熟 柿    121句

いちまいの皮の包める熟柿かな    野見山朱鳥

柿  熟柿  渋柿  干柿  吊し柿  柿簾

作品
作者
掲載誌
掲載年月
前書他
ポケットに無事でありたる熟柿かな
山田弘子
円虹
199812
自愛よりいまは自虐の熟柿かな
北川孝子
京鹿子
199901
碧空の画布より熟柿剥ぎとらる
川口襄
遠嶺
199903
落ちさうな熟柿鴉も近づけず
高崎武義
199910
くはだててゐて混沌と夜の熟柿
中原道夫
銀化
199912
画眉鳥がふくよかに食む熟柿かな
白鳥武子
酸漿
199912
臥す姑へ熟柿をすすむ銀の匙
乃美隆子
200001
日の熟柿口の重さのほどにあり
峯尾文世
銀化
200001
夕鴉熟柿ぼとりと落したる
中井久子
雨月
200001
鼻先に付けてぷるっと熟柿食ぶ
武田正子
ぐろっけ
200003
熟柿吸ふはらわた震へはじめけり
白岩三郎
馬醉木
200011
熟柿吸ふ口元の皺憚らず
荒木治代
ぐろっけ
200102
熟柿吸ふ脳死の記事を盗み見て
泉田秋硯
月に逢ふ
200103
熟柿落ちおちて踏み場もなきまでに
和田崎増美
雨月
200103
青銅の乳房に熟柿落ちにけり
高橋とも子
200107
ポルシェ停め山口百恵は熟柿食う
時枝武
船団
200111
間の悪き出番となりし熟柿かな
朱間繭生
銀化
200112
終章の聞かせどころの熟柿かな
北川孝子
京鹿子
200112
熟柿落ち噂おもたく流れけり
北川孝子
京鹿子
200201
トタン屋根に熟柿墜つ音呵責無し
久保龍
200202
熟柿落つ種も仕掛けもなかりけり
宮原みさを
花月亭
200208
熟柿いま自裁を迫るまでもなし
中原道夫
銀化
200211
日攻めにて熟柿は空に病みてける
石原歌織
銀化
200212
熟柿あり朝の座にゐて偲ぶ父
白石秀雄
酸漿
200301
母在りし頃の灯のこと熟柿の色
笹原ひろむ
200301
ながいきのかなしみにまた熟柿落つ
小林かいう
200302
熟柿吸ひ一気に年を取りしかな
中村孝子
200303
嵐山で熟柿買ひけり走り雨
米澤光子
火星
200303
村中の熟柿に日の歓喜せり
西山美枝子
酸漿
200305
原子村より注意扱ひ熟柿の荷
品川鈴子
ぐろっけ
200311
ふるさとの汚るる熟柿落ちにけり
今瀬剛一
対岸
200312
皿の上の熟柿をつつく銀の匙
後藤志づ
あを
200312
月の夜の熟柿を買ふ僧の妻
芝生南天
河鹿
200401
剥けば手に滑る熟柿や子規をふと
山田六甲
六花
200401
たわわなる生家の熟柿見て過ぐる
佐野幸子
百鳥
200402
回想のはたと止まりぬ熟柿かな
高木勝子
帆船
200402
熟柿吸うこの口もとを夫知らず
中田寿子
ぐろっけ
200402
熟柿吸ひ故郷のこと亡母のこと
古田考鵬
雨月
200402
天地のあはひの熟柿いらふかな
栗栖恵通子
200402
落ちて木端微塵となりし熟柿かな
鷹羽狩行
200411
てつぺんの熟柿夕陽を透かしをり
斉藤裕子
あを
200501
熟柿吸うて五百羅漢に紛れをり
岩木茂
風土
200501
大熟柿スプーンとぷりと刺す夕べ
土肥屯蕪里
雲の峰
200501
山の子等熟柿を食ひて口汚す
椙山正彦
200502
遺影の前で熟柿になるは厄介な
田村みどり
京鹿子
200503
郵便配達行くさきざきの熟柿かな
定梶じょう
あを
200512
月光に破裂しさうや熟柿どち
定梶じょう
あを
200512
不器用の手にもてあます大熟柿
一瀬昭子
馬醉木
200601
熟柿手に夕暮の母しづみゆく
柴田佐知子
200601
望郷や熟柿の重さ手にありて
高倉和子
200601
湯上りの熟柿を啜る婆娑羅髪
黄川田美千穂
200602
夕べより重たくなりし熟柿かな
城孝子
火星
200603
熟柿投げ餓鬼大将の投降す
鈴木實
百鳥
200603
湯あがりの舌にとろける熟柿かな
恒成久美子
ぐろっけ
200703
熟柿をそつと置き来る給餌台
河野政恵
酸漿
200703
日のあたりゐる恍惚の熟柿かな
近藤喜子
200801
背を丸め母は熟柿の皮をはぎ
伊勢ただし
ぐろっけ
200802
熟柿落つ夜毎烈しく豚の庭に
二輪通
炎環
200901
熟柿に声も満ちたる目白かな
伊藤一枝
酸漿
200901
八つ切りの熟柿の光る夜の皿
安藤久美子
やぶれ傘
200901
兄の技適はず熟柿川に落つ
木原今女
ぐろっけ
200902
熟柿の種ある味を楽しみつ
小平恒子
酸漿
200902
くつくつと国栖人笑ふ熟柿掌に
岡本高明
船団
200903
手に受けてほの暖かき熟柿かな
浅野恵美子
酸漿
200904
熟柿手に祭よばれの礼を言ふ
八田木枯
晩紅
200908
暮れのこる廃線跡の熟柿かな
日山輝喜
200912
亡き母の分まで熟柿啜りけり
小倉正穂
末黒野
201002
引力に耐へて熟柿の二つ三つ
能美昌二郎
201002
母だけが手に取る熟柿ずっしりと
奈佐幸子
201002
母好み
破裂しさうよ仏壇に熟柿置き
定梶じょう
あを
201002
ほのかにも渋味の残る熟柿かな 久世孝雄 やぶれ傘 201101  
石段の高きに熟柿古刹かな 桂敦子 201102  
熟柿吸ふや小鳥の気分になりきつて 府川昭子 春燈 201102  
熟柿の重さに甲斐の空歪む 守屋井蛙 酸漿 201102  
雲水にけふの恵の熟柿落つ コ田千鶴子 花の翼 201111  
熟柿の耐へきれず落ち弾けをり 岡野安雅 かさね 201201  
熟柿落つ地球に七十億の人 上谷昌憲 201201  
塀越しの高みの熟柿怖れらる 北尾章郎 201202  
邂逅てふ艶ある言葉熟柿かな 堀岡せつこ 201202  
熟柿透く光に甘さ重さかな 渡部節郎 201202  
熟柿落つ誰も知らない帰れる日 鴨下昭 201202  
熟柿生る落下注意の札下げて 堤節子 ぐろっけ 201202  
ひと盛は熟柿ばかりで売られけり きくちきみえ やぶれ傘 201201  
この熟柿これよりさきは形而上 佐藤喜孝 あを 201205  
遠き日の父懐かしき熟柿かな 斉藤裕子 あを 201212  
三叉で父が巧みに捥ぐ熟柿 斉藤裕子 あを 201212  
手の平に載せるよに呉れし熟柿かな 斉藤裕子 あを 201212  
蔕をとり啜ってごらんよほら熟柿 斉藤裕子 あを 201212  
父を恋ふ今に熟柿の時がくる 斉藤裕子 あを 201212  
青天に負けじ真っ赤く枝の熟柿 定梶じょう あを 201212  
日暮時棚にならびし熟柿かな 森岡陽子 かさね 201301  
熟柿吸ふ母の晩年看ず知らず 数長藤代 201303  
熟柿落つ空の青さに耐へかねて 林昭太郎 201312  
てのひらに熟柿の冷えを量りをり 山尾玉藻 火星 201312  
さても熟柿食ふに覚悟のやうなもの 西田孝 ろんど 201401  
熟柿落つ音に始まる寺の鐘 久保東海司 201401  
糸尻の傷もつ机熟柿のる 平居澪子 六花 201402  
熟柿落つ日向蕩けて千鳥破風 柳本渓光 ろんど 201403  
弟へ無傷の熟柿採りにけり 井浦美佐子 201403  
うすい皮熟柿の魂を包みゐる 本多俊子 光のうつは 201404  
飛び立ちて烏の落とす熟柿かな 上月智子 末黒野 201502  
日に透けて熟柿の重くなりにけり 田岡千章 201504  
雲水に熟柿二つを喜捨したる 久保東海司 風鈴 201512  
日を吸ひていよよ熟柿のめなう色 平野みち代 201601  
どちらかと言へば熟柿の方が好き 須賀敏子 あを 201601  
独りには独りの甘美熟柿かな 有松洋子 201601  
熟柿落ち庭は修羅場となりにけり 田代貞枝 201601  
熟柿あり上手に嘘をついている 佐藤喜孝 あを 201602  
蜀山の皿は紙なり熟柿食ふ 高木晶子 京鹿子 201604  
張力の限界までの熟柿かな 森岡正作 201701  
鈍色の空に色添ふ熟柿かな 板谷俊武 末黒野 201702  
熟柿落つ解怠の深くなる真昼 近藤喜子 201801  
村捨てし家の熟柿のたわわなる 森山暁湖 万象 201802  
雲水に熟柿二つを喜捨したる 久保東海司 201804  
語ることなくて熟柿をすすり合ふ 押田裕見子 201804  
仏間より熟柿となりて戻りけり 河原敬子 201804  
熟柿啄む鳥が二羽いて空青し 治部少輔 201811  
老翁の眼無心に熟柿吸ふ 堀康代 馬醉木 201901  
塀越しに熟柿の垂れる曲り角 秋山信行 やぶれ傘 201901  
冬の陽を返へす熟柿とピラカンサ 七郎衛門吉保 あを 201902  
はづれたる空の釦や熟柿落つ 西村安子 京鹿子 201903  

2019年11月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

「年月」の最初の4桁が西暦あとの2桁が月を表しています。

注意して作成しておりますが文字化け脱字などありましたらお知らせ下さい。

ご希望の季語がございましたら haisi@haisi.com 迄メール下さい。