柿 簾     115句

作品
作者
掲載誌
掲載年月
手を打つてぽんと母出す柿簾 井上菜摘子 京鹿子 199901
こちたくて干柿簾ほうやれほ 松田曼莉 京鹿子 199903
縁側に人ゐるらしき柿すだれ 庄中健吉 199903
伊那谷に蚕飼の旧家柿すだれ 川合広保 俳句通信 200001
声さきに童女がくぐる柿すだれ 前田青紀 馬醉木 200002
老農の鼻唄聞こゆ柿すだれ 松本恒子 ぐろっけ 200002
武田菱打ちし蔵にも柿すだれ 山本雅子 馬醉木 200003
甲斐に入る軒に二重の柿簾 久染康子 200101
柿すだれ夕日吸ひつくしたるかな 林裕子 風土 200102
柿すだれ短く吊し海人の家 武井清子 200102
柿すだれ分けだんべえで迎へらる 伊藤鯰子 ぐろっけ 200106
船の吾に子の絵手紙の柿すだれ 伊藤鯰子 ぐろっけ 200106
奥会津どの道行くも柿簾 鈴木大林子 春耕 200110
柿簾並ぶ農家に母思ふ 二宮桃代 雨月 200112
合掌家見事軒々柿簾 間瀬淑子 春耕 200112
柿簾隣の家を遠くせり 木村公子 200302
村十戸柿色に染め柿すだれ 中島知惠子 雨月 200303
大和路や軒場に吊す柿すだれ 井上輝男 築港 200303
尾道は坂多き町柿すだれ 木村みかん 200312
強風に曝され揺るる柿簾 北瀬照代 築港 200402
出入りの分だけ空けて柿すだれ 藤原照子 余韻 200403
丹の国の千のきらめき柿すだれ 宇都宮滴水 京鹿子 200412
架け足してあり柿簾青ずいき 小旙普士男 対岸 200501
窓外に柿すだれ成す料金所 安永圭子 風土 200501
通り過ぐ風やはらかに柿簾 吉田眞弓 雨月 200502
木曽駒岳の影の上り来柿簾 江崎成則 栴檀 200502
疎開児の声いまもなほ柿すだれ 小島禾汀 春燈 200502
柿すだれ朝日かがよふ山家かな 有島夛美 河鹿 200503
柿すだれ声張りあげて九九の声 土生逸磨 河鹿 200503
先ず仰ぐ山門脇の柿簾 春日久子 八千草 200506
山の湯の一軒の宿柿簾 吉原房子 200512
笛吹川ふえふきの瀬音や軒の柿簾 小林眞彦 遠嶺 200602
老びとを要の村や柿すだれ 窪田粧子 馬醉木 200602
白壁や軒一連の柿すだれ 井出やすはる 酸漿 200602
童謡の時報流れし柿すだれ 宇田喜美栄 200603
アパートの狭き窓辺に柿簾 松沢芳子 四葩 200605
隧道の向かう故郷の柿すだれ 野畑小百合 200612
荒船山あらふねや母を想ひの柿すだれ 林友次郎 遠嶺 200701
山裾に並ぶ曲屋柿簾 鈴木久香 遠嶺 200702
人の良き村の媼や柿すだれ 青木政江 酸漿 200702
暮し向き可も不可もなし柿すだれ 桑原泰子 八千草 200705
ふるさとを持つ隣人の柿すだれ 須賀敏子 あを 200801
柿すだれあかがね街道花輪宿 高瀬志ず江 風土 200802
日を浴びて富士に向き合ふ柿すだれ 岡田章子 ぐろっけ 200803
柿簾分けて挨拶かはしをり ことり 六花 200812
夕暮の蔵開いてをり柿すだれ 川口襄 遠嶺 200901
寝室の軒にめぐらし柿すだれ 長谷川智弥子 炎環 200901
父在りし頃の生家に柿簾 木原今女 ぐろっけ 200902
柿すだれあはひに山を置きにけり きくちきみえ やぶれ傘 200902
しなしなと揺れてをりけり柿簾 ことり 六花 200909
柿簾寒き風待ち軒深く 川崎良平 雨月 201001
逃げ易き木曽の日に吊る柿すだれ 富田範保 201001
山里の入日引寄す柿簾 伊藤文郎 201002
波音に痩せてゐたりし柿簾 浜口高子 火星 201002
柿すだれ夕日の村を傾けて 阪本哲弘 201002
その裏に日射し赤らむ柿すだれ 和田満水 201002
茅葺の日射まろやか柿すだれ 伊藤憲子 201003
ここかしこ柿簾ある甲斐に入る 瀬島洒望 やぶれ傘 201102
柿すだれ甘くなる風吹いて来い 宇田喜美栄 201102
柿すだれ八ヶ岳やつに雲なき朝のきて 大崎紀夫 やぶれ傘 201102
似て非なる北の家屋に柿すだれ 中山皓雪 201112
日だまりのやうに老いたし柿すだれ 平子公一 馬醉木 201201
柿簾山のなぞへを埋めつくし 隅田恵子 雨月 201202
柿すだれあの二列目が美味さうな 宮崎左智子 201202
柿すだれ後家の砦を飾りけり 松本恒子 ぐろっけ 201202
柿すだれ山間の日を甘くせり 水原春郎 馬醉木 201212
柿すだれ昔話のやうな村 菊川俊朗 201301
晴四日急いで剥いて柿すだれ 須賀敏子 あを 201301
山里を埋づめつくせり柿簾 坂上香菜 201301
柿簾奥の間に灯の点りけり 中根美保 風土 201301
吊し柿すだれのごとし深庇 上坂渥子 雨月 201401
けふの日の山に没りゆく柿すだれ 大崎紀夫 やぶれ傘 201401
柿簾里の女のやう笑ふ 竹中一花 201401
夕映を満悦したる柿簾 佐藤満智子 ろんど 201402
夕日浴ぶ幅十間の柿すだれ 久世孝雄 やぶれ傘 201402
柿すだれ仏間を暗くしてゐたり 太田チエ子 末黒野 201402
柿簾「生きてるかい」と掻いくぐり 植村一雄 201402
柿簾伊吹の風を纏ひけり 岩下芳子 201402
遠来の客もてなせり柿すだれ 野畑さゆり 201403
柿すだれここは遠祖の落ちし里 松本恒子 ぐろっけ 201403
天地の風呼びくるや柿すだれ 柴田靖子 201412
犬ねむる日溜まり谷戸の柿すだれ 相沢有理子 風土 201501
柿すだれ峡の弱日を集めけり 浅木ノヱ 春燈 201502
柿すだれしてあをぞらの痛さうな 蘭定かず子 火星 201502
麓へと日のまはりくる柿すだれ 大崎紀夫 虻の昼 201510
この村を極楽色に柿すだれ 宮内とし子 201512
日と風を真面に受けて柿簾 大橋晄 雨月 201512
ちぎり絵に似し無人駅柿すだれ 久保東海司 201611
アパートの軒端軒端の柿すだれ 藤井美晴 やぶれ傘 201701
日に透けて旧家の軒の柿すだれ 菅野日出子 末黒野 201702
予報士のユーモア好きや柿すだれ 中谷富子 201801
赤城嶺を指呼に里曲の柿すだれ 加藤静江 末黒野 201802
ローカル線の駅を彩る柿すだれ 大湊栄子 春燈 201803
講の人どつと笑へり柿簾 中田みなみ 201801
峡の村被ひ隠して柿簾 多方清子 雨月 202001
逃げ足の速き日差や柿すだれ 窪田粧子 馬醉木 202001
柿すだれ今日は一日ひきこもり 波戸辺のばら 船団 202003
柿すだれ紀の国の峡暮れ色に 林未生 202101
柿簾すき間すき間を風通り 吉田幸恵 やぶれ傘 202101
濡縁に陽の柔らかし柿すだれ 佐俣まさを 春燈 202102
柿すだれくぐりて縁に腰下ろす 中川幸恵 202103
木曾路かな夕日塗しの柿すだれ 杉本光祥 202201
由良川に鮭還り来や柿簾 浜福惠 風土 202201
軒先の風や粉をふく柿すだれ 滝口洋子 末黒野 202203
柿簾鳥の谺の欲しいまま 山崎正子 202212

2023年10月21日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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