鰯 雲 7     123句

鰯雲個々一切地上にあり   中村草田男   来し方行方

鱗雲  鰯雲  鯖雲  いわし雲

作品
作者
掲載誌
掲載年月
鰯雲聖武遺愛の品光る 林日圓 京鹿子 201010
手帳にははさむ紐あり鰯雲 遠藤実 あを 201010
行く先は太平洋沖鰯雲 森下康子 201011
鰯雲過ぎゆくものは速かりき 高橋将夫 201011
足裏少しみせて象来る鰯雲 大島翠木 201011
鰯雲せせらぎ心せせらぎぬ 松本圭司 201011
噴煙を加へて阿蘇の鰯雲 柴田佐知子 201011
瀬戸内に大橋跨ぐ鰯雲 鈴木愛子 ぐろっけ 201011
鰯雲日々の方便の外まはり 篠田純子 あを 201011
児らの夢載せて降り来よ鰯雲 前川ユキ子 201012
呆けもせず楽に生きたし鰯雲 坂上香菜 201012
翻るTシャツ白し鰯雲 三川美代子 201012
石段の多き湯の町鰯雲 水原春郎 馬醉木 201012
母の亡し玻璃いつぱいの鰯雲 河野美千代 201012
鰯雲石臼を挽く母の音 本多俊子 201012
土宥め壼立ち上ぐや鰯雲 横田初美 春燈 201012
岬鼻の魚見櫓や鰯雲 鍋島武彦 末黒野 201012
真向ひのはるかなる富士鰯雲 内藤庫江 末黒野 201012
鰯雲八百屋に古き吊り秤 稲垣佳子 末黒野 201012
鰯雲から週末の始まりぬ 高田令子 201012
研ぎたての玄米二合鰯雲 久米なるを 201012
高処たかみなる貫主の墓や鰯雲 大竹淑子 風土 201012
鰯雲向き定まらぬ高気圧 鴨下昭 201012
聴力の検査まづまづ鰯雲 上原重一 201012
「愛してる」いまならいへる鰯雲 大木清美子 201012
遠き日の指切りげんまん鰯雲 塩千恵子 201012
夢を追ふ気の少しあり鰯雲 塩千恵子 201012
鰯雲妻の故郷訪ねむか 大橋晄 雨月 201012
神様が乗るには淡し鰯雲 宮田香 201101
けふ晴れて句会楽しや鰯雲 杉本綾 201101
旧友の其の後わからず鰯雲 西面和子 201101
鰯雲気の向くままの万歩計 倉内和子 末黒野 201101
エレベーター八階を出づ鰯雲 宮川みね子 風土 201101
鰯雲書けばくづるる一語かな 浅田光代 風土 201101
西白山東槍岳鰯雲 淺場英彦 万象 201101
見送れば見返りをりし鰯雲 細川洋子 201101
うすうすと晩年が見え鰯雲 小澤利子 201101
鰯雲きりん静かに頭を上ぐる 辻本俊子 京鹿子 201101
いつしかにみすゞの詩を鰯雲 大石よし子 雨月 201101
夕映は神の手遊び鰯雲 宮井知英 201101
鰯雲路行く人の笑い声 樋口正輝 ぐろっけ 201101
田の中のエンジン音や鰯雲 久世孝雄 やぶれ傘 201101
鰯雲つぶしてゆける雨意の雲 湯川雅 ホトトギス 201102
触れ合うてやがて一つに鰯雲 高橋将夫 201102
望郷の果てはありけり鰯雲 栗栖恵通子 201102
潮騒は空より発し鰯雲 能美昌二郎 201102
今日はちと寄り道しよう鰯雲 石川裕美 ぐろっけ 201102
今際の言葉無かりし父や鰯雲 片山博介 春燈 201103
天上に音のなき音鰯雲 上﨑暮潮 ホトトギス 201104
鰯雲我にかぶさりかぶさり来 上﨑暮潮 ホトトギス 201104
濠わりにかかる木橋や鰯雲 有賀昌子 やぶれ傘 201104

 福竜丸乗組員久保山愛占氏

鰯雲一漁夫の死とのみいへず

成瀬櫻桃子 櫻桃子選集 201105
鰯雲大潟小さく見下ろして 稲畑廣太郎 ホトトギス 201108
出来てゆく空の変幻鰯雲 稲畑汀子 ホトトギス 201108
鰯雲故郷繋ぐ鉄路かな 稲畑廣太郎 ホトトギス 201109
みちのくに踏み込みしより鰯雲 稲畑汀子 ホトトギス 201109
見舞には行けぬ遠さや鰯雲 野坂民子 馬醉木 201109
蹲の水面に映る鰯雲 塩路五郎 201110
鰯雲忌日の空を引き絞り 稲畑廣太郎 ホトトギス 201110
鰯雲とて快晴の一部分 稲畑汀子 ホトトギス 201110
鰯雲久の便りを出しにゆく 藤原若菜 春燈 201110
諦めのやがて果てなき鰯雲 コ田千鶴子 花の翼 201111
此処よりは志賀の里なり鰯雲 中西理一郎 201111
忘れたきこと忘られず鰯雲 水原春郎 馬醉木 201111
転車台いまは回らず鰯雲 涼野海音 火星 201111
鰯雲管制塔にまで降下 密門令子 雨月 201111
鰯雲水の中ゆく水のいろ 林いづみ 風土 201111
鰯雲美しが原に余りたる 白水良子 201112
飛行機雲密なる鰯雲の中 宮井知英 201112
灯台の真上を海へ鰯雲 松本三千夫 末黒野 201112
潮騒の葉山海岸鰯雲 内藤庫江 末黒野 201112
我もまた過客なりけり鰯雲 中山皓雪 201112
鰯雲愛別離苦の幾度ぞ 折橋綾子 201112
退院は一期一会よ鰯雲 木下もと子 201112
朝市の果てて猫ゆく鰯雲 平野みち代 201112
子供等の駆けてゆく先鰯雲 高田令子 201112
何気なく止まることも鰯雲 箕輪カオル 201112
肩抱けば失意もぬくし鰯雲 北川英子 201112
鰯雲旅の疲れは二日目に 宮内とし子 201112
鰯雲椅子あれば友増えてゆく 北村幸子 201112
鰯雲千畳の間に敷けるほど 高橋将夫 201112
尾張野の果なき広さ鰯雲 大橋淳一 雨月 201112
もう旅のできぬ身なりや鰯雲 高橋照子 雨月 201112
鰯雲明日ふるさとを訪ふ予定 廣瀬義一 雨月 201112
鰯雲刷毛目清やかにひろがれり 長崎桂子 あを 201112
鰯雲園児の列の黄の帽子 長崎桂子 あを 201112
鰯雲流れは速く波立てり 長崎桂子 あを 201112
鎖場にリュック下ろして鰯雲 渡邉京子 あを 201112
壮年の父しか知らず鰯雲 阪本哲弘 201201
高瀬舟絶えて映せり鰯雲 五十嵐勉 201201
整ふといふは散らばる鰯雲 湯川雅 ホトトギス 201201
鉤の手の菓子屋横丁鰯雲 森清堯 末黒野 201201
鳴り渡る夕焼けこやけ鰯雲 上月智子 末黒野 201201
鰯雲老人の来てころびけり 齋藤厚子 201201
鰯雲群るる事にも厭きにけり 矢口笑子 春燈 201201
鰯雲夢も希望もありし頃 高倉恵美子 201201
リハビりの一歩こそばき鰯雲 山口天木 雨月 201201
些細なるこの世のことは鰯雲 大西よしき ろんど 201201
駅員の左右指差し鰯雲 金田けいし ろんど 201201
純白の神の道なる鰯雲 中島讃良 ろんど 201201
綱引きの綱地に置かれ鰯雲 杉浦典子 火星 201201
首コキと美術館出づ鰯雲 怱那みさ子 やぶれ傘 201201
飯盛りしやうなる山や鰯雲 根橋宏次 やぶれ傘 201201
花時計植ゑ変へてをり鰯雲 瀬島洒望 やぶれ傘 201201
鰯雲過疎の小川の音高し 桜三奈子 201202
鰯雲町家の残る鍛冶屋町 大西和子 ぐろっけ 201202
鰯雲しばしば潮にうつりけり 松田泰子 末黒野 201202
少しづつ流れてをりぬ鰯雲 宮島ムツ 末黒野 201202
夕日背に急ぐ家路や鰯雲 北郷和顔 末黒野 201202
鰯雲空に潮騒あるごとし 村上美智子 雨月 201202
鰯雲銀座は錨なき港 桑名さつき ろんど 201202
母逝きて十日の空や鰯雲 岩永はるみ 白雨 201203
鰯雲見よとカーテン開けくれし 苑実耶 大河 201203
対岸も淡海の国や鰯雲 岩田公次 ホトトギス 201204
部室から響くフルート鰯雲 犬丸勝子 201204
山峡をつなぐ鉄橋鰯雲 岡野里子 末黒野 201204
背を反らし仰ぐ大空鰯雲 湯本実 やぶれ傘 201204
通院の気分けふよく鰯雲 井上醇女 ホトトギス 201206
雨雲を切り離しゆく鰯雲 稲畑汀子 ホトトギス 201209
快晴といふほかはなし鰯雲 稲畑汀子 ホトトギス 201209
故郷は尻尾の辺り鰯雲 稲畑廣太郎 ホトトギス 201210
鰯雲先月嵐やつたんや 稲畑廣太郎 ホトトギス 201210
青空の変幻自在鰯雲 稲畑汀子 ホトトギス 201210
鰯雲 →8      

 

2021年10月14日 作成

「俳誌のsalon」でご紹介した俳句を季語別にまとめました。

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