟む田と畑木守柿 渡邉孝彦 やぶれ傘 201203
青空を背に赤々と木守柿 小林美登里 かさね 201204
脳神経病院へ行く道の柿 渡邊孝彦 やぶれ傘 201204
前掛けの中にあふるる母の柿 亀井紀子 201205
反骨の言葉溜めおり残し柿 葉山彰 ろんど 201205
そこだけが昔のままや柿の空 近藤牧男 六月 201206
遠富士や祭りのごとき柿畑 上原重一 201208
木の柿をもぎきて大和ほとけ道 北崎展江 くりから 201209
子規詠みし鐘いまも鳴る柿の秋 北崎展江 くりから 201209
甲冑堂閉ざされてあり柿の秋 酒井秀郎 返り花 201211
柿の実を触ってしまふ夕茜 吉弘恭子 あを 201211
重連の汽笛に暮るる柿の秋 藤井君江 馬醉木 201212
友垣にふと逢ひさうな柿の村 小池清司 かさね 201212
柿買つて波郷桂郎つつがなし 神蔵器 風土 201212
隣のが早く色づく庭の柿 藤田京子 ぐろっけ 201212
柿食べてまだもう少し生きむかな 鈴木良戈 201212
み吉野の柿盛る篭の粗目なる 笹村政子 六花 201212
近頃はピアノ聞えず柿の家 田中藤穂 あを 201212
なほ惜しむ旅の土産のおけさ柿 竹内悦子 201301
柿の一片庭に鴉の落しもの 西郷慶子 201301
山の辺のガールリュックはみ出す柿の枝 鈴木照子 201301
飛鳥路の笑顔の媼柿を剥く 吉田宏之 201301
白壁に柿の実映ゆる二月堂 吉田宏之 201301
柿喰うて内子白壁和らふそく 山崎里美 201301
三つ四つ柿ころげ出て絵師の目に 中村恭子 201301
須弥壇に柿供へたる火影かな 荒井和昭 201301
柿届く美濃は母の地祖父母の地 坂場章子 201301
火入れ待つ窯閑々と柿の朱 コ田千鶴子 馬醉木 201301
白柿の朱塗の盆に盛られけり 宮田豊子 春燈 201301
柿の実の万朶の大樹来迎図 中野京子 201301
天地のなせる業とや柿撓 山根征子 201301
柿の実の色濃くなりし分水嶺 中田禎子 201301
柿照るや柿生の里をひと巡り 鈴木セツ 201301
竿ひねり枝ごと捥ぐやたわわ柿 青木英林 かさね 201301
柿の実の枝越しに見る筑波山 吉田博行 かさね 201301
きのふより今日の色なる柿を捥ぐ 布施まさ子 風土 201301
柿一つ夕卓にあるひかりかな 中山純子 万象 201301
柿の秋古都には古都の色があり 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
この辺り古戦場とや柿の秋 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
里山に忘れられたる柿たわわ 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
柿たわわ裏木戸出れば聚楽町 桂樟蹊子 201310
柿の秋横川の忌日巡り来る 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
柿食うて子規は心に生き続け 稲畑廣太郎 ホトトギス 201310
長命を約して柿の坂くだる 丸山佳子 京鹿子 201310
一つ一つ千の夕日の禅師丸柿 神蔵器 風土 201311
柿もぐや牧水の歌口に出て 神蔵器 風土 201311
座の柿のみるみる剥かれ坊泊り 山田美恵子 火星 201312
筆柿に東の日の差しきたり 山田六甲 六花 201312
浮雲の懸る菩薩嶺柿の秋 井上石動 あを 201312
木枯や不作の柿をゆさぶれる 瀧春一 花石榴 201312
薬師三尊三顆の柿を献供せり 瀧春一 花石榴 201312
柿を捥ぐ色濃きものはまだ僅か 青木英林 かさね 201312
柿剥くや長々と堆み母の皿 深澤鱶 火星 201312
裾合ひのふるさと柿の実るころ 山口ひろよ 201312
絶対に甘柿と言ふ苗木買ふ 瀧春一 花石榴 201312
大病を凌ぎしひとや木練柿 深澤鱶 火星 201312
漬物のかくし味とし柿の皮 乗光雅子 雨月 201312
昔話柿くるくると剥きながら 和田政子 201401
柿を捥ぐ慣ひの絶えて故郷遠し 北尾章郎 201401
柿の皮引きをり影を浮かさずに 柳本渓光 ろんど 201401
次郎柿仏間の奥へ日が射せり 福島せいぎ 万象 201401
山柿の大粒小粒海まさを 中村恭子 201401
わが捥ぎし柿より多く賜りぬ 上坂渥子 雨月 201401
背をのべて齢諾ふ柿の秋 柴田志津子 201401
ころ柿や祖母の口上ありぬべし 松木ひろ ろんど 201401
仏にひとつわれにひとつの柿を買ふ 舩山東子 ろんど 201401
訪ぬれば寺はしづかや柿の秋 千葉惠美子 末黒野 201401
さはし柿残る青さにある甘味 上坂渥子 雨月 201401
さりげなく子規の机に柿置かれ 山本無蓋 201401
鈴生りの柿にあてがふ竹の棹 大村かし子 万象 201401
霊山のこだま痩せゐし柿の艶 浜口高子 火星 201401
外に一歩出れば旅人や柿日和 山田春生 万象 201401
歪なる柿の甘さにある有情 上坂渥子 雨月 201401
柿捥ぐや日輪のきら真つ向に 山田美恵子 火星 201401
柿たわわ旅情いや増す宿場道 桂敦子 201401
柿の実も取らで年越す古屋かな 池内とほる かさね 201401
柿もぎて青空の張り乱したる 塩川君子 末黒野 201401
柿を捥ぐ真上に小松空路あり 上坂渥子 雨月 201401
柿をむく夫と二人の時間かな 高倉恵美子 201401
柿一つ去来の墓の閑かなる 東野鈴子 雨月 201401
柿甘しかの日ざらしの少年期 蘭定かず子 火星 201401
柿採りの指図に息の合はぬ竿 山田美恵子 火星 201401
柿切ればスライスされし柿の種 丑久保勲 やぶれ傘 201401
柿買うて来ぬ六尺の孫学士 田中臥石 末黒野 201401
柿剥いて七曜とかく忘じがち 窪田佳津子 雨月 201401
タオル首奈良より来たと柿盛らる 池田久恵 ぐろっけ 201401
孫太郎の生薬売りや柿たわわ 塩路隆子 201401
朝日受け撓ふ柿の実おいしさう 鷲見たえ子 201401
柿葡萄酒も供へて欣一忌 山田春生 万象 201402
燃え色の柿の落葉や踏まずゆく 堀光子 春燈 201402
ごみ箱に妻のほかせし柿の種 市川伊團次 六花 201402
何時の間に越えゐし傘寿柿日和 古沢幸次 ろんど 201402
百年を隣りあふ庭柿日和 宮口征子 馬醉木 201402

 綾子先生へ

墓地の隅かがやく十一月の柿

大坪景章 万象 201402
母の歯に適ふ堅さの柿を選る 布施由岐子 末黒野 201402
種なし柿種の記憶をとどめをり 楠原幹子 201402
木曽路ではたわわに実る柿ばかり 三橋早苗 ぐろっけ 201402
唯一の和室の障子柿の影 向江醇子 ぐろっけ 201402
柿捥いで空に空色戻しけり 住田千代子 六花 201402
柿ころぶ一度大きく跳ねてから 住田千代子 六花 201402
柿たわわ高枝鋏振り回し 木曽鈴子 ぐろっけ 201402
柿たわわ峠の先のわたつうみ 近藤紀子 201402
柿を捥ぐ梢仰てくらくらす 木曽鈴子 ぐろっけ 201402
柿喰みつ遠目に小さき石舞台 坂根宏子 201402
柿採りの竿の届かぬ柿大き 大崎ナツミ 雨月 201402
柿剥きの絡繰発条と歯車と 村高卯 201402
串柿の人並みと言ふ横ならび 熊川暁子 201402
袖で柿ぬぐうて父祖の地は遠し 天谷翔子 201402
池の上にたわわ傾く残り柿 水野範子 ぐろっけ 201402
通る子が見てゆく柿を捥ぎをれば 大崎ナツミ 雨月 201402
なにもせぬ日や燈下濃し柿甘し 中山純子 万象 201402
柿の種吐き出し話ねんごろに 水野範子 ぐろっけ 201402
取れそうもなき柿の実の赤々と 松田泰子 末黒野 201402
塀の穴覗き食べ頃次郎柿 山田正子 201402
音沈み柿の実落つる舊校舎 中山純子 万象 201402
縄に蔕残して柿の落ちにけり 住田千代子 六花 201402
豆柿の空にひといろおきざりに 吉弘恭子 あを 201402
百匁柿百箇を剥きて柿大尽 野畑さゆり 201403
手を引いて母の故郷柿たわわ 名倉悦子 ろんど 201403
柿たわわ安藤忠雄の教会の 梨地ことこ 船団 201403
柿日和爪研ぐ猫とわたくしと 鶴濱節子 船団 201403
柿撓む鏡湖にうつす鐘の音 上野紫泉 京鹿子 201403
高き枝に初生り柿はあばたなる 村田とくみ ぐろっけ 201403
採り終へし柿に枝振りもどらざり 山本耀子 絵襖 201404
甘柿の確かな証拠黒斑点 石川かおり 福袋 201404
柿→13      

 

2021年10月13日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。